---ダン---
「ダンジョンを一般に開放する予定はあるのか?」
ラインバッハに訊かれた。
「無いです。2階層にミノタウロスが居るんですよ。3階層にはドラゴンがいるし」
欲しい素材や戦いたい相手を上層に設置してある。レイド戦必須のモンスターが上層にいるのだ。一般開放は無理だな。まだ10階層までしか無いし。せめて、ライブダンジョンのように100階層は無いと難しい。
「パーティーじゃキツそうだな」
「ソロで挑むんですよ。じゃなきゃ、鍛錬にならないし」
パーティーで挑むのはカニさんだな。あれの素材を無駄にしないように狩るには一人では難しい。氷と火の魔法は厳禁だ。身の味が落ちるし、風では甲羅にキズが入れられない。土であれば、動きを止める程度には使えるが…
「一人でドラゴンを相手に?」
「ダンジョン内のドラゴンは空を飛ばない。ドラゴンにとってはハンデを背負っているようなものです」
俺の言葉で沈黙する二人。護衛陣は顔色が悪い。彼らはソロでは倒せないのうだろう。
「なので、廃坑に魔物が住み着くことは無いです。ドラゴンのいる傍に、寄ってくる魔物はいないですから」
まぁ、寄って来ても、放牧している使い魔達に狩られるだけだし。使い魔達には首から上は喰って良しと伝えている。ハチとかデミウルゴスは旨そうにオークの頭部を喰っているし。グラトニーは、利用価値のある魔石以外、ゴブリンをまるまる喰うし。
「一緒にダンジョンに行きますか?」
護衛陣に声を掛ける。
「希望を前以て言って貰えれば、配置を希望通りにしますよ。1階層はゴブリン限定とか、スライム限定とかにね。ダンマスですから、その辺りの融通は付きます」
「そうなのか…」
ラインハルトの目が怯えている。俺って、そんなに怖い存在なのか?単なるパティシエなのに…
「では、ゴブリン限定で、戦い方を見せてくれないか」
ラインバッハが要望を言ってきた。
「じゃ、3日後に来て下さい。設定をしておきます」
◇
その後の夕食会、男性陣はしかめっ面であるが、女性陣は楽しそうである。
「このお肉美味しいです。ソースもスパイシーだし」
お嬢様が美味しそうに食べている。カタリナ、キースがフロア係をしてくれ、お皿の出し入れや、飲み物のサーブをしてくれている。元が貴族だけに、所作に優雅さを感じられる。
俺、サトゥー、ミトは厨房である。メイプルはダンジョンかな?
「このお肉は何ですか」
ラインハルト夫人が訊いてきた。
「ミノタウロスのバラ肉でございます」
キースが素材、調理方法などを説明をしてくれている。
「肉は熟成させた方がいいかな?」
「熟成庫、燻製庫が必要だな」
今度の方針を決めていく。温泉旅館では出来ないことがある。肉の加工場が無いのだ。
「やはり、クリモニアの館に作るべきだな」
俺もそう思う。醸造庫もいるし。
「チートの総合商社のサトゥーに丸投げでいいかな?俺には建築スキル無いし」
「そうだね。そういうのはイチロー兄ぃなら、簡単でしょ?」
建築スキル持ちだと誰かいたかな?あっ!イズが錬成士だな。建築資材の加工は出来るか?
「すまん、メンバーが揃うまで、頼っていいか?」
「あぁ、しょうがない。俺も納豆とか干物が食いたいし。そうそう、クリモニアの山向こうに漁港があるんだが…」
「あそこかぁ。知っているよ。ミリーラの町だろ?この前、でっかいイカを倒したよ。その現物で塩辛を作っているところだ」
現地ではクラーケンと呼ばれていて、倒したら、現地人に感謝されたっけ。厨房の片隅に置かれた樽から塩辛を出し、ミトとサトゥーに振る舞った。
「この樽全部、塩辛か?」
「ゲソだけでだ。胴体部分はイカリングとかイカフライにしようと思っている」
「そう言えば、あの町に醤油とか味噌とか米があったぞ」
「マジ?」
「マジだ」
俺の知らない情報だ。やはり、泊まりで行かないとダメだな。現地での情報収集力に欠ける俺。
「何でも交易している国で作っているらしい」
「今度、移動式ギルドホームでその国を探すかな?」
「村長を頼れよ。身近に入手先があるんだから」
確かに…頼らないと、村長が拗ねそうだな。
◇
翌日、クリモニアの街に俺、サトゥー、ミトで向かった。カタリナ、キースは接待疲れで、温泉でマッタリしているそうだ。館まで行くと門の処に少女が一人佇んでいた。
「あっ!」
少女が俺達に気づき、声を上げた。
「お母さんを助けてくれてありがとうございます」
あぁ、森で拾った女の子、確か…名前はフィアだったっけ。
「その後は問題は無い?」
「はい、ありません」
何か言いたげに、モジモジするフィナ。
「中に入って、話を聞こう」
サトゥーがフィナを館に誘い込む。フィナはミトと共に館に吸い込まれて行く。その後を付いていく俺。
「で、何の用だ?」
応接間でフィナの対面に座る俺。ミトが飲み物を用意し、フィナの前に置いた。ミルクセーキのようだ。サトゥーは熟成庫、燻製庫の設置に向かい、ここにはいない。
「あのですね。治療費はいくら払えば良いですか。肉もたくさん貰ったし…」
「要らないよ。子供から金を取る気は無い」
「まさか、お母さんの身体狙いですか?」
フィナの顔が強ばる。なんで、そんな風に思われるのだろうか?
「狙わない。こう見えても、俺はボッチ系だ」
「寂しんぼ?」
「違う」
いや、たまに人肌が恋しいことはあるが…そう言えば、アズライトはどうしているかな?
「何か、お仕事をください」
働き場所に困っているのか?
「ねぇ、雇ってあげなよ。この館の管理とかさぁ」
ミトが助け舟を出して来た。
「そうだな。フィナ、親子でこの館の管理を頼めるか?基本、掃除と庭の雑草取りだ」
「はい、がんばります」
「親子二人で月金貨1枚でどうだ?」
「えっ?そんなに貰えません」
「決定だ。じゃ、今月分だ」
フィナの手に金貨を握らせた。
「大盤振る舞いだな」
ミトに言われた。
「素材を売れば、問題は無い。後、街の情報を教えてくれ。主に食材関係だ。価格と質とか」
「はい」
こうして、俺はフィナ親子を雇った。
----4章 キャラ紹介
( )内は出自作品
<クラン楓の木>
【黒き死神】メイプル(防振り)
クランマスター。VIT値MAXでAGI振りに転向し、回避盾を目指す。転移者
【触れるな危険】ダン(オリジナル)
クランサブマスター。パティシエのはずなのに…クランの実質的司令塔。転移者
カタリナ・クラエス(はめふら)
農業部門。元クラエス公爵家の令嬢。転生者。
キース・クラエス(はめふら)
農業部門。元クラエス公爵家の養子で、シスコン。
ミト・ミツクニ(デスマ)
冒険者。シガ王国の王祖で元ミツクニ公爵家当主。転移者の元勇者。
サトゥー(デスマ)
商人。チートの総合商社と言われるチート冒険者な転移者。
アリサ・クボォーク(デスマ)
魔法使い。旧クボォーク王国の王女で、侵略戦争に負け奴隷落ちしたが、通り縋りのダンにより救出された。転生者。
【破壊王】クマ兄さん/シュウ(デンドロ)
レイの兄で格闘家。ポップコーン普及に力を注いでいる。
【死神】レイ(デンドロ)
クマ兄さんの弟で聖騎士。
アルティミア・アズライト・アルター(デンドロ)
剣士で元アルター王国第一王女。元々はゲームのNPCだったが、ゲーム内で暗殺され、異世界で転生した。ダンのことが大好きである。
<協力者>
【魔王】九内伯斗(魔王様リトライ)
魔法は使えないが、チート能力で蹂躙する転移者。
【村長】街尾 火楽(異世界のんびり農家)
万能農具を駆使して最強の戦士となった転移者。
【全知全能に1つずつ足り無い男】シュウ(オリジナル)
神であることを否定している神。世界の理を壊している破壊神。
<ジャミール公爵家>
ラインハルト・ジャミール(神達に拾われた男)
ジャミール公爵家当主。テイマー。
エリーゼ・ジャミール(神達に拾われた男)
ラインハルトの妻。テイマー。
エリアリア・ジャミール(神達に拾われた男)
ラインハルトの娘。テイマー見習い。
ラインバッハ・ジャミール(神達に拾われた男)
ラインハルトの父。テイマー。
ヒューズ、ゼフ、カミル、ジル(神達に拾われた男)
ジャミール家の護衛
セバス(神達に拾われた男)
ジャミール家の執事
<ソルシエ王国>
ジオルド・スティアート(はめふら)
ソルシエ王国の第三王子。カタリナとその友人をを婚約者にするも、カタリナには逃げられ、カタリナの友人はカタリナに奪還された。三度目の正直で、
モレーナと婚約した。
モレーナ(のうきん)
ブランデル王国第三王女。政略結婚の為、ジオルドと婚約した。
<クリモニアの街>
フィナ(くまクマ熊ベアー)
森でダンが拾った少女。
ヘレン(くまクマ熊ベアー)
冒険者ギルドの受付嬢。
ラーロック(くまクマ熊ベアー)
冒険者ギルド、クリモニア支部のギルドマスター。
<ギムルの街>
ウォーガン(神達に拾われた男)
冒険者ギルド、ギムル支部のギルドマスター。