少々、カナエ姉さんの性格が原作どおりなのか不安です(汗
この作品では優しくもしたたかな大人の女性って感じでお願いします。
先ほどまで
変わりのない光景といえば、相変わらず身を切るような寒さが襲いかかってくることと、今だに涎を垂れ流しながら
そして地に取り押さえられる格好で話を聞いていた炭治郎は、カナエの爆弾発言に目を見開いた。
「You、鬼殺隊に入っちゃいなよ♪」
突然放たれた余りにもお気楽な言葉に、炭治郎の脳が意味を噛み砕くのにしばらくの時を要した。そして正確に意味を察すると、叫ばずにはいられなかったのである。
「なんでそうなるんだ!?」
炭治郎の必死の抗議も、目の前でにこやかな笑顔を崩さないカナエには何の効力を持たない。
「だって~。君の家族の仇はこの、ぎー君の他にもう一人居るでしょ??」
そう、その男こそ全ての悲劇の原因だ。
「鬼舞辻、無惨……」
「そう、あの男こそ千年も前から鬼を生み出し続けている全ての元凶。私達鬼殺隊が狩るべき、宿敵よ」
「すべての、げんきょう……。……しゅくてき」
「ええ。もし、あの鬼を退治することが出来たら。この、ぎー君の首をあげるわ。お姉さんが約束して、あ・げ・るっ♪」
実に軽やかに言葉を発しているが、その内容は殺伐しているにも程がある内容だ。目を点にしている炭治郎はもちろん、義勇の顔にも「勝手に人の首を約束するな」と書いてある。
「今の君では鬼舞辻 無惨の首どころか、ぎー君の首さえも取れないわ。だから、強くなりなさい。大切な者を、自分で守れるくらい。……強くね」
この場を脱出する策を練ることなど忘れて、いつの間にか炭治郎はカナエの話に聞き入っていた。何しろこの女性の臭いはまるで、「お日様のような光を放つ、まっ黄色な陽光の臭い」だったからだ。
炭治郎の人生十三年において、ここまで善良な臭いなど嗅いだことが無かった。親として愛情を注いでくれた両親でさえ、ここまでの黄色っぷりではなかったのである。
この人を信じられないのであれば、炭治郎はこの世の誰も信用できない極度の人間不信におちいってしまうだろう。それぐらいの、異常なほどの明るさだった。
「俺が鬼殺隊に入れば……、禰豆子は鬼斬りに狙われずに済むのですか?」
今の炭治郎にとって一番の最優先事項は、鬼となった妹の禰豆子を守ることだ。先ほどまでの実戦で自分の不甲斐なさを痛感していた炭治郎は、今の自分一人では到底守りきれないだろうと自覚している。だからこそ、まず手に入れなければならないのは「安全の保証」だった。
「それは無理。と言うより君次第、かな? さっきも話したけど、鬼殺隊は頂点に居る柱から末端の
「…………」
「とっても
つまりは「作れるなら戻せるはず」という理屈なわけだ。
虎穴に入らずんば虎児を得ず。炭治郎はそんなことわざを頭の中で思い浮かべていた。本来ならば、家族の仇が所属する組織に入るなど問題外だ。
先ほど立てた、炭治郎の中での目標は変わっていない。自分の家族を鬼に変えた鬼舞辻 無惨と、最終的に兄弟の首を跳ねた冨岡義勇。この二人に対する恨みは変わりない。
しかし今の自分が、鬼や鬼殺の剣士に対抗できるだけの手段を持ち合わせていないのも純然とした事実だ。ならば、利用してやろう。まず殺すべきは、鬼舞辻 無惨。そもそもヤツが来なければ、俺達は平和な生活を続けていられたのだ。
そんな真っ赤な感情が炭治郎の心の中で再度、狂い咲いた。
それにもう一つの目標も忘れてはいない。
炭治郎は、何としても。妹の禰豆子を「人間に戻して」、平穏な毎日をおくらせてやりたいのだ。
これから始まる血まな臭い戦いに、炭治郎は自分から飛び込もうとしている
逆に考えれば怪しいとも取れるのだが、この時の炭治郎は胡蝶カナエを信じた。いや、信じたかった。家族を殺され、唯一の妹となった禰豆子も鬼となってしまっている。現実から逃げ、自ら命を断てばどんなに楽だろうか。だが炭治郎は母と、そして亡き父と約束していたのだ。「自分が兄弟達を立派に育て上げる」と。
今やその約束は、殆どが果たせない。
ならば、この禰豆子だけでも幸せにしなければならないのだ。
自分は、長男で大黒柱なのだから。
「どうすれば、……強く、なれますか?」
炭治郎が発した言葉に、ニッコリと。お日様のように微笑みながら、カナエは口を開いた……。
最後までお読み頂きありがとうございました。
例によって本日22時にもう一本投稿します。
よろしければお付き合いください。