あなたと奏でる物語   作:Clear2世

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忘れた頃に投稿よー(´・ω・`)


2話 其の二

授業中をなんとか半寝半起き状態でいたが、特に問題なく授業終了。

ほぼ全ての時限で先生たちに「仲橋ー。寝不足なら保健室に行ってっもいいんだぞー」と言われたが、大丈夫です。起きてますからと言った感じで切り換えしていたので、恐らく問題はない。ちゃんとノートもとってあるし(めっちゃ汚いがなんとか読める)先生に当てられた時もちゃんと答えれてたしな。

全員俺が夢の世界へ誘われていたのを見抜かれてるとは思わなんだ……ハハッ。

 

そんなこんなで、あっという間に放課後ティータイム。

HR終了と同時に歩夢から早く帰って寝たほうが良いと言われ、一緒に帰らないかと誘われたのだが、野暮用……スクールアイドル同好会の様子を見に行くと伝え、歩夢には先に帰ってもらった。

何やら悟ったような表情をした後、いつものように満面の笑みを浮かべ、送り出してもらった。

いい……笑顔です。

 

んで、今日は生徒会の用も他の部に顔を出す用もないので、

スクールアイドル同好会の動向を探ってみようと言うわけなのですよ。同好会だけに!!

………………うん。何しょーもない事を考えてんだ俺は。

これは早急に用を終わらせて、さっさと横になったほうがいいわな。

眠気はだいぶ吹き飛んじゃったけどね。というか、そんなに眠くない。気持ちが昂ぶっており、今ならなんだってできるくらいにテンションがアゲアゲなんですわ。

ひょっとしたら、血液も沸騰してるんじゃなかろうか。

これなら積年のライバルだって、負けフラグを立てても危うげなく蹴散らすことだって出来るんじゃなかろうか。

まぁ、俺にはサートシ君とかシゲル君みたいな間柄のライバルなんておりませんけど。

幼馴染はいるけど、ライバルって感じじゃないもんな。

 

「スクールアイドル同好会は部室棟の方だったよな……だったよね?」

 

思わず繰り返し呟いてしまう程、虹ヶ咲学園(ウチ)の規模の大きさには何度だって驚いてしまう。

こんな馬鹿でかい校舎……敷地内かな。何処に何があるかどころか、下手すりゃ彷徨い続けかねないくらいにこの学園全体は広い。

今年の新入生アンケートの結果、迷わず目的地にたどり着ける自信があるかと集計を取ったところ、半分以上は自信がないと回答(何人かは既に迷ったと書かれてたり)されるほど広いし、色んな学科とか部屋もある分下手なアトラクションの迷路より迷路してる。

さすがに俺も入学当初は覚えるのに時間かかったからな。

今では色んな部に顔出したりしてるし、生徒会役員が道わからないのはさすがにマズイからな。

頭ん中に地図を描けるくらい造作もありません。

 

「ここか」

 

以前まではスクールアイドル自体に興味がなかった上に、他の部と違って向こうから声をかけられることもなかったからな。来たのは初めてかもしれない。

 

スクールアイドル同好会の部室は部室棟2階の端。立地からしてあまりよろしくないこの感じ、廃れてる感に拍車をかけてる気がするな。

部室棟に来ることはそこそこあるが、スクールアイドル同好会は末端にあるせいで他の部のついでに寄るってこともなかったし。

そんじゃまー、ノックをしてもしもーしと。

 

「はーい。どなたですかー?かわいいかわいいかすみんにごようですかー」

 

扉の向こうからこれまた聞き覚えのあるやや甘ったるい返事がきた。

ああ、そういやスクールアイドル同好会に入部したって言ってたっけな。

あちらはまだ俺だと気づいていない様子。まだノックしかしてないから当然と言えば当然か。

……ちょっと悪戯心が湧いてきたな。

んんっ。咳払いをして、声の性質を整えってっと。

 

「こんにちは。私は生徒会の者です。スクールアイドル同好会さん。今日は折り入ってご相談したいことがあって伺いに来ました(cv 楠〇ともり)」

 

菜々会長の声をお借りしました。

イメージするのはまだあったばかりの時のお堅い生徒会長。

知的でクールな不用意に近づく者をバッサリ斬り落とす感じのお堅そうなvoiceで。

 

「むむっ!わざわざ来てもらってすみませんがお引き取りお願いします!部室を明け渡すのは月末の約束だったじゃありませんか!」

 

完全に生徒会長だと信じ込んでいるようだ。顔は見えなくともわかる。俺の変声技術も絶好調である。

……が、このままだと門前払いされそうだ。なんか聞き捨てならん事も言ってたわけだし。

早いけど種明かしをさせてもらうとしますか。

あ、向こうから開けてくれた。

 

「いいですか!スクールアイドル同好会はぜったいに、ぜーーーったいに廃部になんかさせませんからっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「もう!先輩なら先輩だってちゃんと言ってくださいよー。かすみん、てっきりあの鬼の生徒会長が来たのかと思って泣いちゃいそうだったんですからね」

 

「悪い悪い。少し魔が差しただけだ。先輩として、かわいい後輩の為にサプライズの一つや二つ手土産にしなきゃいけんと思ってだな」

 

「むぅ……今のかすみんからしたら、ちょっと洒落にならないサプライズでしたけど。でもっ、かすみんがかわいいならしょうがないですね!特別に許して上げます!」

 

怒りのボルテージが少々溜まっていたようだったが、かわいいの所を強調して謝ったら、すぐにボルテージは収まったようだ。

やだ、このこってばチョロすぎ……!?

 

 

俺がスクールアイドル同好会を潰さんとする生徒会の手先という誤解も早々に解け、部室へと入れてもらっている。

「好きな所に座っていいですからね。今かすみんが先輩の為にとっておきの一杯を披露しちゃいますから」

と楽しそうに飲み物を用意してる後輩ちゃんの後ろ姿を眺めつつ、全体を見渡せる壁際のソファーに腰を下ろす。

 

部内を見渡すと、物は綺麗に整頓されてるし、その辺にゴミも落ちておらず、目の前のテーブルもピカピカに磨かれている事からからいつ誰が来ても……いや、いつ戻ってきてもいいようにか。掃除もちゃんと行き届いているのがわかる。

うーん、同好会として全体の活動はしていないが、彼女みたいに部室に足を運び個人での活動はしている……そんな感じだろうな。

 

 

「それにしても先輩がスクールアイドル部に来るなんて珍しいですね。いつもだったら私から先輩のとこに行くんですけど」

 

ティーポットと二人分のティーカップを載せたトレイをテーブルに置いて、そのまま俺の真横に腰をかける。

…………なんでわざわざ隣に?しかも密着するように。

普通に対面側の方に座りゃいいだろうに。

 

「たまには俺から会いに行くのも良いと思ってな。……それよりちょっと近すぎやしないか?」

 

「そんなことありませんってば。かすみんと先輩の仲じゃありませんか!それよりもほらっ先輩の為に淹れた、愛情たっぷりのスペシャルアッサムティーですよーほらほらっ、ぐいっといっちゃってください!そ・れ・と・も、かすみんの口移しとかが良かったりします?」

 

「いただきます」

 

こっちの分のティーカップに手を伸ばしてきた手よりも早く、手に取る。

そこまで嫌がらなくても……とやや不満げにしていたが、早く飲んでほしいのか、食い入るようにこちらを睨むように見てくる。

……こうも見られていると飲み辛いな。

つーか、この紅茶何か怪しいもんでも入っていないだろうな。媚薬とか睡眠薬とか振る舞われたりしてないだろうか。

 

「年頃の女の子が気軽にそんなこと言うんじゃありません。俺と君は入学式に迷って半泣きの後輩を案内したただの一般生徒会役員だ」

 

「そ、その事は忘れて下さいって言ったじゃないですかー!」

 

しかも生徒会に入ってる時点で一般生徒じゃないですし!とかなんか言って、余裕そうな態度から一変、目に見える程顔が赤くなる。

 

このやたらかわいいを連呼し、自らをかすみんと名乗る少女は中須かすみ。通称かすかす(呼ぶと怒る)

今年入学し、虹ヶ咲学園の制服に袖を通したばかりのピッカピカの一年生。

さっきちょろっと言ったが、このグイグイ来るかわいい少女とは今年度の入学式の時に出会った。

先生に頼まれて、資材を運んで仲庭を通っていたんだけど、女の子がキョロキョロと半泣きで彷徨っていたとこを見かけた。大方新入生で迷子になったんだろうと思い、そのまま放置するのはどうかと思ったので、声をかけ話を聞いたところ、案の定入学式を行う場所がわからなくなったみたいなので案内したというわけだ。

制服のリボンが黄色だったことからして、新入生なのはすぐにわかったし、毎年こういう事が起こっているのはわかっていたからな。

 

「ふーん、アッサムティーか。普段そんなに飲まないけど中々イケるんじゃねーの」

 

「ほんとですか?ふっふーん。ですよねですよね!かすみんが先輩の為に淹れたんですからね。マズイはずがあるわけないですもんね。褒めてくれっちゃってもいいんですよ?」

 

「おう。ありがとうな。こんな美味い紅茶淹れてくれて、さすがは中須かすみだな」

 

「えへへー……って、なんでフルネーム呼びなんですかっ!」

 

「だってこないだは名字呼びは嫌がったやん」

 

「だからってフルネーム呼びはないと思いますっ。かすかすって言われてるみたいで、嫌です。かすみんか、かすみちゃんかもしくは私だけのオンリーワンな呼び方を所望します。……あ、撫でる手は止めないでいいですからね」

 

「んじゃぁ…………親しみを込めてカッスーで」

 

「ひぎゃぁっ!それもダメですー!ぜんっぜんかわいくありませんし、却下です却下!!」

 

まぁ、このような感じでじゃれ合うくらいには懐かれているんじゃないんですかね。

入学式以降、校内をうろついていると彼女がやってきて色々話したり、部活の事も話したりしてくれたし。

最近はその頻度も減ってきたような気がするが……うーん、もうちょいこっちからも気にかけておけばよかったかもなぁ。

 

「はぁ、はぁ……それで、先輩のご用件ってなんなんですか?はっ!もしかして、同好会に入ってくれるんですか!?」

 

「や、入部する気はないけど」

 

「えぇー……かすみんの力になってくれるんじゃなかったんですかぁ……」

 

露骨にガッカリと肩を落とす。

スクールアイドルに興味を持ち始めた言うても、部活やら同好会に入りたいかって言われたらNO!って感じだしな。

 

「それも含めて話を聞きに来たんだ。スクールアイドル同好会が潰れそうって聞いたんだが――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――というわけなんです」

 

「……なるほどな」

 

中須から今までの出来事を聞き、おおよそだが事情が見えてきた。

元々スクールアイドル同好会は中須含む5人で活動していたということ。最初は順風満帆に取り組んでいたが、途中で全員のやりたいことの方向性が違う事に気付き上手くまとめることができず、そのままギクシャクし自然消滅しかけてる感じか。

 

で、そんな弱りきってるとこを生徒会からまともに活動していないのなら、さっさと他のやる気のあるとこに部室を譲ってやれよ……と。

だいたいこんな感じか。

ふーむ……生徒会に所属してるし身だが、そんな話は来ていなかったけどな。

俺の知らない所で話が進んでいたと考えるのが自然か。……少し調べてみるとするか。

 

 

 

「ううぅ……せっかく虹ヶ咲学園に入学して、大好きなスクールアイドルになれたと思ったのに……このままステージにも上がれないまま終わっちゃうなんて……そんなの嫌です!!」

 

目の端に溜まっていた涙を袖で拭い去って立ち上がる。

 

「子供の頃からスクールアイドルに憧れていて、かわいい衣装を着て、歌って踊ってたくさんの人たちにかわいいねって言われたいのに……!」

 

両手を握りしめ震える声で本音を打ち明ける彼女の言葉からは強い意志を感じた。

スクールアイドルが心の底から好きで絶対に諦めたくないという強い想いも。

……あの時と同じだ。μ'sとAqoursの合同ライブを見た時に俺の胸の奥から湧いてくる熱い何か。

彼女たちについてはあって、俺にはない何か。

 

「ごめんな」

 

「えっ……な、なんで先輩が謝るんですか?」

 

「中須……いや、かすみに困った事があれば俺を頼れとか言っておきながら、このざまだ。こんなんじゃ先輩失格だよな」

 

思えば、最後にかすみと話した時俺を同好会に入らないかと言ってきたが、あの時はいつもと違って少し遠慮してた気がしなくもない。

……それが彼女のヘルプサインだったのかもしれない。そこで普段と様子が違っていた事を聞いていれば……いや、たられば話はきりがないか。

 

「そ、そんなことないです!先輩は……先輩は私の事をずっと気にかけてくれてました!あの日だって……先輩の他にも何人か上級生らしき人は通りました。……でも、先輩みたいに声をかけて来てくれる人は誰もいませんでした。先輩だけなんです。かすみんのことをケムッたがらないで、話してくれたり、相談に乗ってくれる……先輩は」

 

ぽつりぽつりと思い出すかのように話してくれる。

まさか彼女がそこまで慕ってくれていたなんて。まだ出会ってからそんなには経っていないはずなんだけどな……よし。

立ち上がり、彼女の頭の上に手を起き膝を曲げて目線を合わす。

 

「ありがとうな。そこまで頼りにしてくれていたなんて思わなかった」

 

「ふ、ふんっ。か、勘違いしないでくださいよねっ。別に先輩の事なんて、頼りにしてるわけじゃないんですからっ」

 

「そうか。じゃぁ、帰るわ」

 

「ま、ま、ま待ってください!冗談です!冗談ですってば!男の人は古来からこういうツンデレなキャラに弱いって聞きましてですね……!」

 

「古いよその情報」

 

どこかで聞き覚えのあるセリフを言い放つと、ガーン!と効果音が表示されそうなくらいに衝撃を受けていた。

うん。この子にはやっぱ元気で笑顔を見せてくれる方がずっとかわいいんじゃないかな。

さて、と……後輩にここまで言わせといて、なにもしないというのは先輩の名が廃ると言うもの。

 

「んじゃ、行くとすっか」

 

「行くって……どこにですか?」

 

「決まってんだろ。同好会を存続させる為に直談判しに行くのさ」

 

扉に手をかけたところで、後ろから聞いてくる。

俺は首だけを振り返ったままかすみにこう告げ、扉を開けるのであった。

 

「生徒会にな」




かすみん かわいいに拘る普通にかわいいJK。
アホの子に見えて、家庭的だったり常識が割とあったりする。
ウザいとこもあるけどなんやかんやでかわいいから許せるよね。二次元だからかもだけど。
このSSではあなたくんを慕う後輩ちゃん(1号)
あなたちゃんと異なってる箇所は事前に知り合いだというとこ。
たまにウザいとこもあるけど、ワンコみたいに尻尾をブンブン振って付いてきてくれる様を書きたい。
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