宇宙戦艦ヤマト2199 連邦の危機   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「連邦の危機」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」の続編になります。


連邦の危機7 末裔の末路

 イリヤとの会談を終えた一行は、街に出て休憩をとっていた。物資の交換を条件に、現地通貨を入手し、まずは街のレストランやカフェで食事などをとることにした。

 

「これ、美味しい!」

 桐生美影は、テラスのテーブル席で、手掴みで食べる現地の軽食にかぶりついていた。

「揚羽くんも食べてみない?」

 桐生は、両手でパンのようなものに、現地の食材を挟んだ食べ物を、揚羽の顔の前に差し出した。

「き、桐生さん。結構ですから」

 揚羽は、口許に両手を差し出して、遠慮する旨を伝えた。

「えー。これ、本当に美味しいのに」

 桐生は、思いを共感したかったので、不満そうに手を引っ込めた。そして、次にルカの食べている皿を物色した。

「ルカさん、それ、美味しい?」

 ルカは、長い髪を邪魔そうに片手でかきあげて、もう片方の手に持ったスプーンのようなもので、皿の中身をすくっていた。

「なかなか美味だな」

「ひ、一口!」

「何?」

 ルカは、怪訝な表情で、スプーンですくった食べ物と、桐生の顔を交互に見た。そして、面倒そうに、スプーンを桐生の口許に差し出した。

「ありがとう」

 桐生は、自分の食べていた物を急いで飲み込み、ルカのスプーンを口に含んだ。

「うわっ。こっちの方が美味しい!」

 満足そうに桐生は、ルカに笑いかけた。その様子を、飲み物を飲みながら、揚羽はじっと見つめていた。それに気が付いたルカは、揚羽の方にもスプーンを差し出した。

「アゲハ、お前も食べたいのか?」

 揚羽は、食べようと顔を近づけたが、先ほど桐生の誘いを断ったのを思い出して、顔を引っ込めた。

「い、いや。大丈夫。遠慮しておくよ」

「そうか? 欲しそうに見えたのだが」

 ルカは、揚羽の表情を窺いながら、手を引っ込めて、自分の口に入れた。

「いやぁ。楽しいなぁ」

 桐生は、楽しそうに笑顔を二人に振りまいた。

 揚羽は、少し残念に思いながら、桐生を尻目に、隣のテーブルで食事をとっている古代たちの方を見た。

 

 ガゼルは、同じ様に食事を食べているキャッスルと古代の方を鋭い眼光で見ていた。

「あっちを、気付かれないように見て見ろ」

 ガゼルは、僅かに首を動かして、横の方を指し示した。キャッスルと古代は、少しだけ顔を向けて、横目でそちらの方を見た。少し離れた別のテーブルで、ガミラス人のような風貌の二人組が食事をとっていた。軍服のような制服を着ていた為、彼らの目にも軍人だと推測出来た。

「ガルマン帝国の軍人でしょうか?」

 古代は、低い声でガゼルに聞いた。ガゼルは、小さく頷いた。

「恐らくな。確かにガミラス人と見分けがつかん」

 古代は、制服を良く観察してみた。

「軍服のデザインも、ガミラスの将校のものに似ていますね」

「私が話しかけて見ましょうか?」

 ガゼルは、キャッスルの方を真っ直ぐに見て言った。

「やめておけ。例え相手が将校だとしても、軍人と話しても、我々の必要な情報は得られんだろう。トラブルになるのが関の山だ。それよりも、気になることを見かけたので、少し観察した方がいい」

 キャッスルと古代は、食べながら時々ちらちらと観察をした。

 すると、そのテーブルに、別の二人の男たちがトレイにのせた食べ物を持って近づいていた。シンプルなデザインの軍服を着ており、白人男性のような見た目だった。

「あれは……」

 古代は、ガゼルに更に小さな声で言った。ガゼルは、頷いて低い声で言った。

「あれが恐らく、ガルマン帝国のイスカンダル人の兵士だと思う」

 観察を続けると、二人は持ってきたトレイを、ガルマン帝国の将校の前に差し出した。そして、二人はテーブルの脇で、直立不動の姿勢でそのまま立っていた。二人にはお構い無しに、ガルマン帝国の将校と思われる二人組は、運ばれてきた食べ物を、談笑しながら食べ出した。

「どう思う?」

 ガゼルは、油断なく目を光らせながら、聞いた。

「明らかに、上下関係がありますね」

 キャッスルは、ガゼルに小声で話しかけた。

「単に上司と部下の関係でしょうか?」

 古代は、とりあえず見た目でわかる感想を言った。

 そこに、ランハルトとケールが、自分のトレイに食べ物をのせたものを、テーブルに置いて席についた。

「お前たち、あれを見たか?」

 ランハルトは、小声でテーブルに座る面々に話しかけた。ガゼルは頷いて答えた。

「うむ。皆で観察しているところだ」

 ランハルトは、食事に手をつけながら、話し出した。

「先ほど、立っている二人の男たちが食事を購入している様子をすぐ近くで観察して、二人の会話を聞いた。イスカンダル語で話していたな」

 古代は、ランハルトに質問してみた。

「どんな話しをしていましたか?」

 ランハルトは、不快な表情になった。

「気分が悪いな。奴等は、『早くしないと怒鳴られる』とか、『俺たちは、一生奴隷なのかな』などと話していた。あまりにも卑屈な態度で、あれがイスカンダル人だと思うと、とても不快な気分にさせられた」

 ガゼルは、少し驚いた表情でランハルトに言った。

「奴隷、と言っていたのか?」

 ランハルトは頷いた。

「あれが普通の両者の関係だとすると、事態は由々しきことだ」

 古代は、以前捕まえたテロの犯人の様子を思い出した。

「大使、前に尋問した彼のことを思い出しました。私たちが尋問している最中、恐怖とも言える表情を浮かべて怯えていました。もしかしたら、あれは、大使がガルマン帝国人に見えたからでは?」

 ランハルトは、そう言われて、その時のことを思い返した。

「言われてみれば、そうかもしれんな」

 暫く観察していると、食事を終えたガルマン帝国の将校は、立ち上がってその場を去って行った。二人のイスカンダル人と思われる二人の男たちは、結局食事をとることもなく、その後について一緒に去って行った。

 それを見届けて、ようやく全員緊張感から解放された。

「ガミラス人の末裔は、イスカンダル人の末裔を奴隷扱いしている可能性がある。事例があれだけでは、決定的ではないがな。辻褄は合うというものだ」

 ランハルトは、食べながら普通の声で話しをした。

「自爆テロをやらされていたのが、彼らだったこともな」

 全員が、しんとなって食事の手が止まっていた。

 そんな時、古代は、ランハルトの背後を通り過ぎる小柄な男に、見覚えがあるのに気が付いた。古代は、そちらの方を目で追うと、見れば見るほど見覚えがある後ろ姿だった。

 男は、誰かを探すように、周囲をきょろきょろと見回した。

 その小柄な男の顔を見た古代は、驚愕して、つい大声で叫んでしまっていた。

「薮! 薮じゃないか!」

 その小柄な男は、呼び掛けられた相手の姿を見て、向こうも驚愕の表情となった。一目散にその場を逃げ出した彼は、レストランのテラス席を走り抜け、その向こうにいた人物と合流した。

 ランハルトとガゼルは、その向こうの人物に見覚えがあった。

「おい、あいつフラーケンじゃないか?」

 ガゼルは、慌ててランハルトに確認した。

「俺も一度しか会ったことが無いが、間違いない」

 ガゼルは立ち上がって、そちらの方を見た。

「おい、フラーケン!」

 ガゼルと古代の姿を認めたフラーケンと薮は、振り返って走って逃げ出した。そして、すぐに通りの角を曲がってその向こうに消えて行った。

「どうします? 追いますか?」

 古代は、警備の保安部員を呼び寄せた。しかし、キャッスルは、古代を止めた。

「やめておきましょう。お二人とも座って下さい。あまり目立つのは良くありません。せっかく、イリヤさんにガルマン帝国の政府関係者を紹介される手筈になったので、騒ぎを大きくしたくありません」

 古代とガゼルは、渋々席についた。

「彼は、最初のイスカンダルへの旅の途中で立ち寄ったレプタポーダという惑星で行方不明になっていました。亡くなったものと考えていたのですが」

 古代は、伊東と薮の姿を最後に見た時のことを思い返していた。伊東が亡くなったのは、ユリーシャが目撃していたが、薮がどうなったかは、誰も見ていなかった。

「フラーケンもな。ガトランティス戦争後から、行方不明になっていた。何で奴がこんなところにいるんじゃ」

 ガゼルは憮然とした表情で憤慨していた。

 ランハルトは、最後にフラーケンと会った時のことを思い返していた。

「叔父の船で、ガス生命体を白色彗星にぶつける作戦を話し合った時が、俺が最初で最後に会った時だった。そう言えば、もう一人の男も彼と一緒にいたように思う。確か、ザルツ人だと紹介された」

 そこに、ルカが、ランハルトの傍にやってきた。

「そう言えば、ここの受付で、最近ガミラス人とザルツ人が、時々ここを訪れて来ると聞きました」

 古代は、日本人に似た風貌のザルツ人のことを考えた。

「ザルツ人。そうか、なるほど……。しかし、一体どういうことでしょう?」

 ランハルトは、何かに気づいたようだったが、ただ笑っていた。

「そうだな。思ったより、面白いことが起きそうだ」

 

続く…

 




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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