CD買いに行ったら人生変わった件   作:煉獄姫

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キャラが仲良くなるまでギャグっぽいの入れられないのが大変ですねぇ


防人の少女

「ノイズ以外の高エネルギー反応を確認、解析結果出ます!」

 

特異災害対策機動部二課のモニターに現れたのはガングニールという文字、2年前に失われたガングニールの反応が確認され二課の司令官風鳴弦十郎を初めとした面々は驚きを隠せない。

 

「もう1つの反応は!」

「解析結果出ません!unknownです!」

「どういう事だ!?」

「未知の聖遺物?でもこの莫大なフォニックゲインはただの聖遺物じゃないわ…まさか」

「完全聖遺物とでも言うのか…」

 

失われた撃槍とデータベースにない完全聖遺物の出現、異常事態が2つも起きた。騒然とする二課をよそに天羽々斬の適合者である風鳴翼は現場へと向かう。

真相を確かめるために。

 

◆◆◆

 

(なんだこれ、体が…引きちぎられそうだ…響は…)

 

身体中に走る激痛に思わず目から涙が流れる。痛みで泣くなど何年ぶりだろうか、体が真っ二つになるような痛みに耐え必死に意識を繋ぎ止める。

その時、不意に周囲の音がパタリと消えたような気がした。

響きの絶叫も自分の絶叫も聞こえない。

そして目の前に、一人の女性が立っていた。

黒くふたつに束ねた長い髪に巫女のような服装をした女性は無表情でこちらを眺めている。どうしてこんな所に、そんな疑問を頭の中で過ぎらせる。

 

(己が役割を果たせ)

 

女性が語りかけた瞬間、現実へと意識が引きずり戻された。絶叫と激痛がまた霧夜を襲う。そしてまるで一生かと思われたその痛みにようやく解放された時、響の姿が変わっていることに気がついた。

 

「響…お前っ、なんだその格好…」

「ふぇ…えっ、何この格好…」

 

響の姿はオレンジを基調としたピッチリとしたインナーに機械的な鎧を着込んだ様な姿だった。

 

「何お前、仮面ライダーだったの?」

「違うよ!私も何が何だかさっぱり…」

「そうだよな…女の子だからプリキュアだよな

「そういう事じゃないから!」

「ていうか同じ様に痛い思いしてるのにお前だけ変身?俺なんで変身してないのズルくない?」

「知らないよそんなこと言われても!ていうかそれどころじゃないよ」

 

激痛のせいでやや錯乱していたのか全然関係ない事を語り始めていた霧夜は響の言葉で状況を思い出す。現在2人は逃げ遅れた少女と共にノイズに囲まれている最中だった。

 

「やっべそれどころじゃなかった!とにかく離れるぞ!」

「離れるってここ屋上だよ!?どうやって!」

「今のお前ならスーパージャンプ的なこと出来るかもしれないだろ!自分をプリキュアだと思えキュア響!」

「プリキュア…よしっ、今の私はプリキュア…なんでも出来るキュア響キュア響…」

「……ブフッ!」

「自分から振っといて笑わないでよ!すっごい恥ずかしいじゃん!」

「いやお前…ほんとにやると思わんかったあははははっ!でもこれでちょっとは怖くなくなっただろ?」

 

言われてみれば先程前何が起きているかわからなくて怯えてしまっていたが、今はもうそれ程まで恐怖を感じない。一緒にいた少女も今のやり取りを見て笑っていた。

 

「ありがとね霧夜」

「よっしゃ!思い切って飛べぇ!」

 

その直後響は思い切って少女と霧夜を掴んで屋上から飛んだ。普通なら考えられないが何故かその時は出来るような気がしたから。

響はそのまま2人を掴んで無事に地面へ着地し、ノイズから何とか逃れたかと思ったが無限に出てくるかの様に次々と湧き出てくる。

 

「凄い出来た!」

「ははっ、やってみるもんだなぁ…まだ足ガクガクしてら…」

 

高所からのダイブに脚が震えている霧夜を他所ににじり寄ってくるノイズ、この場から逃げようとしたその時バイクの駆動音が聞こえ音のするほうを見ると何者かがバイクで突っ込んでくるのが見えた。

その人物はバイクを乗り捨ててその場に降り立つ。

 

「惚けない、死ぬわよ!貴方はそこの2人を守ってなさい!」

 

そこに降り立ったのは風鳴翼、トップアーティストの彼女がなぜこんなところにいるのかそんな疑問の前に彼女が歌を口ずさんだ瞬間、姿が変わりまるで響の様な鎧を纏ったような姿に変貌した。

 

「翼さん?」

「なんか知らねぇけどあいつもお前も同じ様な格好してるけど…お前らひょっとしてコスプレ同好会的なやつに所属してる?」

「してないよ!ていうかリディアンに無いと思うよそんな同好会!」

 

霧夜の理解が追いつく暇もなくズバズバとノイズを切り裂いていく翼、まるでこれまでずっと戦ってきたかのような手際を見て流石にただのコスプレではないことに気づく。

そもそも先程屋上からダイブして無事という時点でコスプレではないことに気づくべきだが。

 

「とりあえずあいつに任せとけば大丈夫…響!」

「えっ?」

 

翼の姿を見ていたため近くに来たノイズに気づかず、そのノイズが響へと襲いかかっていた。咄嗟に霧夜は響を後ろに引っ張って代わりに自分が前に出る。そんなことをすれば確実に死ぬ、だがそう考える前に体が動いてしまった。

 

(やばっ、これは死んだかな…)

 

後ろから響の絶叫が聞こえてくる。しかしもう間に合わない。

如月霧夜はここで炭になって死ぬだろう。思えばろくなことが無かった人生だった。

 

━━━━━━━━━━でも大切な幼馴染のために死ぬなら良いよな

 

そう目を閉じた瞬間、衝撃と痛みが体を襲いその場所から数メートル吹っ飛ばされた。

車にぶつかられた様な衝撃が全身をめぐり、肺から空気が全て吐き出されむせ帰る。

 

「ゲホッ、ゲホッ、あれ…俺炭になってない?」

 

そう、そもそもノイズに襲われて痛みに襲われるというのがおかしい。ノイズに襲われた人間は例外なく炭にされてしまうのだから痛みを感じる暇などないはずだ。

しかし霧夜は普通に殴られたかのように数メートル吹き飛ばされはしたが炭になってはいなかった。

 

「霧夜!」

「大丈夫だ、今んとこ死んでない」

 

話していた時、響の後ろからノイズが襲いかかり霧夜のカバーが間に合わなかったが咄嗟に響が振るった拳がノイズを消滅させた。

 

「あれ、私が倒したの…」

「なんかよくわかんねぇけど、今のお前なら倒せるってことだろ!すげえじゃんお前!」

 

ノイズは響にとっても霧夜にとっても因縁深い存在。通常兵器では倒せないと言われ過ぎ去るのを黙って見ているしかないと言われていたが、今ノイズに対抗出来る力が目の前にある。

こんなに嬉しいことは無い。

そしてひとつの結論に至る。

響に倒せるのであれば、先程殴られても炭にならなかった自分にもできるのではないか。

やってみるしかない。そう考えた霧夜は襲ってきたノイズに対して拳を振るう。すると、ノイズは消し飛び炭になってしまった。

 

「やった!俺にも出来たぞ響!」

「凄いよ霧夜!私達、ノイズをやっつけたよ!」

 

そして最後に巨大なノイズを翼が巨大な剣で貫き全てのノイズが駆逐された。

◆◆◆

 

「お前それ脱がないの?」

「あっ、そうだった。どうやって脱ぐんだろ?」

「普通に脱げるんじゃねぇの?」

 

ノイズが全て倒されたあと政府の人間達がやって来て事後処理を始めていた。霧夜と響はあの後すぐに保護され現在は待機中だ。もちろん少女も保護されて今は母親といる。

どうやってこのスーツを脱ぐかどうかを話していたら急に響の体輝いた直後に制服姿に戻っていた。その際ふらついた響の手から職員に貰った温かいコーヒーが霧夜の顔面へ直撃した。

 

「ぁぁぁぁぁぁぁぁ!俺の顔面に温かいものがァァァァァァァァァ!」

「あの、翼さんありがとうございました!」

「それよりまず俺へのコメントォォォォォォォォォォ!」

 

地面をゴロゴロと転がる霧夜を放って翼にお礼を言う響。彼女がこれで助けられるのは二回目だと言うと翼に伝えると翼は苦い顔をしてどこかへ行ってしまう。

 

「あっ、行っちゃった」

「ふんっ!」

「痛ったぁ!何で叩くの!」

「顔面に熱々のコーヒーぶっかけられたらぶっ叩きたくもなるわ!たくっ、そろそろ帰ろうぜ。結局CDも買えなかったし」

 

そうやって帰ろうとした瞬間、大勢の黒服に囲まれてしまう。

そしてその中心には先程までいた風鳴翼。

 

「あなた達を返すわけには行きません。このまま特異災害対策機動部二課まで来てもらいます」

「なんでですか!」

「そうだそうだ、こっちはもうクタクタなんだよ」

「関係ありません」

「俺たちだってそっちの都合なんか知らねぇよ。帰らせてもらう」

 

そう言って帰ろうとするとガチャりという音が隣から聞こえた。

響の手には頑丈な手錠が嵌められており、身動きが取れなくなっていた。

 

「お気持ちはわかりますが落ち着いてください。あくまで一時的に拘束するだけですから」

「ふざけんな!人を犯罪者みたいに扱いやがって!ノイズに襲われたのがそんなに行けない事なのかよ!俺たちだって好きで襲われてたんじゃねぇ!」

「そういうことではないんです。詳しい話は移動してから致しますので、少し我慢して頂けませんか」

 

そう言うといつの間にか霧夜の手にも響と同じ手錠が付けられていた。

 

「くっそ!ふざけんな絶対行かねぇぞ!」

 

じたばたと暴れ散らし黒服を大いに困らせた霧夜だったが流石に大人数相手には歯が立たなかったのか無理やり車の中に押し込まれて、連れ去られてしまった。

ちなみに響も同じ車に載せられている。

 

「どうしよう霧夜〜」

「とりあえずてめぇは殴る。絶対殴る」

「あははは、嫌われてしまったみたいですね」

「その胡散臭い笑顔が腹立つんだよ!」

「すみません、霧夜身長が高くてカッコイイ人見ると食ってかかっちゃうんです」

 

ぐるるるる…と目の前のイケメン、風鳴翼のマネージャーである緒川慎次に敵意剥き出しの霧夜とそんな彼に苦笑いの響、二人を載せた車は響と翼が通っている学校、リディアン音楽院に着いた。そこから歩いていき中央棟に入るとエレベーターに案内された。

そして緒川が何かをかざすとエレベーターの扉がメタリックなものに変わり取っ手が現れる。

 

「さっ、危ないので捕まってください」

「触んなイケメン」

 

緒川が霧夜の手を取ろうとしたときに霧夜はサッと離れて翼の横の取っ手を掴もうとした瞬間、エレベーターが急降下し取っ手を掴んでいなかった霧夜の体は浮き上がり頭を思いっ切りぶつけてさらに床に叩きつけられた。

完全にアホである。

 

「霧夜大丈夫!?」

「大丈夫なわけねぇだろ…頭割れるかと思ったわ…」

「そうなるのできちんと取っ手を掴んで頂きたかったのですが…」

「はぁ…」

 

気を取り直して立ち上がり今度はしっかりと取っ手を掴む霧夜、ガラス越しに外を眺めると古代文字のようなものがびっしりと書かれた巨大建造物が目に入った。

 

「お前の学校の地下なんなの、ダンジョンかよ」

「あはは…なんなんだろうね…」

「愛想は無用よ。これから向かうところに、微笑みなんて必要ないから」

 

そして目的の階層に到着し、エレベーターを降りると。

突然クラッカーが鳴り響き垂れ幕にはようこそ、立花響さま、如月霧夜さま、という文字か書かれていた。

そしてなぜかシルクハットをかぶった筋骨隆々の赤髪の男性がいた。

 

「ようこそ!人類守護の砦、特異災害対策課機動部二課へ!」

「おい来るとこ間違ってないか」

 

そうジト目で訴える霧夜に翼は目線を合わせなかった。

 




二次創作自体久しぶりだからちゃんとできてるか心配

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