惜しむらくはそのピックアップ率の低さでしょうか。
0.5てなんやねん。
1話
「今日は付き合ってくれて、ありがとう。すごく助かっちゃった」
ある日の休日。俺は歩夢と一緒に秋葉原へ繰り出していた。
特に予定もなかったので、溜まっていたアニメの消化したり菜々会長から「読んでみてください!あなたなら絶対にハマるはすですから」と半ば強引に押しつけられたラノベ全巻セット(電撃な文庫なので一冊が分厚い。しかも20冊近く)を読破しようと自宅でゴロゴロしていた所を歩夢が家にやって来て、買い物に行こうとなった……というわけですよ。
落ち着いた色合いのワンピースに身を包まれていた歩夢は新しく新調したのか、誘いにやってきた時はそわそわと落ち着きがなかった。
裾の部分を持ち上げてみたり、腰回りのリボンを気にして後ろを何度も見たり、こっちを期待を込めた目でチラチラ見て来たり……と。
ハッシーコレ知ってる!いつぞやかに歩夢の家で読んだ少女漫画のヒロイン……主人公?どう言ったのが正しいか知らんけど、その彼氏とデートに行く女の子が、デート前日に悩みに悩んで決めた服を着て、当日彼氏の前に立って、いつまで経っても服の事に触れてくれなかった彼氏にやきもきしてた描写と同じだよ!
まぁ、俺と歩夢は彼氏彼女なんて関係じゃなく、唯一ぬにの幼馴染なんだけどね。
取り敢えず歩夢を思いつく限り言葉で褒めちぎり、ムツゴ○ウさんみたく、わーしゃわしゃと頭を撫でまくりました。
リンゴみたく顔を真っ赤にしてされるがままだった歩夢が可愛すぎて死ぬ。
「なーに、こっちこそ誘ってくれてありがとな。新刊も買えたしいい気分転換になったよ」
「そう言ってくれると嬉しいな。あなたとお揃いのパスケースも買えたし……明日から使おうね」
「あぁ。……しかし、おそろいか」
「……もしかして、嫌だった……?」
「まさか。デザインもシンプルで俺好みだし、嫌だったら最初のうち言ってるさ。なに、歩夢とお揃いのこのパスケース……俗に言うぺあるっく!と言うやつではないかとだな」
「え、えええええっ!?ぺ、ペアルックだなんて……私たちはまだ幼馴染だしいやいやでも全然嫌だなんてことはなくてむしろあなたがそう思ってくれるならとっても嬉しいし…………えへへへぇ」
想ったことをそのまま口にしたら、幼馴染がその場でトリップしだしたでござるの巻。
だらしなく頬を緩めておってからに……かわいい。
「さーて、この後はどうすっか。まだ帰るにしては早いし……歩夢は他に行きたいとことかあるか?」
「へっ?あ、ううん。特にないかな。それよりも総くんこそ休まなくて大丈夫?私の荷物も持ってもらっているのに……」
あっちの世界から戻ってきた歩夢から気を使われるが、全然余裕である。
そんな重いもん持ってるわけじゃないし、それなりに重さがあると言えば自分で買った漫画とかだし。
「へいきへいき。こんくらい余裕だし気にすんな」
「そう……?疲れたり休みたかったら、遠慮なく言ってね」
こんなに気を配れて、控えめに言って超絶美少女が幼馴染だなんて……こんなの普通じゃ考えられない……!
「……ん?なんか向こうの所が騒がしいな」
「ほんとだね。人もいっぱい集まってるみたいだし……」
「時間もありあまってるわけだし、ちょっち行ってみないか?」
「うん。私も気になるし、行ってみよう」
そんなわけで、やたら人がいる場所へと行くことに。
イベントかなんかだろうか?
まぁ、行ってみりゃわかるか。
人だかりの最後尾まで来てみると、より一層熱気が漂ってくる。
付近の人の会話を聞いてみる感じ、どうやら街頭ビジョンに映し出される何かを待ってるみたいだけど……
「人がこんなにたくさん……何かのイベントかな?」
「まだ始まっていないみたいだが、おそらくそうだろうな。……あの、すみません。この人だかりって何か催し物でもやるんですか?」
「えぇ、μ'sとAqoursの合同ライブよ。会場から全国に生中継されるの。……貴方たちこれを見に来たんじゃないの?」
知らないのなら聞いてみろってね。スマホで検索してもよかったんだが、こういうイベント行事とかって、せっかくなら参加してる人に声かけてみたいじゃん?
近くにいたOL風のお姉さんに声をかけてみたが、親切に教えてくれた。
この人えぇ人や(ちょろい)
「いえ、僕たちはこの人だかり気になって来たので。……歩夢、みゅーずとあくあって……もしかしてスクールアイドルの?」
「うん。今テレビでも話題になってる注目のスクールアイドルだよ」
スクールアイドルは知っているが、μ'sとAqoursってのはメディアで軽く知っている程度しかなかったので、歩夢に確認してみる。
全国でスクールアイドル活動が盛んなのは知ってたが……全国生配信ってすげぇな。
生半可な努力ではそこまで至れないだろうというのに。
「そうそう!私大ファンなのよね!μ'sの高坂穂乃果ちゃんとAqoursの高海千歌ちゃんが特に好きでね!ああいったパワフルな子を見ているとこっちまで元気が湧いてくるというか!チームのみんなを引っ張っていくのってリーダーとして大変だと思うのよね!でも穂乃果ちゃんと千歌ちゃんは1人じゃなく皆で横に並んで走っていってる感がもうホンット良くってね!!!」
「μ'sとAqoursのリーダー……」
人が変わったかのようにμ'sとAqoursの事を熱く語るお姉さん。
ふーん……スクールアイドルの高坂穂乃果に高海千歌……か。
たしか、虹ヶ咲にもスクールアイドル部――――いや、同好会があったな。今は部員一人しか活動していない為廃部寸前の崖っぷちに立たされている状態だが……
「なになに?ひょっとして興味が出てきちゃった?少しでも興味があったら、ここで見ていくといいよ。絶対に楽しいから!……あ、それとこれ私の連絡先。もっとスクールアイドルの魅力を知りたかったら、いつでも聞きに来てね」
名刺を俺たちに渡して、ウィンクをしてからお姉さんは奥の方へと去っていった。あ、やっぱOLだったんだ。
「ああ言ってたし、見てくか」
「うん……ねぇ、総くんっていつもあんな感じなの?」
「あんな感じって?」
「えっと……その、初対面の女の人から…………あっ!そろそろ始まるみたいだよ!」
めちゃくちゃ下手なはぐらかし方をされてしまった。
え、なに?何が聞きたかったの?ちょいと気になるけど、ここで追求して変な空気になるのもアレだし、後で聞いたとこでこの感じだと「なんでもないよ」と言われるだろうし……聞かなかった事にするか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…………」
いやぁ……想像以上だったわ。
人は本当に感動すると言葉がでなくなると聞くが、まさにその通りだわ。スクリーン越しだというのに現地にいるかのような迫力。周囲の人の盛り上がりもあって熱気やら興奮やらが冷めないような胸の内から湧き上がって来る衝動。
世の中スクールアイドルが人気になるのもわかるな。
「……これほどとはな」
「楽しめた?」
「あぁ……アマチュアとはいえ、学生の身分でこんなにも完成度の高いステージを演出できるなんてな。周りの人の声援もすんごかったし……感無量っつーか……うん、圧倒されたわ」
「そうだね。すごい一体感だったよね!」
どうやら歩夢もライブの熱に当てられ、多少なりとも興奮してるようだった。
もう一度街頭ビジョンへと目を向けると、18人の少女たちが映っていた。
誰が誰だかさっぱりわからんが、それでもこんなに楽しめるもんなんだな。
「……もしかして、見つけれた?」
ずっとビジョンを見ていたせいか、歩夢が俺の方へと見上げていた。
「……わからん……が、これほどまでに衝撃を受けたのは初めてかもしれん。頭をモーニングスターで殴られた気分だ」
「死んじゃわないかなそれ……うん。総くんが熱中できるものだったら、私どんなことでも応援するし、些細なことでも力になりたいから」
ずっと前にも聞いた言葉。
むかっしから何事にも本気で打ち込めずなーなーで生きてきた俺に対し、変わらず笑顔で励ましてくれた。
……ホント、俺なんかにはもったいない最高の幼馴染だよ。
「ありがとな、歩夢。そんじゃさ、帰ったらさっきお姉さんがくれた名刺から、スクールアイドルの事聞いてみようぜ」
「…………………うん。私なんだって協力するからね……」
あれ?なんか端切れ悪くなってません?
そして、今日の夕食のおかずが一品減った。
解せぬ。
なぞのおねえさん 穂乃果と千歌の大ファン。25歳会社勤めのOL。職場からは同僚にも好かれ、男子職員からの人気も高い仕事できる年上のお姉さん的な感じ。
今後登場する予定はなし。
嫉妬丸出しな歩夢ちゃんを書きたかったんや。
仲の良い異性と出かけておきながら、この男初対面の女性に声をかけるという。
歩夢ちゃんでもご機嫌斜めになると思うんです。