デスを食らった男   作:もっち~!

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クリモニアから引っ越し

---ダン---

 

門番に依頼書を見せて、領主邸に初めて足を踏み入れた。

 

「わぁぁぁぁ~い、クマさんだぁぁぁぁ~」

 

少女が出てきてユナに抱きついた。これがクマ兄さんだと、犯罪と言われても言い訳が難しいか?少女に抱きつかれたユナを、その場に残して、俺だけ領主の部屋に案内された。

 

「初めてだな。私がクリフ・フォシュローゼ、この街の領主だ」

 

エラそうなオッサンだな。

 

「で、用件は?」

 

「以前にも伝えたはずだが」

 

「伝えられていない」

 

初めて会うんだ。用件を聞く機会は無い。

 

「そうか…君のところのクマについてだ。アイツは何者なんだ?」

 

「二つ名は『破壊王』だ。本気を出せば、王都を一人で殲滅できる」

 

俺を見つめる視線が冷たい。敵認定でいいかな?

 

「君は何者だ?この街で何をしでかすつもりだ?」

 

「まるで犯罪者を見る様な目つきだな。わかった。街から出て行く。それで、お前とは無関係にする」

 

部屋を出てユナと共に、領地である山の麓に転移して、クリモニアの屋敷を敷地ごと『強奪』で引き寄せた。

 

「強引だな。何か遭ったのか?」

 

アズライトに訊かれた。

 

「俺を見る領主の目、犯罪者を見る様な目だった。だからもう、あの街には行かない」

 

「えっ、行かないの?」

 

って、見知らぬ少女がいた。誰だっけ、この子?

 

「わぁ~い、クマさんが二人居る」

 

喜んでいる少女が、ユナとクマ兄さんに交互に抱きついていた。まさか、領主の…

 

「まさか、領主の娘か?」

 

「だな。まさか、私に抱きついて、一緒に転移するとは」

 

ユナも俺も気づかなかったようだ。いつ抱きついたんだ?って、誘拐確定か?マズい。『子羊の行進』で眠らせ、領主邸にこっそり返却しに行った。

 

 

水路を作り、来年の水田作りの準備をする。サトゥーが言うには季節は秋らしい。ユナは温泉旅館の方で、サリー達とダンジョンでの鍛錬をして貰っている。

 

「新作料理を望んでいる声が上がっているよ」

 

サトゥーが定時報告に来た。村長からはコンビーフとケチャップのレシピを訊かれ、それは既に送ってある。お礼にサトウキビを送ってくれたのには感謝である。水田作りの合間に砂糖の製造場を作った。間伐した木材を加工して、小屋を作り、サトゥーを通じて、道具を揃えて貰っている。

 

「あぁ、そうだ。ジャミール家からの伝言で、たまには顔を見せてねって」

 

そういば、最近行っていないなぁ。砂糖作りが一段落したら行くかな。先ずは黒糖だな。サトウキビを絞り、出てきた液体を煮詰めるだけである。不純物を沈殿させるために石灰を加える必要があるが…。

 

砂糖作りは熱との戦いであるが、爆発系炎系無効特性持ちの俺は熱による暑さは感じない。ユナのクマ装備も快適な温度調節機能付きなので、二人で割と楽しみながら作れている。単なる着ぐるみと言うクマ装備のクマ兄さんは熱でダウンしていた。

 

和三盆糖は、取り出した液体を、精製濾過して結晶化させた物にし、少量の水を加えて練るという研ぎの行程がある。これは砂糖の粒子をより細かくする作業であり、欠かせない。その後、圧搾して黒い糖蜜を抜いていく。この作業を繰り返し、白さが出るまで研ぎと圧搾を繰り返すのだ。

 

先ず、黒糖でかりんとうを作る。そして和三盆糖では餡子である。粒あんとこしあん、そして、水羊羹へと変身していく甘味達。お土産も出来たし、ジャミール家に行くかな。

 

ジャミール邸に着くと、彼らの今後の予定を聞いた。ジャミール家の方々は、ガウナゴの町にある本邸に戻り、エリアリアは本邸には戻らず、リフォール王国の王都へ行き、学校に入学するそうだ。

 

「新作をお持ちしました。かりんとうと、餡子、水羊羹です。餡子は甘い豆のジャムって感じです」

 

「今回も美味しい。上品な甘さがいいなぁ」

 

「漸く、黒糖と和三盆糖が作れるようになりました」

 

「そうだ、ダン君。今後はモーガン商会を頼ってくれ。信用のおける商会だよ。紹介状を渡しておく」

 

ラインハルトから紹介状を受け取った。

 

「会いたい時は会いに行きますよ、ラインハルト様」

 

「そうだね。君の能力なら…新作を楽しみにしているよ。お店もね」

 

お店なぁ~。屋台でもするかな。甘味の屋台かぁ。

 

 

翌日、紹介状を持って、モーガン商会を訪れた。

 

「会頭のセルジュ・モーガンと申します」

 

「クラン<楓の木>のサブマスターのダンです。よろしくお願いします」

 

「ラインハルト様から聞いております。食材の仕入れですね」

 

「後、こういうのを売りたいんですが…」

 

モーガンの前にドラゴンの素材や、インゴット類を出して見せた。

 

「…これは見事ですな。一般に売るのは難しい高額商材ですか…う~ん…」

 

大商会でも換金は難しようだ。

 

「どの位お有りですかな?」

 

「ドラゴンの素材なら20匹分くらいかな。必要ならいくらでも狩りますよ」

 

実際は100近くある。肉目当ての為、素材は溜まる一方であるのだ。

 

「オークの皮であれば、5000程…鉄のインゴットは500位、ミスリル銀だと100位かな」

 

「そんなに…あなた様達のクランは、優秀な冒険者様が沢山所属しているのですね」

 

ダンジョンを複数所有しているのが原因で、それらを周回しているヤツラが多い為とは言いにくい。

 

「売れませんか?」

 

「王都に持ち込めば売れるかもしれません」

 

「あぁ、後、宝石や古銭もあります」

 

「これは…素晴らしい…王都で開かれるオークションに小出しすると良いかもしれません」

 

モーガン商会へ委託という形でお願いした。俺達が熟すには、手続きが大変そうだし。

 

「そうだ。馬車が欲しいのですが、中古で構わないので、在庫はありますか?」

 

 

馬車を手に入れ、麓の館に持って帰って来た。

 

「これをどうするんだ?」

 

レイに訊かれた。

 

「レイ、お前、馬を持っているだろ?」

 

「あれは戦闘用だ。馬車を引くための物では無いぞ」

 

「いや、アレをサトゥーにコピーして貰うんだよ。取り敢えず二頭立て、馬車部分は改造して、移動販売車にする」

 

「移動販売か」

 

「神出鬼没のゲリラ販売にするつもりだ。固定店舗だと家賃が勿体無いし」

 

毎日営業するわけでは無いからな。

 

村長に寒天を送って貰い、先ずは水羊羹の販売だ。1週間のうち、1日だけの営業。場所は不定にすることにした。

 

 

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