CD買いに行ったら人生変わった件   作:煉獄姫

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覚えている方はお久しぶり、初めての方は初めまして。
煉獄姫と申します。
3年ほど失踪していましたが、社畜生活で動画も作れない中創作意欲が爆発してしまったのでち細々と投稿していきます。


覚醒の日

大切な物はいつも自分の手からこぼれ落ちていく、その日は唐突に、なんの前触れもなく突然訪れる。

どうしてなのだろうか、どうしていつも自分なのだろうか。

そうやって何度も何度も考えたって答えは出ない。

だから今度は、今度こそは、君だけは守り通す。

 

たとえ自分が灰になっても

 

◆◆◆

 

「猫を助けて入学初日から大遅刻とはぁ、やっぱお前馬鹿だなぁ~」

「しょうがないじゃん!だって人助けは私の生きがいなんだから」

「だとしても響の場合度が過ぎてるけどね。同じクラスの子に自分の教科書貸しちゃうんだもん」

「私は未来に見せてもらうから良いんだよー♪」

「はいはいご馳走様です。なら人助けついでに俺の財布も助けてください」

「それはダメ。ちゃんと8/2で割り勘だもん」

「もうそれ割り勘じゃねぇから!!」

 

新学期や入学などに忙しい春の季節、今日から花の高校生になった如月霧夜、立花響、小日向未来の幼なじみ三人組はこうして入学式の初日にファミレスに集まり近況を報告し合っていた。

もっとも、響と未来はリディアン音楽院という女子校に行ってしまったため霧夜のみ別の高校なのだが。

 

「ようやく未来の圧政から解放されたと思ったらまだ搾取されるのか俺は」

「圧政というか霧夜の自業自得だからね。今回も遅刻したら奢りって約束言い出したの霧夜なのに自分が遅刻するんだから。むしろ2割出してあげるんだから感謝してよね」

「ああー!ド正論でぶん殴ってくんなぁ!」

「未来には頭上がんないね」

 

昔から霧夜は未来に頭が上がらず、毎回なんとか未来を出し抜いてやろうと霧夜から遅刻したら奢りなどいろんな提案をするのだが毎回トラブルに見舞われ言い出しっぺの彼が自分から言った罰を行う事になる。

今回も遅れたら奢りと言い出した霧夜が遅刻して奢らされそうになったが二人に懇願してなんとか2割だけ出してもらうという事になった。

 

「で、今回はどんなトラブル起こしたの?」

「俺が毎回起こしてるみたいにいうな!」

「いやぁそれは否定できないと思うなぁ」

「お前に言われたくないんだよトラブルメイカー!」

 

今回彼が遅刻したのは風紀委員と口論してその口論が騒ぎが大きくなり風紀委員共々職員室でお説教を受けてたからである。

 

「私の幼なじみってどうしてこう変な事に首突っ込みたくなるのかな」

「別に首突っ込んだわけじゃねぇよ」

「大方その風紀委員が他の生徒に理不尽なこと言ってて我慢できなかったんでしょ」

「霧夜も素直じゃないけど人助け好きだもんね」

「そんなんじゃねぇって」

 

ふいっとそっぽを向いてしまう霧夜を微笑みながら見る二人、こんなことを言っていても実は優しいことを未来と響は知っている。

普段は抜けててデリカシーのない彼だが、本当に困っているときは力になってくれる頼もしい幼なじみ。だからきっと、今回も何か理由があったのだろう。

しかし未来は心配になる。

きっと二人は人を助けるためなら自分の危険なんて顧みず走っていってしまうのだろうと。

 

「人助けも良いけど、二人とももっと自分のこと考えなきゃダメだよ?」

「えへへー」

「だからそういうんじゃねぇから!」

 

◆◆◆

 

その夜、響と未来はリディアン音楽学院の学生寮でのんびりと過ごしていた。

 

「リディアンが女子校じゃなければなぁ~。霧夜も一緒に通えたのに」

「リディアンが女子校のじゃなくても霧夜は来なかったんじゃない?音楽聴くのは好きだけど自分でやろうとは思わなかったみたいだし」

「でもやっぱり1人足りないよぉー!」

 

どんなときも三人一緒だったためにこれから違う学校に通うと思うと少し寂しい。

 

「未来は寂しくないの?」

「まあ寂しいけどやりたい事が違うならしょうがないよ」

「そうだけどさぁー」

 

不満そうにする響を見てクスッと笑う未来。

 

「そっか、響は私より霧夜と一緒にいたいんだ」

「そういう事じゃないよ」

「いいもん、私もう寝ちゃお」

 

少しだけ意地悪をして未来は不貞腐れたようにベットに入りそれに続いて響も同じベッドに入っていく。

 

「ごめんよ未来ー!」

「ふふ、冗談だよ」

 

未来をぎゅーと抱きしめてえへへと笑う響。

二段ベットの1段目は物置にしているためこれから卒業までずっとこうして眠るのだろう。

 

「未来は私にとっての陽だまりで、霧夜は私にとっての月明かりなんだ」

「陽だまりと月明かり?」

「うん。私の帰ってくる暖かい場所が未来の居る陽だまりで、どんなに暗くて辛い所も歩ける様にそばに居て照らしてくれるのが霧夜の月明かり」

 

二人がいたからこそどんなに辛い時でも耐えてこられた。

響にとって霧夜も未来もかけがえのない存在なのだ。

きっと、二人がいなければ2年前の事件も立ち直ることは出来なかっただろうと響は思う。

いつまでも一緒というのが無理というのは響もわかっている。

だから、せめてその時までは一緒に居たい。

そう思いながら、響は眠りについた。

 

◆◆◆

 

春と言っても夜の風はまだ冷たく吹き荒ぶ。

そんな時にある女性はビルの屋上から街を眺めていた。

 

「変わらないな、この街は」

 

黒く長い髪が夜風にたなびかせながら女性は懐かしそうに、しかしどこか切なそうに呟いた。

それを隠すように女性は顔にバイザーを装着する。

ここから先に悲しい感情などいらない、弱さもいらない。

たった一人の大切な人を助けるために。

 

「今度は、私が助けるからね」

 

そう言って女性は夜の街に消えた。

 

◆◆◆

 

翌日、学校が終わった霧夜の下に響からのメッセージが飛んできた。

 

『放課後リディアン前に集合(*^^)』

 

特に予定もないが女子校前で待機は男子高校生にはなかなかにハードルが高くないだろうか。霧夜にとって女子校のイメージは男子が全く存在しないフローラルな世界、そんな中に男が紛れ込めば奇怪なものを見るような目で見られるに違いない。

もちろんそんなことは無いが霧夜にとって女子校のイメージとはそんなものだ。しかしすっぽかしたら響はともかく未来に何を言われるかわかったものでは無いので大人しく正門前で待っていた。

霧夜のイメージの様に奇怪なものを見る様な目で見られることは無かったがやはり男子があるのは珍しいのかチラチラと見られる事に居心地の悪さを感じながら待っているとこちらに響が元気に走ってくる。

 

「ごめーん!待った?」

「待ち時間はそうでもないけど女子校まで男子一人が待つのは精神的に辛い」

「ほほう?鋼のメンタル如月霧夜も流石に女子校に一人は難易度高いかな?」

「日々未来に鍛えられてるからなぁじゃなくて!ていうかなんの用だよ」

「翼さんの新しいCDが出るから買うの付き合って!」

 

翼さんとは現在大ブレイク中のボーカリストで、2年前まではツヴァイウィングというユニットだったのだが相棒である天羽奏が事件により亡くなったため現在はソロで活動している。

風鳴翼という名前を聞いて少し顔をしかめる霧夜を他所に早く早くと手を引っ張って待ちきれないという様子の響に釣られて駆け足でショップに向かう。

 

「ていうか今どきCDじゃなくてもネットで買えばいいだろ?」

「CDは特典が違うんだよ。霧夜だってゲームに特典着いてたらパッケージで買うでしょ?」

「俺は特典ついてようが無かろうかパッケージ派だ」

 

今どきゲームをパッケージで買う人間も少ないため霧夜も彼女の事を言えない。彼いわくちょっとずつ棚に並んでいく感じが良いのだとか。

結局のところ似たもの同士なのである。

 

「早くしないと売り切れちゃうよ!早く早く!」

「ちょっと待てって」

 

そう言って2人は駆け足でショップへ向かっていった。




あらすじ変更するかもぉ。
というかいろんな機能追加されててびっくりした。

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