勝手に人をヒロインにすんな!   作:茜 空

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ほんとあれです。更新したい気持ちは強いんですよ。けどなかなかできない。うまく言葉にできないんですよね。まぁその力をつけるためにもこれ書いてるんですけど。待ってる人、なかなか更新できなくてごめんなさい。お待たせしました。


第9話:波乱の新生活 気の抜けない午後編

「はぁ、気が重い」

 

 俺は頼んだフラペチーノを口に含んで飲み込み、ため息を吐きながら独り呟く。待ち合わせ時間まであとちょっとか。

 入学式もその後のあれやこれも全部終わって今は午後、俺はりゅーじとめぐみんとの約束したお茶をするために、駅前のス○バで一足先に注文を済ませて待っていた。

 ちなみに髪型と服装はもちろんアプリで変更済み。さすがに崋山高校の制服はないので(それなのになぜこんな嘘をついてしまったのか、過去の自分に問いたい)、前にガチャで出た清楚なワンピースと、黒い魔法少女っていうのもバレないように髪はファッション誌とか参考にヘアピンを使って印象を変えている。ちなみに我ながらめちゃくちゃ似合っていて微妙な気分になった。女扱いされるのは嫌だけど、似合ってたり可愛かったりするのはぶっちゃけ嬉しいし楽しい。今ならオシャレを楽しむ女子の気持ちがすごくよく分かる。それも微妙な気持ちの一因だけど。

 あのあと。変異したネズミ怪人は当然俺が面倒みることになった。まあ自分の撒いた種だし、保護観察も経過観察も人には押し付けられないから妥当っちゃ妥当な話だから文句はない。不満ではあるけど。今はエレメンツに事情を話して預かってもらっている。きーちゃんがかなり嫌そうな顔してたけどせいちゃんとみどりちゃんが逆に喜んで預かってくれた。

 クラスの戦闘に関してはあのドリームチームが負けるはずもなく、数だけは多かったアレをフルボッコにして撃退したらしい。くっそう、超見たかった。その後クラスの交流を深めようって事でカラオケに誘われたけど、残念だけど俺はもう予定が入っていたので断腸の思いで断わらせてもらった。次回は是非参加したい。ていうかする。……次回があれば、だけどさ。

 あ、もちろんキスに関しては断固拒否。ってもそれで騒いでたのは事の発端にして元凶、そのうえ戦闘中に気絶してて全く役に立ってなかったクズヒーローだけだった。クラス中の女子から氷点下の眼差しで見られてたけど全く気付いてないし、高校生活初日からクラスメイトの評価の下落が止まらない。大丈夫かなこいつの高校生活。少しかわいそうに思わないでもないけど、まあ身から出たサビというか、自業自得だしな。同情はしない。……天罰ザマア(コッソリ)

 一応他にも数名口にしなくても残念そうにしてた男子と一部女子はいたけど、そっちは「まあそうだよねー」っていう空気出しまくってたのでそっとしておいた。

 

「へーい彼女1人?」

 

 そんな午前の反省とあんにゅいな気分に浸っていると、不意にかけられた声に思考が途切れた。ふと見上げればそれはそれはチャラそうで軽そうな男子が数人。

 

「へーいってお前いつの時代の人間だよ」

「平成に帰れバーカ。ギャハハ」

「いやいやそこは昭和でしょ?昭和」

「何お前こんなとこでナンパ?ってうわっ、めっちゃカワイイ!」

「ヤッベマジだ」

「何何?1人でお茶してたの?うっわそれ超寂しくね?俺たちチョー優しいから一緒にお茶してあげようぜ」

「お前それ超いいアイデアじゃん」

 

 うわぁ色んな意味で超お近づきになりたくない人種がグイグイくるよ。っていうか勝手に話進めんな!当然のように囲んでくるなぁ!

 

「あの、俺、じゃなかった、私、待ち合わせしてるんで困るんですが」

「えー?そんなの別に放っておけばいいじゃん」

「そーそー。もっと出会いを大切にしなきゃ」

「あ、もしかして待ち合わせでこれからくるのって友達?その子もかわいい?」

「そりゃ絶対かわいいっしょ」

「「だよなー」」

「じゃあ一緒にお茶すれば問題解決じゃん。あ、せっかくだしこままどっか遊びに行かね?」

「「「さんせーい」」」

「絶対に嫌ですけど?」

「ちょーノリ悪いってー」

「そこは一緒にさんせーいってとこじゃーん?」

 

 人の話全然聞きやしねぇ。っていうかめちゃくちゃなれなれしくてめちゃくちゃ鬱陶しい。ぶっちゃけウゼェ。

 

「えーっと、うみの従妹で、いいよね?友達連れてきたの?」

 

 いい加減ウンザリしていた所に待ち人来たる。といっても今俺の前にいるのはめぐみん一人だけ。ゆーじはどうした?

 

「うわ、女神だ!女神降臨!」

「マジでかわいい子来たよ!」

「二人そろってレベル高ぇ」

 

 ナンパ男どものテンションが上がってるようだけど、俺のテンションは更に急降下。結局こいつらに絡まれて打開策は練れなかった。せっかくの高校生活の初日なのにこのありさま。厄日かな?

 

「……友達に見える?」

「そーでーっす」

「俺たち今ここで友達になったんだよ」

「なー?」

 

 イライライラッ!!!

 

 ただでさえ嫌いな人種で、嫌いなナンパで、正体隠してこれから気の抜けないティータイムの始まりという苦行が待ち構えて軽く鬱ってるのに、さらに追い打ちをかけてくるかこの馬鹿どもは!

 

「……だよねー。ごめん」

 

 そんな俺の状況を見てめぐみんはちゃんと察して謝ってくれた。この辺さすがめぐみんだよなって思う。俺のほうが感情駄々洩れしてるだけなのかもしれないけど。

 

「あのさーあんたたち、ナンパをするなとは言わないけど、空気を読むスキルと引き際はちゃんとしといたほうがいいよ?」

「えー?なになに?説教?」

「超テンション下がるじゃん。やめようぜそういうのー」

「そんなことよりこれからどうすっか考えるほうが大事じゃん?」

「そっちこそ空気読めてなくね?超空気悪くなったじゃん」

「うーわーかわいい顔してるのに残念思考ちゃんかよー」

 

 ……うん。もう我慢の限界。こいつらぶん殴ろう。この先どうなるかなんて知ったことか!

 

「……おいお前ら、俺のツレと待ち人に何してんだ?」

 

 行動に移るべく立ち上がろうとしたまさにその瞬間、ナンパ男の頭に手が置かれた。で、聞こえてきたのは友人(りゅーじ)の声。ただし、俺でも多分そう聞いたことがない低ーいドスが効いたキレぎみの声。

 

「いだだだだだだだだだっ!?」

 

 りゅーじの手が頭に置かれたナンパ男が、悲鳴に近い声をあげながら痛みを訴える。その顔はめちゃめちゃ引きつっていて、置かれた手からはミシミシと音が聞こえてきそうなくらい力が入ってるように見える。あれは痛い。絶対に痛いやつだ。

 そのまま視線をりゅーじに向けてみれば、そこには一人の修羅がいた。え?りゅーじ?あれ、俺の友人?マジで?あんなにブチギレした顔初めて見るんだけど!?超怖いんだけど!?

 

「な、なんだテメェ!?」

「いきなりなにすんだコラぁ!」

「あ゛?」

「「「ヒッ!!!」」」

 

 当然ナンパ男たちも黙っていない。当然反論というか反撃というかくってかかっていくけど、りゅーじの声と睨みで怯えて押し黙った。すごいプレッシャー!!怪人だってこんな濃い殺気放つやついなかったぞ!?

 

「もう一回聞くぞ?お前ら、俺のツレと待ち人に何してんだ?」

「ナンパよナンパ。それも空気読まないある意味で最悪の部類のやつ」

 

 ナンパホイホイのめぐみんにそこまで言わせるんだあいつら。まあ確かに俺もよくナンパされるけど、今日の連中はかなりたちが悪かった。

 

「……ナンパ、だと?」

「あだだだだだだだだだだだだだだだだ!!!!!」

 

 あ、ナンパって聞いた途端にりゅーじの手の力が一段とこもった。いやまあ手加減はしてるんだろうけど、だんだん抑えがきかなくなってきてないか?

 

「よし、殺そう」

 

 さっきまでの修羅の形相が一転、今度は笑顔になってとんでもないことを言い出しやがった。けどプレッシャーは消えるどころかさらに重圧を増した!本気かりゅーじぃ!?

 

「うん、さすがに今回は弁護できないね」

 

 ちょー!?いつもやりすぎないように止めるストッパーのめぐみんがゴーサイン出しちゃだめだろ!?

 

「ストップ!ストーップ!!さすがにそれはやりすぎ……じゃないかもしれないけど、一旦抑えて!」

 

 さすがに殺人はシャレにならないので止めに入ろうとしたけど、俺も本音じゃ止めたくなかったんだろうな、やりすぎってところを否定できなかった。それでも止めようと思ったのは本当で、りゅーじを止めるために腕を掴む。っていうか抱き込む。これくらいしないとりゅーじは止まらない。

 

「----っっ!!!???」

 

 俺の思いが通じたのか、りゅーじはナンパ男の頭を開放した。よかった、犠牲者はゼロだ。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ」

「お助けぇぇぇぇぇ」

「覚えてろよぉぉぉぉ」

 

 捕まっていた男も開放されたことで、ナンパ男たちはそれはそれは見事な捨て台詞を残して逃げていった。

 いや最後のやつぅぅぅ!お前アイアンクローと間近であのクソ濃厚な殺気にさらされてたやつだろ?それでよくあのセリフが出てきたな。けどやめておけ、次は絶対に殺されるぞ?

 

「もう無茶なナンパはしないようにねー?」

 

 めぐみんも逃げてくナンパ男たちに厳しい。まあ俺にしたってめぐみんにしたって聖人君子じゃないしな。むかつきもすればキレもする。

 

「それにしてもあいつら、一番迷惑かけた従妹ちゃんに救われたねぇ」

「はい?」

 

 なにそれ?確かに俺は止めようとりゅーじの腕にしがみついたけど、見逃したのはりゅーじだろ?ともかく思いとどまってくれて本当によかった。それに形はどうあれ、ナンパ男たちから助けてくれたことも感謝だ。

 

「りゅーじ、助けてくれてありがとう」

「ん?従妹ちゃんりゅーじの名前知ってるの?」

 

 ん?あ、やべっ、そういえば俺、魔法少女でりゅーじに会ってはいたけど、自己紹介や名前はまだ聞いてなかった!

 

「あ、え、ええっと、そう、うみくんから聞いてたんですよ」

「ふーん」

 

 やば、会ってこんな早々にボロが出るとか油断しすぎだろ俺ぇ!いや、油断はしてなかったんだ。隠し事は苦手なんだよ俺ぇ……

 

「で、従妹ちゃんはいつまでりゅーじにくっついてるの?」

「え?あ」

 

 そういや俺、りゅーじにくっついたままだった。

 

「ごめんりゅーじ。……りゅーじ?」

 

 なぜか微動だにしないりゅーじ。どした?

 

「脳が処理落ちしてるんじゃない?」

「ええ!?なんで!?」

「そりゃあ仮にも好きな女の子に抱き着かれたらねぇ。女の子が気軽にほいほい男に抱き着くもんじゃないよ?」

「え?あー」

 

 そういや今の俺って女の子の設定だっけ。そりゃあまずい。……男の俺に気軽に抱き着くめぐみんにだけはひっじょーに言われたくないけど。あと意中ってところ、めちゃくちゃ認めたくないんだけど。

 

「……どうしよう?」

「放っておけばそのうち復活するでしょ」

 

 そうなんだろうけどさぁ。

 

 

 

——————————————————

 

 

 

 

「……で、なんで俺……じゃなかった、私たち、ゲームセンターにいるわけ?」

「なんでって、そりゃあゲーセンで遊ぼうって話になったからでしょ?」

「嫌だったか?」

「別に、嫌じゃ、ないけど……」

 

 あのあと、幸いりゅーじはすぐに気が付いたので、お互いの自己紹介がてらに軽く駄弁った。ちなみに名前は偽名で文(ふみ)と名乗った。これくらい似てれば間違って返事しても誤魔化せるでしょ。りゅーじが生年月日や趣味や好みまでグイグイ聞いてくるのは非常に頭を使ったしヒヤヒヤしながら話をした。そんな俺を察してくれたのか、ただ単純に遊びたかっただけなのか、めぐみんがゲーセンで遊ぶ提案をしてくれたので思わずそれに乗っかったのは俺なんだけどさ。とにかく正体がばれないように今一度気合を入れてかからねば!

 

 レースゲーム

「みよ!この俺の華麗なドリフトを!」

「おーフミちゃん上手いねー」

「うん。上手(かわい)い」

「りゅーじ、心の声が漏れてる」

 

 クレーンゲーム

「うっそ!?めぐみんあれ一発でとれちゃうの!?」

「うん。受験勉強でしばらくぶりだけど腕はなまってないね」

「いいなぁ」

「……あげる」

「え?これとったの?いいのりゅーじ?」

「そのためにとった」

「甲斐甲斐しいねぇりゅーじ君は」

「うわ、ありがとー!」

「「……かわいい」」

 

 音ゲー

「やるねぇフミちゃん!いい音感してる!」

「そーいうめぐみんこそ!よくここまでパーフェクトでついてくるね!」

「音感には自信あるし、こういうゲーム好きだからね!でもこの先、この難曲の山場になるけどついてこれる?」

「そのセリフ、そっくりそのままお返しするよ!」

「言ったね?じゃあ勝負しよっ」

「受けて立つ!」

「うわ、何あの子たち」

「すっげぇ!」

「……うん。すっげぇかわいい」

 

 その後

「くっそー負けたー!」

「ふふん。音ゲーで私に勝とうなんて1万年と2千年早い。ってわけで勝者権限発動!以降はフミちゃんをふみっちと呼びます」

「まあそれくらいなら」

「また勝負しようねふみっちー」

「次は勝つから!」

「返り討ちじゃー」

 

 ってめちゃくちゃ楽しんでる場合か俺!最初の決意と気合はどこへ行った!?

 

「どしたのふみっち?急に頭を抱えて座り込んじゃって」

「すまん、これだけ引っ張りまわせばそりゃ疲れるよな。ちょっと休憩しよう」

「結構遊んだもんねぇ。え?嘘、もうこんな時間?」

 

 スマホで時間を見て驚いているめぐみんを見て俺ものぞき込んでみれば、時間は午後6時を過ぎた所だった。やっば、まだこの後エレメンツに預けてあるネズミ怪人回収しなきゃいけないのに!

 

「ごめん!俺、じゃなかった、私、そろそろ帰らないと!」

「いやりゅーじ、顔に出すぎ」

「……すまん」

「もー、もっと一緒にいたい気持ちわからないでもないけどさ。んじゃ、今日の締めと記念に最後にあれ、いっとこっか」

 

 そう言ってめぐみんが指を指したのはプリクラコーナーだった。

 

 

 

——————————————————

 

 

 

「うんうん。よくとれてるねぇ。画像を加工しなくてもこのかわいさ。ふみっち半端ないね」

「そのセリフ、そのままそっくりお返しするよ」

「あはは、ありがと。で、りゅーじ、いつまでそのプリクラ見つめてるの?」

「いいだろ別に」

 

 めぐみんの顔がニヤついてる。あれは確信犯だな。

 

「悪り、ちょっとトイレ」

 

 りゅーじは大事そうにプリクラをしまったあと、それだけ伝えて離れていった。

 

「プークスクス。プリクラ撮るだけなのにめっちゃ緊張してたからなぁりゅーじ」

「あ、やっぱり。それでめちゃくちゃ硬い表情してたんだ」

 

 普段見ない親友の姿に、悪いと思いつつもちょっと笑ってしまう。

 

「今日は楽しかったねーうみ(・・)?」

「うん。めっちゃ楽しかった」

「やっぱり。事情はちゃんと説明はしてもらえるんだよね?うみ?」

「へ?あっ!?」

 

 しまった!もう帰るだけだと思って気が抜けてた!やっちまったな俺ぇ!!

 

「ナ、ナンノコトデショウカー?ワタシノナマエハフミダヨ?」

「うーん、その反応だけでも十分な証拠になるんだけどね。私は今、ふみっち(・・・・)じゃなくてうみ(・・)って呼んで反応したでしょ?聞き間違いって言い訳は通じないよ?」

「……ハイ。オッシャルトオリデゴザイマス」

 

 あかん、言い逃れできへん。まさかこのために呼び方変えてた?だとしたら相当策士だぞ!おのれ孔明、じゃなかった、めぐみん!

 

「今日はもう遅いしりゅーじもいるから、んー次の休み、うみの家でいい?」

「ハイ。ダイジョウブデス」

「嘘はだめだからね。全部聞かせてね?」

「イエス。マイロード」

「んじゃ、そういうことで」

 

 はい。そういうことでめぐみんにバレました。次の日曜日に家に来ることになりました。全部喋ることになりました。

 

 

 

 なんて日だ!!!(心からの叫び)

 

 

 




というわけでめぐみんに正体バレました。当初こんなにばんばん正体ばれる予定じゃなかったんですけどねぇ。書き始めたら、海の隠し事の苦手なザルっぷりと周りの賢さでどんどんバレる。もっとしっかりしろ主人公!


ヒロインテンプレカウンター
・正体バレないように変装(しかもかわいい)
・ナンパされる
・ナンパから助けられる
・ナンパ男たちにやりすぎな制裁するのを止める
次点
・ゲームセンターではしゃぐ美少女

今回はナンパ絡みが多かったかな。
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