【完結】ヒソカは雑魚専? よろしい、ならば転生だ   作:虫野律

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独自解釈みたいな屁理屈と原作キャラへの冒涜。そんな感じの話です。


中二病と屁理屈って相性抜群だよね

 身体能力、下の中。これがどの程度かは分母とする全体に何を含めるかによって大きく違ってくる。プロハンターの中での評価か、念能力者の中か、最悪、一般人の中での下の中もあり得るとアラタは考えていた。

 正解は……。

 

(今のところは付いて行けてる。これは……)

 

 ここで仕掛人について言及する。仕掛人(女神)はハンターハンターのファンだ。特にヒソカ推しを公言する32歳の独身である。仕掛人(笑)はヒソカが掲載されているページは熟読するが、それ以外はさっと流し読みするニワカでもあった。結果、ここで言う下の中とは、ヒソカとヒソカと共に描写されていたキャラクターの中で、下の中という評価になる。この中には、ゴンやキルアといったニワカでも知っている強キャラ達もヒソカに出会っている以上含まれる。

 ただし、注意しなければいけないのは、ヒソカが虐殺してきた、いわゆる噛ませキャラやエキストラに相当するやられ役も含まれている点だ。

 

 これ等、全てを踏まえてアラタの身体能力を具体的に評価すると……。

 

(それなりに動けるアマチュアハンター位か?)

 

 アラタが半ば勘ながら正解に辿り着く。微妙の極みの身体能力だ。万全を期し、運命の女神を口説くことが出来ればハンター試験も突破可能ではある。しかし、アラタは不慣れな発の行使でオーラを多量に減じている。加えてアラタは強化系から最も遠い生粋の特質系だ。残り僅かなメモリを消費して身体強化系統の発を作ってもろくに発動しないだろう。

 特殊技能・身体精密操作によりフォームや呼吸などを最適化すれば良いとアラタは始めは考えた。

 しかし、世の中そんなに甘くない。

 

(最適な走りってどんな感じか分からない。これじゃあ、どこをどう操作すればいいかも分からない)

 

 そうなのだ。完成形を知らない以上、操作しても大した効果は得られないのだ。これはアラタが特段、無知な訳ではない。スポーツ科学の研究者や陸上競技の指導者でもなければ具体的に知らないのが普通だ。

 

(だけど、ハンターライセンスは色んな意味で欲しい)

 

 アラタにも願いはあるようだ。その為には、原作知識が通用しそうな今回で確実に合格したい。

 

(可愛い彼女がビンチだぞー!)

 

 そんな奴はいない。今のアラタは素っぴんにくたびれたスウェットの上下に靴下を履いているだけだ。特別に美人という訳ではない。ブサイクではないが人によって評価が極端に分かれるタイプの顔立ちだ。

 先頭集団やや後ろを快走しているヒソカへと気力を振り絞り近づく。

 はぁはぁ。チョーしんどい。

 

「はぁ、ヒソカさん、お姫様、だっこ、し、て」

 

 はーはー言いながら、途切れ途切れに恐いもの知らず一等賞のお願いをする。

 何処かで見ているかもしれない仕掛人も歯ぎしりしていることだろう。

 

「えーメンドクサイ。大体、僕にメリットがないよ◇」

 

 納得の理由である。

 

「可愛い、ぜぃ、かの、じょ、にぃ、はぁ、密着、できるぅ!」

 

 アラタは頑張っている。

 

「しょうがないなぁ、おいで♠️」

 

 うっそだろ。

 

 これは誰の呟きなのかははっきりとは分からなかったが、おそらくここに居る全員の心中を正確に表しているはずだ。

 

 ヒソカはどちらかと言えば小柄なアラタを片手でひょいと持ち上げると、美しい投球フォーム(?)でとある人物に向かってぶん投げた。

 

(はぁぁぁぁ!?)

 

「……僕の彼女らしいよ。うっとおしいから預かってて◇」

 

 いきなりの無茶振りにイルミ、もといギタラクルは困惑するも、こちらも片手でパシッとナイスキャッチ。アラタのスウェットはもう伸び伸びだ。

 

「カタカタタタ」

 

 今は喋れない設定なのだ。ヒソカはそれを見越しての不法投棄である。

 ギタラクルはアラタを片手で掴んだまま全くペースを、変えずに静かな呼吸で走り続けている。

 

(うわーイルミさんじゃん。やべー)

 

 だが、ギタラクルもすぐに面倒になってくる。ヒソカとは比較的友好的な関係であるが、友人という訳ではない。彼女か道具か知らないが面倒を見てやる義理はないのだ。 

 ただ、先程の念能力。あれは確かに貴重だ。ヒソカの反応を見るに自分の再生だけでなく他者をも対象にしているはず。であれば、このつり目の女も実に魅力的に見えてくる。

 

 ……肉人形にしてしまおうか。

 

 ギタラクルの中で冷酷にして病的な支配者の側面が自己主張し出す。

 ちらりとヒソカを見る。ギタラクルの不穏な気配を当然察知しているはずだが、特にギタラクルを警戒する素振りも何もない。

 

 ヒソカも良いって言ってるし、やってしまおう。良いお土産になる。

 

 ヒソカは何も言っていないはずだが、ギタラクルにとってはそうではないらしい。禍々しいオーラが込められた針を3本、手に持つ。

 

(寒気が凄い。それを、まさかとは思うけど俺に挿したりしないよね?)

 

 アラタの顔がひきつる。

 

 だが、現実は非情である。アラタに3本の針が挿し込まれる。

 

(痛……くない。逆にこええよ!)

 

 アラタは不満ですと足をバタバタさせる。

 

「!」

 

 ギタラクルが驚愕する。人格を潰して物言わぬ人形にする意図を以てオーラを練り上げ針に染み込ませていた。いつもなら、この程度の練度の女は1本で廃人になっている。ヒソカが目をつける位だからと、警戒して念のために3本も使ったのだ。自我を保つなど不可能なはずだ。

 

 何故、平気でいられる? 

 

 操作系最大のリスクの一つである早い者勝ちの原則──先に発動した操作能力が優先される──が適用されたのだろうか。

 

 いや、その様な気配は無い。しかし、それでは何故……。

 

(いやー念のためにと、対操作系用の設定しておいて良かったー。上手くいくか、分かんなかったけど賭けに勝ったみたいだ)

 

 アラタがやったことは、制約と誓約の悪用である。つまり、制約と誓約を単なる自分の詳細設定のツールにしたのだ。本来、制約とは自己に一定の制限を加えることで発の効果、効率を上昇させるものだ。

 アラタは『自己に一定の制限を加える』というポイントに着目した。

 

 この制限とはどこまで含まれるのか? 

 

 発に関してのみ? オーラ使用時のみ? 自分の意思でする行動のみ? それとも、自分に関することを広く含む? 

 

 そして、誓約とは一定の場合に自己にペナルティを科すことで、制約と同じく発の効果、効率を上昇させるものだ。

 

 ペナルティの種類と範囲に関しても制約と同じ疑問が生じる。

 

 アラタはダメ元で対操作系用にある制約と誓約を課した。

 

『自らの意思又は自らの生理現象でのみ自分の肉体、精神及びオーラを操作できる』という制約を作り、更に重複させて『この制約に違反しようとした場合は意図されていた現象が発生しない』という誓約を科した。

 この2つの意図するところは、結局は他者からの操作の無効化にあたる。つまり、同じ効果の発生を微妙に違うアプローチで生み出そうとしたのだ。 

 操作系に対する強い警戒がこのようなまどろっこしい行動をアラタに選択させたと言える。

 アラタにとってはダメ元の賭けであったが、残りのメモリを自己操作系の発に充てるのは不可能ではないが、余りに非効率的であった為にリスクを承知でgoサインを出したのだ。

 もしかしたら、この覚悟こそが誓約を誓約たらしめているのかもしれない。

 いずれにしろ、アラタはギタラクルから自らの身を守ることに成功する。この発想は漫画という形態で物語やその設定を客観的に見てきたからこそ、出来る発想と言える……かは定かではないが、少なくともギタラクルにとっては到達し得ないものの様だ。

 そして、アラタは転んでもタダでは起きない欲張りさんだ。ギタラクルがからくりを理解していない可能性に気づき、ニヤリと笑ってから言い放つ。

 

「私を1次試験の間、運んでくれるなら、どうしてあなたの針が効かなかったか教えてあげる。どう? 悪くない取引じゃない?」

 

 斯くしてアラタは鬼門である1次試験を突破する。勿論、周りからは超危険人物としてマークされることになった。

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