---ダン---
その日の午後には、戦闘要員達は問題の島の上空に達した。結界が張られていて、アレを壊さないと、進入出来ないようだ。
「どうする?」
「あれくらいなら、問題は無いよ」
サトゥーが結界に穴を開け、俺達は島に上陸できた。
「何が封印されていると思う?」
「そりゃ~、八岐大蛇でしょうね」
と、ミトが即答した。頭八本に本体って感じかな?
「関係者を見つけたよ」
コンコンが一人の女性を連れて来た。うん?現地民か?
「なんで、ナインテールがいるんじゃ?貴様らは何者だ?」
「そういう口の利き方はダメダメだよ。主様に封印ブツのことを教えなさい」
少女姿のコンコンが、大人の女性を足蹴にしている。コンコンが言うには、この女性は狐人であり、コンコンよりも階位が低いらしい。なので下僕扱いで問題は無いらしい。
「頭を封印している祠が四つと、本体を封印している祠が一つあるのじゃ」
八岐大蛇じゃなくて、四岐大蛇なのか?
現状の戦力…
高火力は俺、メイプル、カエデ、クマ兄さん、レイ、マイル、ミト、サトゥー、ミィである。既に上空にはアナ、ギャメス、シロップ、天ちゃんが待機し、空飛ぶ馬にレイとネメシスが跨がっている。クマ兄さんは戦艦モードに展開して、砲門をサトゥーの開けた結界の穴に向けていた。
「ザコはこっちでどうにかするよ」
と、狙撃チームのマリー。中火力組もスタンバっている。回復役にはマリア、アーシア、白音、ミザリーが、安全圏である後方で待機してくれている。
「倒す順番ってあるのか?」
「特に無いが…アイツの身体は硬い、再生もする」
再生は厄介である。一気に焼き払うか?中火力組以下を祠とは逆の岸に展開してもらうか。結論…高火力の集中砲火で焼き払うことにする。
「メイプル、カエデ、準備しろ。『機龍』」
俺は機龍化した。
「「『ジャガーノートドライブ』エネルギー充填開始!」」
俺達、怪獣軍団が祠に向けて、一斉攻撃の準備に入った。それとほぼ同時に祠が崩れていく。
「「エネルギー充填120%!」」
「一斉攻撃開始だぁぁぁぁ~!」
俺はメーサー砲を祠の1つに向けて撃ち込み、ソレを合図に一斉に攻撃を開始した俺達。それぞれの最大火力の攻撃を、余すこと無く叩き込んで行く。俺達の後方からも、魔法とか銃弾とかレールガンが次々に放たれ、祠から出てきた大蛇の頭部に撃ち込まれている。
---シノブ---
それは突然始まった。あの島からは、立ち昇る炎の柱が何本も立ち昇り、島の上空には得体の知れない魔物が何匹も浮かび上がり、島へと攻撃をしていた。朝に相談して、昼前には開戦って…アイツらは戦闘狂集団かぁ?!
「これは…」
国王が目を見開いて固まっている。まさか国王も私も、昨日の今日に攻撃するとは思って見なかった。おいおい…
「封印は解けていないんだろ?」
「多分、封印を破って攻撃しているっす」
島にも巨大な魔物が数体おり、大蛇に攻撃を仕掛けていた。アイツら、召喚師なのか?見た事の無い魔物が多数。島からキノコ雲が何個も上がっているんだけど…大丈夫なのか?
時折、島影が歪む。あれは、空間系の魔法か?島の縁が溶けているように見える。和の国の最期か…私はとんでも無いヤツラに依頼してしまったのか?
---ダン---
大蛇の頭部が紫の液体塗れである。ひび割れ程度の怪我でも、ヒドラの毒が染みこんでいるのか、苦しげな大蛇。しかし、その外皮はマイル、ユナ、サトゥー、ミトの空間切断で斬っても、再生するしぶとさ。それ故、毒が効いているようなので、一安心ではある。
問題は、この後どうするかだな。長期戦には向かない戦力である。クマ兄さんは弾切れ、ミィは魔力不足になりかけている。
「主様、喰っていいかな?」
グラトニーが現れた。
「喰って終わりになるなら、喰ってよし」
ヒドラの毒に汚染された肉は、俺達には食えない。ならば、グラトニーにあげても問題は無い。斬り刻んだ切り口に張り付き、体内から食らうグラトニー。
変身を解除したメイプル、カエデを上空に放り上げて、ヒップアタックさせる俺。なんだ、これが一番の高火力じゃないか。ヒップアタックの餌食になった頭部はミンチ状になり、グラトニーが美味しそうに食べているし。
「変身解除の方が強いって、どういうことクマ?」
クマ兄さんの主砲、メイプル達のはどう砲でも表皮は削れたのだが、簡単に再生されてしまった。しかし、ミンチになると再生しづらいようだ。
「後、胴体だ!」
機龍の腕を使い、メイプルを思いっきり、胴体へと投げつけると、インパクトの瞬間に『シールドバッシュ』…胴体に穴が開く。これって、下手な攻撃よりも高火力じゃないのか?俺は『メイプルアタック』の特技を得たようだ。
メイプルとカエデを交互に投げつけ、穴から体内にグラトニーが侵入して、胴体も倒せたようだ。
「よし!面倒事は嫌なので、即撤収だ」
俺も変身を解き、仲間達を移動式ギルドホームへと転移させていく。
◇
それぞれを、それぞれの勤務地に送り届け、クリモニアの冒険者ギルドへと向かった。大蛇から手に入れた魔石を売るためである。魔石以外の部位はグラトニーが食べてしまい、これしか売り物が無いのだ。
勝手知ったる他人の部屋ってことで、ギルマスの部屋に行き、直接交渉をした。
「なぁ、これは…なんだ?」
震えているラーロック。
「和の国を賑わした四岐大蛇の魔石だ。さぁ、いくらで買い取ってくれる?」
「まさかとは思うが、お前、封印を破ったのか?」
「倒してくれって頼まれたから」
「そうか…王宮で、王に買い取ってもらってくれ。このギルドじゃ買い取れない」
そんなに高価買い取り品なのか。その場から、王都の玉間に転移した。
「うっ!ダン…今日はどうしたのだ?」
俺を見るなり、大汗をダラダラと流し始めた王様。
「これを買い取って欲しいんだけど…」
魔石を5つ、近くにいた宰相に手渡した。
「クリモニアの冒険者ギルドで買い取れないって言われて…」
「う~ん…物々交換で良いか?買い取れる金が、あまり無いんだが…」
「分割払いでいいよ。物で貰っても、換金する手間もあるし」
「これはどこで、手に入れたのだ?」
「和の国のラスボスを倒して…」
「和の国…まさか…大蛇か?」
頷く俺。あの大蛇って有名なのかぁ~。
「ダン、一人でか?」
「いいや、クラン全員で…実質、クランマスターの攻撃が決め手になったけどね」
攻撃方法は言え無い。冷静になってみると、あれって鬼畜技だよな。無邪気な少女を敵目掛けて、力一杯投げつけるって…
オーバーキル気味な戦力集結。しかも一番の火力が『メイプルアタック』とは…(^^;