マリアさんは結婚したい   作:大ちゃんネオ

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千鶴をOTONA設定にしたはいいものの全くいかされない本作品。
まあ、平和になったということですよ…
それにしても本当にXVで終了してしまったのか(今更)
実はシェム・ハに娘がいて未来さん捕まえて宣戦布告してきて仲間が二人ほど(クリスちゃんとあと誰か)敵陣営にいたりとか太陽に放棄したシンフォギア取りに行ったりとか敵がすごいシェルターに閉じ籠ってるのを響がガングニールぶっ壊しながら三発パンチ打ち込んでなんやかんや戦いは終わってシンフォギアを自爆させたりするOVAとかない?
タイトルは多分戦姫絶唱シンフォギアEW(白目)
エクスドライブの羽がすごいことになってるんや…
(妄想垂れ流しお目汚し失礼しました)


始まりと新しい火種

 彼と出会ったのは、私がS .O .N .G. のエージェントとして配属されてすぐのことだった。

 フロンティア事変の首謀者である私達は大罪人として裁かれるはずだった。 

 しかし、日本政府が米国相手に色々と立ち回り、私の処遇は保護観察処分。

 あの時の私は敵組織に潜入したエージェントということになり、再び舞台に返り咲いた。

 バビロニアの宝物庫も閉ざされ、ノイズが現れることのなくなった平和な世界。

 この世界で再び歌を歌える──

 そう思っていた。

 新たな敵、錬金術師の出現に再び戦場に戻る決意をした私はS .O .N .G. へ転属して、彼と出会ったのだ。

 

 

 

 

 S .O .N .G. 本部内を歩く。

 今日からここで働くことになったのだが…

 周囲の人間から受ける奇異の目。  

 いや、奇異で済めばいいほうだ。

 怨嗟のこもった視線を送るものもいる。

 当然だ。

 私は大罪人。

 多くの命を奪ってきたのだから──

 ここはきっと針のむしろとなるだろう。

 だけど、本当の地獄はこんなものじゃないはず。

 罪が償えるとは思えない。

 それでも、せめて私の手で人命を救いたい。

 たとえ、ギアがなかったとしても。

 やがて、私が配属される部署の前についた。

 最新の潜水艦のはずなのに、やけに前時代的な古い扉。

 その扉の横には、ぼろぼろの木製の看板。

 六堂班と彫られているそれは、確かにここが私が配属される部署だということを証明していた。

 六堂班…通称、地獄の六班。

 基本、諜報活動メインのエージェント達の中で唯一の遊撃部隊。

 もっとも死に近い部署。

 天国からも地獄からも受け入れ拒否されている奴等の集まり…などと言われている。

 更にこの六班の班長『六堂千鶴』も現代の切り裂きジャックやら殺し屋に転職したブラックジャックなど呼ばれ恐れられている。

 きっと、長年戦場に身を置いたベテラン…老兵なのだろう。

 私がここに配属された意味は恐らく厄介払い。

 厄介者は厄介者とつるんでくれということだろう。

 早速、前途多難だなと思う。

 しかし、どこでもいい。

 人を守るために戦えるのなら。

 意を決して、ドアをノックする。

 すると中から「どうぞ」と返事があった。

 若い、男の声。

 予想していた声とは違い少々面食らったが「どうぞ」と言われたからには入らなければならない。

 

「失礼します!」

 

 扉を開け、部屋の中へと入る。

 そこは、この扉同様にやけに前時代チック。

 PCも旧式のもの、書類が無理矢理詰められている棚やテーブルなどの備品も古ぼけている。

 この光景に呆気に取られていると、部屋の一番奥のデスクに座る男性が立ち上がった。

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴだな?私は六堂千鶴。君の教育係を務めさせてもらう。以後、よろしく」

 

 第一印象は、目元が涼しい人だな…そう思った。

 どんなことでも冷静に、真実を見抜きそうな目。

 すらりとした長身にピシッとしっかりアイロンのかけられたスーツがよく似合っている。

 六堂千鶴…まさか、こんな若者だったなんて…

 恐らく、自分と同じくらい。

 しかし、纏う雰囲気は同年代の人達とも、私とも違う。

 現代の切り裂きジャック…彼の異名であるが…

 彼は19世紀のロンドンを恐怖のどん底に叩き落としたシリアルキラーなんかじゃない。

 彼は…侍だ。

 侍にあったことなんてないけれど、いや、翼が侍と言えるかもしれないけれど…私の中の侍像に近いのは彼の方だった。

 切歌や調などF.I.S.の施設に集められた子供達は比較的に日本の子供達が多かった。

 そのため日本の文化みたいなものに触れる機会もそれなりにあったしマムも日本のショウユを愛好していた。

 そんななかで聞いた、日本の侍、武士の話。

 彼の見た目は、私の想像上の侍にとても近いものだった。

 切れ長の目は睨み付けるだけで敵を切り裂いてしまいそうで、佇まいも隙がない。

 それに彼の目は…

 

「そのあたりのデスクを好きに使ってくれていい。どうせ使われないんだ自由にしてくれて構わない」

 

「あの…他の方々は…?」

 

「任務…と言えば聞こえはいいが、厄介払いで各地に飛ばされている。本人達もこんな狭っ苦しいところはごめんだと言って喜んで出て行ったがな。報告書は提出されているから最低限仕事はしているようだが…」

 

 やっぱり厄介払いなんだ…

 それにしても各地に飛ばされているって一体…

 まさか、私までどこかに飛ばされてしまうんじゃ…

 

「あの…各地って皆さんどこに飛ばされたんですか?」

 

「ん…南は南極、北は北極まで世界の果てまであらゆるところだ」

 

「南極と北極ッ!?」

 

「あとは情勢が不安定な中東やバルベルデ等々…二課からS .O .N .G. になったことで更に増えたな」

 

 ああ…調、切歌、マム…

 私、予想よりとんでもないところに来てしまったみたい…

 

 

 

 

 

 六班に配属されて初めての仕事は報告書整理だった。

 送られてきた報告書を更に報告書に纏めるという…仕事。

 最初はなんとも簡単な仕事だと思った。

 しかし、この仕事は私の想像を遥かに越える困難な仕事だった…

 班長から渡された報告書解読ガイドと実際のものを見比べる。

 え、なにこれ解読ガイドにないじゃない。

 

「えー…これは、どういう意味?班長、これは…」

 

「ん?これは…斉間の奴、新しい表現技法を生み出してきたな…!マリア、これは私がやるから次の報告書に移ってくれ」

 

「分かりました…え、なにこれ絵日記…?」

 

「それは美田園のものだ。文章を報告書として適切なものに直せばいいからそれは簡単だ」

 

 確かに、文章は小学生レベルだけどしっかり書いている…

 これをお堅い言葉に直せばいい…

 って、私なにをしているんだろう…

 てっきり、矢面に立たされて肉盾になれとでも言われるかと思いきやまさかの事務作業。

 地獄の六班とは一体…

 ・

 ・

 ・

 事務作業をすること二時間。

 食堂で昼食を班長ととってから事務室で1時まで休憩。

 班長はお茶を飲みながら、ゆったりとくつろいでいる。

 私はまだ初めての環境に慣れず、椅子に座って休んでいるが全く休まらない。

 むしろ疲れが溜まっていく一方だ。 

 

「少し…体を動かすか…」

 

「え…?」

 

「疲れただろう。気分転換の運動だ。それに…」

 

 シンフォギア装者と、戦ってみたい──

 彼の言葉を聞いた瞬間。

 私は、何故か殺されると思った。

 

 

 

 

 

 

 

 トレーニングルーム。

 ギア装者達も利用するそこは広く、且つ頑丈。

 そこで私は…とんでもない化け物と戦っていた。

 

「くっ…!?」

 

 床を転がる私。

 すぐに、班長を睨み攻撃の態勢に移る。

 ジャブ、ストレート、フック、全ていなされる。

 まるで、水を相手にしているのではないかと思うほど。

 それに…彼には全く力が入っていない。

 力が入るのは本当に攻撃が命中する瞬間のみ。

 彼の攻撃は速く、鋭い──!

 

「…ッ!」

 

 ふと、隙を見せれば一瞬で彼は間合いを詰めてくる。

 彼の貫手が迫る。    

 顔面目掛けて飛んでくるそれを紙一重で回避し続ける。

 しかし、ここで攻撃のパターンが変わった。

 回避された貫手が首を狙う手刀へと変わる。

 それが首へと迫って…

 首に当たるギリギリで寸止めする班長。

 これで、終わりらしい。

 

「これが刃なら、首が落ちていたな」

 

「…そうね。何度首を落とされたか、何度班長に殺されたか分からないわ…」

 

 これが地獄の六班の班長『六堂千鶴』

 とんでもない人材がいたものだ。

 彼や風鳴司令のような人物がノイズに対抗出来る武装を持っていたならば、私達の計画はすぐに潰されていただろう。

 

「やっぱり私は弱い…」

 

「弱い?いや、充分強いさ」

 

「どういう、意味ですか…?」

 

「自分が弱いと知っている。そういう奴は強い」

 

「分かりません、班長…」

 

「…私のことを班長なんて堅苦しい役職名で呼ばなくてもいい。敬語も別に使わなくていい」

 

 唐突に彼はそう言った。

 これまでの会話の流れなど無視して。

 

「若くして出世なんて言うが、あの厄介者達を纏められるのが私だけだから班長なんてものにされてしまったんだ。まったく、司令にも困ったものだ…」

 

 そう語る彼の姿は先程までの研ぎ澄まされた刃のようではなく、例えるなら…抜き身の刀が鞘に仕舞われたとか、ライオンが昼寝を始めたとか…そういう穏やかな雰囲気。

 恐らく、こっちが彼の素に近いのだろう。

 それが分かると途端に彼が親しみやすく、可愛らしいように思えた。  

 

「そう…じゃあ千鶴と呼ばせてもらうわ」

 

「ああ。そっちの方が呼ばれ慣れている」

 

 そう言った時の彼の顔は薄く微笑んでいた。

 これが私と千鶴との出会い。

 

 

 

 

 

 

 それから間もなくして…他の装者達のサポートとして私は六班から離れていた。

 あまり事務室を出ない彼とは本部内でもあまり会うことは出来ずしばらく疎遠となっていたのだが…

 あの自動人形(オートスコアラー)との戦いの際、適合係数の低さから窮地を陥った私の前に彼は現れた。

 

「私の部下に、手を出されては困るな。彼女はあの報告書の解読を手伝える数少ない人材だ。失うのは惜しい」

 

「人間が私に敵うと思ってるんですか?だとしたら、頭お花畑にも程があります」

 

「人間を侮っていると痛い目を見るぞ。人形」

 

 こうして二人はぶつかり合い、千鶴は殿として皆を逃がすという役目を全うした。

 

 

 それからも、千鶴は度々私を助けてくれて──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで千鶴お願い助けてッ!!!」

 

『…すまない。もう一度状況を説明してくれ…』

 

「だからぁ!私の部屋を酔っ払った翼が占領してるのッ!」

 

「なんだぁメリヤァ…男か!男なのかぁ!!!」

 

「ちょっ…離して翼ッ!こんなに酔っ払うなんてどんだけ飲んだのッ!!!」

 

 顔は真っ赤、髪はボサボサ。

 唐突に家にやって来た翼はとても歌姫が晒していい姿ではなかった。

 綺麗に整頓していた私の部屋はまるで嵐が起こったかのような光景にされてしまった。

 それも、一瞬で。

 かつて、夜の9時以降は食事を摂らないと言っていた彼女の姿はどこへやら。

 現在10時45分。

 深夜に呼び出すのは悪いと思うけれど、これはもう私だけでは手が負えない。

 翼のことだから緒川さんに任せたいのだけど彼はいま里帰り中とのこと。

 他の装者達みんなもそれぞれ今日に限って都合が悪いときた。

 頼れるのが千鶴しかいなかった。

 千鶴は風鳴家とは親戚だから翼ともそれなり交流がある。

 

『今から向かえばいいのか?…行って、なにをすればいいんだ私は』

 

「えー…そうね…うーん…とにかく来てッ!!!」

 

『わ、分かった…すぐに行く』

 

 通話が切れ、彼の声は聞こえない。

 その事に少し寂しさを覚えるが、彼が来てくれることへの嬉しさが勝った。

 さて…千鶴が来るまでこの手がかかる娘の相手をするとしますか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん…常在戦場…色即是空…南無阿弥陀仏…」

 

「まったく…どんな夢を見ているのかしら?」

 

「昔はもっとおしとやかだったはずだがな…時間の流れとは恐ろしいものだ…」

 

 翼を背負う千鶴は昔を思い返し遠い目をしている。

 小さい時の翼と遊んであげたことがあると前に話してくれた。

 その頃の翼を知っていればなおのことショックなのだろう。

 この有り様に。

 

「それでは私はこの酔っ払いを家まで運ぶ。もう遅いから早く寝…」

 

「待ちなさい。私もついていくわ」

 

「…なんのために」

 

「万が一、間違いが起こったら大変だからよ」

 

「間違いってお前な…」

 

「ついていくから」

 

 無理矢理、強引に、有無を言わせる前に、千鶴の車の助手席に乗り込んで意地でもついていく覚悟を示す。

 私以外の女性と千鶴が二人きりになるということが嫌だった。

 たとえ、翼であっても。

 

 

 

 

 

 

 無事何事もなく翼を自宅のベッドに置き去り千鶴の車の中。

 助手席に座り、千鶴を見つめた。

 

「それじゃあ深夜のドライブと洒落こみましょう?」

 

「明日も仕事だから早く帰りたいのだが…」

 

「いいじゃないたまには。夜の街って私好きよ」

 

「そうか…少しだけだぞ」

 

「やった」

 

 普段からこれくらい素直ならいいのに。

 いや、あんまり素直過ぎるのも張り合いがなくなるからちょうどいい塩梅…まあ、今くらいがいいのだけれど。

 

「なんださっきからじろじろ見て。お前の好きな夜の街だぞ?見なくていいのか?」

 

「夜の街より好きなものを見ているから問題ないわ」

 

「…からかっていると事故るぞ」

 

「からかってないわ本気よ」

 

 そう返すと千鶴は黙ってしまった。

 もともとお喋りではない千鶴。

 二人でいても無言でいることは多い。

 だけど、その時間ですら私にとっては愛しい時間。

 彼と共に過ごした大切な時間なのだ。

 

「好きよ、千鶴…」

 

 気がつくと呟いていた。

 つい、思いが溢れてしまった。

 聞かれただろうか?

 いつも好きだとか、愛してると言ってはいるけどこういう素で出た言葉を聞かれるのは恥ずかしい。

 どうか、聞いていないで。

 聞いていたとしても知らないふりをして。

 流石に今のは恥ずかしいから…

 

「マリア」

 

「な、なにかしら?」

 

 急に名前を呼ばれ、少し驚いてしまった。

 やっぱり、聞かれていただろうか…?

 

「そういう台詞は、私にはもったいない」

 

 聞かれていた。

 顔から火が噴き出しそうになるほど熱い。

 だけど…私にはもったいないという言葉を思い出し冷静になった。

 

「もったいなくなんてないわ。貴方のための言葉だもの。素直に受け取って私と結婚しなさい」

 

「私なんかが受け取っていいものではないさ。特に、君のは…ほら、もうドライブは終わりだ」

 

 千鶴の言葉と同時に車が止まった。

 外の景色を見ると私のマンションの目の前。

 いつの間に…

 それに、時計を見るともう一時近かった。

 

「夜更かしは美容の大敵だろう?早く寝たほうがいい」

 

 そう言って私を見る千鶴の顔を見た瞬間──

 

 私は、彼にキスをしていた。




勝敗…無しにしといて(ぶん投げ)
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