気がついたらウルトラマンティガになれるようになっていました。   作:紅乃 晴@小説アカ

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人の心の光ってやつをよぉ!!

 

 

見せなきゃならないダルォ!?

 

人の心の光ってやつをよぉ!!

 

それが出来なかったからあの醜態なんですけどねぇええ!!

 

 

ネットニュースが怪獣と謎の光の巨人の与太話で炎上しているのをトイレの個室で見つめながら俺はのたうち回りたい感覚をなんとか押し殺していた。

 

てゆーか何なん?自衛隊の人が亡くなったから戦わなきゃとか衝動に駆られて勇んで出て行ったくせにパワータイプどころかマルチタイプすら維持できないとか。

 

帰ってきてから昼休み超えても行方くらましてたことを先輩に軽く叱られたけど内心それどころじゃなかったんですよ、マジで。

 

悔し涙流しながら泥のように寝たら、ユザレから「まだ光を信じきれていませんね?」ってありがたいお小言を貰いましたよクソが。

 

なんでも俺自身は光の因子を充分に備えてるらしいんだけど、いかんせん心が光を拒絶してる節があるらしくて、マルチタイプすら維持できない貧弱ウルトラマンとなってしまったわけでした。

 

いや、信じてはいるんだけどさ。こえーじゃん?やっぱりさ?体はティガだけど中身はそこらへんで働いてる社会人と変わらんのよ。

 

日常から非日常な生活にうまく切り替えられない頭の硬い人とか思っとけばいいよ!!とにもかくにも、弱体化ウルトラマンティガ問題を早々にどうにかせねばならん。

 

ユザレは「ウルトラマンティガ・オルタナティブタイプ」とか言ってたけど、当面の目標はマルチタイプの維持となりますね!特訓とかしてーけど怪獣出てないのに変身したら以下略なんだわ!!はっはっはっ、困ったわい!

 

そんなこんなでゴルザとメルバをかろうじて撃退したわけなんだが、連日報道されるウルトラマンについて、日本政府はコメントを拒否してるらしい。

 

ニュース越しに見ても苦しい言い訳のオンパレードだが、政府的にはあまりウルトラマンと関わり合いたくはないという姿勢が如実に現れている。

 

だが、不自然な点もあった。俺がティガになったときに足元にいた自衛隊はたしかに俺のことを「ティガの巨人」って言ってたんだよね。

 

ウルトラマンという特撮も何もない世界で何で知ってんの?ってなったけど、冷静に考えればゴルザとメルバが現れた段階で、この地球の古代には光の巨人が存在していたのは確実。コーラを飲めばゲップがでるほどに!

 

そうなると、どこかの遺跡が発掘されてる可能性もある。まぁ憶測に過ぎないけど。巨人の遺跡があるなら、ティガやルルイエのことを知ってる組織もあるかもしれない。

 

 

「おい、円。時間になったから出るぞ?」

 

「はい、先輩」

 

 

今日は協力会社に出張だ。車で数時間程度の道のりを、入社当時から一緒に仕事をしている女性社員の先輩と走る。

 

口は悪いし指導も厳しいが優しくて頼りなる先輩だ。助手席で協力会社に見せる資料を整理する先輩を乗せて、俺は車を走らせてゆくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界保健機関「WHO」は、近年増加する地球の異常気象、その裏側にある不可解な地殻変動や、生態系を調査するため、直轄組織の中で「TPC」設立した。

 

正式名称は「Terrestrial Peaceable Consortium」であり、世界中の人々がよりよい暮らしを営めるように地球環境の調査、整備をすると共に、最新科学を駆使した様々な研究開発が行われている。

 

 

「ご覧のように、光の巨人…ティガと呼称する巨人は、戦闘の途中で著しいパワーダウンを起こしました」

 

 

TPC日本支部の施設内で、白衣を着て説明するのは、TPC局長「安藤 棗(アンドウ・ナツメ)」。彼女はモニターに映るティガの映像をわかりやすいデータシートともに解説していた。

 

 

「観測班からのデータでもわかるように現れた時のティガの肉体は、赤と紫のマーブルカラーでしたが、額付近で腕を交差させた瞬間、肉体が銀色へと変化しています」

 

 

GUTSが遭遇した巨大生命体「ゴルザ」と「メルバ」、そして光の巨人「ティガ」の映像は、同行していた指揮者からも観測しており、その戦いの様子はモニタリングされていた。

 

安藤の言うように、モニターに映るティガは額付近で腕をクロスさせた途端に体から稲妻が走り、その場に膝を付いている。

 

 

「戦闘も見て分かるように、ティガの格闘能力が低下し、モンゴルで観測された巨大生物とイースター島から飛来した巨大生物を逃してまう結果に…」

 

『説明はもう良い』

 

 

安藤の声を遮ったのは、その映像を見つめていたスーツ姿の政治家だった。

 

 

『安藤くん。我々が知りたいのは、あの巨人が人類の味方なのか、巨大生物はどこから、なぜ、現れたのかだ』

 

 

TPC日本支部と映像通信で繋がっている政治家たちの関心はそこに尽きる。怪獣の能力や、巨人の肉体の変化など二の次で、それらの脅威がいつ、どこで現れるのかを知りたがっている。

 

安藤はいつも変わらない視点しか持たない政治家たちの相手にうんざりしていたが、この施設の運用資金を出している出所も、政治家だ。

 

張り付いた笑みを浮かべたまま、今度はゴルザとメルバの進行ルートと、反応が消えたポイントマップを取り出す。

 

 

『ユザレの予言だとか、そんなオカルト染みた話ではなく、もっと具体性を持った回答をだね———』

 

 

明らかに小馬鹿な言い草をする政治家たちの質問は、結果的に徒労に終わるのだった。反応の消えたゴルザの居場所は、未だにわかっていない。そして光の巨人であるティガも…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼らは信じませんよ。ただでさえ、モンゴルで発見されたゴルザの詳細すら隠蔽しようとしているのですから」

 

 

フォーマルなレディーススーツと白衣と言った格好をしている安藤のあとを、TPC直轄部隊であるGUTSの指揮官、「入麻 恵(イルマ・メグミ)」は政治家たちの意向に従う安藤の言葉に反論していた。

 

東北地方で地中へと姿を消したゴルザは、日本海側の海底まで潜り続け、そこから消息を経っている。再び現れる可能性を考慮すれば、日本海側の防衛網を見直すべきだと、入麻は自衛隊やTPCに打診を続けていたのだ。

 

 

「政治家たちは、これで一連の騒動は収まったと思っているのさ」

 

 

安藤も、入麻の言っていることに理解は示していたが、その費用を出すのも政治家の仕事だ。彼らがゴルザやティガが消えたことで騒動が収まったと考えているのなら、入麻の言う案が採用されないことも必然だろう。

 

 

「どこからともなく現れた二体の怪獣と、光の巨人。それだけでも、永田町の政治家たちをひっくり返すには充分な情報だ。なんとも貧弱な政治家たちだよ」

 

 

そう言いながら歩みを緩めない安藤に、入麻は立ち止まって湧いてきた疑問を彼女にぶつける。

 

 

「所長は、また怪獣が現れると…?」

 

 

その言葉に、安藤は足を止めると、白衣を閃かせながら入麻の方へと振り返った。

 

 

「いや、それ以上の脅威だ。ゴルザとメルバは始まりにすぎない…」

 

 

その言葉は、現実のものとなる。

 

TPC本部から通信が入ったのは、それから僅か数分後であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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