美食の白兎   作:ドラ民具

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節乃食堂

夜になり、僕達はグルメタウンの繁華街のはずれにあるセツ婆の「節乃食堂」に向かっている。

 

「まさか、食だけじゃなくてこういった交通機関まで発展しているなんてね」

 

「あぁ、オラリオでは自力で行くか人力車に乗るしかないからな」

 

「そうですね、まだ僕知らない道に入ると迷っちゃいますよ」

 

グルメリニアに乗って繁華街のはずれの駅まで行き、徒歩で店に向かう最中だった。

 

「都市の中心部からだいぶ離れているんだな」

 

「えぇ、街にはセツ婆オーナーのチェーン店がいっぱいあって店前にはせつのん人形があって照れくさいからだと思います」

 

「つまり、ウチの本拠(ホーム)にリヴェリア人形を置くみたいなものやな」

 

「それを実行したらどうなるか解っているなロキ」

 

「はい、もちろんやでママ」

 

「誰がママだ!!」

 

そんな寸劇の後、フィンさんが問いかけてくる。

 

「それで節乃殿の食堂はどこなんだ?」

 

「あぁ、着きましたよ」

 

僕のその言葉に反応して全員の目線がセツ婆の隣にある店に目を向ける。

 

「立派なお店だね」

 

「ここで今日は飯を食うのか」

 

「ワシらのホームみたいな店じゃな」

 

「どんなもんが食えるんか楽しみやな」

 

「楽しみ~~~!!」

 

「そうね」

 

「うん、そうだね」

 

「緊張してきたっす」

 

「いや、おかしいでしょ」

 

「早く行こう!!」

 

「皆さん、こっちですよ」

 

『えっ』

 

僕は違う店に行こうとするみなさんを呼び止め、節乃食堂の前に立つ。

 

「いや、そっち⁉」

 

「まさに意表を突いてきたわね」

 

「いや、これは勘違いした僕達も悪いよ」

 

そんなこんなでついに節乃食堂に入店するのだった。

 

「ねぇねぇ、ベル」

 

「どうしたのティオナ?」

 

「表の木の板に書いてあった『わ゛ーっ』ってどんな意味なの?」

 

「えっと、「しーん」がただいま仕込み中で『わ゛ーっ』ただいま荒稼ぎ中って意味だよ」

 

「『わ゛ーっ』にそんないやらしい意味があったんすか⁉」

 

ティオナの質問に答えるとラウルさんからツッコミが飛んでくる。

 

「あっ、はい」

 

「反応が軽い⁉」

 

慣れ切ってる僕からしたらラウルさんは過敏すぎると思う。

 

「ようきたのう。ベルや、料理の仕上げを待っとる間にんにく鶏の親子丼作ろうか?」

 

「お願いします!!」

 

「食に忠実過ぎるなぁ、自分」

 

セツ婆の申し出に僕は即答し、神ロキが呆れる。

 

「まぁ、水でも飲みましょう」

 

そうして、水を一口飲んだリヴェリアさんが反応する。

 

「なんだこの水はまるで空気のように軽いぞ」

 

「その水はアクアマウンテンという場所に湧き出るエアアクアという水で喉越しの良さは世界でも5本の指に入ると言われるんです。その透明感の高い水質は世界中の一流料理人たちに重宝されているんですよ。節乃食堂(ここ)ではこの高級な水をお冷として飲み放題なんです、ちなみに捕獲レベルは68」

 

「見た目がただの水なのに捕獲レベルが異常っす」

 

「まぁ、危険区域に湧き出る水ですからね」

 

そんな会話をしていると、セツ婆の調理が始まる。

 

まずにんにく鶏をグルメケースから取り出し包丁で捌いて焼き始め、次に玉葱を空中に投げそのままカットし熱したフライパンにつゆと一緒に炊いていく。

 

「凄い」

 

その一連の流れを見ていたアイズさんがそう零した。

 

「複数の作業を瞬時にこなしていくその流れに淀みがない上にとても丁寧だ」

 

「確かにベルの言う通り最上級の料理人だね」

 

どんぶりに極楽米をよそってその上に最高級味付けまりもを細かくしたのをふりかけ、焼けたにんにく鶏をフライパンに入れて十個の黄身が入った十黄卵で閉じてどんぶりに盛り付けたら…。

 

「ほらできたじょ、にんにく鶏の親子丼じゃよ」

 

『いただきます!!』

 

「おいしい!!」

 

「最高っす!!」

 

「おいしいねベル君」

 

「セツ婆おかわり!!」

 

爆速でお代わりを要求するベルに神ロキがツッコミを入れる。

 

「いやだから、味わえや!!」

 

「ふふふ、えぇんじゃよ。お腹いっぱい食べなさい」

 

『はい!!』

 

そこから大量の料理が運ばれてくる。

 

ライトニングフェニックスのから揚げ

 

セレ豚のローストポーク

 

ストライプサーモンのピリ辛ユッケ

 

漆黒米のおにぎり、焼きおにぎり

 

スマッシュルームとチーズ白菜のクリーム煮…etc

 

などのこれらの料理が山盛りになって用意されたが、きれいさっぱり食べ終わった。

 

「いや、腹いっぱいでもう食べれへん」

 

「うん、ちょっと苦しいくらいだよ」

 

そうやってヘスティア様と神ロキが食休みを始める。

 

「それでセツ婆、僕を呼んだのは帰還祝いをするだけが目的じゃないよね」

 

「ふふっ、察しがえぇのう」

 

僕がそう言うと、セツ婆は不敵な笑みを浮かべる。

 

「まぁ、セツ婆や会長(オヤジ)に次郎さんに鍛えられたしね」

 

「ふふっ、懐かしいのう。ベルや、依頼を頼むじょ」

 

「内容は?」

 

「BBコーン」

 

「BBコーンってグルメ界の食材だよねって、人間界にも生育してたんだっけ。場所はウージャングル…」

 

「うふふっ、お主の連れてきた別世界の冒険者が最初に挑戦するのにもえぇじゃろうて」

 

「セツ婆、これってオヤジ絡んでるよね」

 

「もちろんじゃ」

 

「全くあのオヤジは…」

 

セツ婆の口ぶりからオヤジが絡んでいることは指摘すると大正解だった。

 

「ベル、こうしてお膳立てしてもらったんだ。挑ませてくれないか」

 

フィンさんがそう言ってくる。

 

そして、他の面々も冒険者の顔になっていた。

 

「もちろんですよ、それじゃあ明日から向かうとしますか」

 

「頼んだじょ」

 

こうして、【ロキ・ファミリア】のグルメ界最初の冒険が始まる。

 

場所はウージャングル、食獣植物の森別名ヘルプラント。

 

 

 

 

 

 

 

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