郡千草は勇者である   作:音操

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皆様、あけましておめでとうございます。(開幕土下座)
遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
上司が入院しまして、しわ寄せでドタバタしてしまい……気付けば年を越してしまいました。
本当に、本当に申し訳ありません……!


第12話

「千草ー!」

「球子さん?」

 

放課後、千草に声をかけてみた。

というのも、千草が前よりも明るくなったように感じたからだ。

たしか、1週間くらい前かな?それ位前から、纏ってる雰囲気が明るくなった。

何か良い事でもあったのか?と思ってたけど、その日からずっとその調子。

だから、多分こっちの生活に慣れてきて素が出てきたんだろうと思ったんだ。

今なら、前より遊びに誘いやすいだろうと思って、思い切って声をかけたんだ。

 

「どうかしたの?」

「これからタマと遊ばないか?って誘いに来たんだ」

「今日、これから……そう、ね」

 

タマの誘いに、少し悩むような表情を千草が浮かべる。

 

「実は、友奈さんから誘われていて、千景と3人で遊ぶ予定なのよね」

「ん、そっか。先約があったんだな」

 

友奈に先を越されていたのか。

じゃあ今日は諦めてまた今度かなー、と考えていると、千草がこっちを見る。

 

「少し、待ってて貰える?」

「ん?タマは別に大丈夫だぞ」

「すぐ戻ってくるから」

 

そう言うと、千草が少し離れた所に居る千景の所に行く。

2人で何かを話し合うと、今度は友奈の所へ。

また何かを話し合って、こっちに戻って来た。

 

「2人に確認をとってきたわ。2人も一緒でいいのなら、大丈夫よ」

「良いのか?」

「えぇ。どうせなら、杏さんも……いえ、乃木若葉さん達も誘って、皆で遊んでみましょうか」

「おぉ!それは楽しそうだな!」

 

千草の提案に賛同する。

皆で遊ぶ、というのは楽しそうだ。

それに、全員の……特に、千景と千草、2人との距離を縮めるのに良さそうだしな。

 

「でも、皆で遊べるようなモノってあるか?」

「テレビゲームだけど、手軽に遊べる奴があるわ。それなら大丈夫」

「それは良かった!じゃあ、タマは杏子を誘ってみるぞ!」

「じゃあ、乃木若葉さん達の方は私が誘ってみるわね」

「頼んだぞ!」

 

柔らかく微笑む千草を見て、やっぱ明るくなったなーと感じる。

これなら杏も仲良くなれるかな、なんて考えながら杏の所へと向かう。

 

「杏!」

「タマっち、どうしたの?」

「これから、千草達と遊ぶぞ!」

「え、千草さんと、千景さん?」

「いや、ここの全員とだ!」

「え、えぇ!?」

 

タマの提案に、杏が驚く。

 

「……よく、千景さんが了承したね」

「うーん……千草の提案だから断れなかったんじゃないか?」

「それはそうかもしれないけど……」

 

千草と千景、特に千景の警戒心の強さは、全員が知っている事だ。

なにせ、少し声をかけただけでビクリと身体を震わせ、こっちを睨んでくるレベルだからな。

 

「ま、タマ的にはその辺は気にしないけどな。とりあえず、あの2人と遊べる。それで良いじゃないか」

「そう、だね。折角遊べるんだし、難しく考えなくても良い、よね」

「そうそう。じゃあ、杏は参加って事でいいんだな?」

「うん」

 

そう、杏にも言ったけど、難しく考える必要なんて無い。

重要なのは、あの2人と遊べる事だ。

今は、それで良いだろ。

 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす!」

「お、お邪魔します」

「いらっしゃい。何も無い部屋だけれど、どうぞ」

 

微笑む千草の声を受けて、部屋の中に入る。

中には、もう千景と友奈が居た。

 

「あ、2人共やっほー!」

「……こんにちは」

「こんにちは、高嶋さん、千景さん」

「若葉とひなたはまだなのか?」

「もうすぐ来るとは思うわ。それまで、少し待ってましょう」

 

千景と千草が並んでベッドに腰掛けていて、友奈が直ぐ近くの床、千景の傍に居る。

タマと杏子で千草の近くに座り込む。

 

「急に参加して、大丈夫だったのか?」

「何時かはこうして遊んでみたいと思っていたからね」

「私もだよ!」

「……姉さんと一緒なら、まぁ」

 

ニコニコと笑顔な友奈と、少し仏頂面な千景は納得なんだけどなぁ。

前までなら想像もつかない位に優しく微笑む千草に、どうしても違和感を感じる。

前までは、こう、周りへの警戒心があったんだけど、急に消えたんだよな。

 

「あ、そうだ。急な参加のお詫びっていうかなんて言うか……とにかく、タマからの差し入れだ!」

「私からも。皆でなにか摘まめるものでもあった方が楽しいかなって」

「え、良いの?」

「杏も言ってるけど、皆で楽しむためのモノだからな!」

「……ありがとう、ございます」

 

部屋にあったモノから適当に選んで来たおやつを、机の上に置いておく。

杏が持ってきたのも合わせると、それなりになる。

これなら十分いきわたるな。

 

「今日やるゲームって、何をやるんだ?」

「『大乱戦』よ」

「おぉ、『大乱戦』!タマはこれ好きだぞ!」

「そう、それは良かった。杏さんは、やった事はあるかしら?」

「私は、ゲーム自体あんまり……それに、ジャンルも違いますから」

「大丈夫よ。そこまで難しい操作はないから、直ぐになれると思うわ」

 

『大乱戦』といえば、様々なゲームのキャラクターを操作して対戦する有名なゲームだ。

大人気のシリーズで、タマも良く遊んだことがある。

確かに、大人数でも遊べるし、千草の言った通り格闘ゲームと比べると簡単だったりするから、杏みたいな初心者でも遊びやすいかもしれないな。

 

「操作方法は……そうね、経験者の操作を見て貰いながら、慣れる時間を設ければ大丈夫かしら」

「割と簡単だし、杏もすぐ遊べると思うぞ!」

「…………まずは、使いやすいキャラクターとかよりも、自分の知っているキャラクターから触ってみても、良いかもね」

「そうだね、千景ちゃん。杏ちゃん、これくらいキャラクターが居るんだけど、何か知ってるキャラクターは居る?」

「え、こんな一杯……あ、このキャラクターは知ってます。このゲームはやったことがあるので」

 

千景が会話に混じって来たのに少しだけ驚く。

あ、でもゲームの話だから、ってのもあるか?

千景はゲームが好きだって話だし、会話もしやすかったのか。

千景との距離の詰め方の1つとして、考えておこう。

 

「あら、杏さんはこのゲームやった事あるのね?私と千景も、最新作を持ってるの」

「あ、そうなんですね。学校の友達から勧められたんですけど、コマンド形式なので難しくないですし、捕まえられるキャラクターも可愛いので、楽しくて」

「もし良かったら、今度対戦してくれないかしら?」

「……ガチパは、避けた方がいいかしら?」

「ガチパ……?」

 

……うん、ゲームの話題なら、2人と会話はしやすいっぽいな。

特に、千景には有効かもしれない。

そんな事を考えていると、部屋のドアがノックされる。

「どうぞ」という千草の言葉で、ドアが開かれる。

そこに居たのは、ビニール袋を片手に持った若葉と、ニコニコと笑うひなただ。

 

「遅くなって申し訳ない。折角皆で遊ぶという事なので、大勢で食べられるモノを用意したんだ」

「ありがとうございます。机の上に、置いてもらえるかしら?後で皆で分けましょう」

「あら、もう用意されてたんですね?」

「球子さんと杏さんが、持って来てくれたの。私もなにか用意しておけば良かったのだけれど、丁度何もなくて……」

「ゴメンね、私も特に持って来て無いんだ。今度からこうして遊ぶときは、何か持ってくるよ」

 

本当に申し訳なさそうにする千草と友奈。そんな2人の傍で、千景もほんの少しではあるが表情を暗くしている。

このままでは空気が重くなりそうだ。タマはそんな事望まない。

少し強引だけど、ここは話題を切り替えよう。

 

「まぁ、今は気にしないで遊ぼう遊ぼう。若葉とひなたは『大乱戦』やった事あるのか?」

「名前は知っていますが、経験は……」

「私も同じようなモノです」

「じゃあ初心者は杏、若葉、ひなたの3人だな。取りあえず経験者組で1回やって、どんなゲームか知って貰うか」

「そうね。じゃあ、早速始めましょうか。初心者の3人は、私達の操作と、あと画面を見て貰えるかしら?」

「見て学ぶ、という事ですね。分かりました」

 

遊ぶときでも真面目だなぁ、と思いながらもコントローラーを握る。

さぁて、友奈と千景、千草が相手。

友奈はスピードと手数が特徴的なインファイター型のキャラクターを選んでる。

千景は……地雷、誘導できるミサイル、時間差爆発する爆弾を使う、変わった戦闘スタイルのキャラクターだな。

で、千草は……弓にブーメラン、爆弾といったアイテムを使う2頭身のキャラクターだ。

因みにタマは、パワー溢れるゴリラを使う。1番使い慣れてるんだ。

さーて、どうなるかな?

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「成程。上、横、下と一緒にこのボタンで、更に技が変わるんですね」

「えぇ。乃木さんの選んだそのキャラクターなら、こんな風に……ね?」

「これで、上手く使い分ける事で戦っていく、と……分かりました」

 

千草さんが、乃木さんに丁寧に操作方法を教えているのを横目に見る。

1週間ほど前と比べ、すっかり警戒されてる感じはなくなった。

私よりも、周りとの距離が近いのではと感じる程に、今の千草さんは自然体。

 

「負けた……タマの完敗だ……」

 

そして、隣で放心しているタマっちも横目で見る。

つい数分前まで行われた一戦は、結果としてタマっちが即座に敗北、友奈さんが少しして後を追い、姉妹決戦を千景さんが僅差で制した。

見ていて手に汗握ってしまう程の激しい戦いは、序盤にダメージを多く受けた千草さんが負ける形となった。

タマっちの敗因は……素人目に見ても、千景さんに動きを読まれていたからと分かる。

 

「強かったね、千草ちゃんも千景ちゃんも!ねぇねぇ、千景ちゃんから見て私の動きはどうだったかな?」

「え、っと、その……ガードとか、回避とか、使ってみたら良い、と、思うわ」

「なるほど……咄嗟に出ないんだよねー」

「そこは、練習するしか……」

 

最後に、千景さんに話しかける友奈さんを見る。

友奈さんは果敢に攻め込んでいたけれど、2人に比べたら確かに守りが出来ていなかったように感じましたね。

……そんな事より、千景さんと会話を出来ていることに驚きますけどね。

おっかなびっくりではありますけど、千景さんが千草さん以外と会話を繋げているのは、凄いと思います。

 

「杏さん、使うキャラクターは決まりましたか?私はまだ決まらなくて……」

「あ、私は決めました。このキャラクターを使ってみようかな、って」

「あ、見覚えありますね。確か……あぁ、このキャラクターと、同じ作品でしたか」

「シリーズこそ違いますけど、作品群は同じですね」

「そうですね……じゃあ、まずはこのキャラクターで、ゲーム自体を学んでみましょうか」

「ゲーム自体を学ぶ……そうですね。初心者ですから、まずはゲーム自体を理解しないと」

「キャラクターの好みを探るのは、その後でも遅くはないですからね」

 

ひなたさんと並んで、キャラクター選びについて語る。

キャラクターの特性とかよりも、まずはゲームについて理解を深める、というのは確かに大事。

なので、キャラクター選びは1度切り上げて、ゲームで遊んでみることに。

私は戦闘中に3体のキャラクターを切り替えながら戦えるモノを。

ひなたさんは、黄色くてちっちゃい、とあるゲームの看板ともいえるキャラクターを選ぶ。

乃木さんは……いかにも剣士タイプ、といえる、黒髪のキャラクターを選んでますね。

 

そうこうしていると、タマっちが放心状態から復活。

タマっちと初心者3人で遊ぶ事に。

 

「ふっふっふっ……ここはタマも使った事ないキャラクターを使うことでバランスをとるか。千草、なんかオススメとかってあるか?」

「そう、ね……球子さんが使って楽しめそうなキャラクターなら……このキャラクターは、どうかしら」

「このキャラクター?」

「意外とパワータイプよ。特にこれ、溜め技で……」

「一気に相手がぶっ飛んだ!?これはおっタマげだな!」

 

タマっちはタマっちで、新しいキャラクターを使うみたい。

それなら、経験差で開きすぎることは無いかな?

 

「設定は、アイテム無しのストック3、時間制限無し」

「ステージは、障害物もなんもかいフツーの場所、だね!」

 

大まかな説明を聞いて、ゲームを始める。

慣れないアクションゲームという事もあって、最初は苦戦する。

ひなたさんもそうだし、乃木さんもゲームにあまり慣れてないらしく、その動きはたどたどしい。

私達と比べ慣れているタマっちは、その辺の差で有利に立つ。

ムム、と顔を顰めると、後ろに誰かの気配を感じた。

 

「杏さん。このキャラクターは、実は……」

「えっ、あぁ、あの動きが……あ、そうなんですね」

 

後ろから、千草さんの声が聞こえる。

視線を画面から逸らさずに、アドバイスを聞いていく。

 

少し経過して、乃木さんが脱落。

残っている3人とも残機1。しかしダメージの関係上タマっち有利な状態。

……仕掛けるなら、今。

コマンドを入れて、キャラクターを切り替える。

操作するのは、3体のうち、バランスが取れている緑のキャラクターだ。

遠距離から攻撃して、タマっちのキャラクターにダメージを与えていく。

 

「むむむ……えぇい、ここは突撃あるのみだ!」

 

やっぱり。

チマチマとダメージが増えてきているのに焦ったのか、タマっちが突っ込んでくる。

大丈夫、この状況でこそ、千草さんのアドバイス通りにやれば……!

 

「杏、これで終わりだ!」

 

タマっちが選んだのは、下から上へと武器を振るうコマンド。

咄嗟にバリアを張るのも、回避を選ぶのも選択肢になる状況。

 

「ここで、こう」

 

でも、選ぶのは違う選択肢。

使うのは、キャラクター切り替えの操作。

3体のキャラクターが切り替わる際に、1度安全な所へと行って、元の位置に戻ってくるという動きをする。

そう、ある種の無敵時間が発生する。

 

タマっちの攻撃をすり抜け、出てくるのは赤いキャラクター。

3体の中で、もっともパワーに優れたキャラクターだ。

横に強くスティックを弾いて、コマンドを入れる。

振り抜いたまま硬直しているタマっちのキャラクターに、炎を纏った私のキャラクターが突撃する。

 

「なんとぉっ!?でもまだだ、まだ……!」

 

タマっちのキャラクターが、大きく飛ぶ。

でも、画面外にちょっと届かない場所で、体勢を整えられたみたい。

ジャンプを駆使してステージの端に近づいて……

 

「申し訳ありません、球子さん」

 

復帰する為の技を繰り出したキャラクターに、小さな電気の弾がぶつかる。

ステージ端で待機していたひなたさんが、タマっちのキャラクターに向けて放っていたみたい。

……この短時間で、キャラクターの技をある程度把握してる、って事ですよね?

ひなたさん、凄い……

 

「そんな、タマは、初めて使うキャラだとしても、初心者に負けるのか……!?」

 

画面外に消えていくキャラクターを見ながら、タマっちが呟く。

 

「タマちゃん、初心者とか、初めて使うとか、そういうのは関係ないよ」

「……上里さんも、伊予島さんも……それと乃木さんも、頑張っていたわ」

「うん!だから、誰が勝っても可笑しくなかったんだよ」

「まぁ、そうなんだけどさぁ……でも、経験者として恥ずかしいだろ!?」

「……気持ちは、分かるけど」

 

タマっちの会話を耳にしながら、ひなたさんとの対戦を続ける。

一騎打ち。

お互い初心者だけれども、少しずつ慣れてはいる。

 

「ここで、こうです!」

「ですが、これでどうでしょうか?」

「あっ!で、でも!」

「そんな!?」

 

見守られる中、試合は続く。

私達2人の性格上、様子見が多くなる。

少しずつ、確かにダメージを与えていく形で進んでいく。

 

「えぇい、杏ー!タマの仇をとってくれー!」

「ひなた、頑張れ!」

「2人とも、頑張れー!!」

 

応援が、聞こえる。

タマっちの声、友奈さんの声が聞える。

乃木さんの、ひなたさんを応援する声も、聞こえる。

 

「あ、え………」

「……どっち頑張って!」

「う………が、がん、ばっ……」

 

―――確かに、聞こえた。

人見知りだという千景さんの、勇気を振り絞って伝えようとした応援が。

途切れ途切れであっても。最後まで言い切れなくても。

それでも、千景さんが、応援してくれたのだ。

 

「ま、けま、せんっ!」

「若葉ちゃんの応援があれば、私は負けませんよ!」

 

自然と、コントローラーを握る力が強くなる。

手に汗握る、という言葉は知っていますが、こういうモノですか。

そんな事を思いながら、ゲームを続けていく。

タマっちが脱落して、1分ほど。

ひなたさんが、隙を晒した。

 

「しまっ……!」

「今です!」

 

横にスティックを弾いてスマッシュ攻撃を放つ。

黄色いキャラクターが、画面外まで一直線に飛んでいく。

 

「杏が勝ったー!よくやったぞー!!」

「むぅ、ひなたが負けたか……いや、しかし良い試合だった」

「そうだね!2人とも凄かったよ!!」

 

「2人共、上手かったわね」

「……そう、ね。初めてにしては、だいぶ」

「えぇ」

 

 

 

 

 

「いやー、だいぶ遊んだな!」

「そうだね。すっかり遅くなっちゃったね」

 

あれから、すっかり遊びこんでしまった。

放課後直ぐに遊び始めて、もう夕飯前。

やりこんで、もう操作にも慣れて、経験者の人ともそれなりに戦えるほどになっていた。

 

「楽しかったですね、皆さん」

「ゲームというのも、時には楽しいモノだな」

「そうですね」

 

初心者には優しく教えてくれたり、楽しむことが出来た。

私は、この場を設けてくれた人を見る。

 

「千草さん、千景さん。今日はありがとうございました」

「そうだな。一緒に遊ぶ事を許してくれた千景と千草、友奈にはお礼を言わないとな!」

「ありがとうございます。楽しかったです」

「不慣れな者に対しても親切で、楽しめました。ありがとうございます」

 

私達の言葉に、3人がそれぞれ反応する。

友奈さんはとても嬉しそうに。

千草さんは、優しく微笑んで。

千景さんは、少し恥ずかしそうに。

 

「私も楽しかったよ!!でもまぁ、私じゃなくて、千景ちゃんと千草ちゃんが許可を出してくれたからこそできた事だからね。私も2人にお礼言わなきゃ!!」

「お礼なんて、必要ないのよ。私には、皆を誘う勇気は無かったし」

「私も……だから、お礼なんて、言わないで」

「いや、2人には礼を言わせてください。この場を設けてくれた事には、変わりありませんから」

 

何処か居心地悪そう、と言うか。

困ったように笑う千草さんと、顔を顰める千景さん。

 

「それを言うなら、許可を出してくれた友奈さんに、お願いします」

「……そう、ね。高嶋さんに、お礼は言って」

「うーん……まぁ、そこまで言うなら。でも、タマは2人に感謝してるぞ!」

「私もだよ!」

 

タマっちと友奈さんの言葉に、2人が困惑を隠さずに言葉を返す。

それを見て、私とひなたさんが一緒に首を傾げた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

今日は唐突に、全員で遊ぶ事になった。

姉さんから話を聞いた時は、断ろうかと考えた。

しかし、姉さんと話し合い、遊ぶ事を了承した。

 

結果として、了承した事は正解だったのだろう。

姉さん以外の人について、理解を深める事が出来た。

高嶋さんと土居さんを警戒すべきである、という話を姉さんとしたが、上里さんと伊予島さんは別の意味で警戒するべきだろう。

あの2人は、他の人と比べ思慮深い。

隙を晒せば、そこから私達の隠している事にたどり着いてしまうかもしれない。

 

ああして、大人数で遊ぶなんて、あの日以来だった。

楽しくなかった、というのは嘘になる。

だけど、警戒を解くには早い。

本性を隠しているだけの可能性は十分にある。

 

でも。

信じたい、とは思う。

姉さんの為に。早く。

 

 

 

―――勇者御記 二〇一五年九月 郡千景―――

 

 

 

 

 

郡様御姉妹について報告

 

先月丸亀城宿舎に来られてから大凡1月経過

警戒されている所はあるが、現状無難な関係を築けていると判断する

郡千草様については、他の勇者様や巫女様と同じ位には対応が軟化

郡千景様については、来られた当初から変わらず警戒されている

現状維持を心掛け、御二人と接する事とする

 

追記

私の気のせいで無ければ、郡千草様の眼の隈が濃くなっておられます

また、少し頬がこけておられるように見えました

機会を設けて確認をして頂きたく思います

 

 

 

―――丸亀城宿舎 管理人より―――




日常回となりました。
今回、何時もより短くなってしまいました。

ゆゆゆいにて遂に花本ちゃん実装という報を聞いて、『仕事疲れに負けてられねぇ!』と気合を振り絞って書きました。
12月中にはあげたかったのですが、間に合わず……申し訳ありません。

そろそろ勇者服に触れて、先の段階に進みたいなと考えてます。
1月中になんとか13話をあげたいです……

アンケートを設置させて頂きます。
気軽に投票して頂ければと思います。

番外編、IFなど思いついた場合、活動報告にて短い文章としてあげてみた方が良いでしょうか?(リクエスト等含む)

  • 本編投稿ペースに支障ない程度で
  • 多少ペースが乱れても可
  • 書かなくて良い
  • その他(メッセージ等でご連絡下さい)
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