デスを食らった男   作:もっち~!

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面倒事をしょった女

 

---ダン---

 

村に戻り、狩りの成果を披露した。結局銀色のかまいたちは3匹いた。1匹は狩り残しチェックの際に、俺が上空からメーサー砲で狙撃したのだった。

 

「これは銀色のかまいたち?」

 

「本当だ。三匹もいるぞ」

 

村人が驚いていた。この銀色は、強い魔物らしい。

 

「怪我は!?」

 

「俺達は無いが、シノブは?」

 

シノブの服は切り刻まれていた。

 

「服以外問題無いっす…」

 

 シノブは切られた部分を恥ずかしそうに押さえ、村人を見る。

 

「……追加の金額を払わさせていただきます」

 

男性の言葉にシノブは嬉しそうにする。あれ?シノブって、狩りの参加者だっけ?

 

「牛鍋でも食べて、休んでくれ。この村の名産は牛肉なんだよ」

 

牛鍋?和牛か?

 

「すき焼き?」

 

マイルとミトの口元がだらしなくなっている。最近、牛の肉は食べていないからな。しかし、この村にはすき焼き文化は無く、肉じゃがのような芋煮だった。旨いので問題は無い。

 

「里芋もあるのか」

 

村からの帰り、牛肉のブロック肉と芋を仕入れて、宿へと戻った。

 

 

宿に帰る道すがら、

 

「ダン、街に帰ったら相談があるっす」

 

と、シノブに言われた。

 

「お前の身体に興味は無い」

 

「そういう話じゃなく…なんか、酷い言われようっすね」

 

シノブの事よりも、今は牛肉をどう調理するかで、頭を悩ましたいんだ。

 

「わたしの話を聞いてほしいっす」

 

面倒事の予感がする。

 

「面倒なことはパスだ」

 

「うぅ、そんなことを言わないで欲しいっす」

 

「面倒事だろ?」

 

「……面倒事っす」

 

スルー決定。

 

「無視しないで聞いて下さいよ~。お願いするっすよ」

 

スルーだな。スルーしたまま、冒険者ギルドに帰って来た。依頼完了を知らせ、かまいたちの討伐部位の尻尾を渡し、魔石を換金して、冒険者ギルドを出ようとすると、

 

「毛皮は売ってくれませんか?」

 

受付嬢が俺に縋り付いて来た。

 

「毛皮?うちの商業部門で使うから売れ無い」

 

「商業部門?え…Aランク…」

 

実はクラン<楓の木>は、エチゴヤ、ドラゴンの鱗、そして移動販売で、商業ランクがAランクになっていた。

 

「新商品開発に使うから、売れ無い。悪いなぁ」

 

商業ギルドに加盟している強みで、冒険者ギルドの買い取り要請を蹴ることが出来るのだ。

 

「残念…」

 

受付嬢の恨めしい視線を背中に受けながら、冒険者ギルドを後にした。

 

これで面倒事は終わりと宿に着くと、何故かシノブが一緒に部屋に入ってきた。

 

「ほぉ~、良い部屋を取ったっすね」

 

これは、面倒事を訊かないと、どこまでも付き纏うストーカーパターンか?

 

「で…面倒事って、何?」

 

「この男を捜しているっす」

 

懐から人相書きを取り出したシノブ。コイツを見つければ、帰ってくれるかな?『強奪』で男を拉致し、シノブと共に、浜辺へと強制転移させた。これで、問題は解決だよな。

 

 

面倒は嫌なので、翌日はお城のある街へ移動した。

 

「飴細工かぁ」

 

べっこう飴を食べながら、飴細工製作を見学していた。

 

「そうか!飴でフィギュアもありですね。食べられる付録かぁ~」

 

と、マイル。まぁ、アリだと思うが、まずは実演販売でもするのか?

 

「見つけたっす。はぁ…はぁ…はぁ…」

 

あぁ~、背中越しに面倒事の声を聞いた。

 

「まだ、なんかあるのか?」

 

「あるっす。お願いっす。話を訊いて下さいっす」

 

俺の背中に抱きつくシノブ。

 

「はぁ~」

 

今度は、どんな厄介事を?

 

「言ってみろよ。事と次第では、男性恐怖症にしてやるぞ」

 

脅しを掛けてみる。

 

「やれるものなら、やってみなっす。で、和の国の中心に島があり、聖なる地とされ結界が張られ、普段人が入れない島があるっす。そして、その島には魔物が封印されているっす」

 

魔物退治か。封印されているのか。戦い甲斐がありそうだな。

 

「その島で、それを倒せばいいんだな。ミト、集められるだけ戦力を、その島に集めてくれ」

 

「はぁ~い」

 

なんか、みんな楽しそうなんだが…

 

「え?もう戦う準備しているっすかぁぁぁぁ~。何、その戦闘脳は…」

 

シノブの声がビビっているようだ。

 

「封印された魔物だろ?本気で戦っていいんだよな?」

 

「そうですが…まだ、封印は破られていないっすよ」

 

「封印?そんなの破ればいいだけだろ?問題無い」

 

なんたって、チーターが数名いるんだし。伝説的な食材かな?ワクワクする。

 

「その相談事は受ける。そうとなれば、準備するぞ」

 

俺達は移動式ギルドホームに転移した。

 

 




やっとラストシーンが浮かんだ(^^;;

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