CD買いに行ったら人生変わった件   作:煉獄姫

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ごめんなさい!
更新遅れてしまいました。


銀髪の少女

「さーて何作ろっかな〜」

「決めてなかったの?」

 

結局あのあと未来から本当に嘘かどうかの事情聴取が30分ほど続き、気分を害した罰ということで買い物に付き合わされていた。その後機嫌を良くしたのか霧夜の買い物にも付き合うと言ったので彼の趣味であるガンプラが販売されている店舗に足を運んでいた。

昔から霧夜のガンダム好きは未来も知っていて、たまに二人揃って作品を見たりゲームをしたりガンプラを作ったりしているため未来もガンダムには明るい。

しかし作品を少ししか見ていないのに霧夜よりもガンダムゲーとガンプラ作りはなぜか未来の方が遥かに上手い。

 

「うーん、HGとRGだけじゃなくて久しぶりにMG作りてぇなぁ…」

「そんな事言って接続部分ニッパーで切り落とさないでよ」

「それ中一の時の話だろ!いつまで引っ張んだよその話!」

「どうしよう未来〜って泣きついて来たの霧夜でしょ?」

「あれは切断部分と接続部分を一緒にしてたパーツが悪いんだよ」

「その後もデカール失くしたりで大騒動だったよね」

 

ふふふっ、と昔のことを思い出して笑う未来と傷口をほじくられてバツの悪い霧夜。響の事で悩んでいる様子だったが、今は楽しんでいる様だ。

 

「こうやって2人で出掛けるのも久しぶりだね」

「大抵響入れて3人だからな〜」

 

今回響は授業のレポートに追われて居残り中である。

 

「響の奴学校でどんな感じなんだ?相変わらずか?」

「うん、この前も授業中に寝ちゃって先生に怒られてた」

「高校行っても変わんねぇな」

「でも私以外に友達出来たし楽しくやってるよ。それより霧夜はどうなの?」

「俺は…非常に濃いメンツと知り合った」

 

一応霧夜にも友人は居るのだが、個性的というかめんどくさいというかとにかく一筋縄では行かない人間ばかりなので出来れば知り合いだと思われたくない。そもそも紹介したくない。

 

「この前女子の幼馴染が居るって言っただけで殺されかけた」

「霧夜が通ってるの高校だよね?魔界じゃないよね?」

 

もはや魔界よりもひどい惨状だったりするが心配するので何も言わない。

 

「でもなんか納得かも」

「納得すんなよそこ、平和な学校生活とは180度変わってくんだから」

「だって霧夜自体が濃いからね。ちゃんと友達できるか心配だったんだよ?」

「お前は俺のお母さんですか」

 

霧夜は人付き合いがうまい方ではないためちゃんと友達が出来るかどうか不安だった未来だが心配はなさそうだ。

 

「あっ、100分の1スケールのルプスレクス置いてる!でもHGの第6形態もいいなぁ…ぐぬぬ」

「MGは専門店の方が安いんだからHGにしときなよ」

「うーん、じゃあお母さんの言う通りHGにしときますかね」

「別にしろとは言ってないんだけど」

 

HGのバルバトス第6形態のガンプラを会計に通しお店を出て当てもなく街をブラブラと歩く。こうやって幸せがずっと続けばいいのにと考えるがノイズが居る限り長くは続かないだろう。

願わくば今だけは空気を読んで出てこないでほしいものだ。

歩いていると不意に未来が立ち止まって後ろを振り返り怪訝な表情を浮かべる。

 

「どうした?」

「やっぱり誰かに付けられてる」

「俺にストーカーなんて着くわけないだろ」

 

一瞬二課の誰かかと思ったが基本プライベートには口出ししないと弦十郎が公言していたためそれは無い。仮に監視していたとしても素人である未来にバレるような尾行はしないだろう。

 

「気のせいかと思ったけど、やっぱり付けて来てるよ」

「考え過ぎだって、ほら行こうぜ」

 

霧夜のそんな言葉を耳に入れず未来は気配がすると言った方へ歩いて行き、そのまま裏路地へと入っていってしまった。

未来を追って裏路地に入ると未来が銀髪の少女の腕を握り潰す様掴んでいた。

 

「離せよっ!くそっ!」

「貴女ずっと私達のこと付けてたよね?何が目的?」

「何やってんだよ未来!離してやれって!」

 

急いで手を振りほどかせ未来と銀髪の少女の間に入る。それでもなお未来は銀髪の少女を睨みつけており、少女は腕を抑え涙目になりながらそれに対抗して睨む。

 

「この子が1時間くらいずっと私達のことつけてたんだよ」

「そんなことしてねぇって言ってんだろ!証拠でもあんのか!?」

「じゃあどうしてこんな裏路地で何してたの?」

「そ、そんなのあたしの勝手だろ」

「何をする訳でもなく隠れて私たちのこと見てたよね?いや、正確には霧夜の事かな?」

 

うっ、と図星をつかれた様な表情をした彼女に対して未来は更に追求していこうとしたが霧夜に阻まれて少女から物理的に離されてしまう。

 

「いい加減にしろって、別に裏路地ウロウロしてたって良いだろ?昔の事があったとはいえ敏感になり過ぎだって。それによぉ」

 

ポンッと銀髪の少女の頭に手を置いてわしゃわしゃと撫で回す。

 

「こんなちっさい中学生に何が出来んだよ」

「…だ」

「うん?」

「あたしはこれでも16歳だぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

その瞬間、少女の蹴りが霧夜の股間を直撃しあまりの衝撃に悶絶して霧夜はその場に蹲ってしまい、少女はしまったという顔をしてその場から直ぐに立ち去ってしまう。

 

「待ちなさい!」

「待ってくれ未来ぅ…ちょ…腰の辺りトントンして…無理…片方の玉どっか行った…戻してぇ…戻してくれぇ…」

 

すぐに追いかけて問い詰めたかったがこの状態の幼馴染を置いて行くわけにもいかず未来は霧夜の腰を優しく叩いて玉が元の位置に戻るまでそばに居た。

ちなみに戻るまでの10分間通行人になんだあいつらという目で見られていたのは言うまでもない。

 

◆◆◆

 

失敗した失敗した失敗した!

銀髪の髪を揺らしながら走る雪音クリスは尾行相手に気付かれて全力でその場を離脱している最中であった。

彼女の保護者から如月霧夜という少年を監視しろと指示をされて彼を監視していたのだが本人ではなくそばに居た少女に尾行がバレてしまった。

あんな華奢な身体のどこからあの万力の様な握力が発揮されたのかクリスには検討もつかない。軽くトラウマである。

 

「それにしてもあんな奴がほんとに融合例なのか?」

 

1時間程度とはいえ監視した彼の第一印象はどこにでもいる普通の、この平和な国で、何不自由なく育った普通の少年。

だが彼女の保護者は如月霧夜、そしてもう1人の融合例である立花響に夢中だった。特に如月霧夜については可能な限り情報を収集しろと言われたほど。

それがクリスにとっては腹立たしかった。

自分の事を何も見てくれない保護者の視線を一心に受けている彼という存在が。

もうクリスには居場所が無い。彼女に見捨てられてしまったらもう何処にも行けないのだ。だから、クリスは今日も彼女のために働く。

自分の居場所であるフィーネのために。




393がハイスペックになっとる…

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