---ダン---
翌朝、サトゥーがアリサと共に転移してきた。アリサは農家巡りをしたいそうだ。そして、俺達はサトゥーと共に、蔵見学へと行き、味見を繰り返し、買い込みをしていく。
「団子がうまいなぁ」
食べ歩き天国。色々な物が串焼きで売られていて、食べ歩きし放題である。焼き貝、焼き魚、焼き鳥など、この街は食材だけでなく、食べ方も多々存在しているようだ。
「見た感じ、江戸時代って感じかな」
牛鍋屋が無い。まだ文明開化の風は吹いていないようだ。まぁ、昨晩のシャモ鍋は旨かったなぁ~。
「ここが、首都ってことじゃ無いよな?」
サトゥーが呟いた。確かに、城が無い。港町って感じだな。
「首都に着いたら、連絡してくれ。今夜、蔵はピーコして持ち返る」
ここまでに買い込んだブツをサトゥーに渡しておく。収納庫に空きがないと、この後の買い物に響くから。サトゥーと別れ、俺達は冒険者ギルドへと向かう。まずは、冒険者ギルドで情報収集…していなかった。反省点である。いつも忘れる、情報収集である。
「くま?」「なんだ?」「クマ?」「どこの国の服だ」
道すがら、そんな声を聞く。ユナのことだろう。俺はいつも通りの服装だし。中には、追い掛けてきて、しつこくユナに絡むガキ達がいる。そんなガキには『子羊の行進』で、意識を刈り取っていく。見ていて、気持ちの良い行為では無いからだ。コイツらの親はどんな教育をしているんだ?
食べ歩き天国をしつつ、歩いていると、漸く冒険者ギルドの看板を見つけて、中に入った。
「おい!目を合わすなよ。アイツらはヤバい…」
小声で注意喚起する冒険者がいる。俺達を知っているようだ。周囲を見ると、侍とか忍者っぽい人がいる。ふと、受付嬢と目が合ったので、近づいて行くと、受付嬢の顔に緊張が走って行く。俺達って危険人物だっけ?
「この国の冒険者ギルドって、他の国のギルドカードも使えるの?」
「はい、使えますよ」
まず最初に訊かないとダメなことを訊いておく。使えなかったら、登録しないと、稼げないし。
「なんか、仕事あるか?」
ギルドカードを出しながら、クエストの有無を訊いた。
「く、く、クラン…楓の木…」
怯えたような視線で俺達を見る受付嬢。悪名なんか、あったっけ?
「か、か、かまいたちの退治…」
受付嬢は恐る恐るクエストカードを出して来た。かまいたちって、妖怪だっけ?どうにかなるかな?
「受ける」
◇
朝、宿を出ると、シノブという少女がいた。
「ギルドのクエストを受けたそうだね。私が案内をする」
ギルドの案内人だろうか?コイツがいると転移が出来ない。う~ん…クエスト達成の見届け人ってことか?まぁ、信用はされていないようだな。
「そうか、頼む」
シノブと共に街を出た。出たはずだが、門番にユナが捕まっていた。シノブの説明で無事に解放された。あれ?入る時は問題無かったのに…入り鉄砲に出女ってヤツかな??
「馬はどうします?」
シノブに訊かれたので、収納庫から馬車を出し、俺達は乗り込んでいた。
「アイテム袋ですか…どえらい容量ですね…」
「道案内を頼む」
御者台に俺とサリーが座り、残りの者は馬車の中、シノブは自前の馬に跨がり、俺達を先導し始めた。一時間ほど進むと、別の村に着いた。因みにこの村には門番はいない。
「この村っす」
シノブの口調が崩壊していた。これが素なのか?
「それで状況は、どうなんすか?」
「昨日、新たに三頭の牛がやられていた。せめてもの救いは村人に怪我がないことだ。本当に、かまいたちを討伐することができるのか? これ以上の被害は出したくないんだ」
シノブが村人に状況を確認している。妖怪だよな。コンコン辺りで行けるかな?
「倒すことはできるけど、問題は数。どのくらいいるか、わからないっすか?」
「すまない。かまいたちが現れたら、俺達村人は逃げて、隠れている」
数がいるのか…
「見つけた」
マイルの探査スキルに引っかかったようだ。マイル以外の者も探索スキルを広範囲にしていく。
「どうする?」
ミトに訊かれた。
「サクッと終わらせよう。狩りの開始だ!」
俺達は一斉に走り出した。かまいたちって、イタチだよな。食えるのかな?
「えっ!闇雲に近づくと危ないっすよ」
後方からシノブの声がする。目の前にいるかまいたちの動きは速いが、俺達の素早さも負けていない。特に、サリー、マイルの回避盾コンビの動きは素早い。元勇者のミトも負けていないし、クマ装備のユナだって、チーターらしい動きをしている。この中で俺が一番遅い。そうだ!『クイックチェンジ』で、蒼い装備に着替え、飛行モードで上空からメーサー砲で狙撃しようっと。
森の奥に進むと、銀色のかまいたちがいた。それも二匹も…番いか?
「いけそうか?ダメならハチとアナを出すけど」
「問題無い」
と、ミト。サリーとマイルが回避盾で、2匹を牽制している。サリーとマイルに気を取られている間に、ミトとユナが、それぞれの首を落とし、狩りは無事に終わった。俺は上空から、狩り残しがいないかをチェックして、狩り取った得物を『強奪』で、収納していった。
「はぁ?もう狩ったんっすか…はぁ、はぁ…」
狩りが終わった後、呼吸の荒いシノブが追いついた。
「あぁ、もう終わったよ」
収納庫から魔石を取り出し、シノブに見せた。
「これが、最凶の冒険者集団、クラン<楓の木>の実力っすか?」
「最強?いや、戦闘力の低いメンバーだけど…」
「これで?」
火力がめっちゃ高いメイプル、クマ兄さん、ミィ、レイがいないし。俺達は、あのクランの中では穏健派であるし…