---メイプル---
強者を求め、『時空渡り』で時空を彷徨う。私が死神って心外である。たまたま、死に際に見つけて、今後も戦いたい為に、連れ帰っただけである。ユナはレベルが初期化された為、相手にならなかった。私のしたいのは回避盾の鍛錬である。しばらく時空を彷徨っていると、素早い動きの戦士をみつけたい。
見知った顔がいる強そうなパーティーである。3対1になるけど、大丈夫かな。アスナとリーファ、そして、アスナの元彼…ダンさんを殺した下手人である。コイツらだけには負けたくない。
「メイプル…どうして、ここに?」
戸惑うアスナ。寄りを戻したのか?それはそれでいい。ダンさんを巡るライバルは少ない方が良いから。
「ダンさんの仇…」
アスナの元彼に向かっていく。アスナとリーファは、突然の私の襲撃に固まっているようだ。元彼の剣を盾で受け流す。このレベルの剣士相手だと、回避出来ないなぁ。この人、二刀流だし。
じゃ、これはどうかな。
「ヒドラ!」
戦場が紫色に染まっていく。リーファは空中に逃げるが、アスナと元彼は毒に塗れ、弱っていく。
「メイプル、止めてよ。お兄ちゃんは罪を償ったの」
「ダンさんに償っていない」
リーファがふざけたことを言う。ダンさんに謝罪すらしていない。生前は責任能力無しで無罪だったとシュウさんが言っていたし。
「それはそうだけど…私の身体で償ったわよ」
「そんなので罪は消えない」
寧ろ罪は増えると思う。愛無き行為…見た目が幼いからって、愛があっても出来ないのに…リーファの言葉が私の怒りの炎にジェット燃料を注いでくれている。おかげで私の心はヘルファイヤー状態である。
「シロップ!リーファを仕留めて」
私の思いに応えるシロップ。さて、アスナ達はどうなったかな。紫の海で溺れるアスナ。藻掻く元彼…
「こんなことしても、ダンは喜ばないよ」
シュウさんが隣に現れた。
「私のエゴです。許せないものは許せない」
「ゲーム内の彼は英雄だけど、生身の彼は精神が弱いからね。だから簡単に暗示に掛かり、洗脳されたんだよ」
だからって、精神衰弱状態で、責任能力無しって、罪を償ったことになるの?
「メイプルの思いもわかる。で、今回はこの3名をお持ち帰りか?」
「要望を言ってもいい?」
「いいけど…」
「アスナとリーファは、ダンさんの奴隷に、元彼くんは、刑務所へ」
「異世界の刑務所か?そんなのは無いぞ。禁固か追放か死刑しか無い」
「どれも生やさしいよ。死刑も追放も苦しまない。禁固だって…」
「そうなると、犯罪奴隷で強制労働だな」
---ダン----
翌朝…メイプルがリードを2本持って、ドヤ顔で俺の部屋にいた。リードの先は全裸のアスナとリーファの首に嵌まる首輪だった。
「これはどういうことかな?」
「奴隷商に売っていて、買って来ました」
な訳があるか。メイプルのこめかみを拳でグリグリしてみた。教育的指導である。この部位だけ、痛点があるメイプル。
「痛いです。痛いって…時空を彷徨っての狩りの獲物ですよ~」
狩り?コイツ、アスナとリーファを狩りに行ったのか?
「夜のお勤めは間にあっているぞ」
アズライトがいる。たまにユナが夜這いするようになったし、今後レイレイも来るだろうし、ユーリは女体になれたのだろうか?そもそも、それ程、性欲が無いんだが…
「私?」
何かを期待するメイプル。
「すまん。メイプルは無理だ。お前とサリー、アスカは妹訳だしな。取り敢えず、首輪から解放して、服を着せてやれ」
「喜んでくれませんか?」
凹むメイプル。
「いや、文官が不足しているから、助かるが…今後、時空渡りで狩りに行くな」
「えぇぇぇ~」
不満げなメイプル。今後も狩りに行くのだろうか。いや、行くだろうな。強者を求めて…
◇
服を着たアスナとリーファ。メイプルと言う鬼畜なクランマスターからの罰ゲームで、ノーブラ、ノーパン状態らしい。メイプルは二人の何に怒っているんだ?
「二人には、書類書き、手続き関係を頼みたい。要望はあるか?」
「キリト君はどうしたの?」
キリト?誰だっけ?
「誰?」
「ダンさんを刺し殺した…」
あぁ、葬式帰りに俺をデスした男か…顔すら覚えていない。サリーの泣き顔は覚えているけど。
「アイツもメイプルに狩られたのか?」
頷く二人。
「俺は何も聞いていない」
どこかに幽閉しているのか?鍛錬する相手として…
「彼の行方が分かったら、教えて下さい」
「分かった」
メイプルに心を折られたのか、どこか元気が無い二人であった。