宇宙戦艦ヤマト2199 連邦の危機   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「連邦の危機」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」の続編になります。


連邦の危機14 帝国艦隊との攻防

 空母シナノでは、発艦準備に追われていた。舷側に設けられた艦載機用のエレベーターは、フル稼働しており、ひっきりなしに昇降して、発艦予定の機体を飛行甲板に移動させていた。飛行甲板では、待機位置に移動する航宙機と、それを誘導する甲板員でごった返している。

 発艦位置に着いた機体は、エンジンをフル回転させ、今にも飛び立って行こうとしていた。

「こちら、第一戦闘機隊の山本。発艦準備完了。指示があり次第発艦する!」

 空母シナノの戦闘指揮所にいた土方は、戦闘機隊や攻撃機隊の発艦準備が整ったとの報を聞いていた。

「先に行かせた早期警戒管制機は、位置に着いたか?」

「確認します。はい。敵艦隊付近の目標宙域に到着して待機中です」

 土方は、報告したレーダー手に大きく頷いた。

「航空隊に通達。第一波発艦!」

「了解。第一波発艦許可がおりた。繰り返す、第一波発艦を許可する。続けて、第二波発艦準備に取りかかれ」

 この指示を切っ掛けに、飛行甲板に駐機するコスモタイガー、そしてコスモイーグル各機が、次々に飛び立って行った。

 その頃、極東第二、第三艦隊、そして北米第七艦隊は、それぞれ離れた宙域で戦闘配置を完了して待機していた。極東第一艦隊空母シナノが艦載機を発艦したのと時を同じくして、アンドロメダとヤマトの艦載機発着口からも航空隊が発艦していた。

 空母シナノから発艦した第一、第二戦闘機隊と攻撃機隊が六十機、そしてアンドロメダとヤマトから発艦した戦闘機隊それぞれ十機は、複数の方向から、一斉にガルマン帝国艦隊がいる宙域に向かって行った。

 空母シナノの戦闘指揮所で全体の様子を見守る土方は、総数八十機の航空隊が敵艦隊に攻撃を加えるべく飛行する様を鋭い眼光で見つめていた。

「第二、第三、北米第七艦隊に作戦の第二フェーズ移行を通達。それぞれ、敵艦隊の右舷、左舷、艦底方面から接近して距離を詰めろ。我が第一艦隊は、正面から接近する。航空隊による攻撃で陣形が崩れたところを、四方からの一斉砲撃によって、敵艦隊を撃滅する」

 空母シナノの通信長は、すぐにこれを伝達した。

「了解。各艦隊に総司令の命令を通達……」

 

 第二艦隊の旗艦アンドロメダでは、通信長の佐藤から山南に、命令が伝わった。

「佐藤、第二艦隊、全艦に通達。敵艦隊右舷方向から接近する」

「了解しました!」

 続けて山南は、自艦の艦橋の乗員に指示をした。

「仲村航海長。アンドロメダ発進」

「了解。アンドロメダ、発進します」

 その時、振り返って山南を見つめていたのは戦術長の南部だった。南部の表情は、緊張感で強張っていた。山南は、南部に言った。

「いよいよだな。お前をヤマトから引き抜いたのは、こんな時が来た時の為だ。俺の期待に応えてくれよ」

「もちろんです。任せて下さい!」

 南部は、そう答えると、前を向いて目の前の宇宙空間を睨みつけていた。

 そんな南部の様子を、技術長の真田が、黙って心配そうに見守っていた。

 艦橋の士官らの張り詰めた空気を感じ取った山南は、自身も緊張感で胸が一杯になっていた。

「いよいよだな。頼むぜ、相棒」

 山南は、艦長席の機器を撫でて、アンドロメダが期待通りの働きをしてくれるよう、心の中でそっと祈った。

 

 その後、飛び立った航空部隊は、偵察機が確認した敵艦隊の索敵範囲まであと五分、というところまで接近した。

 土方は、通信機のマイクを掴んで通信長に、ガルマン帝国艦隊に繋ぐよう指示をした。暫くすると、通信が接続され、スクリーンに、北米第七艦隊が交戦した時と同じ敵の司令官が映っていた。相手の表情は、少し驚いている様子だった。

「こちらは地球連邦、太陽系防衛艦隊司令の土方である。太陽系に接近するガルマン帝国艦隊に警告する。これ以上の接近は、地球連邦への脅威と判断し、攻撃を開始する。我々は、貴国との交戦を望んでいない。速やかに、この宙域から引き返して欲しい」

 土方は、このような話で相手が引き下がるとは思っていなかった。これは戦闘開始を相手に通告する手続きとして行ったものだ。

 ガルマン帝国艦隊のキール司令は、にやりと笑って口を開いた。

「ガルマン帝国西部方面軍第十五、十三艦隊司令のキールである。貴官の申し出は受けられない。我が帝国に対する自作自演の謀略と、破壊工作を画策する地球連邦を脅威とみなし、ここに艦隊を差し向けたものである。我が帝国の軍門に下り、降伏を勧告する」

 土方は、表情を変えずに黙って相手を睨みつけたままだった。土方は、航空部隊があと僅かで敵の索敵範囲内に到達するのを、別のスクリーンで確認し、最後通告を行った。

「そのようないわれの無い、虚偽の事実に基づき行動する貴国の言いなりになるつもりはない。ここで引かぬと仰るのであればやむを得ない。攻撃を開始する。以上だ」

 土方は、そこで通信を一方的に切断した。

「全艦、および飛行中の航空部隊に発令! 作戦第三フェーズ開始!」

 

 一方的に通信を切られたキール司令は、まだ作戦会議中だった。慌てたキールは、全艦隊に指示をした。

「地球連邦は、奇襲攻撃を加えて来る気だ! 全艦、戦闘配置!」

 しかし、その指示は少し遅かった。キール司令は、作戦司令室のスクリーンに、太陽系防衛艦隊が放った航空部隊が一斉にレーダーに捉えられ、光点として現れるのを見た。艦隊の四方八方から、多数の敵の航空部隊が接近している。

「いかん。至急、こっちも艦載機を発艦させろ!」

 

 加藤は、第一攻撃機隊を伴って敵艦隊の下方から一斉に敵艦隊に襲いかかろうとしていた。

「野郎ども、俺について来い!」

 十五機のコスモイーグルが、編隊を組んで真っ直ぐに敵の駆逐艦に目標を定めて接近していった。攻撃機隊の目的は、敵艦隊を守る駆逐艦を攻撃して陣形を崩し、艦隊の主戦力となる敵のミサイル巡洋艦や空母を裸にすることだった。防衛軍の艦隊は、それを狙って砲撃し、敵の主戦力を一気に奪う作戦だった。それでも敵の戦意が喪失しない場合、更に第二波の航空部隊が攻撃を加えることになっている。

 敵の駆逐艦は、加藤らの部隊に機関砲による迎撃を開始した。しかし、時すでに遅く、加藤らの攻撃機隊は、それぞれの目標を定めて、腹に抱える対艦ミサイルの狙いをつけた。

「各機、攻撃開始!」

 加藤は、照準器に捉えた駆逐艦に向かって急速に接近しながら、操縦桿上部の蓋を親指で開くと、発射ボタンを押した。

 コスモイーグルは、横に広がりながら、一斉に一発づつ対艦ミサイルを発射した。この対艦ミサイルは、ヤマトの艦首魚雷と同等の炸薬がセットされており、命中すれば敵の艦船と言えど、大きな被害は免れ無い。

 攻撃機隊から放たれた対艦ミサイルは、次々に敵の駆逐艦に命中した。ミサイルを受けた駆逐艦は、次々に大爆発を起こしていた。この一度の攻撃で、駆逐艦二隻が大破し、四隻が中破、五隻が小破の被害を敵に与えていた。

 対艦ミサイルを放った加藤の攻撃機隊は、反転して一度艦隊から離れて行った。そして、戻って残りのもう一発を見舞う為、旋回した。

「皆、無事だな? もう一度行くぞ!」

 加藤の攻撃機隊の護衛で随伴していた山本率いる戦闘機隊は、一緒に旋回していた。

「加藤隊長! 敵の艦載機が発艦したみたい」

「こっちもレーダーで確認した。頼むぞ、山本! 俺たちは、もう一度敵艦隊にミサイルをお見舞いしに行く」

「任せて!」

 敵の艦載機が多数向かって来るのが見えていたが、加藤の攻撃機隊は、それを避けずに真っ直ぐに、敵の駆逐艦に再び向かって行った。

 山本率いる戦闘機隊は、接近する敵の艦載機に向かって飛んで行き、それを引きつけるように敵機を煽った。双方の対空ミサイルが飛び交い、一帯は航空部隊による乱戦の様相となっていた。

 山本は、早々とミサイルを全基撃ち尽くして、機関砲による攻撃に切り替えていた。敵の艦載機の背後を取るため、互いに旋回や蛇行を繰り返し、背後を捉えた瞬間、敵機を撃墜した。山本らの戦闘機隊は、散り散りになってしまっていたが、どうにか敵機を撃退していた。

 山本が、加藤の攻撃機隊の様子を確認すると、どうやら全機無事なようだった。しかし、更に次の敵機が接近していた。戻ろうとする山本らの戦闘機隊にも、別の部隊が接近していた。

「くっ! これじゃ、戻れない!」

「山本! 戻れるか? ダメならミサイルを放棄して俺たちも空戦に加わる!」

 すると、加藤らの攻撃機隊を守ろうと、別の地球連邦の戦闘機隊が近づいてきて、戦闘を始めていた。

「篠原か!」

 加藤は、やって来た編隊が、ヤマト航空隊のものだと気がついた。

「加藤隊長、ミサイルは捨てずに、敵艦隊に撃っちゃって」

 篠原は、にやりと笑って加藤に通信で伝えると、すぐに敵編隊に向かって行った。

「皆、攻撃機隊を守るぞ!」

 篠原の指示で、ヤマト航空隊が一斉に加藤らの攻撃機隊に接近する敵機に襲いかかった。

 

「土方総司令、航空部隊の戦果を報告します。敵の駆逐艦三隻が撃沈、大破十二、中破十五。味方にも被害が出ています。航空部隊のうち十二機が撃墜されました。この戦闘で、敵艦隊は、陣形が崩れて混乱しています」

 土方は頷いた。

「予定通りだ。作戦の第四フェーズを開始する。全艦隊に砲雷撃戦用意を通達!」

 

 ガルマン帝国艦隊は、地球連邦太陽系防衛艦隊の奇襲攻撃を受けて大混乱に陥っていた。

「消火急げ! 艦を沈めたいのか」

 大破した駆逐艦では、艦橋のガルマン帝国軍士官が、火災発生区画まで降りてきて、イスガルマン人の乗員に、延焼を止めるように命令していた。

「駄目です! 火の広がりが早くて手の施し様がありません!」

「仕方がない。隔壁を閉鎖しろ! その区画を放棄する」

「逃げ遅れた仲間がまだ向こうに!」

 その士官は、区画放棄に反対するイスガルマン人の乗員をいきなり殴りつけた。そして、床に倒れた彼を蹴りつけて、隔壁の向こう側に転がした。

「これで、仲間と一生一緒にいられるぞ」

 ガルマン人の士官は、壁のパネルを操作して、隔壁を閉鎖した。

 隔壁の向こう側で、扉を叩く音がしていたが、彼は更にパネルを操作して、その区画の外壁の一部を爆破した。区画内の空気が宇宙空間に一気に吐き出され、ようやく火災の延焼が止まった。先程まで扉を叩いていた音は、既にしなくなっていた。

「馬鹿な奴らだ。こんな所で一緒に死ぬのはごめんだ」

 そんな彼の近くに、数名のイスガルマン人がやって来て、隔壁の扉に向かって祈りを捧げ始めた。

「マザー・シャルバート。どうか彼らの心を救いたまえ」

 彼らは、死んでいった同胞の為に祈って涙を流していた。ガルマン人の士官は、呆れた表情で彼らを見た。

「俺たち士官は、これから脱出するだろう。祈っている暇があれば、お前たちだけで艦が動くように修理をしておけ!」

 そう言い残して彼はその場を立ち去った。彼の頭の中は、今すぐに脱出することしか考えていなかった。

 残されたイスガルマン人たちは、嘆き悲しんでいた。

「俺たちも、ここで死ぬのか?」

「ボラー連邦との戦争で死んでいった仲間も、きっとこうやって、ガルマン人に見捨てられたんだろう」

「今こそ、マザーが来てくれたら……。この世に救いはないのだろうか……」

 

「状況報告!」

 ガルマン帝国艦隊のキール司令は、敵の奇襲攻撃で複数の駆逐艦が撃沈されるか大破して航行不能になっているのを確認していた。

「どうするかね?」

 作戦司令室のスクリーンに、第十三艦隊司令のヤビルシアが映っていた。キール司令は、憮然とした表情で、その顔を覗き込んだ。

 その時、司令室の別のスクリーンに敵艦隊接近の警告表示が出ていた。

「キール司令! 敵艦隊、接近して来ます!」

 艦隊は、四方から迫って来ていた。このままでは、一斉砲撃の餌食だった。

「ヤビルシアくん。まぁ、そこで見ていたまえ」

 キール司令は、努めて冷静に彼に言った。

 キールは、前回の交戦で彼らが精度の高い迎撃技術を持っていることを知った。しかし、彼にはまだ奥の手があった。

「これは避けられまい。前にお前らの艦を沈めたミサイルだ。ミサイル巡洋艦全艦に通達! 集束弾頭ミサイルを使用する。接近する敵艦隊に即時攻撃開始!」

 ガルマン帝国艦隊の中央にいたミサイル巡洋艦十隻から集束弾頭ミサイルが四基づつ、計四十基が一斉に発射された。ミサイルは、巡洋艦の上部ミサイル発射口から飛び出し、弧を描いて、地球連邦艦隊それぞれに十基づつ接近していった。

 

 地球連邦の各艦隊では、イージスシステムが反応し、自動的にそれぞれの目標を捉えて一斉に迎撃ミサイルが発射された。

 第三艦隊のヤマト第二艦橋では、西条未来がイージスシステムが捉えた敵ミサイルの光点に、ミサイル巡洋艦から放たれた迎撃ミサイルの光点が向かって行くのを注視していた。

「迎撃ミサイル、間もなく命中します」

 古代も、スクリーンを見ていた。

「迎撃が成功したら、砲撃を開始する。北野、土門。敵艦隊への照準、自動追尾そのまま続行。敵ミサイルの迎撃も準備しろ」

「了解しました! パルスレーザー砲台は、迎撃準備」

 その時、西条未来が報告した。

「迎撃ミサイル命中!」

 しかし、一部の光点が消えずに更に接近していた。

「敵ミサイル二基、前衛の駆逐艦の直上から接近中。至近距離です!」

 しかし、レーダーから、光点が二基とも突然消えた。

 

 ガルマン帝国艦隊が放った集束弾頭ミサイルは、第三艦隊の駆逐艦の直上から接近中に、突然弾頭を残して分解した。そして更にその弾頭の外装が分解すると、内部から、数え切れないほどの小型爆弾が飛び散った。

 小型爆弾が降ってきた複数の駆逐艦では、対空機銃やパルスレーザー砲によって、一部を撃墜した。しかし、小型爆弾の数があまりにも多く、雨のように真上から爆弾を浴びることになった。高速に飛来した小型爆弾は、駆逐艦の装甲にばらばらと突き刺さると、ひと呼吸置いて、一斉に爆発した。

 三隻の駆逐艦は、一斉に大爆発を起こして撃沈してしまっていた。

「艦長! 駆逐艦三隻が、一瞬にして沈みました」

 古代の顔面は蒼白になっていた。しかし、すぐに気を取り直して、全艦に指示をした。

「至急、生存者の救助に向かえ!」

 

 北米第七艦隊でも、同様の被害を受けていた。艦隊司令のスコーク宙将は、この攻撃によって、思い当たることがあった。僚艦アンティータムとチャンセラーズビルが撃沈されたのは、このミサイル攻撃に違いないと確信していた。

「やはり、奴らの仕業だったか……」

 ミサイルは、第一、第二艦隊でも、同様の被害を出していた。

「状況報告!」

 土方は、険しい表情で、周囲を見回した。

「各艦隊とも、先程のミサイル攻撃によって前衛の駆逐艦に相当数の被害を受けています。全艦隊の駆逐艦のうち、十隻を失いました。他に、大破、または中破した駆逐艦が五隻!」

 土方は、現状のイージスシステムでは、この攻撃を完全に避けるのは困難だと判断した。

「全艦に通達。作戦を一時中断して、少し後退する。敵のミサイル攻撃圏内から、一時離脱!」

 

「キール司令! 敵艦隊が後退して行きます」

 キールは、ほっと安堵していた。未だにスクリーンに映っていたヤビルシアは、キール司令に話しかけた。

「お見事。次はどうされますか?」

 キール司令は、少し考えたが、敵艦隊の能力が想像していた以上に高く、これ以上の戦闘は自軍の被害も甚大になる可能性があった。

「うむ。少し早いが、切り札を使おう。特務艦に通達! 出番だと伝えろ。準備出来次第、全艦で敵艦隊に向けて前進する」

 

「土方総司令、敵艦隊が前進して来ます」

 土方は、敵艦隊の動きを注視していた。

「もう一度、敵の隙を作って立て直す。航空部隊に通達。第二波攻撃を行う。発艦準備急げ!」

 空母シナノでは、第一波の攻撃に向かった航空部隊が次々に着艦していた。甲板上は、発艦準備と着艦する航空部隊とが錯綜し、慌ただしく甲板員が航空部隊を誘導していた。

 その時、空母シナノの戦闘指揮所では、レーダー手が慌てた様子で土方に報告した。

「土方総司令、敵艦隊の増援が現れました!」

「何?」

 土方がレーダーが表示されているスクリーンを見守ると、光点が次々に現れていた。その数はどんどん増え、数えきれない程の光点が出現していた。

「敵艦隊の増援部隊、続々とワープアウトして来ます!総数約一千隻!」

 さすがの土方も、それには驚きを隠せなかった。

 そこに、敵艦隊から通信が入っていた。

「総司令、敵の司令官からの通信です」

 土方は、スクリーンに表示される敵艦隊の光点を睨みながら、暫し沈黙していた。

「繋げ」

 戦闘指揮所のスクリーンに、再びキール司令の姿が浮かび上がった。

「やっと増援が来たようだ。土方司令。我々としては、降伏を勧告したいと思うが、いかがかね? それとも、本気で我がガルマン帝国とやり合うかね?」

 土方は、憎々しげに相手の顔を鋭い眼光で睨み続けた。

「我々は、地球を守るという使命を帯びてここにいる」

 キール司令は、にやにやと笑っていた。

「降伏するぐらいなら、全滅を選ぶと言うのかね? 頭を冷やしたまえ。少し、考える時間をやろう。五分後にまた連絡する」

 通信が一方的に切れた。

 戦闘指揮所は、しんと静まり返ってしまっていた。土方は、僅かな時間沈黙し、考えを巡らしているようだった。そして、決意を固めたのか、通信長に命じた。

「至急、全艦隊に通信を繋げ!」

 通信長は、慌てて通信回線を開いた。

 戦闘指揮所のスクリーンに、山南、古代、スコークが呼び出されていた。

「諸君。私は、もはや通常兵器での戦闘で、勝ち目は無いと判断した。ここで、波動砲の使用を決断する」

 全員が驚きを持って、その話を聞いた。だが、一千隻規模の敵艦隊が現れたことは、皆が知っていた。

「異議はないな。もう時間が無い。艦隊を集結させ、艦隊の波動砲搭載艦は、すぐに発射準備を始めろ」

「了解!」

 山南、古代、スコークは、スクリーン越しに敬礼した。

 通信を切った土方は苦悩した。

 とうとう、この決断を下してしまった。

 本当にこれで、地球を守れるのだろうか?

 ここで勝利出来たとしても、ガルマン帝国との全面戦争がこれから始まる可能性が高い。

 だが、ここで降伏するということは、地球人類の自由と尊厳を、たった今ここで捨て去るということだ。

 そんなことは出来ない、と土方は思い直した。

 たとえ茨の道が待っていようと、まだ諦める訳にはいかない。

 土方の眼光は、更に鋭くなっていた。

「第一艦隊に通達。波動砲発射用意!」

 

続く……

 




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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