デスを食らった男   作:もっち~!

106 / 132
パティシエの常識は世間の非常識

 

---ダン---

 

「ダンジョンを一般に開放する予定はあるのか?」

 

ラインバッハに訊かれた。

 

「無いです。2階層にミノタウロスが居るんですよ。3階層にはドラゴンがいるし」

 

欲しい素材や戦いたい相手を上層に設置してある。レイド戦必須のモンスターが上層にいるのだ。一般開放は無理だな。まだ10階層までしか無いし。せめて、ライブダンジョンのように100階層は無いと難しい。

 

「パーティーじゃキツそうだな」

 

「ソロで挑むんですよ。じゃなきゃ、鍛錬にならないし」

 

パーティーで挑むのはカニさんだな。あれの素材を無駄にしないように狩るには一人では難しい。氷と火の魔法は厳禁だ。身の味が落ちるし、風では甲羅にキズが入れられない。土であれば、動きを止める程度には使えるが…

 

「一人でドラゴンを相手に?」

 

「ダンジョン内のドラゴンは空を飛ばない。ドラゴンにとってはハンデを背負っているようなものです」

 

俺の言葉で沈黙する二人。護衛陣は顔色が悪い。彼らはソロでは倒せないのうだろう。

 

「なので、廃坑に魔物が住み着くことは無いです。ドラゴンのいる傍に、寄ってくる魔物はいないですから」

 

まぁ、寄って来ても、放牧している使い魔達に狩られるだけだし。使い魔達には首から上は喰って良しと伝えている。ハチとかデミウルゴスは旨そうにオークの頭部を喰っているし。グラトニーは、利用価値のある魔石以外、ゴブリンをまるまる喰うし。

 

「一緒にダンジョンに行きますか?」

 

護衛陣に声を掛ける。

 

「希望を前以て言って貰えれば、配置を希望通りにしますよ。1階層はゴブリン限定とか、スライム限定とかにね。ダンマスですから、その辺りの融通は付きます」

 

「そうなのか…」

 

ラインハルトの目が怯えている。俺って、そんなに怖い存在なのか?単なるパティシエなのに…

 

「では、ゴブリン限定で、戦い方を見せてくれないか」

 

ラインバッハが要望を言ってきた。

 

「じゃ、3日後に来て下さい。設定をしておきます」

 

 

その後の夕食会、男性陣はしかめっ面であるが、女性陣は楽しそうである。

 

「このお肉美味しいです。ソースもスパイシーだし」

 

お嬢様が美味しそうに食べている。カタリナ、キースがフロア係をしてくれ、お皿の出し入れや、飲み物のサーブをしてくれている。元が貴族だけに、所作に優雅さを感じられる。

 

俺、サトゥー、ミトは厨房である。メイプルはダンジョンかな?

 

「このお肉は何ですか」

 

ラインハルト夫人が訊いてきた。

 

「ミノタウロスのバラ肉でございます」

 

キースが素材、調理方法などを説明をしてくれている。

 

「肉は熟成させた方がいいかな?」

 

「熟成庫、燻製庫が必要だな」

 

今度の方針を決めていく。温泉旅館では出来ないことがある。肉の加工場が無いのだ。

 

「やはり、クリモニアの館に作るべきだな」

 

俺もそう思う。醸造庫もいるし。

 

「チートの総合商社のサトゥーに丸投げでいいかな?俺には建築スキル無いし」

 

「そうだね。そういうのはイチロー兄ぃなら、簡単でしょ?」

 

建築スキル持ちだと誰かいたかな?あっ!イズが錬成士だな。建築資材の加工は出来るか?

 

「すまん、メンバーが揃うまで、頼っていいか?」

 

「あぁ、しょうがない。俺も納豆とか干物が食いたいし。そうそう、クリモニアの山向こうに漁港があるんだが…」

 

「あそこかぁ。知っているよ。ミリーラの町だろ?この前、でっかいイカを倒したよ。その現物で塩辛を作っているところだ」

 

現地ではクラーケンと呼ばれていて、倒したら、現地人に感謝されたっけ。厨房の片隅に置かれた樽から塩辛を出し、ミトとサトゥーに振る舞った。

 

「この樽全部、塩辛か?」

 

「ゲソだけでだ。胴体部分はイカリングとかイカフライにしようと思っている」

 

「そう言えば、あの町に醤油とか味噌とか米があったぞ」

 

「マジ?」

 

「マジだ」

 

俺の知らない情報だ。やはり、泊まりで行かないとダメだな。現地での情報収集力に欠ける俺。

 

「何でも交易している国で作っているらしい」

 

「今度、移動式ギルドホームでその国を探すかな?」

 

「村長を頼れよ。身近に入手先があるんだから」

 

確かに…頼らないと、村長が拗ねそうだな。

 

 

翌日、クリモニアの街に俺、サトゥー、ミトで向かった。カタリナ、キースは接待疲れで、温泉でマッタリしているそうだ。館まで行くと門の処に少女が一人佇んでいた。

 

「あっ!」

 

少女が俺達に気づき、声を上げた。

 

「お母さんを助けてくれてありがとうございます」

 

あぁ、森で拾った女の子、確か…名前はフィアだったっけ。

 

「その後は問題は無い?」

 

「はい、ありません」

 

何か言いたげに、モジモジするフィナ。

 

「中に入って、話を聞こう」

 

サトゥーがフィナを館に誘い込む。フィナはミトと共に館に吸い込まれて行く。その後を付いていく俺。

 

「で、何の用だ?」

 

応接間でフィナの対面に座る俺。ミトが飲み物を用意し、フィナの前に置いた。ミルクセーキのようだ。サトゥーは熟成庫、燻製庫の設置に向かい、ここにはいない。

 

「あのですね。治療費はいくら払えば良いですか。肉もたくさん貰ったし…」

 

「要らないよ。子供から金を取る気は無い」

 

「まさか、お母さんの身体狙いですか?」

 

フィナの顔が強ばる。なんで、そんな風に思われるのだろうか?

 

「狙わない。こう見えても、俺はボッチ系だ」

 

「寂しんぼ?」

 

「違う」

 

いや、たまに人肌が恋しいことはあるが…そう言えば、アズライトはどうしているかな?

 

「何か、お仕事をください」

 

働き場所に困っているのか?

 

「ねぇ、雇ってあげなよ。この館の管理とかさぁ」

 

ミトが助け舟を出して来た。

 

「そうだな。フィナ、親子でこの館の管理を頼めるか?基本、掃除と庭の雑草取りだ」

 

「はい、がんばります」

 

「親子二人で月金貨1枚でどうだ?」

 

「えっ?そんなに貰えません」

 

「決定だ。じゃ、今月分だ」

 

フィナの手に金貨を握らせた。

 

「大盤振る舞いだな」

 

ミトに言われた。

 

「素材を売れば、問題は無い。後、街の情報を教えてくれ。主に食材関係だ。価格と質とか」

 

「はい」

 

こうして、俺はフィナ親子を雇った。

 

 




----4章 キャラ紹介
( )内は出自作品


<クラン楓の木>
【黒き死神】メイプル(防振り)
クランマスター。VIT値MAXでAGI振りに転向し、回避盾を目指す。転移者

【触れるな危険】ダン(オリジナル)
クランサブマスター。パティシエのはずなのに…クランの実質的司令塔。転移者

カタリナ・クラエス(はめふら)
農業部門。元クラエス公爵家の令嬢。転生者。

キース・クラエス(はめふら)
農業部門。元クラエス公爵家の養子で、シスコン。

ミト・ミツクニ(デスマ)
冒険者。シガ王国の王祖で元ミツクニ公爵家当主。転移者の元勇者。

サトゥー(デスマ)
商人。チートの総合商社と言われるチート冒険者な転移者。

アリサ・クボォーク(デスマ)
魔法使い。旧クボォーク王国の王女で、侵略戦争に負け奴隷落ちしたが、通り縋りのダンにより救出された。転生者。

【破壊王】クマ兄さん/シュウ(デンドロ)
レイの兄で格闘家。ポップコーン普及に力を注いでいる。

【死神】レイ(デンドロ)
クマ兄さんの弟で聖騎士。

アルティミア・アズライト・アルター(デンドロ)
剣士で元アルター王国第一王女。元々はゲームのNPCだったが、ゲーム内で暗殺され、異世界で転生した。ダンのことが大好きである。




<協力者>
【魔王】九内伯斗(魔王様リトライ)
魔法は使えないが、チート能力で蹂躙する転移者。

【村長】街尾 火楽(異世界のんびり農家)
万能農具を駆使して最強の戦士となった転移者。

【全知全能に1つずつ足り無い男】シュウ(オリジナル)
神であることを否定している神。世界の理を壊している破壊神。


<ジャミール公爵家>
ラインハルト・ジャミール(神達に拾われた男)
ジャミール公爵家当主。テイマー。

エリーゼ・ジャミール(神達に拾われた男)
ラインハルトの妻。テイマー。

エリアリア・ジャミール(神達に拾われた男)
ラインハルトの娘。テイマー見習い。

ラインバッハ・ジャミール(神達に拾われた男)
ラインハルトの父。テイマー。

ヒューズ、ゼフ、カミル、ジル(神達に拾われた男)
ジャミール家の護衛

セバス(神達に拾われた男)
ジャミール家の執事


<ソルシエ王国>
ジオルド・スティアート(はめふら)
ソルシエ王国の第三王子。カタリナとその友人をを婚約者にするも、カタリナには逃げられ、カタリナの友人はカタリナに奪還された。三度目の正直で、
モレーナと婚約した。

モレーナ(のうきん)
ブランデル王国第三王女。政略結婚の為、ジオルドと婚約した。


<クリモニアの街>
フィナ(くまクマ熊ベアー)
森でダンが拾った少女。

ヘレン(くまクマ熊ベアー)
冒険者ギルドの受付嬢。

ラーロック(くまクマ熊ベアー)
冒険者ギルド、クリモニア支部のギルドマスター。


<ギムルの街>
ウォーガン(神達に拾われた男)
冒険者ギルド、ギムル支部のギルドマスター。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。