美食の白兎 作:ドラ民具
空の旅を経てIGO本部にやってきた僕達、【ロキ・ファミリア】の面々と神様二人は目の前のIGO本部を見て呆気にとられていた。
「まさか、ここまでのものとは思わなかったよ」
「あぁ、建築に使用されているものも見るのは初めてなものもあるな」
「うむ、建物一つとってもこの世界はワシらを驚かせてくるのう」
「凄い…」
「おっきい~」
「もう驚き疲れたわよ…」
「……」
「はわわ」
「凄く立派っすね」
「うん、そうね」
「うちの
「はぇぇぇぇぇぇ」
それぞれが反応を示していると、こちらにやってくる人物がいた。
「ベル、無事じゃったか」
「ただいま、
IGOの会長にして美食神アカシアの一番弟子である一龍その人である。
「心配かけちゃったね」
「お前の実力は折り紙付きじゃからさほど心配はしておらんかったがな。まぁ、よく無事じゃった」
「うん」
すると、オヤジがフィンさん達の方に目を向ける。
「いきなりの連絡で異世界から来客があると言われた時はどういう事か解らんかったが…、なるほどのう」
『?』
「ワシの名前は一龍、IGOの会長をしておるんじゃが…。朱髪の女性と黒髪ツインテールの少女は人の域におらん存在じゃな、何者じゃ?」
そう言ってオヤジは鋭い視線を向ける、【ロキ・ファミリア】の面々は主神を守ろうとしたが動くに動けなかった。
「オヤジ、それに関しても話したいことが山ほどあるんだから威圧するのやめてよ」
「おっと、そうじゃったな。すまんすまん」
僕の言葉でオヤジは威圧を解き、硬直から解放される。
「ベル、今のは…」
「あぁ、威嚇ですよ。この世界には神なんて
「それにしても、第一級冒険者が動けなくなるほどの威嚇を放つ者がいるなんてね」
「まぁ、オヤジは世界で三本の指に入る実力者ですから」
『!!』
フィンさんの言葉に僕はオヤジの事を説明すると全員が驚愕の表情を浮かべる。
「それじゃあ行きましょうか」
そうして、僕達はIGO本部の中に入っていくのだった。
会長室に入ると、僕はオヤジに向こうで経験したことを話した。
「ふむ、ダンジョンに神の降臨に
「そうだけど、こっちだって平和じゃないとこもあるでしょ」
「全くじゃ、わっはっはっは」
僕とオヤジが会話をしていると、ヘスティア様がこう切り出した。
「それで一龍君、ベル君が君に拾われる前にバンビーナという猿に育てられていたって言っていたけど…」
「あぁ、それか…。その話は本当じゃよ、ワシがベルと最初に出会ったのはグルメ界のエリア7でな、あそこは『モンキーレストラン』と呼ばれる50億頭もの猿が跋扈しておる」
「50億⁉」
オヤジの言葉にレフィーヤさんが驚愕の声を出す。
「そのエリア7の中央部には100Gマウンテンという山があって、そこは八王の一角であり問題児の猿王バンビーナの棲む山じゃ」
「八王って前にベルが教えてくれた最強の八体の獣だったけ」
「うん、よく覚えてたねティオナ」
オヤジの説明にティオナが反応し覚えていたことを僕が褒める。
「えへへ」
「その100Gマウンテンというのはどういう場所なんですか?」
「おぉ、そうじゃったな。説明するとじゃな、生物の肉体に反応する特殊な磁力を発する岩石でできておって山頂に近づくほど地上の10~100倍の重力の負荷がかかる上に地面は数億もの生命が押しつぶされて出来ておって近づくもの全てを飲み込むんじゃ。一度足を踏み入れると下山は不可能と言われる、グルメ界屈指の危険地帯の一つじゃな」
「じゃあ、ベルはそのバンビーナって八王に守られていたってこと?」
オヤジの説明を聞いてティオネがそう質問する。
「守られていたかと言えばそうなんじゃが、ベルは当時の時点でモンキーダンスとも呼ばれる猿武という猿王バンビーナが編み出した野生の格闘術を身に付けておった」
「それってどういうもの…なんですか?」
格闘術と聞きアイズさんが質問をする。
「それは力の受け流しを基本としたもので全身の細胞の意思全てを統一させて態勢を整えると攻撃はおろか
「!!」
猿武の概要を聞いたアイズさんの視線が僕に降り注ぐ。
「アイズさん、猿武は今度教えるので今は我慢してくださいね」
「うん、絶対だよ」
「えぇ」
そうして、猿武を教える約束をした後でオヤジがこんなことを言ってくる。
「ベル、せつのんが店に来いと言っておったぞ」
「セツ婆が?」
「あぁ、お前が行方不明となってから気を揉んでおったからのう」
「解ったよオヤジ、それじゃあこれから行ってこようかな」
オヤジからセツ婆の事を聞き、向かう事となった。
「それじゃあオヤジ、また来るよ」
「うむ! あっ、そうじゃった」
「?」
「ベル、ヴァロドにも会って安心させてやれ。目の前でお主が消えた所を見ておったんじゃからのう」
「うん、心配させたこと謝らないとね」
オヤジの言う通り、ヴァロドには会ってキッチリ謝らないといけない。
「では、伝えたいことは伝えたからのう」
「あぁ、またね」
そうして、僕達はセツ婆の待つ節乃食堂のある満腹都市・グルメタウンに向かうのだった。