デスを食らった男   作:もっち~!

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いつか通った未知

 

---ダン---

 

今日の狩りの参加者を、それぞれの駐留地へ送り届けていく。任意の転移術が使える俺、ミト、サトゥー、マイルの役目である。ユナも使えるようになったらしいが、転移門を設置した場所にしか転移出来ないそうだ。適材適所で良いだろう。

 

送るついでに、上空から見た感じの、それぞれの反省点を伝えていく。

 

「メイプル、盾の使い方を練習しろよ。シールドバッシュばかりだと、狩り禁止にするぞ」

 

「うっ!」

 

アドバイス程度であるので、教育的指導はしない。なのに、こめかみを押さえて蹲っている。

 

「何をしているんだ?」

 

「だって、ダンさんのグリグリって痛いんですよ。VITがMAXなのに、痛すぎです」

 

「じゃ、頑張って鍛えろよ。痛くないようにな」

 

メイプルは突き放し気味が良い。舞い上がったり、力むと噛むし…平常心でこそ、最大火力が出るのだろう。

 

皆を送り終えて、クリモニアの冒険者ギルドへ向かった。

 

「指名依頼を終わらせたぞ」

 

巨大ワームの魔石を、ラーロックの目の前に置いた。

 

「おい!うちでは払えないぞ。王都の冒険者ギルドへ行けよな」

 

何、逆キレているんだ?確かに、ここには金は無いなぁ。

 

「ただ、依頼の終了を知らせに来ただけだ。こっちも金には困っていない」

 

トンネル通過運賃と、専用馬車で、ホクホクになる予定である。

 

 

翌日、久しぶりに、ギムルの街に。グラトニーと共に、肥だめの清掃である。栄養価満点の培養土が貰えるのが嬉しいクエストである。その後に温泉旅館経由でモーガン商会へ、向かった。

 

「エチゴヤの評判は聞いておりますよ」

 

「悪名?」

 

「いえいえ、ランクAになったそうじゃないですか」

 

それは取引高が高いからである。更に言えば、ドラゴンの鱗のおかげとも言える。

 

「エチゴヤとの取引があるだけで、ステイタスですぞ」

 

あれ?ステイタスって、貴族相手に商売していたっけ?

 

「それで、この前のオークションの結果ですが…」

 

あぁ~、オークションを仲介して貰っていたなぁ。ドラゴンの鱗とか古銭とかを…想像していた額よりも儲かったようだ。これなら、あれこれ、出品できるかな?

 

「最近、開発した調味料なんですが、ご意見、ご感想をお聞かせください」

 

営業モードの言葉遣いで対応する俺。今回、持ち込んだのは、エチゴヤ製の味噌、醤油、そして豆腐である。まだ、エチゴヤ本店に並べていない商品とも言う。

 

「ほぉ~、遂に完成しましたか。これが豆腐ですかぁ…」

 

豆腐は鮮度が命、豆腐には旅をさせるなと、有名グルメ漫画に書いてあったし。刻みネギを散りばめ、醤油を適量掛ける。

 

「後、コチラが納豆です」

 

「えっ…これは腐っているのでは?」

 

「豆を熟成した物です。発酵と腐敗は別物です。これがダメだとチーズもダメでしょうね」

 

チーズも取り出してみた。

 

「あぁ、これらの味がわからないと、エチゴヤさんの料理は食べられないのですね」

 

目の前で、納豆汁を調理して、提供した。

 

「う~ん、旨いですなぁ~。これが腐った豆とは…」

 

だから、腐っていないって!!

 

 

異世界生活にも慣れ、最近リア充している。面倒事が多いが、それも楽しく感じる自分がいる。さて明日は何をしようかなって、思いに耽っていると、

 

「ダンさぁぁぁぁぁ~ん!」

 

突然、上から声が聞こえた。これって、メープルか?上を見上げると、グキッ!と首の骨が折れる音、その直後に目の前が真っ黒になった。

 

 

 

またかよ…今度はどんな世界だ?

 

 

 

(完)

 

 




ダンに報われる日が来るのだろうか?

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