あなたと奏でる物語   作:Clear2世

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連続投稿にマニアワナカッタ……



8話 其の二

「はっ、はっ、はっ……!ゴーーッル!1位だよ、イェーーイ!」

 

両手を上げ、さながらマラソン選手がゴールテープを切るようにと俺の前を通過したのは宮下だった。

彼女が横切ったのと同時にタイマーを止める。

 

「4分02秒か。さすがだな。運動部に所属していないってのにこのタイムとは」

 

その場で膝に手を当て休む宮下にお疲れさんと声をかけ、ちょうどいい感じに冷えたタオルを首にかけて上げ、キンッキンに冷えたスポーツドリンクを手渡す。

 

「おー、ありがとー!気が利くじゃーん」

 

「ふっふっふ、宮下の旦那の為にあちらのクーラーボックスにてキンッキンに冷やしておきましたぜ」

 

「誰が旦那かー!そこは姐御でしょー。……ひゃー!冷たくてきもちぃー」

 

「ほらほら、人仕事を終えて一杯やる気持ちはわからんでもないが、クールダウンが先だ。そこらへんを歩いて、いい感じに落ち着いたらストレッチをしといてな」

 

ランニングとか長距離走後のクールダウンが必須と言われているのは血の循環を良くする為だ。

体を動かしている最中は全身に素早く血液を送っていく為に心臓に加えて筋肉もその役割を担う。

が、急に立ち止まったりして歩みを止めて筋肉の使用を止めてしまうと、血液を行き渡らせる為に働いていた筋肉が動かなくなるわけで……そうなると今まで相方がいた心臓が急なコンビ解消宣言されて一人になってしまう。

筋肉が動きを止めていても、血の周りはすぐ様にスピードを落とせないわけで……通常の穏やかな血の流れに速度を戻そうと、その役割を全部心臓が負担することになるわけだ。

車の急ブレーキみたいなもんだ。あれって車にもダメージいくらしいし、乗用者にだって言わずもがな。

で、血の流れが悪くなるとどうなるか?一時的に貧血が起きることだってあるし、心臓にも少なからずダメージを負ってしまう。

そういった事を防ぐために、運動をしたあとは急にスピードを落とすんじゃなく、ゆっくりと徐々にスピードを落とす……つまり、今の宮下みたいに多少動いて、呼吸が整うまで筋肉を動かしたほうがいいというわけだ。

これらを簡潔に一言で済ませると、(激しい運動後には急に)止まるんじゃねぇぞ……と言う事だ。

 

(仮)とはいえマネージャー的なポジションの俺だ。こういった豆知識でだってスクールアイドルのみんなをフォローだってできるんですよ!オルガさん!

所長かわいいよ所長。普段強気の女性が見せる脆い一面って良くない?

 

「はーい。……なんかソーゴが出来るマネージャーに見える!」

 

「副会長だからな」

 

このくらいは虹ヶ咲の副会長ならば造作もない……と謎の決め台詞を残し、定位置に戻る。

次の生還者は……

 

「はひっ、はひぃー……あ、愛先輩、は、早すぎますよぉー……」

 

かすみであった。スクールアイドルとしては先輩であるプライドなのか、だいぶ張り切りすぎたようでかなり息が荒い。

 

「お疲れ。そういうかすみもかなり良いタイムだぞ。ほれ」

 

そう言って宮下と同じく膝に手を当て、息を整えるかすみにタオルとスポーツドリンクを手渡す。

 

「と、当然ですよ!このくらい……か、かすみんにはなんて事……ないです!」

 

「そいつを聞けて安心した。次はシャトルランをやってもらうから、それまで休んでおけよ」

 

「ゔぇっ!?」

 

「冗談だ。今日はここまでだ。クールダウンはしっかりとな」

 

せんぱーい!と頬を膨らますかすみの頭にタオルを置いて、先程の場所へと戻る。

練習後のクールダウンの重要性をちゃんと理解しているのか、タオルに鼻を近づけ、スンスンと鳴らした後ゆっくりと歩き始める。

おい、なんで今臭いを嗅いだ?なんで残念そうな顔してるんだ?ちゃんと新品で買った物だから、大丈夫だっての。

使用済み(意味深)の男臭いタオルなんて渡すわけないでしょうに。

 

なんだかんだ言っているかすみであるが、スクールアイドルの為の努力は惜しまない。同好会が休止していても、自分磨きはしっかりとやっているのを何度か見かけた事あるしな。

その成果がちゃんとこうやって結果に繋がっている。良きかな良きかな。

 

 

しっかりと記録を書き残していると、次にゴールをしてきたのは後ろに結った髪を揺らしながらリズム良く走るしずくだった。

その数秒後には少し後ろでしずくの背中を追うように走っていた歩夢が続け様にゴール。

 

二人のタイムを確認すると、一般女子の平均よりも若干速い。

演劇をやっているしずくは見た目によらず体力があるのはわかっていた。演劇って観客に聞こえるように声量を鍛えなきゃならんし、役によっては動き回ったりするし長時間立ちっぱなしでなきゃいけない時があるからな。

歩夢も未所属にしては勿体ないくらいの成績だ。買ったばかりのHDDみたく、まだ真っ白な状態でデータの吸収し甲斐がある。本人の頑張り屋な性格も相まって、この中では一番将来性が高そうだ。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……どうだったかな。総くん……」

 

「お疲れ歩夢。運動部でもないってのに、よく走ってくれたよ。ほら、タオルとポ○リ」

 

「わぁっ、ありがとう。……ね、ねぇ、良かったらなんだけど、この後ストレッチを手伝って――――」

 

「しずくも。遠慮せず受け取れ」

 

「ありがとうございます!ふぅー……如何でしたか、先輩?私、先輩のご期待には添えられていたでしょうか」

 

「あぁ。さすがは演劇部のホープ。しずくの頑張りは走りを通して伝わってきたよ」

 

「そ、そうですか?えへへ……頑張ってよかったぁ」

 

「……」

 

「ん?どうした歩夢。ドラ○エで肉を与えたのは良いが、求めていたモンスターとは違う奴が起き上がったのを見たような顔をして?」

 

「どんな顔なのそれ……なんでもなーい」

 

手を組んで、はにかむように笑みを浮かべるしずくの頭を撫で回したい気持ちをグッと堪えていると、歩夢が不満そうに声を上げてそっぽを向いていた。

 

歩夢ちゃんよ、拗ねたようなその態度でなんでもないは通じません!それに俺はどこぞの鈍感系ラノベ主人公みたいな難聴スキルは持ち合わせていません。俺の耳はバリバリ仕事を熟す健聴スキルなんですよ?

しずくに声をかけて、ストレッチを一緒にやろうと頼んでいる歩夢の背後を取り、耳元に顔を寄せて

 

 

 

「それは家に帰ってから……な」

 

 

 

 

 

「あ、歩夢さん?急にヘタり込んでどうしたんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからさらに数分、みんなより大きく遅れてやってきたのは

 

「はひ、はひ…………も、もう……ダメ」

 

ふらふらとした足取りで、目(璃奈ちゃんボード)をぐるぐると回した天王寺だ。

 

「おっと。お疲れさん。最後まで良く走りきったな」

 

「わたし、こんなに走ったの……体育の授業を除いて……初めてかもしれない」

 

ゴールと同時に頭から倒れそうになるが、倒れる前に体を支える。

宮下から聞いてはいたが、天王寺はアウトドアよりもインドア趣味万歳のバリバリの理系女子らしい。

現状の部員の中では一番体力が低いが、彼女の自信を失くさないようにフォローしつつ体力を付けるのが今後の課題ってとこか。

行きも絶え絶えな様子の天王寺だが、しっかりと璃奈ちゃんボードを手放さないのは正直尊敬の念を抱きかねない。

 

 

「どうだ天王寺?クールダウンはできそうか?」

 

「ごめんなさい……今は何もしたくないです。璃奈ちゃんボード「ガクッ」」

 

天王寺を支えて、ゆっくりとみんなの方に歩きながら聞いてみるが、返ってきたのは某ボクサーみたく真っ白と灰のように全てを出し尽くしたような璃奈ちゃんボードであった。

うーむ、気持ちはわからんでもないが最低限のストレッチはしてもらわんと後に響きかねないからな……よし。

 

「なら俺が天王寺をストレッチさせてやろう。ほら座って座って」

 

「おねがいしまーす……」

 

了承を得たので、天王寺の背中に周る。

だらーんと体を投げ出すように座っているのを見ると、相当堪えた様子。

本当なら、立った状態で軽く屈伸を行った後でやったほうがいいんだが、しょうがないか。

前屈運動をする為に、天王寺の足を持ち、両足を開かせる。

……ん?

 

「脹脛のとこ、だいぶ張ってるな……天王寺。かなり無茶して走っただろ?」

 

「……わかるの?」

 

「あぁ。走ってる最中攣るような感覚がなかったか?」

 

「……あったかも」

 

「慣れない運動のせいで体への負担が大きかったか……ちょっとくすぐったいかもしれないが、我慢してな」

 

「え?……ひゃわっ!」

 

天王寺の横に移動して、脹脛を中心にマッサージを始める。

弱すぎず強すぎず、力を調整しながら筋肉を解していく。

男の俺の足とは違い、細くてしなやかな足だ。とても同じ人間だとは思えないくらい手触りが良い。

 

「どうですかお客さん。かゆいとこはございませんか?」

 

「それは散髪の時の台詞……あ〜〜〜、でも先輩のマッサージきもちぃぃ……なんだか眠くなってきちゃった……璃奈ちゃんボード「ねむねむ……」」

 

「そいつは良かった。いい感じに解れてリラックス出来てる証拠だ。…………こんなもんか。次は左足だな」

 

「は〜い……おねがいしますー」

 

完全にリラックスし、間延びした声で反対の足を差し出してくる。

そのまま自然な流れで、マッサージを続ける俺だが……ふと、気になった。

顔を上げて、天王寺の顔を――――璃奈ちゃんボードを見てみるとまるで温泉に浸っているかのような緩みに緩んだ顔に変わっていた。

……今の俺って第三者から見たら、どう思われるんだ?

疲れきった後輩に付け込み、ストレッチと称して異性の体に触れ、あまつさえ衣類を脱ぐようにと強要し乙女の柔肌に触れている不埒者……とめっちゃ悪く見ればそのように捉えられなくもないか?

俺的には医療目的でやってるわけだから、疚しい気持ちなんてないけど。

天王寺もそんな知り合ってから日も浅いと言うのに、特に拒んでいるわけでもないみたいだし。

……疲れて思考が回ってないだけなのかも知れないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むむむ!りな子めー。新米のくせにかすみんを差し置いて、センパイから手ほどきを受けるなんてズルイ!こうなったら邪魔をしに――――」

 

「ほらほら、よそ見しないのーかすかす」

 

「愛センパイ!かすかす言わないでくださ――――ってあいだだだだだだっ!い、いたいですいたいです!そんなに押さないでくださいぃ―!」

 

「ソーゴのマッサージかー。なんか疲れがめっちゃ取れそう!アタシも後でやってもらおーっと」

 

「な、何言ってるんですか!愛センパイぜんっぜん疲れてなさそうじゃないですか。ここはいい感じに疲れが溜まってるかすみんがですね――――ってだからいたいですってば!そ、そんなに伸ばせませんって!!」

 

 

 

「マッサージ………私も言えばやってくれるのかな……?」

 

「うーん……どうだろう。総くんのことだから、必要だったらやってくれると思うけど、無闇に異性に触れるのはよくないとか言うかも」

 

「そうですか……いいなぁ、璃奈さん」

 

「(総くんってば、誰とでもすぐに打ち明けちゃうからなぁ……良いことなんだろうけど、ちょっと複雑……)」

 

「歩夢さん?手止まっていますよ?」

 

「あ、ごめんね、しずくちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も天王寺にマッサージを続けるのであった。

疲労が大分回復し、思考も回ってくるようになった天王寺は「冷静になって考えてみると……私ってばすっごく恥ずかしい事をしてもらっていたり……!?」なんて言っていたが、是非もないよね。

宮下とかすみたちが私たちにもマッサージしろだとか言ってきたが、本日の営業は終了しましたと突っぱねたが、是非もないよネ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

「んっ、んっ……こんなものかな」

 

私はお風呂に入った後、自室でストレッチをしていた。

総くんから、入浴後に軽くストレッチをしておけって言われたからね。疲れを翌日に持ち越さないように……だっけ。

……ストレッチかぁ。

 

「総くん来てくれるかな……」

 

一緒に下校した時は総くんその話は出さなかった。

せっかくお風呂にも入って、寝間着もお気に入りのかわいいやつを着ているのに……!?

 

「って、何考えているの私!」

 

これじゃまるで、そういう事を期待しているみたいじゃない!

違う!違うんだよ総くん!私達はまだ幼馴染なだけであって恋人とか夫婦とかそう言う事をする関係でもなくて、あ、でも一緒にいる時間はどんな関係にも負けないくらい長くてもしも総くんがそういう事をしたいのであれば私も吝かではなくてというか願ったり叶ったりなわけで――――

 

「お、ちゃんと体のケアをやっているな。関心関心―――」

 

「きゃああああああ!?そ、総くん!?ソウクンナンデ!?」

 

「ガチ悲鳴!?ちょっ!まだ窓閉めてねーんだからお静かに!声のボリューム落としてっ」

 

い、いけないいけない。夜遅くに悲鳴が聞こえたなんて、事件だと勘違いされちゃう。

慌てて口を抑えると、ホッとしたように息を付いてベランダかから私の部屋へと移ってきた。

 

「お邪魔しますよーっと。何度来ても歩夢の部屋はなんか落ち着くなー。自分の部屋よりも安心感があるというか」

 

「えへへ、総くんに喜んでもらえて嬉しい。自分の部屋だと思ってゆっくりしていっていいからね」

 

「なんかめっちゃ良い匂いもするしな。俺の部屋とは大違いだよホント。これが歩夢の匂いなのか?」

 

「も、もう何言ってるの!これはアロマの香りだよ。ほら、そこの机の上にあるでしょ?」

 

「ほぉー、これがか。アロマポットというやつか。ふむふむ香りを楽しむのはもちろんだろうけど、見た目も中々にいいじゃないか。視覚でもヒーリング効果を高めようとするとは侮れんな」

 

興味深そうにアロマポットを観察したり、本棚に置いてある少女漫画を手に取ったりと、部屋を物色し始める。

これも私と総くんにとっては何気ない日常の一コマだったりすする。

お互いの部屋に気軽に行き来し、どちらかの部屋でのんびりと一緒に過ごす。

こうやって総くんと同じ時間を共有する時間が私はとても好きだ。

 

……それにしても、総くんもおっきくなったなぁ。

小学生の頃は私の方が身長は高かったのに、いつの間にか抜かされちゃった。

今の総くんはちょっと大きめのダボッとした半袖の紺色のパジャマを着ている。下は黒のハーフパンツで、総くんの引き締まった足が惜しみもなく出ている。

総くんもお風呂に入った後なのか、いつものミディアムヘアーも湿っていて、ちょっと上気している顔が私の心臓の鐘を揺らしてくる。

うぅ……普段着だとはいえ、すっごい目のやり場に困るよぅ……幼馴染相手に色っぽいと思っちゃう私は変態なのかな……?

 

 

「って、今日は本を読みに来たんじゃなかった。めがっさ続きは気になるが、今は重要じゃない」

 

パタンと漫画を閉じて、こっちに顔を向ける総くん。

私が邪な気持ちを向けていたのがバレちゃったのかと思って、ドキッとしてしまった。

ごめんなさい、総くん……そんな純粋な目で私を見ないで!

 

「つーわけで始めるぞー。さ、ベッドの上で横になって」

 

「……へ?」

 

「なーに呆けた顔してんだ。今日言っただろ?クールダウンは家に帰ってからって」

 

「あ……」

 

あれってその場しのぎの言葉じゃなかったんだ……あの時のもやもやした気持ちなんて比じゃないくらいに嬉しさで胸がいっぱいになる。

えへへへ……総くんはやっぱ優しいなぁ……昔からそういうとこ全然変わってないよね。

私たちが大きくなって、ちょっとづつ周りの環境が変わっていているけれど、私が大好きな総くんは総くんのままだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そいじゃうつ伏せになってなー」

 

……あれ?うつ伏せ?総くんが手助けしてくれるのはストレッチだよね?

ちょっと疑問には思ったけど、私はなんの疑いもなく言われるままにうつ伏せになる。

んっ……ちょっと胸が擦れて痛いかな。少し体勢を楽にしてっと。

私がもぞもぞと体を動かしていると、私の足の上に総くんが跨ってきたみたいで、総くんの重みが感じる。

 

 

「あの後ネット上でプロの整体師が教えるマッサージ動画を見たり、この『猿でもわかる特選整体術集完全版』を読み込んだからな。どんな凝りでも瞬時に揉みほぐせること風の如しだ」

 

え!マッサージ!?ストレッチじゃない!?

えぇ!?その手の動きどうなっているの!?関節の動きとか普通じゃなさすぎるような……

って、それよりもマッサージってことは……あんな所やこんな所や人に言えないような場所とかも総くんに触られたり……?

あ、あうぅ……そ、総くんが触りたいって、どうしてもって言うなら……いいかな。うん。

他ならぬ総くんのお願いだもん。

 

 

総くんが手に触りたいって言ってきたら、喜んで手を差し出して手を繋いで上げるし。

総くんが太ももを撫でたいって言ってきたら、何も言わずに膝の上を叩いて、総くんの好きにさせて上げるし。

総くんが胸を触りたいって言ってきたら、ちょっと恥ずかしいけど、好きなだけ揉ませてあげたいし。

総くんが裸を見たいって言ってきたら、その場で服を脱ぐ―――のはさすがに場所を選ぶかな。うん。他の知らない男の人に見られるなんて、想像するだけで鳥肌が立つ。

でも総くんのして欲しいことはなんだってしてあげたい。

だって、総くんはワタシの大切な幼馴染で――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは凝ってるポイントを探すからなー。ちったぁ痛いかもしれないが、我慢してなー」

 

「え?あっ、っっっ!い、いっっったーーーーーー!?」

 

私の想像とは裏腹に、総くんのマッサージは色濃い沙汰とは程遠い物でした……それに総くんがしてくれたのは足の部分だけでした。

……変な事考えてた自分がはずかしい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……」

 

「……イガクノハッテンニギセイハツキモノデース……」

 

いや、こんなこと言ってるけどマッサージ(オペ)は成功したんだけどね。

きっと朝起きた時には体力の最大値とかステータスが上がっていることだろう。

 

最初は痛みによる悲鳴の方が多かったが、続けているうちに歩夢の気持ちいいツボを把握できてきた中盤には苦痛の声よりも、リラックスしきった間延びしたやちょっと色っぽい声が漏れるようになっていた。

そしてマッサージを初めてから数十分後。うつ伏せとなった歩夢からは規則正しい寝息が聞こえてきていた。

 

これで今日の疲れを明日に持ち越す心配はなくなったかな。

えーっと、髪はちゃんと乾かしてあるし、明日の授業の準備も…………してあるみたいだな。

そーっと、起こさないように細心の注意を払いって……首の裏に手を回し、膝の裏にも手を入れて、ゆっくりと持ち上げたら……はい、お姫様抱っこの完成ですよっと。

 

「軽いな。何食ってたらこうなんだ?」

 

50キロもないんじゃないのか?なんて、本人に言ったら顔を真っ赤にして頬を膨らませかねない事を考えつつ、腕の中にいる歩夢の顔を覗く。

 

「まったく、人の気も知らんできもちよさそーに寝おってからに」

 

掛け布団を一度下げてから、歩夢をベッドの上に戻した後掛け布団を掛け直す。

 

幼馴染とはいえ、一応俺だって男なんだがな。歩夢が体を触られるのは嫌だって口にするなり、態度に表していたら即座にやめたんだが。

……歩夢のすべすべとした柔らかい足の裏とか脹脛とか触れていて、内心ドギマギしていたんだけどな……てか、今さらだけどコレってセクハラになったりしない?

エロ同人みたいなエロマッサージ師みたいに、この後無茶苦茶○○○○したみたいな一文が添えられてもおかしくなかったりするこの状況?

いや、せーへんけど。つか、したら俺が死ぬわ(社会的に)

 

……今日の天王寺も拒否ってこなかったうえに、あの後宮下とかすみが自分にもアフターケアしろだの言ってきたけどさ、普通同年代の異性に体を触られるって抵抗あるもんじゃないのか?

うーん、年頃の女子の考えは良くわからん。

 

さてと、目的は果たしたとこだし、またベランダから自分の部屋に戻るとすっか。

明かりを消してっと。

……あぁ、そうだ。最後にもう一つすることがあったわ。

体を回れ右して、そのまま扉の方まで進んで……扉の向こう側にいる人に向けて一言。

 

 

「それじゃお邪魔しました〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あらあら〜。総ちゃんってば気付いていたのね」

 

歩夢の部屋から悲鳴と嬌声が聞こえ、ついに娘と息子(のようなもの)が致してしまっているのね!とふんすと鼻息荒く興奮を隠さないまま、紙コップ片手に部屋の外から盗み聞きをしていた歩夢母だったが、総悟には気づかれていたのであった。

自分の想像していた事が起きてなかった事に、やや落胆する歩夢母であったが、娘と息子(血の繋がりなし)が仲良くスキンシップすること自体は良いことなので、プラスに考える歩夢母なのであった。




Q.このSSってヤンデレ属性あるの?

A.ないです。

このくらいはヤンデレなんて呼べないよね。ほんのちょっびっと、ちょこっと、ちまっとだけ愛が重たいだけなんだよ。
ヤンデレ作品ならこのSSで補充しなくても、他の作者さんが書いているヤンデレ専門作品のほうを見る方が絶対いいよ。

歩夢のメインヒロイン化が止まらない。
まぁ、スクスタでもスポットライト浴びてますし、このくらいは、ね?

最後でぽむのママンことママぽむが出てきてますが、名前に関してはあえて触れていません。そのうちアニメででてくるかもしれないからね。仕方ないね。名前が出るとも限りませんが。


さて……パレードの続きしなきゃ(白目)
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