デスを食らった男   作:もっち~!

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揚げ物コンポ

---ダン---

 

朝食を食べ、ユナのことをミトに任せて、俺は温泉旅館へ向かった。クエスト中のマイルに、何か問題が無いかと訊く為である。

 

「問題は無いですよ」

 

食後休みを利用して、フィギュア作りをしていたマイル。今制作中なのは、機械神姿のメイプルらしい。

 

「どんな魔物がいた?」

 

「カマキリとかコウモリとか、後はゴブリンですね」

 

カマキリかぁ。

 

「カマキリの卵はあったか?アレの生まれたての子供を揚げると、川海老ぽくなるんだよ」

 

「川海老の唐揚げ…いいですねぇ。見つけたら、確保しておきます」

 

あれ?今回のクエストは、1日で終わらないのか?

 

「今日も?」

 

「はい。新しい鉱山は意味も無く広いんですよ」

 

それは大変そうだ。無計画で掘り進めた結果だな。

 

「ダンさんはいらっしゃいますか?」

 

マイルと話し込んで居ると、俺を呼ぶ声がした。この声はエリアリアか?何の用だろうか、俺だけエントランスへと向かう。

 

「どうしたんだ?」

 

「あのう…料理の現場を見たくて…今日はどんな料理ですか?」

 

たまに温泉旅館では料理教室が開かれていた。最近の俺は麓開拓でここに住んでいない為、マリア、ルルに料理を教えていたのだ。まぁ、料理と言ってもスナック系が多いのが難点かな。

 

「今日は…まだ決めていないけど…」

 

そう言えば、ジャガイモがあったなぁ。厨房に向かうと、メモ帳を片手に持ったマリア、ルル、サリーがいて、彼女達の横にエリアリアが並んだ。

 

「今日はポテトチップとポテトフライにするか?あぁ、後はコロッケとか」

 

「揚げ物コンポですか?」

 

サリーが嬉しそうに訊いてきた。転生者にとってソウルフードとも言える芋系スナックである。

 

「そうなるな。まずは油を作るよ」

 

キョトンとするマリア、ルル、エリアリア。サリーはモロボシ洋菓子店で経験があるため、今日は助手をして貰う。北京鍋に水を少量入れて、湧かす。熱湯になったところで、オークの脂身を適量入れていく。美味しい脂身は沸騰したお湯に溶ける。鍋の中の水分は徐々に気化して、鍋から水分だけが取り除かれ、脂身から溶け出したラードと呼ばれる油だけが残るのだ。溶けきらない部位は取り除き、新たに脂身を入れ、油を抽出していく。この工程を揚げる為の適量になるまで繰り返す。

 

「揚げ油って、こうやって作れるんですか?」

 

マリアに訊かれ、返答代わりにマリアに向かって頷き、作業を続けていく。

 

油を作っている間、ジャガイモの薄切り、拍子切りを用意していく。これはマリアとルルに任せ、サリーは油作り、俺はマッシュポテトを作る。茹でたジャガイモをマッシャーで潰していくのだ。

 

「そうだ。エリアリア。ジャガイモの芽と紫色の部分には毒がある。調理する前に取り除くんだぞ」

「はい、先生」

 

俺の作業を見つめ、頷きならがメモを取るエリアリア。料理を通じて、俺は彼女の先生になったようだ。俺、パティシエなんだけど…薄切りにしたジャガを高温の油でカラリと揚げていく。拍子切りの方は、小麦粉をまぶして、やや低温で揚げていく。マッシュしたジャガは、小判型にして、小麦粉をまぶし、溶き卵に潜らして、パン粉を纏わせて、やや低温の油のプールに入れていく。

 

三種の芋のおやつが出来た。ポテトチップス、ポテトフライには岩塩をまぶし、コロッケにはトマトケチャップかな。ソースが無いので、しょうがない。

 

「これは、どうやって、作るんですか?」

 

エリアリアから、トマトケチャップの作り方を訊かれた。実際に作るか。小ぶりのトマトを食料庫から1箱持って来た。箱から1つを取り出し、4等分にして、皆に食べさせた。

 

「甘く無いんですね。それに水っぽいです」

 

エリアリアの感想。

 

「この位がいいんだよ、まず、このトマトを湯むきする」

 

サリーと俺で湯むきをしていく。ケチャップ作りもサリーはモロボシ洋菓子店で経験している。

 

「次に、タマネギ、ニンニク、唐辛子を微塵切りにする」

 

この工程は、根性がいる。タマネギで涙が出て、ニンニクの香りで鼻が曲がり、唐辛子の刺激により指先が痛くなるのだ。

 

出来上がった微塵切りをトマトと満遍無く混ぜ合わせる。ミキサーとかブレンダーがあれば便利なのだが、この世界にはまだ無い。今後のサトゥー次第だな。いや、イズが来てくれないかな。

 

混ざった野菜ジュースもどきを鍋に入れ、砂糖、塩、胡椒で味を調えて、火に掛けながら灰汁を取り、とろ火で2~3時間煮詰める。煮詰めている間に、保存する瓶などの容器を煮沸殺菌しておく。煮詰めたら、ビネガーを加えて、火から下ろし、殺菌した容器に詰めて完成である。

 

「初めから甘いトマトだと、甘みの調節が難しい。あと、旨みより甘みが勝ってしまい、味がしまらない。素材の選別から、料理は始まっているんだよ」

 

冷めても美味しいジャガ達。冷めたから火傷の心配は無いし。揚げたては、口内の火傷が痛いしなぁ。口の中って、ヒールが効きにくい感じだし。

 

「わかったかな?」

 

「帰ったら作ってみます。分からなかったら、訊きにきますね」

 

嬉しそうに、お土産を持ち、帰って行くエリアリア。さて、揚げ油もある事だし、イカリングでもつくるかな。材料は、この前仕留めたクラーケンである。肉厚過ぎる上、胴体の直径がでかいので、ドーナツ型で抜いた後、輪切りにして厚みを調整する。そして、コロッケ同様に揚げていく。

 

「イカリングだぁぁぁ」

 

転生組が喜んでいる。転生組では無い者達は、恐る恐る食しているが、美味しかったらしい。

 

 

 

翌日、クリモニアの街に戻った。田んぼの続きである。まず、お土産の揚げ物4点セットを食卓に並べた。

 

「コロッケとイカリングクマ~」

 

「ポテチ…上手い」

 

クマ兄さん、レイが祖国の味に歓喜している。

 

「これ、全部手作りなの?」

 

ユナが驚いている。料理しない子なのか?

 

「ダンは、あのモロボシ洋菓子店の跡取り息子クマ~」

 

って、店名を出しても知らないだろうに。単なる街の洋菓子店だし。

 

「え!あのモロボシ洋菓子店の…もしかして、ピアノのケーキの人?」

 

ユナは知っているらしい。そんなに有名な店だったかな?生前の頃の記憶が薄れているのか?その辺りの記憶が曖昧である。

 

モロボシ洋菓子店の関係者と知ってから、俺を見るユナの視線の質が変わった気がするが、きっと気のせいだな。

 

「すみませ~ん!ダンさん、いらっしゃいますか?」

 

この声はヘレンか?嫌な予感がする。

 

「何か、用か?」

 

「指名依頼です。領主様が来てくれと。これは依頼書です」

 

依頼書を手渡し、直ぐに逃げるように帰って行くヘレン。また、不敬罪か?そうだ!

 

「ユナ、一緒に来てくれ。クマ好きな少女がいるんだよ」

 

クマ兄さん同伴だと、きっとえん罪一直線になりそうだし。

 

「ダンの指名は断れないな。わかった、一緒に行くよ」

 

ユナのクマ装備。中々のスタイルが寸胴ボディに見える。まぁ、セクハラ防止として、有りかな。ユナと二人で領主邸へと向かう。そう言えば、レイレイとか、ビースリーとか見かけないが、どうしたんだろう。アスナとリーファも見かけていない。はて?

 

『来ていない者達はシガ王国に残っているよ』

 

と、シュウからの念話。あぁ、あそこも引っ越してくるんだったなぁ。

 

 




メイプルのライバルになりそうなキャラ候補を見つけたけど…(^^;;
どうするかな。

例えば、滅のバケモノ、ビリビリ少女…とか。
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