12話で出かけた時の俺(うみ)の体質を遺憾なく発揮した結果の一端のお話です。
なんでこんなことになっちゃったんだろう。今日は楽しい一日になるはずだったのに。
一昨日金曜日、お父さんが日曜日に、私の誕生日のお祝いに遊園地に行こうって言ってくれた。あまりに嬉しくってお父さんに抱き着いちゃった。もう小学生にもなるのにちょっと恥ずかしい。でもお母さんも嬉しそうで、お母さんは土曜日に私にすごくかわいい服をプレゼントしてくれた。お母さんはかわいいって言ってくれたし、今朝お父さんも世界で一番かわいいって言ってくれた。ちょっと言いすぎだと思ったけど、すごく嬉しかった。
でも、楽しかったのはそこまでだった。
「ヒャーッハッハッハッ。今回は大漁だぁ」
私たちの乗っていたバスは犬のような怪人に襲われた。ものすごく怖くて大人の人も逆らえなかった。運転手さんも怪人が怖くて言われたままにバスを走らせている。助けも呼べない。怖い。怖くて怖くてしょうがない。もう小学生なのに泣きそうになっちゃう。
「どいつもこいつもうまそうで迷っちまうよぉ」
犬の怪人は舌なめずりをしながら私たちを見回す。どうしよう、みんな食べられちゃう。お父さんも、お母さんも、私も。そんなのやだよ。
「ふぇ」
「大丈夫。大丈夫だから。きっとヒーローやヒロインが助けに来てくれる。それまで泣くの我慢できるよね?もう小学生だもんね」
私が我慢できなくなって泣きそうになったらお母さんが私を抱きしめてくれた。でもお母さんも震えていた。お母さんだって怖いんだ。
「ぐすっ。うん。大丈夫、私、もう小学生だもん」
そう、私は小学生だからもう泣かないんだ。それに泣いたら、お母さんだって怖いのに、私の心配までさせちゃう。
「お?ガキがいるじゃねぇか。ラッキー。よし決めた。一番はお前な」
「ひっ!?」
せっかく泣くのを我慢したのに、犬の怪人が私の方を見てとんでもないことを言った。それにそのまま笑いながらこっちにくる。その時口から鋭い歯が見えて私はまた怖くて泣きそうになる。嫌だ、食べられたくない。こっちにこないで!
「む、娘には指一本触れさせん!」
犬の怪人が目の前まで来たとき、急にお父さんが立ち上がって私とお母さんの前に出た。お父さん、危ないよ!
「ぁん?うっさい、邪魔だ」
「ぐはっ!?」
「お父さん!?」
「イヤァァァァァ!」
お父さんが怪人に殴られた!お母さんが叫ぶ中、そのままお父さんはガラスを突き破ってバスの外に飛んでいった。お父さん!お父さんが死んじゃう!そんなの嫌だよ!
「やべ、ちょっとやりすぎた。ったく手加減めんどくせぇ!餌落としちまったじゃねぇか!ぁん?」
私は必死にお父さんが飛ばされた窓の方を見る。そしたらそこには青い色の髪の黒い可愛い服を着たお姉ちゃんがお父さんを受け止めてくれてた。
「お父さん!」
「大丈夫です、お父さんは生きてます」
お姉ちゃんが大きな声でそう言ってくれてちょっと安心した。でもバスから飛び出すくらい強く殴られたんだし、怪我してるかもしれない。
「ぉぃ、なんでバス止まってんだよ」
犬の怪人がそう言って、気が付いた。あれ?いつの間にかバスが止まってる。
「おい運転手ぅ!よっぽどテメェから食われたいみたいだなぁ!」
「ひぃっ!?ち、違う、私のせいじゃない!アクセルはちゃんと踏んでるんだ!」
「つまんねぇ嘘ついてんじゃねぇよ!」
犬の怪人は激おこでバスの前に歩いて行って、けど途中で止まった。
「ぁ?なんだあいつ……いや、そうか。あいつのせいか」
私も気になって犬の怪人が見てた方を見たら、さっきのお姉ちゃんと似た同じ格好の髪の色がピンクのお姉ちゃんがこっちに向かって手を突き出してた。
「いい度胸してんじゃねぇか餌の癖してよぉ。覚悟はできてんだろうなぁ!」
それだけ言うと犬の怪人は窓を割って飛び出していった。
「お姉ちゃん危ない!」
思わず私はそう叫んだ。その時。とげとげの鉄のボールがすごい勢いで飛んできて、犬の怪人を吹き飛ばした。
「姉様に何をする気ですか、この駄犬!!」
それを投げたのはさっきお父さんを助けてくれた青色のお姉ちゃん。すごい、男の大人の人でもかなわなかった犬の怪人をぶっ飛ばした!
でも、犬の怪人も普通に起き上がった。嘘?あんなに吹っ飛んだのに全然平気そう。
「クソが……どいつもこいつも俺様の食事の邪魔しやがってよぉ。餌は餌らしく食われてりゃいいんだよ!」
犬の怪人はすごく不機嫌そうだ。それを不安でドキドキしてみてたら、犬の怪人の姿が消えた。どこにいったの!?
「上!」
バスの誰かがそう言ったのが聞こえて上を見る。そしたら犬の怪人が空高くにいた。
「なっ!?俺様のスピードが見えている!?馬鹿な!今のは本気も本気だぞ!」
「レ〇に何をする気だったの、この駄犬!」
声を聞いてると、犬の怪人が青色のお姉ちゃんに襲い掛かって、それをピンクのお姉ちゃんが止めたのかな?
「まあいい、どうせマグレだ、地上に降りたら速攻食ってやるから覚悟しておけ」
「そう、残念ね」
「なんだ、抵抗した割には随分とあきらめがいいじゃねぇか」
「姉様が言った残念はあなたのことですよ、駄犬」
「んだと?」
空から落ちてくる怪人にお姉ちゃんたちは全然怖がってない。どうしてだろうって思ってたら
「ストォォォォォム!ブレィィィィィィック!!!」
どっかから声と一緒に何かが降って?飛んで?きて、怪人にぶつかった。
「ガァァァァァァァァl!?」
何かは怪人を貫くと、地面に落下、怪人は叫んだ後に爆発した。やった、怪人倒したんだ!
バスのみんなが喜ぶ中、地面に落ちた何かが立ち上がる。あれって、ストームライダーだ!さっきのはストームライダーの必殺技、ストームブレイクだったんだ!
「アナタァァァァ!」
そんな中、お母さんが大声を上げながらバスから出ようとする。そうだ、お父さん!
私もお母さんと一緒になってバスから飛び出し、お父さんを探す。いた。お父さん!
私はお母さんと一緒にお父さんに駆け寄る。お父さんは何人かの人に囲まれた中で寝ていた。お父さんはボロボロで、傷だらけで、この人たちがやってくれたのか、ところどころに包帯が巻かれてた。私たちに気づいた人が話しかけてくる。
「大丈夫、お父さんは生きてます。それと、とりあえずの応急処置はしました。しかし怪我が酷いのと、今は気を失っています。救急車はもう呼んでますのですぐにくるでしょう。きっと大丈夫ですよ」
「はい、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
私はお母さんと一緒にお礼を言う。お父さんが生きててまた少し安心したけど、お父さんの姿を見てると、お父さんが可哀そうで、辛そうで、胸が苦しくなる。
「姉様……」
ふと気が付くと、私の後ろにはさっき私たちを助けてくれた青とピンクのお姉ちゃんたちがいた。青色のお姉ちゃんは不安そうにピンクのお姉ちゃんを見つめ、ピンクのお姉ちゃんは、スマホをいじってる。
「レ〇、お姉ちゃんに任せなさい」
ピンクのお姉ちゃんは優しそうに笑うと、お父さんに手を向ける。そして
「癒しの風」
ピンクのお姉ちゃんがそう言うと、薄い緑色した風がお父さんを包んだ。そしたらお父さんの傷がどんどん治っていく。
治っちゃった。お父さんの怪我、治っちゃった!
「さすが姉様です」
「当然よ。ってうわっ」
「お姉ちゃん、ありがとー!」
私はすごく嬉しくて、ピンクのお姉ちゃんに抱き着いた。
「よかったわね、お父さんが無事で」
「うん!」
「でもね、怪我が治ったばかりだからお父さんに無理させちゃだめよ」
「うん!」
ピンクのお姉ちゃんは優しい笑顔で私の頭を撫でてくれた。
「ありがとう、君たちのおかげで被害を抑えることができた」
「こちらこそ。怪人を退治してくれて感謝してるわ」
「はは、俺の力なんて必要なかったかもしれないが」
「そんなことありません。私たちじゃ決め手に欠けていましたから」
そこにストームライダーがお姉ちゃんたちに話しかけにきた。
「怪人をやっつけてくれてありがとうストームライダー」
私はお姉ちゃんに抱き着きながら、助けてくれたストームライダーにもお礼を言った。そしたらストームライダーはしゃがんで私を撫でてくれた。
「ごめんな、もうちょっと俺が早くこれてたら、お父さんも怪我しなくて済んだのに」
「ううん、こうやって私もお母さんも、みんな無事だったんだもん。それにお父さんの怪我も治してもらったから大丈夫だよ」
「そっか」
「うん」
ストームライダーは私の返事を聞くと、バイクに乗って去っていった。
「姉様、私たちもそろそろ行きましょう」
「そうね」
私がストームライダーと喋ってたら、お姉ちゃんたちの周りに人が集まってきてたくさん話しかけられてた。なんか新しいヒロインとしてのほうふ?とかお茶がどうのとかすぽんさー?がどうのとか。
「あっ、フェアリアルエレメンツ!」
「えっ?」
ピンクのお姉ちゃんが声をあげて指を指した方を向いたけど、誰もいない。
「誰もいないよー?あれ?」
顔を元にもどしたら、お姉ちゃんたちが急にいなくなっていた。で、そこにいた人たちが大騒ぎ。
それからすぐに救急車が到着して、私たち家族は病院にいったんだけど、結局お姉ちゃんたちはみつからなかったんだって。
お父さんは病院で目を覚まして、怪我が治ってたけど、念のために検査と、一日安静ってことで一日病院に泊まった。
せっかくの誕生日のお祝いだったのに色々大変な一日だった。けど、お父さんが元気になったら遊園地には連れて行ってもらえたし、
「似合ってるわよ」
「うんうん。あの時のお姉さんたちみたいだ」
「ありがとー」
あれからあのお姉ちゃんたちが着てた服を買ってもらって、髪も同じにしてもらった。私はもうあの二人が大好きで、大ファンだ。いつかあの二人みたいに強くなって仲間に入れてもらって、一緒に戦えたらいいなぁ。
以下、本編の補足
・犬の怪人:一応狼の怪人。
・バスが止まってる理由:止まってるんじゃなくて、海が風魔法でバスを浮かせていた。手をかざしていたのはそのため。
・いきなり怪人が空に舞い上がった理由:海が風魔法で気流を操ってカウンターで空に放り投げた。
・父親について:めぐみんに拾われたあとに野次馬に預けられる。野次馬が応急処置と救急車を呼んだ
・海の魔法:ラ〇は風魔法の使い手なのでコスに補正あり。プラスアビリティで強化されている。原作以上の強化と原作にない魔法を使ったのはそのため。
・癒しの風:緑色の魔法騎士の魔法。もちろんアビリティスロット装備の固有魔法。
・少女の買ってもらったあのお姉ちゃんたちが着てた服:当然あのメイド服。
ヒロインテンプレカウンター
・小学生の少女に憧れられる。
怪人図鑑その3
怪人人食い狼男
少女曰く犬の怪人。負け犬。狼という生い立ちに無駄に高いプライドを持ち、自尊心クッソ高い高慢怪人。そのため割と強いのに自身を作った組織に捨てられている。が、本人は一匹狼の自分から捨ててやったと言って譲らない。
人食いの名の通り人を食う。元々夜に人を襲って食っていたが、強くなって昼を克服。あるときバスを襲って味を占め、バスジャックをするようになる。で、今回ちょっとコンビニに出かけた海とめぐみんに見つかり、ストームライダーのライダー〇ックで爆散した。