光の巨人と終わりの巫女   作:無名篠(ナナシノ)

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続きを一年も投稿しない投稿者の屑は誰でしょう? そう、私です。
2021年になったので実質初投稿です。(早く原作に行きたい)
それとガバガバ歴史はゆるして……ゆるして……。



4. 彼方より来たる

 あの【黒点】での戦いからさらに時が経ち、この星にも大なり小なりの変化が起こった。

 

 まずは生命体が誕生した。初めは小さなもの──俺からすれば全てがサイズ的な意味で小さいのだが──だったのが、だんだんと大きくなり動物や植物、その大本と呼べるような存在にまで進化した。

 

 さらに大地が浮上。そこへ生命体は上陸し、陸上生物が誕生。植物も本格的に群生を始め、前世に本で見たような太古の地上の景色になった。

 

 そして今や恐竜が支配する時代である。ティラノサウルスを始め、様々な恐竜が地上に存在している。ここまでが、前世で本に載っているような地球の歴史と変わりがない部分だ。つまりこの星は地球であることに間違いはなかったということだな。(今更)

 

 で、だ。

 

 当然、その歴史とは違いがある部分も存在しているわけで。

 言わずもがな、ガタノゾーアとその眷属である。………いや、そうなると光の巨人()も含まれるか。まぁ地球に害を及ぼすつもりはまったくないので俺のことは一旦置いといて。

 

 ガタノゾーア。

 結局のところ、奴との決着はつかなかった。いや、つけられなかった、が正しいか。

 

 もちろん、日和って倒しに行かなかったわけではない。ないったらない。鋼の意思で立ち向かいましたとも。膝は笑っていたが。

 

 遭遇戦(3話後半のアレ)のあと、俺は体力の回復を待って奴のもとへと飛び、その道中でサカナモドキと同様に海を泳ぐタイプの眷属と、新たに現れた空を飛ぶタイプの眷属に数えきれないほど襲われた。

 

 サカナモドキよりかは弱く、一発殴るだけで面白いくらいぶっ飛ばされてくれるので苦戦することはなかったが……外見はとてつもなくグロかった。デロデロに溶けていたり、一部分が欠損していたりして俺のSAN値(正気度)は大幅に削れた。

 

 この後に控えるガタノゾーアとの戦いのことも考えるとあまり体力を消耗はしたくなかったが、最小限の動きで切り抜けるなんて強者な真似ができるはずもなく。結局、力技で薙ぎ倒しながら進んだ。

 

 そうしてガタノゾーアのもとへ辿り着いて───何もなかった。

 

 あの光を飲み込む闇の渦も、おそらく原作と同じであろうあの恐ろしい姿も、あの禍々しい気配さえ、初めからそんなものは存在していかったと言わんばかりに綺麗さっぱり消えていた。

 

 もともと、奴に対してのティガ()の感知範囲は地球の裏側にいてもわかるくらい広く───ガタノゾーア自身の気配が巨大だというのもあるが───この星にいる以上どこにいて、どこから来るのかといった反応を逃すことはこれまでなかった。まぁそのおかげで四六時中背筋がぞわついていたんだが。

 

 それなのに、この〈一度感じたら己の手で始末するまで感じとるのをやめない、やめてくれないガタノゾーア感知能力〉にまったく引っ掛からなくなったのだ。もちろん、恐竜時代となった今も変わらずガタノゾーアを感じ取ることはできていない。

 

 気配だけでなく肉眼でもそう。念の為に大気圏域からぐるっと地球を一望してみたが、あの禍々しく星を侵すかのような【黒点】はどこにも見当たらなかった。

 

 というわけで、いったいどういう手段を用いたのかはわからないが、この地球上からヤツの存在は消え去った。考えられるのは別の宇宙、もしくは別の次元に旅立ってくれたことなんだが………元ネタ(クトゥルフ神話)的にそうであってくれれば嬉しいんだけどな……会わなくていいし戦わなくて済むし。

 

 そんな感じで不確定要素しかないが、ひとまずガタノゾーアの影に怯えて過ごす日々は終わりを告げた。しかし、じゃあ穏やかに過ごせるかと言われるとそうでもない。まだ奴の眷属が残っているからだ。

 

 そう、眷属。闇の尖兵たち。

 

 主であるガタノゾーアが消えた今も、眷属は消えることなく存在している。いや、眷属というのは少し違うか……。

 

 というのも奴ら、ガタノゾーアの眷属のくせにどういうわけか奴の力の気配───俺はこれを〈ガタノゾーア成分〉と名付けた───が少ししかしない個体ばっかりなのだ。ガタノゾーアが純度も量も100%なのは大元なので当たり前として、サカナモドキも少量ながらも純度100%だったのに、今ではこの星に生息する通常の生命体が持つ生命力……と言えばいいのだろうか。全く違うものが混ざっているのを感じた。

 

 実際に確認してみても、怪物というよりは生物寄りの生態に変化したかのように見える。恐竜を捕食したり眠ったり、住処を持ったり。子供まで作れるようになっていた。つまるところ、ウルトラ怪獣の前身みたいな感じになっていた。

 

 これなら、眷属に向ける様な警戒はしなくていいかなぁ。純粋な眷属以外の通常生命体からは襲われるどころか何故か懐かれるし───。

 

 

 なーんて安心して近づいたらガタノゾーア成分が爆発的に活性化して目の色を変えて襲われたんだけどネ!

 

 まぁ理由としては子供とか自分とかを守るために起こっている現象だと思ってる。闘争本能みたいな。ガタノゾーアの指示とかではないだろう……多分。

 

 

 ───もっとも、目の前にいる二体の怪獣は、最初からティガ()が目当ての様だが。

 

 

「ゴギャアアアアア!」

 

「キュァァァァァァ!」

 

 

 大地を揺るがす怪獣〈超古代怪獣 ゴルザ〉。

 

 空を切り裂く怪獣〈超古代竜 メルバ〉。

 

 原作の顔である怪獣が揃い踏みでそこにいた。その内にはサカナモドキより劣るが純度の高いガタノゾーア成分。そこに他の気配が混ざっている様子はない。間違いなくガタノゾーア直系の眷属だ。

 

 ガタノゾーアがいない今、なぜ眷属が現れるのかはわからない。が、コイツらは敵意を持って俺の前に立っている。つまり敵だ。今は戦わなければならない。考えるのは後回しだ。

 

 

 

 そうして今ここに、原作〈ウルトラマンティガ〉の因縁の戦いが始まろうとしていた───!

 

 

 

「───チェア(いくぞ)!!」

 

 

 

 

 

 

▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

 

 コツ、コツ、コツ………と踵を足音が通路に響き渡る。

 

 音の発生源である男は、入り組んだ迷路のような複雑な石造りの通路を迷いなく進み、突き当たりの扉の前に立つ。すると扉は触れていないのにも関わらずひとりでに左右へスライドして開いた。

 

 その扉をくぐり、男は中へと入っていく。

 

 そこはとても広く、そして薄暗い部屋であった。

 

 部屋を照らすのは中央の床に備え付けられている仄かに光る三柱の青い石。その青い石より一つの惑星が立体的な映像(ホログラム)で部屋の中央の空間に大きく投影されている。

 

 すぐ近くにこの装置を操作する石柱(コンソール)が設置されており、その周りに複数のモニターが空間に表示され、そこに様々な風景が映し出されている。

 

 弱肉強食を体現する恐竜たち。

 

 仲睦まじい様子で暮らす怪獣たち。

 

 それは、ホログラムで投影された惑星───地球。その地表の様子を映した映像だった。

 

 そして、大画面で真ん中にデカデカと映し出されていたのは───因縁の戦いを繰り広げるティガ、ゴルザ、メルバ。

 

 跳び上がったティガがゴルザの頭へチョップを繰り出し、続けてパンチやキックと攻撃する。ゴルザはそんな攻撃に怯まずにパンチを受け止めて掴み、ティガをその場に固定すると額から紫の光線〈超音波光線〉がティガの顔に向けて放たれた。

 

 顔をとっさに横に逸らすことで難を逃れるティガ。だがゴルザは間髪入れずに二発、三発と超音波光線を放つ。両手をガッチリと掴まれてその場から離れられないティガは、動かせる範囲で必死に体を動かし、なんとか超音波光線を躱すとゴルザの顔めがけて頭突きした。

 

 突然のことに堪らず掴んでいた手を離し後ずさるゴルザ。その隙にティガも後退して距離を置き、両腕を額前で交差させ、パワータイプへタイプチェンジをしようとする。

 

 だがそれは敵が二体いる状況では明確な隙だ。

 

 ティガのタイプチェンジは、上空で待機していたメルバがティガの背後へ急降下し、鎌状の尻尾が背中を斬ったことによって阻止される。さらにメルバは振り向きざまに目から怪光線〈メルバニックレイ〉を放った。速攻といえる攻撃にティガは反応できず胸に直撃。『グゥゥ……!』と呻き声が漏れる。

 

 

『ゴギャアアアアア!』

 

 

 そして、すかさずゴルザが頭突きのお礼だと言わんばかりに怒りの咆哮を上げながら怯んでいるティガへ全体重を乗せて突進した。当然、身構えることなく食らったため受け止めきれず大きく突き飛ばされるティガ。地面を削りながら転がり、膝を突く彼の姿にゴルザは力強く雄叫びをあげた。

 

 追撃はない。ゴルザは地上で、メルバは空中でティガの出方を窺っている。すぐに立ち上がり攻撃するにしても、一度距離を置いて体制を立て直すにしても、どちらか一方にかまけていてはもう一方に手痛い反撃を喰らうだろう。

 

 ティガとて複数を相手にする戦いの経験がないわけではない。これまで2体どころか無双ゲームかとツッコミを入れるような戦いを経験している。だがそのどれもは質より量といったり、一体一体が思い思い勝手に襲ってくるといったもので、この二体のように連携をする個体はいなかった。

 

 

『…………ヂャ!!』

 

 

 サカナモドキ以来の強敵に、ティガは気合を入れ直すように声を上げると、勢いよく構えて二体の怪獣へと立ち向かっていった。

 

 

「───シェム・ハ」

 

 

 と、そこで。部屋に入った男が石柱(コンソール)前でその映像を食い入るように眺めていたもう一人に声をかけた。

 

 男が声をかけるまで気づかなかったのだろう。体を大きく跳ねさせると、恨めしいという念を全身から発しながら振り返る。部屋の薄暗さに隠された表情が、振り向くために体を逸らしたことで遮るものがなくなった石柱(コンソール)の淡い光に照らされ露わになる。

 

 そこに居たのは"白"。病的なまでに白い肌を持ち、白い布地の少ない衣服を纏った美しき女。

 

 彼女は映像の視聴を邪魔をされたことか、それとも集中して周りが見えていなかったとはいえ()()()()に驚き体を跳ねさせてしまった自己嫌悪からか、元凶である男へ険しい顔を向けた。

 

 

「エンキ……」

 

「……すまない、驚かせるつもりはなかったんだ。てっきり気づいているかと」

 

「…………」

 

 

 エンキの言葉にシェム・ハはこめかみに青筋を浮かべるが、特に何も言わず映像へと向き直った。部屋に漂う気まずい空気に冷や汗を流すエンキもおずおずとシェム・ハの隣に立ち映像を見る。シェム・ハは小さく舌打ちをした。

 

 場面は、空へと逃れてスカイタイプにタイプチェンジしたティガが、メルバと激しい空中戦を繰り広げているところだった。空を飛べないゴルザはその様子を眺めて〈超音波光線〉で援護をするかどうか迷っているのか、額に紫の光が点滅している。

 

 

「やはり今回も現れたのか、奴らは」

 

「──実に業腹である。我の管理下より離れた挙句、ここまで蔓延るとは……」

 

「闇の嵐が観測できなくなって幾星霜……あれから何か他にわかったことは?」

 

 

 エンキの問いにシェム・ハは石柱(コンソール)を操作すると、中央の地球のホログラムにいくつかの点が表示される。巨大大陸の中心地より少し東に青い点。その近くに二つの黒い点。そして、それより遥か南の海に赤い点が一つ存在していた。

 

 

「"青"は巨人、"黒"は闇の配下共、そして闇が存在を眩ませたのち発見した、奴らの発生地点である"赤"。これまで蒐集したデータから割り出したほぼ正確なものだ。ここまではすでにわかっていたこと。だが……」

 

 

 石柱(コンソール)を叩き、新たに表示された映像に映るのは青い海。周りには何もなく、母なる海が広がっている光景。

 

 

「幾度となく観測しても視覚的にその場所には何もない。そこから奴らは生まれているはずなのにだ」

 

「俺たちの船の様な、バリアフィールドが張られていると?」

 

「当然、それも考えた。だが結局のところ、()()より地上を見ただけの情報では想像の域を出ん。故に現地調査並びにサンプルの回収が早急に求められるのだが………」

 

「………」

 

 

 チラリとエンキを見れば、言わんとしていることを察した彼は首を横に振った。シェム・ハはそれがわかっていたのか深くため息をついた。

 

 

「"協議会"の過半数がこの件に消極的になっていて、許可は降りなかった。闇の配下はともかく、巨人に我々への敵対の意思がないことへの証明が欲しい、とな。アレはこの星にある俺たちの計画の外の一つだから、安心したいんだろう」

 

「矛盾であるな。証明を得るためにも現地へ赴かねばばならんと言うのに………残りは?」

 

「闇の配下と巨人の両方を排除すべきだそうだ。兵器を撃ち込み出す勢いだったな。なんとか諌めておいたが」

 

 

 シェム・ハは顔を覆った。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()てから未知のものへの反応が酷すぎる。

 

 そんなシェム・ハも自分の知識欲を刺激する対象なので生かして研究材料にしたいと考えているのでどっちもどっちだろう。

 

 エンキはそのどちらでもない。実際に会って自分の目と耳で判断する。自分たちやこの星にとって害となるなら差し違えてでも倒す覚悟だ。闇の配下には問答無用で駆除判定を下した。

 

 

「とにかく、今はまだ様子見だ。下手に動けば他の者たちを刺激しかねない」

 

「くっ………もどかしいが致し方ない。貴様の忠告に従うのは癇に障るが、素直に受け入れるとしよう」

 

 

 何故か敵意マシマシな言葉を返されるが、ブツブツとシェム・ハの口から恨み言が垂れ流れることを止めることに成功したエンキは、ティガを映しているモニターへと目を向ける。戦いは終盤へ差し掛かっていた。

 

 スカイタイプの空中蹴りによって撃墜されたメルバはゴルザと衝突し、盛大に倒れ込む。

 

 仰向けに倒れたメルバは、翼が邪魔をして立ち上がることが出来ずに手足をバタつかせ、ゴルザはそんなメルバの動きに邪魔をされて退けて起き上がることが出来ずにいた。

 

 その隙をつき、勢いそのままに地上へ着地したティガは、素早くトドメのランバルト光弾を放った。

 

 危機を察知したゴルザは、とっさにメルバを突き飛ばし、そして自分も回避しようとするが一手遅かった。

 

 上半身を少し、ほんの少しだけ起こしたあたりで胸にランバルト光弾が突き刺さり、ゴルザは敢えなく爆発四散することとなった。

 

 突き飛ばされたことでうつ伏せに向きが変わったメルバはなんとか立ち上がり、ティガに向き直って怒りの咆哮を上げる。しかし、何してんだコイツと言わんばかりに素早く放たれたランバルト光弾がメルバに突き刺さり、呆気なくメルバも爆発四散。ショッギョムッジョ!

 

 二体を倒したティガは大きく息を吐き、肩の力を抜く。そして左腕を静かに天へ突き上げた。

 

 ───winner TIGA!

 

 そんな幻聴が聞こえてきそうな勝利ポーズだった。心なしかカメラも寄り気味で上から拳を突き上げている姿を収めている。

 

 

(この映像を含めて、これまで記録した巨人の動きを見るだけで相手に敵対の意思は無いことはわかるはずなんだが……)

 

 

 実際、巨人は自分から原生生物に手を出す事はなかった。シェム・ハの設計から離れ、怪しき獣と変貌した存在にさえも。

 

 巨人が積極的にその拳を振るうのは邪悪な者のみ。すなわち、闇の配下たち。

 

 故に、こちらが巨人に対して敵対の意思を見せなければ問題とはならないだろう。

 

───ならない、はずなのだが………。

 

 

「ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ………」

 

「……………はぁ」

 

 

 そのためにも、彼女を含めた怪しい思惑を抱えた者たちを諌め続けなければならないだろう。エンキはそう遠く無い未来を考え、深くため息をついた。

 

 

 その時である。

 

 

 ───ビィィィィィ! ビィィィィィ!

 

 

「ッ! 何事だ!?」

 

 

 けたたましく警報(アラート)が鳴り響いた。

 

 シェム・ハはすぐさま思考の海から浮上すると、状況を確認するため石柱(コンソール)を操作する。

 

 この宇宙域(太陽系)のマップデータが投影され、警報の原因は何か、どこかに異常がないかを二人は組まなく探す。

 

 そして驚愕に目を見開いた。

 

 

「───こ、れは」

 

「まさか、そんな……ッ!」

 

 

 "全数値(ゼロ)"。

 

 そんな、データ上にぽっかりと空いた"穴"のようなあり得ないナニカが、巨人がいるこの星へ接近してきていたからだ。

 

 事態は瞬く間に船全体へ知れ渡った。

 

 

 早すぎる、とシェム・ハは慄いた。

 

 戦うのだ、と過激派は奮い立った。

 

 手遅れだ、と穏便派は諦めた。

 

 

 ───それが現れることは、全てが無に還ることなのだから。

 

 

 

 

 

 

▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

 

 ゴルザとメルバは強敵でしたね!!!

 

 流石は原作の闇の尖兵の顔、抜群のコンビネーションでした。原作のメルバを放置して逃げるゴルザ? 私の記録(ログ)には何も無いな(すっとぼけ)。

 

 あ、もちろんきちんと仲良くまとめてランバルトました。……語呂悪いな。

 

 とまぁ、こんな感じで最近は毎日を過ごしてます。まる。星の脅威と呼べる存在はおらず、穏やかに命が、星が育まれていく平和な日々。

 

 え、眷属? あー……うん、まぁ……(目逸らし)。

 

 ガタノゾーアに直接作られた純粋な眷属自体は確認する限りもういないし、いるのは極薄の因子を持っただけのウルトラ怪獣の前身的存在で、他の生命体と同じように生態系を築いて馴染んでるし、比較的平和と呼べる筈。うん、平和平和。

 

 じゃあさっき戦ったゴルザとメルバはなんだって? そんなの俺が知りたい。

 

 まず、間違いなくガタノゾーアは今この地球にはいない。だから眷属を作れるやつはいるはずがない。ガタノゾーアほど強大な力を持ってる奴は、感じ取る限りこの星にいないからだ。でも、時たまああして眷属は現れる。ウルトラ怪獣の前身的存在ではなく、奴の尖兵たる闇の眷属が。

 

 気になって世界中を探して回ったりしたのだが、ガタノゾーア基準で考える様になっている俺には違いがよくわからなかった。でかい気配はガタノゾーア、それ以外は眷属か怪獣ってな感じ。面倒になった俺はそのうちあっちからくるだろうと待ちの姿勢で放置して今に至る。

 

 というわけで、俺ほどの巨体が地面に寝転びながらこんなことを考えていられる時点で平和以外の何者でもないだろう。そう考えると、随分と久々の穏やかな時間だ。昔はガタノゾーアの気配が邪魔して本当の意味で心休まることはなかった。

 

 

「あ゛ぁ゛ーーーー……平和だなぁ」

 

 

 空を見上げてひと時の平和を享受する。肌を撫でる風が心地良く、温かな太陽の光に照らされてつい寝てしまいそうになる。というか寝てしまおう。ここまで戦い続きだったしぃー? しばらくは大丈夫的な?? というか何も起こってほしくない休みたい。かつて、戦う決意で押し込めた弱々な日和一般人モードを再発させてそう思った。

 

 

───しかし、厄介ごとというものはそういう時に限ってよく起こるもので。

 

 

 キイィィィィン……と何かが近づいてくる音を耳が捉えた。

 

 何事かと体を起こし音のする空ヘ顔を向けると、遥か上空より何かが落下してきているのが見えた。隕石だろうかと目を凝らしてみると、それは鉱物というより生物の特徴を有していた。

 

 見た目はトゲトゲとした球体でドクンッ、ドクンッと脈打ち、全体が紫色に発光している。

 球状発光体と呼ぶべきそれは、そのまま一直線に地面へ激突。轟音と共に大地にクレーターを形成した。

 

 落下地点に鎮座するそれはすぐさま浮かび上がり、ぐにゃり、とまるで空間が歪んでいくかの様に形を変えていく。特緒的な黄色く発光する頭部、逆三角形のシュッとしたボディを持つ人型へと。

 

 人型へと変わったそれは体をぶるりと震わせると、こちらに向かってユラユラと揺れながらゆっくりと一歩ずつ歩み始めた───。

 

 

 

 

 

 

 ヒャッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッ

               ヒャッハッハッハッハッハッハッハッ

 ヒャホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ

       ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ

 ヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハ

 ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ

 ホヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ

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   ヒャッハッハッハッハッハッハッハッ

         ヒャッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッ

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 ヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハ

                ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ

 ヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハヒャハ

 ホヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ

     ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ

 ヒャホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ

            ホヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ

 ヒャッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ

 

 

 

 

 

 

 ───不気味な歓声をあげながら。

 

 




アヌンナキの情報無さすぎてワカラナイヨ……。
あと、アダム・ヴァイスハウプトとの絡みが思いつかないのと、どう足掻いても絶望なので失踪します。

……まだ四話ってマ???

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