宇宙戦艦ヤマト2199 連邦の危機   作:とも2199

15 / 19
宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「連邦の危機」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」の続編になります。


連邦の危機15 絶望の未来

 キール司令は、降伏を勧告して悦に入っていた。

「さすがに、自軍の十倍の艦隊に立ち向かう程のバカでは無かろう。念の為、惑星攻撃用プロトンミサイルの発射用意をしろ! 奴らが諦めていないようなら、ど真ん中に、プロトンミサイルを撃ち込んで殲滅する」

 ガルマン帝国艦隊の超大型ミサイルを抱えた特殊艦艇がゆっくりと動き出した。艦の前方の前衛艦隊は、ミサイルの軌道を確保する為、道を空けていた。

 その正面で、地球連邦の太陽系防衛艦隊は、一箇所に集結を始めていた。

 

 土方は、苦悩しながらも、全艦隊と地球防衛の責任を背負って、この戦いに勝利することだけを考えると決めた。 

「全艦マルチ隊形。続いて、波動砲発射体制への移行を通達せよ!」

 山南の乗るアンドロメダは、第二艦隊を引き連れて、その二つの波動砲口を煌めかせながら、その中心に位置取りをしていた。そして、古代の乗るヤマト率いる第三艦隊と、スコーク率いる北米第七艦隊は、第二艦隊の後方につけ、撃ち漏らした敵に更に波動砲を撃ち込んで殲滅する作戦だった。

 こうして、各艦隊の波動砲搭載艦、計二十隻が、艦隊の前に前進し、並列に位置取りを始めた。事前に取り決められた典型的な複数の艦船による波動砲の発射体制である。

 

「エネルギー充填、百二十パーセント」

 ヤマトの機関長、徳川太助が慌ただしく、波動砲発射準備を進めていた。

「ターゲットスコープオープン。電影クロスゲージ、明度二十。敵艦隊、波動砲の軸線に乗りました」

 北野が、敵に狙いをつけて、波動砲の発射準備を終えようとしていた。

「艦長、本当にこれで良かったんでしょうか?」

 北野は、ここで波動砲を使用することで、相手との泥沼の戦争に突入する未来が見えていた。それを思って、苦しそうな声で言った。

 古代自身も、同じ疑問を抱いていた。強大なガルマン帝国との全面戦争の火蓋が切って落とされ、大切な雪と我が子が危険にさらされる可能性に苦悩した。しかし、今ここで降伏しても、何も変わらないと、一時の迷いを打ち消した。艦長として、強い意志で部下の迷いを断つ必要があった。

「北野。我々は、ここで絶対に敗北することは出来ない。地球を守るために必要なことは全てやる。この決断が間違っていないと、今は信じよう」

 古代は、厳しい表情で北野だけでなく、第一艦橋の全員に、冷静に語りかけた。

 しかし、古代を振り返る全員が、不安そうな顔をしている。それでも、古代はやらねばならなかった。

 

 第三艦隊の主力戦艦コンゴウの島も、ヤマトの横に並んで波動砲の発射用意を整えていた。

「やるしかないのか。本当に? 俺が迷ってちゃ駄目だよな」

 島は、心の中の不安を必死に打ち消そうとしていた。コンゴウの艦橋の皆を鼓舞しなければ、と島は決意した。

「皆、どんなことがあっても、必ず地球を守るぞ。そして、無事に家に帰ることを考えて集中しろ!」

 

「波動砲、発射準備完了しました」

 山南は、南部から報告を受けた。山南は、振り返って艦長席を見る南部に頷いた。南部の表情は、決意に満ちていた。

「そのまま、土方総司令の命令あるまで待機!」

 山南は、緊張感で張り詰めた艦橋の士官全員を見回した。その自身の額には、嫌な冷たい汗をかいていた。

「こいつを、人間に向けて撃つときが、こんなに早く来るんなんてな。俺も、覚悟を決めないとな」

 山南は、自らの緊張を和らげる為、独り言を口にして、スクリーンに映る一千隻のガルマン帝国艦隊を睨んだ。

 

 土方の空母シナノでは、再び敵の司令官からの通信を受領していた。

 土方は通信長に頷き、スクリーンにキール司令が浮かび上がった。

「五分経過した。君らの判断を聞きたい。降伏か、全滅か、どちらか選び給え」

 土方は、不敵な笑みを浮かべた。

「我々は、降伏などしない。そちらこそ、今すぐに撤退を勧告する」

 キール司令は、心底驚いていた。

「ほう? 一体、何が出来ると言うのかね?」

「君たちは、我々の力を侮っている。このまま戦闘を続ければ、全滅するのは、そちらの方だ」

 キール司令は、呆れた表情になった。

「そうか。その程度の判断力しかないとは思わなかった。後悔しても、もう遅いからな」

 唐突に通信が切れた。

 土方は、マイクを掴んで全艦に通達した。

「波動砲で攻撃を開始する! 山南、お前の艦隊から撃て!」

 

 その連絡を山南から聞いた南部は、第二艦隊全艦に指示を出した。

「総員、耐ショック、耐閃光防御! カウントダウン開始、発射十秒前!」

 それを聞いた山南は、ゆっくりと耐閃光鏡を装着した。艦橋の全員が、一斉に耐閃光鏡をかけた。

「八、七、六……」

 アンドロメダの砲術長のカウントダウンの声だけがその場に響いていた。

 

 通信を切った直後、キール司令は、プロトンミサイルの発射を指示していた。

「バカめ! これでお前たちは終わりだ」

 キール司令の大型空母でも、プロトンミサイル発射のカウントダウンが始まっていた。

「五、四、三……」

 

続く…

 




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。