---クリフ---
「あなた!彼に何をしたの?」
王都にいる妻が戻ってくるなり、そう叫んだ?
「彼とは?」
「クラン<楓の木>のダンよ」
「街から出て行ってくれたよ。彼と彼の仲間はトラブルメーカーらしいからな」
「なんてことをしたの?」
「アイツは王都でテロを起こしたんだろ?本来なら、捕縛の上、王都に連行なんだろうけど、王命でアイツには触れるなとお達しがあったからな」
「王様はそんなことを言っていないわ。言ったのは彼らに不利益になることはしないようによ。これって、不利益なことでしょ?」
何?訊いていた話と違う。どこで話がぶれたのだ?
「誰から聞いたの?」
「冒険者ギルドのマスターのラーロックだ。アイツがウソを言うとは思えない」
「彼らの屋敷の場所に行ったけど、更地だったわ。どこに追い出したの?」
「隣国じゃ無いのか?あちらにも家があるらしいから。いいじゃないか、テロリスト集団がいなくなったんだから」
「テロリスト集団じゃ無いわよ、彼らは…マズいわね。彼らを探さないと」
妻は部屋から出て行った。
---エレローラ---
ヘレンからの連絡を受けて、急ぎクリモニアに戻って来た。彼らの屋敷が消えたと言う報告。現場に行くと、確かに更地になっていた。どうやって、屋敷を移動させたのだ?彼らの事は分からないことだらけである。ドラゴンの素材を大量に持っている、ブラックバイパー、タイガーウルフの討伐、100匹近いゴブリンを瞬殺など…スキル、能力がまるで分からない。唯一、ゴブリンの討伐を見た冒険者によれば、彼は召喚師だったと言う。フェンリル、ジズ、ナインテールなどのSSS級魔物を召喚していたと言う。SSS級ともなれば、国の軍隊を総動員しないとダメなレベルである。それらを屈服させて、テイムしたのか謎である。
王命により、彼らのことを調べるように言われた矢先、夫が彼らを追い出してしまった。王都とクリモニアの街では馬車で2日ほどの距離である。だが、連絡の行き違いが多い。誰かの罠か?
確か、領地に貰ったのは隣接するエレゼント山脈エリアだったわね。そこに行ってみましょうか。
街を出て整備されていない道を進むと、屋敷が見えて来た。彼らが山の麓を開拓しているようだ。
「何か、未だ用ですか?」
私を見る目が冷たい。
「どうして、出て行ったんですか?」
「あなたの旦那に犯罪者扱いされたからだよ。俺がいつ犯罪を犯したと言うんだ?」
「誤解です。あなた達がテロリスト集団だと吹き込まれたそうよ」
「だから、何?もう、いいでしょ?俺達は俺達でやるから、構わないでくれ」
「そうもいかないわ」
「五月蠅い!帰れ!」
次の瞬間、王城の廊下にいた。これって、転移魔法。それもかなり高位なヤツだ。