僕たちは、今日も、無言。
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放課後。掃除も終わりホームルームも終わり、即座に帰る者や部活へ向かう者がいる。残って何かしら喋っている者もいるが、単なる電車までの時間つぶしのため、少ししたらもう出ていくだろう。僕はひとり机につっぷし寝たふりをしこの場をやり過ごす。
そして、教室にはふたりだけになる。
ここで僕はようやくノートパソコンを開いて小説を書く。
僕は物書きをしている。
ネットで投稿しているので紙よりこっちの方が便利なのだ。スマホの使用は校則違反だし、なにより僕はパソコンのキーボードの音が好きだ。
校則すれすれをゆくような行為をわざわざする必要はまぁないのだが、たくさんの人がいた場所を占有する感じと、放課後の教室、という場所が好きでここに残る癖ができた。
昨年までは一室を独り占めしていたが、今はそうではない。
クラスメイトの女子が残る。名前は知らない。覚えていない。
互いに不干渉。そう約束した訳では無いが、その方がお互いいいだろう。僕のノーパソ持ち込みも先生にバレてはいないから、ここでのことは向こうも誰にも言っていないようだ。
この関係ももう半年近く経つ。
こうして今日もおひとりさま同士で好きなことをして学校生活の1ページをしめくくる……はずだった。
「あの……あっごめんなさい」
突然話しかけられたことによほどびっくりしていたらしく、謝られる始末。かっこ悪いな、と自分で自分に呆れる。
「いや、こちらこそ失礼したね。で、どうしたんですか?急に」
「えっと…あの……」
口を微かに動かすが声には出してこない。目は合わせようとせず、僕の肩の辺りをずっと見ている。少しして踏ん切りがついたのか、彼女は言葉を発した。
「あの、○○さん……です…よね……」
ちょっと待って。それ僕のユーザーネーム。
ガタリと大きく音をたてて立ち上がる。僕の驚きに彼女が驚いてしまって少し震えて「あっ…ごめんなさい……」と再び謝る。
「いつも独り言言ってるから気になっていつも聞いちゃってて。帰るときにちょっとパソコン見て調べてみたら出てきて……」
独り言とか言ってたっけ。全然気にしてなかった。その内容もそうだしそれより僕の作品は知り合いに見られて大丈夫かおい。まずいものは書いていないけれども。
焦りながら記憶を遡っていく。
「それで……読んじゃいました。まだ三分の一くらいだけど、全部読みたいなぁって思ってます」
「は?」
素っ気ない返事で申し訳ないとは思っている。いや待て読んだって
「二次創作はキャラクター知らないので軽く想像しながらなんですけど、どの話も素敵で!あのキャラクターとの関係性の描写が好きですね、あと……」
この後、さんざ僕の書いた小説の感想を話してくれた。本当に、丁寧に読んだらしく、わかってほしいところをわかってるしそれぞれの感想もあれば僕の癖まで見抜かれつつあり恐れ入る。やはり読んでもらって感想までもらうと嬉しいけれど、だんだんと恥ずかしさも侵食してきて彼女を見れない。もともと目は合っていないが。
「……って感じですかね」
「ありがとう…」
「いえいえ。実はコメントをこっそりしておこうかとも思ったんですけど、リアルで関われるクラスメイトですもの、直接言いたいなって」
「いや……現実なのに実感わかないや、お褒めに預かり光栄だよ」
ネットという大海洋にただただ放り込むだけの物書き趣味だったのに、実際に見ている人がいて目の前で反応を見ると、なんだろう、すごく声に出したいというか飛び跳ねたいというか。なんかそんな気分である。
顔を上げると口を少しふにゃりとさせた笑顔の彼女と目が合った。
なんとなく照れくさくてお互いすぐに目をそらす。
この日から、自分の趣味としてだけではなく、誰かの笑顔のためにあのきらきらとした声色の感想のためにを思いつつ物書きをしている。
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でら殴り書きです。ただ物書きとクラスメイトの邂逅が書きたかったんだ……