美食の白兎 作:ドラ民具
偶然ダンジョンの入り口で鉢合わせた僕達は成り行きで行動を共にすることになった。
そして、僕達二人は下層の二十七階層までやってきていた。
「ベートさん、食事にしましょう」
「アァン、テメェだけ喰ってろよ」
「いやいや、ここまで来る途中結構動きましたからお腹空いてるでしょ」
「・・・・・・」
僕がそう言いながら蟹豚で作ったポークチャップサンドを差し出すとベートさんは無言のまま受け取る。
「いただきます」
「うめぇ」
「うん、蟹豚の淡泊ながらも濃厚な旨味とトマトの酸味が掛け合わさって美味しい」
「おい、今何つった?」
味の感想を述べた後、ベートさんが問いかけてくる。
「何がですか?」
「今蟹豚がどうとか言ってただろうが」
「あぁ、このサンドに使われている肉のことですね」
「この肉は蟹豚という猛獣で今朝狩って調理したんです」
「あの亀裂がダンジョンの外にまで出来たのか!?」
僕の言葉に対して反応するベートさん。
「それに関しては僕のスキルが関係しているとしか言えません」
「そうかよ」
僕の返答を聞いてベートさんは興味がなくなったのかサンドを食べていく。
「ベートさん、これもどうぞ」
「なんだこれ、随分甘ぇ匂いがすんぞ」
「これはホワイトアップルのジュースです、美味しいですよ」
そう言って
「いらねぇ」
「じゃあ、持って帰りますか?これ、酒と割って呑んでも美味しいんですよ」
「じゃあ、ロキにでもくれてやるか」
別案を出すとベートさんは自分の主神のお土産にすると言った。
「優しいですね」
「違ぇよ、デビル大蛇を喰ってから
「でも、そんな悪態つきながらも持って帰ってあげるんですからベートさんは優しいですよ」
「・・・・・・チッ」
照れ隠しをするかのように舌打ちするベートさんはサンドを食べ終えると立ち上がる。
「先に行くぞ」
「えっ」
そう言ってベートさんは下の階層に向かってしまった。
「余計なことしちゃったかな」
そう言いつつもサンドを食べ終えるとすぐにベートさんを追った。
「チッ」
ベルの言葉で昔を思い出した。
まだ俺がガキだった頃の記き憶を・・・。
俺は平原に住む
屈強な父親と豪快な母親、後に生まれた妹。
外に出ると部族の兄貴分達、それが俺の家族だった。
その中には幼馴染の少女もいた。
しかし、そんな『日常』が無慈悲なる現実が蹂躙する。
竜の谷から降りてきた怪物、それが全てを血肉で染めた。
そこには俺だけが生き残った。
『弱肉強食』
父から教えられていた理を俺は正しく理解した。
だからこそ俺は『強さ』を、もう二度と折れることのない『牙』を求めたのだ。
その代償に『傷』を背負った。
「チッ、クソッタレが・・・」
そう悪態をついた瞬間、俺の真横にあの亀裂が現れた。
「なッ!?」
「ベートさん!!」
亀裂から飛び退いた俺に追いついてきたベルが隣に立つ。
そして、その亀裂から一体の猛獣が現れる。
18mもある赤い巨体に不気味に輝く緑色の目に八本足の鰐、ガララワニ。
「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
獲物を見つけたとばかりに吠えるガララワニ。
僕が狩ろうとした時、ベートさんが押しのけてくる。
「下がってろ兎野郎、あのワニは俺の獲物だ」
そこには完全に闘争本能全開の
「解りました、それではガララワニの捕獲お任せします」
そうして、狼の狩りが始まるのだった。