「全艦マルチ隊形。続いて、波動砲発射体制への移行を通達せよ!」
山南の乗るアンドロメダは、第二艦隊を引き連れて、その二つの波動砲口を煌めかせながら、その中心に位置取りをしていた。そして、古代の乗るヤマト率いる第三艦隊と、スコーク率いる北米第七艦隊は、第二艦隊の後方につけ、撃ち漏らした敵に更に波動砲を撃ち込んで殲滅する作戦だった。
こうして、各艦隊の波動砲搭載艦、計二十隻が、艦隊の前に前進し、並列に位置取りを始めた。事前に取り決められた典型的な複数の艦船による波動砲の発射体制である。
「エネルギー充填、百二十パーセント」
ヤマトの機関長、徳川太助が慌ただしく、波動砲発射準備を進めていた。
「ターゲットスコープオープン。電影クロスゲージ、明度二十。敵艦隊、波動砲の軸線に乗りました」
北野が、敵に狙いをつけて、波動砲の発射準備を終えようとしていた。
「艦長、本当にこれで良かったんでしょうか?」
北野は、ここで波動砲を使用することで、相手との泥沼の戦争に突入する未来が見えていた。それを思って、苦しそうな声で言った。
古代自身も、同じ疑問を抱いていた。全面戦争の火蓋が切って落とされ、大切な雪と我が子が危険にさらされる可能性に苦悩した。しかし、今ここで降伏しても、何も変わらないと、一時の迷いを打ち消した。艦長として、強い意志で部下の迷いを断つ必要があった。
「北野。我々は、ここで絶対に敗北することは出来ない。地球を守るために必要なことは全てやる。この決断が間違っていないと、今は信じよう」
古代は、厳しい表情で北野だけでなく、第一艦橋の全員に、冷静に語りかけた。
しかし、古代を振り返る全員が、不安そうな顔をしている。それでも、古代はやらねばならなかった。
第三艦隊の主力戦艦コンゴウの島も、ヤマトの横に並んで波動砲の発射用意を整えていた。
「やるしかないのか。本当に? 俺が迷ってちゃ駄目だよな」
島は、心の中の不安を必死に打ち消そうとしていた。コンゴウの艦橋の皆を鼓舞しなければ、と島は決意した。
「皆、どんなことがあっても、必ず地球を守るぞ。そして、無事に家に帰ることを考えて集中しろ!」
「波動砲、発射準備完了しました」
山南は、南部から報告を受けた。山南は、振り返って艦長席を見る南部に頷いた。南部の表情は、決意に満ちていた。
「そのまま、土方総司令の命令あるまで待機!」
山南は、緊張感で張り詰めた艦橋の士官全員を見回した。その自身の額には、嫌な冷たい汗をかいていた。
「こいつを、人間に向けて撃つときが、こんなに早く来るんなんてな。俺も、覚悟を決めないとな」
山南は、自らの緊張を和らげる為、独り言を口にして、スクリーンに映る一千隻の敵艦隊を睨んだ。
続く…
注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。