音沙汰ないように見えますがちまちま続き書いたり過去話を更新したりしてます。
誤字報告していただいた方々へこの場をお借りして御礼申し上げます。結構な頻度で誤字ったり、間を開けて更新しているせいか矛盾点が生まれてしまっていたりするので、ホント見ていただいている人に申し訳ないです(´・ω・`)
俺が生徒会に所属する切っ掛けなんてのはそんなたいそれた事なんかじゃない。
内申点が欲しいわけでも、学校をより良くしていこうとかそういった情熱があるわけでもなかった。
何かしらの部や同好会、委員会に入るというのが特待生として入学する条件の一つだった為だからである。
体を動かす事は嫌いではなかったが、顧問にあれこれ五月蠅く指示されるのは性に合わないし、やりたい時にやりたい身としては特定の部に入って行動を縛られるのは避けたかった。
ならばどうするか。そんな時に俺の思考回路にふと割り込んできた考えが一つあった。
『そういや、アニメキャラで優秀な人って大概生徒会長とか生徒会の人間だったりするよな』
である。
我ながら何言ってんだこいつ。となるだろうが、自分の中では大真面目で既に所属先は確定していた。
そこからの行動は早く、思い立ったが吉日と言うように即座に担任に生徒会への事を聞きに行った。
うちの担任が生徒会顧問だった為より詳細に生徒会の内容を教えてくれたのは僥倖だった。
生徒会の話を教えてくれる中、加入動機を聞かれたりしたが、馬鹿正直に話した所滅茶苦茶笑われた。
そしてその日から先生からアニメトークを振られるようになった。
極度のアニオタだったみたいで、生徒会の中には誰もアニメを見ていないようで話しを触れずに悶々としていたとのこと。
好きなアニメはCLAN○ADだと言っていたので、「あぁ、あのれってドラゴ○ボールみたいですよね。光の玉集めますもんねー」と言ったら先生のオタ魂にガソリン投下してしまったようで、特別授業の時間が発生してしまったのは別の話。
俺的には智代がよかったな智アフ?知らんな。
いずれ先生とのコネを作ろうと思っていたので、図らずとも共通の話題を振れる材料を入手できたのは嬉しかったりする。
この日から先生達から色々頼み事をされる事が多くなった。
詳しく話を聞いてみると生徒会へはすんなりと入れるみたいだった。書記と副会長の枠が一つ空いているということだったので、書記でお願いしますと即座に答えた。
一年から副会長就任ってのもなんだかなーって思ったし、やるにしても書記として一通りの流れを把握してからの方が良いと思ったからである(やるとは言ってなかった……のだが今では副会長になったものだから、人生とは何が起こるかわからないよね)
単にめんどいから嫌だってのもあるけど。
そしてあれよあれよと話が進み、生徒会メンバーと顔合わせをする事に。
俺は特段緊張するわけでもなく、失礼しますとノックを行い返事が返ってきたのを確認して生徒会室に入室。
そこには一人の男子生徒と数人の女子生徒が座っていた。
まずは自己紹介からと軽いプロフィールと役職を各自言っていく中、俺はふーんと適当に聞き流しつつとりあえずは顔と役職だけインプットしときゃなんとかなるだろと考えていた。
筒がなく進んでいく中、最後の一人が自己紹介する前に当時の生徒会長が言った言葉。
「なんとぉ、この子は君と同じ一年で副会長に就任しているんだよ。ちょっと愛想がなくてとっつきにくい娘かもしれないけど、同じ一年生同士仲良くしてね。困ったことがあればなんでも彼女が教えてくれるから!」
「普通科一年……組の中川菜々です。副会長を務めさせてもらっています。よろしくおねがいします」
おちゃらけたように話す生徒会長に淡々と必要最低限の事しか話さない副会長。
それまでは生徒会なんて適当に必要範囲内の事だけやりゃいいだろと考えていたが、この二人を目にした時俺の中のシックスセンスがこう告げていた。
積極的に関わっていけば面白いことになる……と。
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「……お待たせしました」
学園の屋上の手すりに背中を預けて、赤く染まった空を見上げているとキィ……と扉の開く鈍い音がし、呼び出した目的の人物がこちらへと歩いてきた。
歩くと同時にゆらゆらと揺れる彼女のおさげを見ていると、編み込むだけでもセットに時間かかりそうだよなー。女子の朝は時間が足りないとなんかのアニソンの歌詞にあったような気がすると、しょうもないことを考えていたりしたがそんな事を気取られないように自然と彼女の瞳に視線を移す。
「悪いな。急に呼び出したりなんかして。これはその迷惑料だ」
ほれ、と事前に買っておいた缶のリンゴジュースを下から投げ渡す。
咄嗟の事にややびっくりしながらもキャッチする菜々。気にしないでいいですのに……と遠慮気味の菜々だったが、俺が一度奢った物を突き返しても受け取らない事を知っている菜々は俺の隣に来て、俺と同じように手すりに背中を預けるといただきますとお礼を言ってから、プルタブに手をかけちびちびと飲み始める。
それを横目で確認すると俺も自分の分の缶コーヒーを開けてグイっと飲む。
甘い物も嫌いじゃないけど、このスッと入ってくる苦味の方もやっぱいいな。生徒会室でゲー厶――――雑務を熟しながら片手には一杯のコーヒー。お供に歩夢お手製のクッキーを添えて……考えてたら涎が垂れてきてしまいそうだ。
帰ったら歩夢にお願いしてみようかな。今度一緒に荷物持ちとか一緒に菓子作りをするとかで手を売ってもらうかな。
お互いに一息つき、無言が続く。菜々は両手で缶を握りしめたそのまま視線を下の缶に向けている。
俺が話し出すのを待っているのだろう。
機を見計らって一度缶を手すりに置いき、話を切り出すことにした。
「同好会の人数は8人。新規4人に既存メンバー4人。……俺も数えたら9人。菜々の指定してきた人数に王手をかけたわけだが」
「!……さすがは総悟さんですね。総悟さんなら必ずやり遂げてくれるとは思いましたが……こんなにも早く集めてくるとは思いませんでした」
「副会長だからな。これくらいは造作もないってことよ」
「はい!総悟さんが頼りになる人だというのは……あの時からずっと知っていますから」
力強く返事をし、瞳からは全幅の信頼を置いてますと真っ直ぐに見つめてくる。
あの時……菜々はこう言っているが、言うて特別なイベントが発生したわけではない。
学校の帰り道に見るからに頭の悪そうななりをしたDQNに囲まれてる所を都合よく、颯爽と助けに入るだとか……先生に頼まれ事をされ、明らかに一人で終えれる量ではないのに自身の人柄から引き受けてしまい、遅くまで校内の教室に一人で残って作業している所を偶々見てしまって、一緒に作業を手伝うだとか……そんなドラマティッーーックで素敵嬉し恥ずかしブルーゥスプリングゥ(あおはる)なイベントとかでは決してない。
そんなギャルゲみたいなイベントが発生するのは主人公(おもとこう)君だけだろいい加減にしろ!
ギャルゲェの世界へようこそなんて世界でもなんでもなくただの現実と言うなのクソゲーだからね。
もしも俺が転生チートとかで異世界とか現実に再転生するならセーブ&ロードが欲しいわ。俺だってやり直したい
「……俺が頼りになるのはその通りだろうけど、あの時ってただ菜々会長が生徒会室でサボって漫画を読んでるのを見ただけだけど」
「な、何度も言ってますけどサボっていたわけじゃないですから!あれは休憩していただけですっ」
「俺が休憩時間でジャ○プ読んでた時は注意してきたじゃねーか。当時副会長だった中川菜々さん?」
「当たり前です!他の皆さんがいる中で……しかも先生がいる目の前でなんてダメに決まってます!校則違反ですよっ」
「学園に不要な物の持ち込みは禁止。ジャ○プは自身の欲を満たすだけじゃなくて、人と人の繋がりを紡ぐ貴重なコミニュケーションツールだ。現に顧問の教師はそれでさらに仲良くなったし」
「さ、さすがに人の目と言うのをですね……」
「まぁまぁ、細かい事は気にすんな。それに俺が堂々と見てるお陰で菜々がコソコソと隠れて見てるのがバレても誰も咎めたりしないって」
「そういう問題じゃなくてですね……」
「あ、そうそう。この間菜々が見たがってた魔王城○おやすみの新刊だけど、生徒会室のいつものとこに置いといたから」
「ほんとですかっ!?ありがとうございます!今から取りに行ってきます!!」
「いや、まだ俺の話は終わっちゃいねーから」
この手の平クルーである。
回れ右して駆出そうとする菜々の肩を掴む。
向き直った菜々は恥ずかしそうに頭をかいていた。
相変わらず好きな物に関することとなると周りが見えなくなるヤツだな。
まぁ、そんなわけである。当初副会長で今よりも周囲に塩対応だった頃の中川菜々と距離が縮んだ出来事とは。
なんてことのない日常の一幕。去年の放課後生徒会室で作業を終えていつも通り持ち込んだ漫画を読んでいたのだが、校内放送で呼び出しをくらい……そのまま呼び出された場所に向かった。
呼び出された内容はさておき、呼び出してきた先生の要件が終わり時間も帰宅するにはちょうど良い時間だったので、帰るかと生徒会室にまとめて置いた荷物を取りに戻ると……
『そこです!相手の追撃が飛んでくる前に必殺の一撃を!……あぁ!後ろから奇襲なんて卑怯な!』
俺が机に置き去りにしていた漫画を食い入るように閲覧している
生徒会室に入ってきた俺に気が付かないくらいに熱心に見ていたよな。心境がそのまま声に出るくらいだったし。
この出来事から俺と菜々の距離が以前よりも近くなり、菜々が周りに自分の趣味を隠す理由を俺に話してくれたので、『俺は家でも見れないのなら生徒会室で見ればいいじゃん。読みたい見たいのがあれば持ってくるぞー』と提案し……彼女の中の理性と欲望の天秤が後者に傾いた瞬間であった。
それから生徒会で作業したり何もせず駄弁った後や俺たち以外の生徒会メンバーが帰った後とか休日。まぁ、二人しかいない時にこっそりと菜々とアニメを見たり漫画やラノベの貸し借りをして読み合ったりする密会?が始まったわけだったりする。
さーてと、空気がいい感じに緩くなったとこでそろそろ本題に入るとするか。
「回りくどい事はめんどいから単刀直入に言う。優木せつ菜 、スクールアイドル同好会に戻ってこい」
ここに菜々会長を呼び出した用はただ一つ。スクールアイドル同好会の最後のメンバーである優木せつ菜の呼び戻しだ。
朝香果林さんをハンティングした翌日の放課後。同好会メンバーで優木せつ菜を捜索しに行こうとなったのだが、それに俺が待ったをかけその件は俺に任せてほしいと頼んだのだ。
誰もが彼女の姿を学園生活で一度も見たことがない。学園七不思議の一つになっているだとか、生徒会長の陰謀で優木せつ菜 は監禁されてるだとかあることないことを口々にしてたが、心当たりがあると言うと、皆俺を信じてくれて同好会から快く送り出されたというわけだ。
「……やはり総悟さんにはわかってしまうんですね」
ふぅとため息をつく菜々会長――――優木せつ菜だったが、どこか嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
彼女のトレードマークと言えるメガネを外し、結っていたお下げを解くと……
「えぇ。お察しの通り。私が優木せつ菜です」
ネットに上げられていたライブ映像や画像で見ていた優木せつ菜が目の前に立っていた。
「ま、そうだろうな」
「……あれなんか反応が薄くないです?こういう正体バレって『ま、まさかお前が……そんな……!?』みたいな仲間だったキャラが敵サイドについているなんて熱い展開があったりするものでは」
「お前は何を期待しているんだ……菜々会長と優木せつ菜が同一人物だと気付いたのは最近だが、ライブ動画を見てすぐにわかったぞ。MCでの挨拶や大声を上げてる時なんて、菜々会長がアニメを見てる時に奇声を上げてる声質とまったく同じだったからな」
「き、奇声じゃないです!あれは私の作品に対する大好きが抑えきれずに溢れてしまっただけで……でもそうですね。ファンのみんなへお礼を言う時はライブの余韻もあって、そこまで気にすることもなかったですね」
「普段は才色兼備の完全無欠で冷酷無慈悲な生徒会長(笑)で通ってるからな。あまりにもイメージがかけ離れすぎているから、菜々会長がボロを出さない限りは身バレする心配はないと思うぞ」
「最後の(笑)はいらなくないですか!?た、たしかに総悟さんに比べたら至らない点が山ほどありますけど……」
「いやいや、そんな卑屈にならんでいいっての。褒めてるんだからさ。よくもまぁ、一年近く正体を隠せてスクールアイドルをやれたもんだなと。実際問題俺以外にはまだ知られてないんだろ?」
「は、はい。こうして言い当てられたのは総悟さんが初めてです」
「ま、俺が菜々会長と近しかったのもあるだろうな。他の生徒じゃ『貴方が優木せつ菜ですね?』なんて直接聞けんだろうし」
「そうですね!総悟さんは私のかけがえのない唯一無二のご友人です。どんなご質問であれ総悟さんの為ならばなんでもお答えしちゃいますよ!」
「そんで?返事はどうなんだ。Yesかはいか仲間になるか。特別に三択の中から選ばせてしんぜよう」
「あれ……おかしいですね。こういう時は『ん?なんだって』とか『いま、なんでもするって言ったよね?』とか言って私を辱める権利を入手するシーンではないのでしょうか……?今読んでるラノベではサブヒロインの子がそうやって主人公を手中に収めていたのですが」
「どんなラノベだよそれ……てか何お前そんな事されたい願望でもあんの?被虐体質なの?」
「か、勘違いしないでくださいよねっ!こんな事総悟さんだけに言っているわけじゃないんですからねっ。他の人たちにも言っているんだから、総悟さんが特別ってわけじゃないんだからっ!」
「今の自分の発言をよーく考えてみな。ツンデレでもなんでもないただのビッチじゃねぇか」
「…………はっ!?ち、ち、ち違いますからね!私そんな尻軽女じゃありませんから!誤解しないでくださいよねっ!」
「そこもツンデレキャラなのかい」
ツンデレっていうキャラが広まってから15年近くは経つんだよなー。ツンデレ全盛期のアニメを世界最大河川Primeで見たけど、くぎゅーさんいいよねくぎゅーさん。炎髪灼眼に密かに憧れていた3年前のあの日の夏……視力悪くなるからカラコン早めた方がいいよと歩夢にマジレスされた悪意のない善意は効いたあの日の忌まわしき記憶よ……!
虚無の記憶に囚われたりしたが、いつものように他愛のない話を繰り広げる。このやり取りの間だけで菜々会長の表情は笑ったり困惑したり恥らったり素っ頓狂になったりところころと変える。
……去年の菜々副会長とは想像がつかないくらいの変わりようだよなぁ。いや、こっちの方が素の菜々だと思うけどさ。
「総悟さん?」
懐かしむように過去の菜々副会長を思い浮かべていると、至近距離で俺の顔を覗き込むように首を傾げていた。
こうして見ると菜々ってけっこうちっこいよな……かすみとほぼ大差ないような。……そういや、前生徒会長なんかミニマム会長って呼んでていたっけ。その度に菜々がファイアーさんもびっくりなにらみつけるで黙らせていたけど。
背はそうでもなくても胸部はかすみと比較にならないものをお持ちでいらっしゃる……と。スクールアイドルって皆かわいかったりスタイルがいいもんなのか……?
……いかんいかん。煩悩退散煩悩滅却悪霊退散悪霊退散ドーマンセーマン……ってこれは違うわ。
「……それで、さっきから何を渋っているんだ?スクールアイドル同好会の復興は菜々会長――――いや、優木せつ菜の望んでいたものじゃなかったのか?」
言葉にして指摘するとピタッと固まり、落ち着きがないように視線を左右に逸らす。
彼女が本心を語るまで俺は黙って目を逸らさずに顔を見続けていた。
……やがて決心したのか、ぽつぽつとゆっくりと話し始めた。
「はい……あの時も本当は皆さんとスクールアイドルを続けていきたかったです。私はもちろん他の皆さんもスクールアイドルの事が大好きでしたから。……でも私はスクールアイドルが大好きなのだからと言って自分の中のスクールアイドル像を押し付けてしまった!皆さんの本当になりたかったスクールアイドルの事を気にする事ができないまま……こうしたほうがスクールアイドルらしい。こう魅せる事でファンの人たちも納得できるパフォーマンスになる……と。私のスクールアイドルが大好きな気持ちを抑えきれずに、好きって気持ちを共有したかったから色々と無理を言ってしまいました。そういうのはダメだって、良くないことだってわかっていたはずなのに我慢できなくて……皆さんとどんどんぎこち無くなっていって――――」
「同好会は自然消滅するような流れになったと」
「……はい」
優木せつ菜から聞いた内容はかすみたちから聞いていた話と同じものであったが、本人から聞くのとでは全然違う。
これで優木せつ菜が同好会の事をどう思っていたか知れたし、旧同好会メンバーとの想いとの差異を確認することができたな。
……それに一番重要であるスクールアイドルへの気持ち。やはり優木せつ菜はスクールアイドルを諦めたわけじゃなかったようだ。そんなことはないとわかってはいたが、こうして直で聞いてみるとやはり安心はする。
彼女の大好きな気持ちは一切揺るぎないものであった。
話し終えた優木せつ菜はりんごジュースを手に取り、乾いた喉を潤そうと一気に飲み干した。
飲み終えて一息ついたとこで俺は問いただす。
「俺に部員を集めるように言ったのはお前自身同好会への未練……解散となった原因が自分による物だと思っているからか?」
「……こうなってしまったのは私のせいですから……私の身勝手な振る舞いのせいで皆さんのスクールアイドルへの想いが失われてほしくなかったですから」
「お前自身の気持ちは?」
「え……?」
「負い目を感じて自責の念に駆られるのはわかる。だがそれはもう過ぎてしまった事だ。それにお前の中ではもう十分に反省したんだろう?過去を振り返って自分を見つめ直すのは悪いことじゃない……が、いつまでもその場に立ち止まって歩みを止めるのは良くないな。過去の反省を活かし、より良い未来に向かって走り出す方がカッコよくないか?……もしも踏み出す一歩を恐れているなら俺が背中を押してやる。力を貸す。恐怖も不安も俺が受け止めてやるさ。……優木せつ菜。他の誰の意見でもない貴方自身はスクールアイドルを続けたいか、否か」
責任感が強く真面目な彼女の事だ。スクールアイドルを続けたくても続けられなかったのだろう。
同好会を解散にさせてしまった身なのに自分だけスクールアイドル活動をするには如何なものかと。
他メンバーよりも知名度が高いにも関わらず、同好会が解散した以降の優木せつ菜の動画は一切配信されていなかった。
……生徒会で彼女の近くで作業をこなしていたから分かった事だが、こいつは何をするにも一直線すぎて真面目すぎる。
本人から聞いた話では趣味のサブカルチャーについて両親にも隠しているって言っていたからな。この様子だとスクールアイドルに関しても間違いなく言っていないだろうな。
スクールアイドルは世間に知れ渡ってきているが、当然全ての人に受け入れられている訳じゃない。好意的に見ている人もいれば、生産性も将来性のない意味のない事をするべきではないと否定的な人もいる。
特に菜々の両親は厳しい家柄だと言う。知られてしまったらスクールアイドルを辞めるように菜々に訴えかけてくるのは想像するに難くない
優木せつ菜と芸名をつけてスクールアイドル活動しているのも、両親の耳に入らないように徹底しているのだろう。
「それと、勘違いしているようだから言っておくぞ。旧メンバー……かすみにしずく、彼方先輩にエマ先輩。皆誰一人として優木せつ菜のせいだとは言っていなかった。むしろなんで同好会に来なくなったんだと心配していたくらいだ」
「皆さんが……」
彼女等が人間出来ているというのもあるだろうが、優木せつ菜を責め立てたりする者は一人とていなかった。
俺は優木せつ菜が不安材料としている事を一つづつ潰していくように話を続けていく。
「スクールアイドル。続けたいんじゃないか?好きな事を好きなように好きなだけやりたくはないのか?……大好きな気持ちを隠すのはおかしいんじゃなかったのか?」
「……あ」
はっとしたように顔を上げる。
最後に言った「大好きな気持ちを隠すのはおかしい」これは去年俺の置いていった漫画を読んでいた菜々会長が俺に言った台詞だった。
『そうです……そうなんですよ!私はこういった漫画やライトノベルが大好きなんです!いけませんか!?普段口煩く注意している私がこういうのを読んでは!?』
『個人的には問題ないが、パブリック的には良くないな〜生徒会室で不要な物を持ち込んで読み耽るなんて』
『はうっ!そ、それは……ってこれあなたの私物ですよね!?』
『……それよりも随分とはっきりと大好きだって口に言えるのな。こういうのって言い淀んだり、誤魔化したりするもんだと思っていたんだが』
『それは違いますよ。大好きな物を大好きだと叫ぶのは決して恥ずかしいことなんかじゃありません。むしろ大好きな気持ちを隠すのはおかしいと思います!』
『……ふーん。でも今までそんな素振りは一切見せてなかった件についてはどうなの?』
『あうっ、それはですね……普段の私には似合わないだとか副会長はそういった物とか絶対読まなそうだよねーとか生徒の皆さんがそう言っていたのを耳にしたので……』
「あの時あんな風に茶化してしまったけどさ、内心菜々会長の事をすげぇと思ったんだぜ?」
「総悟さんが……私を?」
「あぁ。俺は菜々会長みたいにはっきりと口にして大好きだと言えるようなものはないからな。ひたむきに熱心に打ち込める様は輝かしく素敵だと思うぞ」
以前から一つの事に打ち込んだり、情熱を捧げる物事なんてなかった。
今では興味が湧いてスクールアイドルに関して調べたり、同好会の手伝いをしている身ではあるがスクールアイドルが大好きかと問われたら俺は否と言えるだろう。
……あの時μ'sとAqoursの合同ライブを見た時に感じた湧き上がる衝動。
あの想いをまた感じることが出来るのだろうか?俺は目の前の彼女みたく胸を張ってスクールアイドルを……もしくはそれとは別の何かを大好きだと言える事ができるのだろうか?
……俺は探す事が出来るのだろうか?
「できますよ」
「え?」
両手をそっと優しく包み込まれるように握られる。
口に出していないはずだというのに、目の前の彼女の瞳は見透かすように……でも優しい眼差しで見上げていた。
「きっと総悟さんも大好きだと言えるものが見つかります。いえ、むしろ私がスクールアイドルを大好きだと言えるように総悟さんの隣でスクールアイドルをやっていきますよ!」
「それって……いやてか俺声にしてなかったよな」
「出していませんでしたよ。でも総悟さんが私の事を理解してくれているように私だって――――」
握っていた手を解いて、背を向けたまま駆け出す。
赤く輝く夕日をバックに菜々――――いや、優木せつ菜はくるりと振り帰りかつて無いほどの眩い笑顔を浮かべて、こう叫ぶのであった。
「私だって総悟さんの事を誰よりもわかっているんですからねーーーーーー!!」
その迷いのない真っ直ぐな想いに不覚にも、ファンになっちまいそうじゃないかと胸が熱くなるのであった。
投稿がめっちゃ遅れたのはせっつーをどう復帰させるか迷ったからです。迷った末にこんな展開にしちゃいましたが……これなら原作風にしたほうがよかったかな……いやそれだとなんかアレだし……と答えが行き着かないまま気がついたらもう2月……って感じでした。
↓ちょっと遅れた聖ウァレンティヌスネタ(ややえっちぃ感じがあるので注意よー)
歩夢「はい、ありがとうの気持ちとあなたへの想いをたっぷりと込めたチョコだよ♡……え?愛情はどれくらいあるのかだって?も、もう。そんなの言わなくてもわかるでしょっ。……あ、あとねこれとは別にもう一つプレゼントを用意してあるんだ。…………え、えーっとね。ちょっとの間だけ部屋の外に出てもらってもいいかな……?」
※もう一つのプレゼントとはスクスタのURぽむ『ぎゅってつかまってもいい?』のサイドエピソードと同じ物とだけ言っておきます
せつ菜「トラーーーーーッイ!!恋もチョコも全力でいきますよ!さぁ、私の気持ちを受け取ってください!!……え?熱意はわかったからその叫びは色々とまずいからやめておけ?よくわかりませんがわかりました!それよりも早く開けてみてください。優木せつ菜会心の一作ですから!……ま、まぁこの一つを作り上げるまでに多数のチョコが犠牲になってしまいましたが……μ'sの皆さんとAqoursの皆さん、ニジガクの皆には感謝してもしきれませんね。……あの、どうして十字を切っているんですか?……え?チョコが私の熱に耐えきれずドロドロに溶けてしまっている……!?そ、そんな!あんなに頑張って作ったのにぃ……あなたへの想いが込もるよう抱いて寝るのがいけなかったのでしょうか。ご、ごめんなさい。せっかくのバレンタインデーですのにチョコがこんなになってしまって。……え?このチョコでも使いようはある?…………あ、あのなんか目が怖くありません?どうしてチョコをすくったりなんかして……あ、あのあのあのちょ、ちょっと落ち着いてください!確かにこういう展開は少女漫画にもありまして私も興味がないと言えば嘘になりますがあっ――――」
しずく「あ、あのっ……チョコレート受け取ってください。べ、別に深い意味はありませんから。糖分補給の為ですよ糖分補給のためっです!……せ、先輩?どうしてこの世の終わりみたいな顔になっているんです?え?恋人のしずくから貰えると思って今日一番の楽しみにしていたのにまさかの義理だったなんて?そ、そんなわけないじゃないですか!先輩が仰ったんじゃないですか。『ちょっとツンケンした態度で本心を隠して渡してくる娘にグッとくる』って。薫さんからそう聞きましたよ?……そ、その……だからですね……そのチョコレートには今私が出来る限りの気持ちをたっぷり込めて作りましたので。あ、い、今開けちゃうんですか?うぅ……は、恥ずかしいですね……美味しいですか?えへへ……よかったです。頑張って作った甲斐がありました。……?どうしたんです先輩。チョコレートを口に含んで……!?んっぅ……ん……ちゅっ……ふぅ、ちゅぱっ。…………あまい味がしました。……今度はしずくを味わいたい?……………………チョコレートを食べ終わってからでなら……いいです、よ?」
以上A・ZU・NAの3名でお送りいたしました。
え?なんでこの3人だけなんだって?
投稿する前咄嗟に思い浮かんだのがこの3人だからです(´・ω・`)
残りの人メンバーは……うん、まぁ、他の作者さんが書いてるだろうし……ね?いいでしょ、許してなんでもしますから!