CD買いに行ったら人生変わった件   作:煉獄姫

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話が進まん…


シンフォギアと完全聖遺物

「毎回お前らは手錠しないと話できねぇのか」

「すみません、規則なものですから」

 

 霧夜は自身の寮にいた時にまたまた黒服に連れて行かれてご立腹である。その際に霧夜の目の敵である緒川も居たため彼は荒みに荒んでいた。隣人から、どうした?地下行きか?などと煽られたためさらにご立腹である。(ちなみに隣人は緒川が適当に誤魔化した様子)

 

「さて、二人のメディカルチェックの結果だけど。特に異常は無し、二人とも健康そのもの…一つを除いてね」

「一つを除いて?」

「響ちゃんの胸には2年前失ったはずのガングニールという聖遺物が埋まっている」

 

 2年前、かつて風鳴翼が天羽奏と組んでいたツヴァイウイングというユニットのライブでノイズが発生する事件が起きた。

その事件により数万人のファンと天羽奏がなくなったとされている。

響はそのライブに一人で行ってその事件に巻き込まれた。

 

「あのライブで戦っていた奏君のガングニールの破片が響君の胸に残ってしまっている。それが響君がガングニールを使えた理由だ」

「破片は体の深くに残ってる。奏ちゃんの…置き土産ね」

「…天羽奏も…ノイズと戦ってたのか…」

「そうだ。奏君はノイズとの戦いで命を落とした」

 

天羽奏は巻き込まれたのではなく、ノイズと戦っていた死んだ。そう聞かされた霧夜は改めてノイズと戦うことの危険を認識する。

事実自分でさえも本来響を庇った時に死んでいたとしても不思議ではなかったのだから。

 

「だからとて、どんな歌、誰の歌にでも聖遺物を起動する力がある訳では無い!」

 

扉の近くにいた翼が我慢ならずに吠える。

彼女にとってガングニールは相棒の武器、それを昨日ぱっと出てきた他人が使うなど我慢出来なかったのだろう。

あまりの衝撃に耐えかねたのか、翼はその場から出て行ってしまう。

すぐに了子が補足説明を行い、シンフォギアは適合者と呼ばれる人間の歌によって起動して再構築されて鎧の姿を象るのだと言う。

 

「じゃあ響がそのシンフォギアを使える理由も、ノイズと戦える理由も分かったけどさ、なんで俺はノイズを倒せたんだ?響みたいにシンフォギアってやつを使ったわけじゃないだろ?」

 

理解が追いついていないという顔をしている響を置いて話を進める。

 

「霧夜君、ここまで話したシンフォギアは経年破損で破片などになってしまった物を再構築して使ってるっていうのは理解出来たわよね」

「一応」

「でもね?聖遺物の中にはそのままの状態を残している物もあるの。それを私たちは完全聖遺物と呼んでいるわ」

「シンフォギアの上位互換みたいなもんか?」

「その通り、この完全聖遺物はシンフォギアの様に歌で再構築する必要はなくそのまま使うことが出来るの。その分希少価値が高くて国が秘密裏に管理するような代物なのよ」

「その完全聖遺物が、霧夜君…君の体に存在する様だ」

「はぁ!?」

 

響の体の中に聖遺物があるというだけでも頭がいっぱいなのにましてや自分の体にはそれを超える物が存在すると言われて霧夜は驚きを隠すことが出来ない。しかしレントゲンを見るとそんな物体はどこにも見当たらない。

 

「でもレントゲンには映らなかった。響ちゃんの様に物理的に埋まっている訳では無いようなの。同化していると言ったら正しいかしら、だから外科的に取り出そうとしても無理ね」

「しかもその聖遺物はうちのデータベースにも存在しない物だった。何か知っているかと思ったが…その様子だと何も知らないみたいだな」

「当たり前だろ。シンフォギアだの完全聖遺物だの今初めて知ったよ。そんなご大層なもん持ってた記憶もねえし食った記憶もねえ」

 

記憶を辿ってみてもそんな国家機密に関連するような出来事は今までに遭遇したことは無いし、そんなとてつもない物体など見たこともない。

 

「その聖遺物の力でシンフォギアと同じような能力、アンチノイズプロテクターに近い膜の様なものがあなたの体を覆っていたからノイズに触れることが出来たの。つまり霧夜君は擬似的にシンフォギア装者と同じ状態ということよ」

「この事が知れればこの国だけでなく米国政府も黙っちゃいないだろう。最悪君を引き渡すように要求してくるかもしれない」

「いやいや、たかが高校生に大げさな…」

「それだけ完全聖遺物は凄まじいってことよ。一つあれば国を変えるなんて容易にできるんだから」

 

米国に引き渡されたら人体実験とかされまくるのかなぁと身震いする霧夜をよそに弦十郎は話を続ける。

 

「だからこそ、この事は他言無用で頼む。君たちの身はもちろん、君達の身の回りの人間も危険に巻き込みかねないからだ。最悪命の危険すらある。俺が守りたいのは機密などではない、人の命だ。だからこの力の事は隠し通して貰えないだろうか」

 

自分の身の周りの人間と言われて霧夜と響は真っ先に幼馴染の未来を思い浮かべる。どんなに近しい友人であったとしてもこの事は他言してはいけない。

 

「ノイズは通常兵器では倒せない。例外があるとすれば、シンフォギアを纏った戦姫と完全聖遺物を宿す君のような存在だけだ。日本政府、特異災害対策課機動部二課は改めて君達に協力を要請する。その力を対ノイズ戦で役立ててくれないだろうか」

 

真剣な眼差しが2人を捉える。正直、気乗りはしない。そもそも日本政府自体に霧夜はいい感情を抱いていない。2年前のあの事件以来、政府はノイズ事件で生き残った人達のケアなんて何一つしていなかった。どれだけ響が苦しんだかも知らないだろう。

だが、それはこの人達が悪いわけじゃないこともわかる。

本気で人を救おうとしているのも。

 

「響はどうする?」

「私は…」

「正直俺はお前に断ってほしい。危ないし、未来に対して誤魔化すのも難しいしな。でもお前がどうしてもやりたいって言うなら、俺も付き合う」

 

2年前にもう一人になんてしない、絶対にそばにいると約束した。自分の他に頼れる人間が響のそばに現れるまでは。

 

「…私の力で、誰か助けられるんですよね」

 

その問に弦十郎と了子は頷く。

 

「分かりました!私、ノイズと戦います!」

「霧夜君、君はどうする?」

「やっぱやるよなぁ…しょうがない、響1人で放って置いたら逆に街ぶっ壊しそうだしなぁ、俺も手伝うよ。それにノイズには色々と借りがあるしな」

「分かった。君たちの協力に感謝する」

 

そう弦十郎が頭を下げた時緊急を知らせるアラートが鳴り響いた。

 

「司令!ノイズが出現しました!翼さんが既に現場に急行しています!」

「私も行きます!」

「まて、君はまだ!」

「私の力で、誰かを助けられるんですよね!だったら私行きます!」

「おい!待てよ響!」

 

響は弦十郎の忠告を聞かずに駆け出し霧夜もそれに続いて行ってしまった。

 

「人のために自分の命を投げ出す…あの子達もこちら側という事ね。それに…」

 

ノイズに借りがある。

そう言った霧夜の目は、数年前に見た天羽奏と同じ目をしていた。

 

 




ちょっと端折ってもいいかもしれませんね

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