光の巨人と終わりの巫女   作:無名篠(ナナシノ)

5 / 5

|ὤ•᷅)チラッ

| ὤ')╮=͟͟͞͞ 【5話】

| =3 ニゲニゲ



5. 虚無

 

 俺が「ウルトラマンティガ」という作品を知ったのは、たしか5歳か6歳ぐらいの時だった。

 

 家に何故かあった「ウルトラマンティガ」のDVDを見つけ、気になってそれを見たのが始まり。

 

 劇中で活躍するウルトラマンティガの姿と、人類の脅威となる恐ろしい姿の怪獣・宇宙人たち。そして、作中の神秘的な雰囲気はなんとなくで見始めた幼かった俺の心に強い衝撃を与えた。

 

 以来、子供の頃はもちろん、大人になった後も暇を見つけては「ウルトラマンティガ」を飽きもせず何度も見返していた。

 

 そのためというかなんというか、俺は他のウルトラマンというものをロクに知らなかった。

 

 残念なことに、当時の俺──こうしてティガになる以前の人生──はティガのDVDで満足してそれ以降のウルトラマンは見ていないのだ。

 

 ………いや、平成三部作と言われるダイナとガイアのOVAとかは見てたから知らない訳ではない………いや、ウルトラシリーズ全体で見ると氷山の一角に過ぎないから結局知らないのと変わらない……のか?

 

 あとはよくて昭和の有名怪獣くらいだろうか。ゼットンとか。

 

 ………まぁつまるところ、なにが言いたいのかと言うと。

 

 誰かパっと見、ゼットンに似てる、笑ってるかのような不気味な鳴き声を出すこの怪獣かも怪しいナニカについて教えてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ

 

 

 明滅する黄色いマスクのような頭部、人の笑い声とも鳥の鳴き声とも付かない独特な声、見た目だけならそれはまさに人型の宇宙人と呼べる存在だろう。

 

 しかし、肉体の輪郭は時折蜃気楼の如くブレブレでハッキリしない上、まるで空間に穴が空いたかのようにそれそのものから生気やエネルギーといったものを感じ取ることができない。

 

 そんな不条理で不気味なナニカ───とりあえず『ナニカ』と呼称する───は、落下地点から宙に浮かび上がると頭部を激しく発光させ、稲妻状の怪光線──攻撃時のエネルギーはなぜが感じ取れた──を無差別に放って破壊活動を開始した。

 

 

「マッ!? っぶなっ!!」

 

 

 突然のことに思わず変な声が出てしまったが、咄嗟に両腕を胸元で交差させ、体全体を覆うような半透明なドーム状のバリアを展開し身を守る。怪光線は耳障りな音を奏でながらバリアの形に沿って逸れていき、大地を抉り、森を破壊し、生物を焼いていった。

 

 突然の事態に怪獣・恐竜は誰一匹としてナニカに襲い掛かる様子はなく、思い思いに逃げ惑う。おそらく、野生の本能がアレと戦ってはダメだと警鐘を鳴らしているのだろう。恐竜も怪獣もナニカや俺と比べて体が小さい。自分より何倍も大きい相手には挑むより逃げる方を選ぶだろう。俺もその立場なら迷わずそうする。

 

 ───だからこそ、このままアレを放っておくことはできない。誰かが止めねば、さらに被害が大きくなるのは火を見るより明らかだ。

 

 沸々と、今までのように胸の内から使命感が湧き上がる。アレを止めなくてはならない。───(ティガ)が、止めなくてはならないと。

 

 

「───デュア!(いくぞ!)

 

 

 意識が切り替わり、自分を鼓舞した俺は怪光線が外れたタイミングでバリアを解除しハンドスラッシュを連射する。狂いなくナニカへと放たれたそれは、しっかりと命中し───しかしナニカに堪えた様子はなかった。

 

 

 ───ヒャハヒャハヒャハヒャハ

 

 

 明確に敵意を持って攻撃したことからか無差別だった怪光線が俺に向かって飛んでくる。それをバリアを張って防がずに紙一重で避けつつハンドスラッシュで応戦する。

 

 ナニカに当たる瞬間をよく見てみれば、光線はヤツの体に当たりはしているものの、その全てがどうやら吸収されているようだった。

 

 

(───生半可な光線技はNGか。なら肉弾戦だ!)

 

 

 とはいえ、フワフワ浮いてる相手に対してスピードを犠牲にするパワータイプでは捉えきれないだろう。だから───ッ!

 

 

「ハァァァァァァァ……フッ!」

 

 

 降り注ぐ怪光線の中、素早くスカイタイプへチェンジして浮遊してるナニカ目掛けて跳躍。勢いそのままに手刀を叩き込もうとした。が───

 

 

 ───キャハハハハハハハハハハ

 

「ッ!?」

 

 

 近付く俺の姿に気付いたのか怪光線を撃つのを止め、ナニカを中心に空間が歪んだかと思えばその姿が忽然と消えた。

 

 攻撃は空振り、俺は周りを見回す。

 一体どこへ……? 最大限の警戒をしていたつもりだったが、不意に左脇腹に衝撃が走った。

 

 

「───カハッ……!」

 

 

 そこへさらに背中へもう1発。先ほどよりかなりの力が込められたのか前へぶっ飛ばされた。体制を整え、背後にいるであろう元凶へ顔を向ける。

 

 そうして目にしたのは腰の捻りが加わった、見事なまでの拳を振り抜いたナニカの姿だった。

 

 

(くっそ、あいつ普通に殴ったりするのかよ!)

 

 

 遠距離特化みたいな見た目してるくせにっ!

 ───違う、そうじゃない。

 カーっと熱くなった頭を左右に振って冷ます。

 急に消え、現れる。瞬間移動? ワープ? 同じ意味か。なんにしても厄介だ。ナニカそのもののエネルギーは感じないため、消えてしまえばすぐに見失ってしまう。

 

 うんざりしながらも視界に捉えているナニカへ向かって突撃。その勢いのままにダイナミックエントリー(飛び蹴り)。スカイタイプの速さが加わったそれは、まるで引き絞られた弓から放たれた矢の如く。

 

 だがまたしても瞬間移動(ワープ)で躱されてしまった。

 

 

(だよナ! 知ってた!! だったら──)

 

 

 スカイタイプのスピードを活かしてデタラメに、縦横無尽に飛んでみる。第三者が見ればきっと紫の線が空にいくつも走っていることだろう。

 

 狙うはカウンター。瞬間移動(ワープ)でヤツが近くに現れ、近接攻撃してきたらそれに合わせて殴り返す。遠距離攻撃だったら? 気合いで避けて近距離してくるまで待つ。

 

 さぁ来い。早く来い。すぐに来い。来い、来い、来い───

 

 

「ッ!(よし、正面ッ!)」

 

 

 運がいいことに、俺の前に立ち塞がるよう現れたナニカ目掛けて拳を突き出す。当たった! と思ったのがフラグだった。

 

 

「っ!? な───」

 

 ───キャハハハハハ

 

 

 コマ取りの連続した細かい動きを、不規則に再生させたような奇怪な動きでナニカは俺の脇をすり抜け、拳は虚しく残された残像を貫くだけであった。

 

 だが、俺はすぐさま体を捻りUターン。伸ばし切った腕を横薙ぎに払い、背後のナニカへ叩き込もうとした。

 

 瞬間、発光。無数の光の鞭がナニカの背から生え伸びる。手刀は弾かれ、右から、左から、上から、あらゆる方向から逆に無防備になった俺の体に容赦なく襲いかかった。

 

 

「あだだだだだだだっ!?くっ、こんのぉ───!」

 

 

 ガードする暇もなく繰り出される連撃をどうにかしようとするも、文字通り手が足りないため耐えきれず、それでもなんとか鞭の嵐の衝撃をなんとか利用して後方へ離脱する。

 

 だがヤツもみすみす逃してはくれないようで、瞬間移動(ワープ)で先回りされ、俺の頭部を両手でがっちりと掴むと電撃を流された。

 

 

「ガァァァァアアア!!!!??」

 

 

 全身がバチバチと沸騰する。痛い。つらい。しんどい。きつい。頭にナニカの鳴き声が反響して気分が悪くなる。

 

 打開の術は想像を絶する痛みによってすぐには思い付かず、そもそも戦闘を感覚(ノリ)で行なっているためそれが最善かどうかすらわからない。

 

 それでもと、なんとかしなければと咄嗟に選んだのはエネルギーの枯渇など考えもしない全力のゼペリオン光線を目の前にいるナニカに撃つことだった。

 

 

「ぐぅぅうぅぅう……あああああぁぁぁああぁあぁあッ!!!」

 

 

 予備動作を全工程カットし、無理やりエネルギーを即チャージしてゼペリオン光線を撃つ。ナニカが瞬間移動(ワープ)する間もなく胴体に命中、激しい発光と光の奔流が発生する。

 

 

(───あこれ、やばっ……ガリガリと急激に削られるっ……エネルギーというか、体力というか、元気というか……!)

 

 

 かつてない程の消耗を感じながら、しかしこれでナニカがエネルギーを吸収できるといっても限界が来るハズ。吸収行為が止まっても無理やり注ぎ込んでやれば過剰吸収で体が膨張し、内側から爆発。盛大に汚ねぇ花火を咲かせて終わり───そう思った。

 

 

「なん………だと………ッ」

 

 

 予想に反して、ナニカのエネルギー吸収は止まることはなかった。加えて、ヤツの体のどこにも膨張のような変化は見られない。

 

 

(こいつ、まだ限界がこないのか……!? このままじゃ俺の方が力尽きそうだ……!)

 

 

 そうなれば、これまでなんだかんだ鳴ることのなかったカラータイマーが鳴るのもおそらく時間の問題だろう。それはダメだ。エネルギーが尽き、動けなくなることだけは避けなくてはならない。

 

 そう思ったオレは光線を止め、オレの頭を掴んでいるナニカの腕を掴んで引き剥がそうと力を込める。だがそれを咎めるようにナニカに力強く抱き寄せられた。

 

 そして、不思議なことが起こった。

 

 

「───は?」

 

 

 俺の頭部はやつに抱き寄せられ、胸に当たったはずだった。普通なら。

 

 だが、おかしなことに俺の頭部はナニカの胸を通り抜け闇が視界に広がっている。

 

 見渡す限りの闇、光を飲み込む深淵。

 

 まるで別の空間のような───

 

 

(ッ!! なんだこれ、俺……コイツの体の中に入ったのか!?)

 

 

 なんとか抜けようと足掻いてみるも、特に抵抗感もなくオレの体はさらにこの暗闇の空間へ入っていた。

 

 

(なんだ、どんどん体が押し込まれ……ッ! まさかコイツ……オレを取り込もうとして……!? ハァ!?)

 

 

 理由はわからない。しかし、ロクなことにならないのはわかる。

 

 必死に取り込まれまいとバタバタと体を激しく動かしたり、ゼペリオン光線で推進力を得て脱出出来ないか試したりするも全て空振り。体はあっという間に腰、足と飲みこまれ───

 

 

「ああああぁぁぁぁぁ………!!!」

 

 

 俺は、この深淵の空間へと放り出されたのだった。

 

 




土下座。

投稿せずモチベ下がるのを防ぐため、短いですがここまで。
え? 年単位で放置? ハハッ。
本来なら「もうちょっとだけ続くんじゃよ」したかったのですが、まぁ思いついたら追加するか次話に回すかなんやかんやします。

ので、失踪します。
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