愛を感じられないジュリエット。
本物のロミオとジュリエットになりきれなかった偽物たち。
ある日、そんな偽物-アルター-たちに異変が起きる。
2次創作に該当します。
偽りのアリスの世界観を壊す恐れがあります。ご了承ください。
「好きだよ」
どうして?
「愛してる」
どうしてですの?
「またアソボウね」
またアナタは他の人のところに…。
私はジュリエット。
自分へ向けられるたくさんの愛を
素直に受け入れられない本物に似つかわしくないアルター。
…だったはずでした。
たしかにこの世界に来た時はそうだった。
なのになぜでしょう?
今は、ロミオの仕草や言葉のひとつひとつが
こんなにも胸をきゅっとさせるのです。
ロミオはたくさんの愛をくれる優しい人。
いつも私のことを、可愛いとか好きだよと言ってくれる。
でもいつもどこかを見ているようで、なにかを考えているようで。
そんな言葉をかけてくれるのに視線はあまり合わなくて。
「図書館に行こう…」
ある日、この気持ちを知りたくて確かめたくて
居ても立っても居られなくなってしまって
先生に聞けば何かわかるんじゃないかって
見慣れた景色を見る余裕もないほど走って向かった。
「…ロミ…ッ…」
慌てて自分の口を手で塞ぐ。
そこには知らない人に愛を囁くロミオがいた。
私は何も悪くないはずなのに、いつのまにか本棚の陰に隠れていて
盗み聞きをしている罪悪感に押しつぶされそうになりながら
変わらず、知らない人に向けられた愛を囁き続けるロミオの
心地よい声に耳を奪われていた。
「好きだよ」
「愛してる」
「またアソボウね」
いつのまにか目から涙が溢れていて
拭っても拭っても溢れ続けていて
声をどうにか殺すことしか考えられなくなっていて
「ジュリエット?どうしたの?」
先生が不意に私に問いかけた。
とても心配そうな顔をしている。
その声を合図に、ロミオが私の方を見てくれた。
「ジュリエット!?一体どうしたの、こんなところで」
私はこんなに泣きじゃくっているのに
ロミオはいつもと変わらない優しい声で私に尋ねた。
「私は…私は、ロミオ…あなたの声で胸が踊るの…。あなたの姿をずっと見ていたいし、あなたが私に話しかけている時間を何よりも大切にしたい。…ずっとずっとあなたの近くに、隣にいたいと思っているの…っ」
「ジュ…ジュリエット…?」
「ロミオがくれた、私へのたくさんの言葉…毎日胸がきゅっとなるの。」
「ちょ…ちょっと…///」
「でも!」
出てくる言葉は、自分でも何を言っているのか
分からないくらいめちゃくちゃだ。
もう終わりかもしれないと心の片隅で思いながら、
それでも言いたいことは今全部言わなきゃ、と思った。
「でも…さっき聞いてしまったの。私以外の人へ向けられたたくさんの愛の言葉。こんなにも心が苦しいのはどうして?ロミオ…」
「ジュリエット…」
「私には…あの子のように、目を見て好きと言ってはくれないのね…」
「違うんだ!」
声を荒げるロミオに少し驚く。
しかし、すぐにいつもの優しい声に戻る。
「…こんなに君を傷つけてしまっていたと気付かなかった。ごめんね、ジュリエット。今から僕が言うことは、誰にも話さないし、笑わないと約束してくれないか?」
「? …えぇ、約束するわ…?」
「僕は、僕はこの世界に来た時からずっと、愛を知らないアルターだった。本物にはなれなかったから。」
「えぇ……」
それは私も同じアルターだから分かる。
一緒に過ごしてきて、愛を知ろうと努力するロミオを
ずっとずっと見てきたから…。
「最近になって僕は自分の変化に気付いたんだ。…僕はジュリエットに……、好きと伝えようとすると緊張して、ドキドキしてしまうようになったんだ。目も泳いでしまうし、なかなか格好をつけられない。」
「それって……」
「でも、ジュリエットを悲しませるくらいなら、ちゃんと目を見て言えるように…気持ちを落ち着かせるよ」
「ジュリエット…愛してる。」
「ロミオ…私もです。私も愛してる…!」
「本物に近付いた、ということかな?」
「先生!!」
「盗み聞きするつもりではなかったんだけどね…申し訳ない」
「ぜったい!他言無用ですよ!!」
「ははは、わかったよ。約束だ」
私が1番ほしかった言葉は、
「好き」でも「愛してる」でもなくて
「私だけに向けられたコトバ」だったのですね…。
「恥ずかしくて目が合わせられなくてごめんね…」
「そ…そうだったんですのね…こちらこそごめんなさい…////」
チャットをしていて、ふと小説書いてみよ〜って思って
多分1時間程度で書きました。
続くかどうかは分かりませんが、
ノリで今後もちょこちょこ書くかもしれません。
偽りのアリスはいいぞ。