國行浩弐の過去を自分なりに書いてみた、相手が火の鳥なのは配役が丁度よかったのと前からこちらも書いてみたかったので。
「はぁ、はぁっ……。」
戦場を男は走っていた。
国防海軍陸戦隊所属の特殊作戦兵、國行浩弐。
だが今と成っては無駄な肩書きだった。
隊の仲間は自分を残し皆死んだのだから。
文字通り孤軍奮闘、いや自分はそんなもんじゃない。
敵に追われるままただ逃げてるだけ。
脇目も振らずに活路を見出だす訳でもなく。
そうして見ないようにしていた。
「っ――。」
それでも痛みが主張して来る。
……見るな、見るな。
等と無駄な足掻きでしかなく目に入れてしまう。
吹き飛ばされた右腕の先を。
「あ――、ああああああああぁあぁぁああ!」
突き付けられる現実のあまり倒れ込む。
「……なんで、こないことにっ。」
まるでただ巻き込まれた一般人と言わんばかりの。
何を今更言ってるんだか。
その手で敵に銃を向けたからだろう。
だって生きる為にはやるしかないじゃないか。
そう、そしてそれは相手も同じ。
……よせ、やめろ。
考えてしまってはもう撃てなく成る。
相手にも人生があること、あったことを。
「はは……。」
それを自分が終わらせた。
仕方なかったで見て見ぬふりをするのは限界だった。
ほら、目の前に形を持って立っている。
その目はきっと殺した自分を責める彼らの――。
「娘……?」
違った、だがそれも幻には違いなかった。
戦場とは思えない無防備な制服姿。
だというのに清々しい顔は泥も血も浴びておらず。
誰にも彼女を汚せないと悟る。
「お前さんは一体……。」
「私は火の鳥、貴方に私の血を飲む資格を授けましょう。」
確かに大きな翼を生やし自分の知るフレンズのよう。
けれど唐突過ぎて理解が追い付かない。
「血、じゃと?」
「えぇ、私の血を一滴でも口にした者は永遠の命を得られるのです。」
「何故儂なんかに。」
「貴方は今罪の意識を憶えた、殺さねば生きられぬのは自然の道理だというのに。だからこそ永遠を経てそれがどう膨れ上がり、貴方を圧し潰さんとするか見届けたく成りました。」
「……お前さん、そんな薦め方で飲む奴がおると思うか。」
「ではどういうつもりで貴方は残った左手に銃を握ったのです。……そう、今にも食らい尽くさんとするその目、そこに宿る暴力性こそ貴方の本質なのですよ!」
その通りだった。
戦場でこんなにも美しい娘と話せてるのに自分は。
今すぐでも食らいたくてしょうがなかった。
そう、人食い狼として敵を。
「ありがとう火の鳥さんとやら、ただ儂には勿体ない誘いじゃ。」
「ほう、不死が得られるというのに何故です?」
「思い出したからだ、儂の帰りを待ってくれとるあいつが、オミがおると。だがそれに応えるには儂の覚悟が足りとらん。……どんなことをしてでも、喩え二千人殺したとしても会わなくてはならない友だと! そうしなければただの人殺しの儂は逃げてしまう、それこそ永遠に。」
「そうですか、ならば進むといいでしょう。永遠よりも険しく苦しい英雄の道を!」
指し示される、それがただ一人の。
友の為だとしてもだからこそ立ち上がれる。
「来い、儂の故郷を犯す仇敵よ。國行浩弐、お主らを一人残らず食らい尽くす狼はここにおるぞ!」
その日、戦場に人食い狼が現れたと語り継がれる。