デスを食らった男   作:もっち~!

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バグ Part1

イベントの翌日、フレデリカが、楓の木に参加しに来た。フレデリカによると、円満離脱だったそうだ。ミィは炎帝で反省会だそうだ。

 

「やはり、ペイン狩り作戦は成功したねぇ」

 

そんな作戦はない。アスカが自慢げに話すのでスルーした。

 

「運営がまた動画を配信していたわよ」

 

サリーが、ホームにあるメインモニタで再生しだした。見たくもない酷い戦闘の連続である。暴虐姿のメイプルにはねられて、宙を舞うプレイヤー達。そのプレイヤー達に鉄球を投げつける双子。メカゴ●ラに踏まれて、命を落とすプレイヤー達。もはや、戦ってもいないし。

 

で、最後、クロムの入浴シーンで終わるって、どんなセンスなんだ?

 

「もう1本、配信されているけど」

 

連続再生するサリー。

 

テロップで『最強プレイヤー ペイン』と表示されて、頭が吹き飛ぶペイン。衝撃的なシーンから始まり、アスカの狙撃コレクションが流れ続け、『最強のPK あなたは逃げられるか』とテロップが流れて、次のシーンに目を見張った俺。殺戮数カウンターが大映しされ、ウナギ上りに上がっていく。カウンターの下には、テロップで殺戮数が表示されていく。これって、俺か?『謎のテロリスト あなたはいつも狙われている』

 

って…賞金首にでもなった気分だぞ。

 

「へぇ~、有名人になったわよね。鬼畜兄妹は」

 

サリーが嬉しそうに言う。

 

「まさか…ダンさんとアスカさん?」

 

フレデリカが俺達を涙目で見ている。

 

「メイプルの方が有名人だろ?」

 

「実質的なラスボスよね。でも私達は知っている。メイプルキラーの存在をねぇ」

 

「あぁ、掲示板に出ていた噂話だろ?おい!そうだろ、クロムさん!」

 

ガタッ!

 

「えっ?俺は何も…」

 

「ふ~ん。ネタは上がっているんだぞ。メイプルの防御力が5桁に手が届くことは、このギルドメンバーしか知らないんだ。なのに、どうして、名無しの大盾使いさんは知っているんだ?もう1回、地獄を見てくるか?!」

 

「もう!止めて。ギルド内での揉めごとは」

 

イズが止めに入った。

 

「クロム、今回は、あなたが悪いわよ。ギルド内情報を出し過ぎ」

 

「すまない…つい…」

 

「フレデリカを登録したから、今から正式メンバーだからね」

 

サリーがメイプルの代わりに、ギルドの事務面をサポートしていた。一方、メイプルは…修練場で双子と対戦中である。破壊成長の装備を成長させる為らしい。俺でも良かったんだが、サリーに止められた。

 

「メイプルキラーなんだから、自覚を持ってくださいね。ダンさんに鍛えられたら、ダンさんを超えるが難しいでしょ?」

 

それはそうなんだが…実のところ、サリーは俺がどうしてメイプルを瞬殺出来るかの仕組みを知らない。なので、策が練れないようだ。まぁ、仕組みがバレても、策はない筈だ。防御力無視の攻撃スキル持ちだし。

 

「射的場が少なくなったねぇ」

 

って、アスカ。空を飛べる世界である3層だと、隠れる場所が少ないそうだ。

 

「4層は、どうなんだろう?」

 

どうなんだろうな。

 

 

イベントが終わってから1ヶ月後、4層が実装された。前回同様にギルドを2パーティーに分けて、突破することになった。フレデリカは俺と同じ後発隊である。まず、メイプル達が入った。瞬殺で終わると思っていたのが、中々俺達の番が来ない。強敵がいるのか?5分ほど経ち、ボス部屋の扉が開いた。中にいたのはアイアンゴーレムのようだ。

 

「固そうなんで、俺で行く」

 

懐に入り込んでからの32連打。2発目で当たりが出て、4層目に出られた。そこは常闇の町だった。星の煌めく夜空に赤と青の2つの満月。不気味である。お化けエリアか?

 

「速い…」

 

サリー達、先発組が驚いていた。

 

「なんで、手間取ったんだ?」

 

「私でもメイプルでも攻撃が入らなかったの。で、マイメイコンビにチェンジしたら、高火力で簡単に削れたけど。さすがメイプルキラーね。VIT振り相手には無敵なのかな?」

 

サリー、正解だ。

 

皆で、ギルドホームへ向かうと、隣には収納庫兼整備場があり、既に移動式ギルドホームが鎮座していた。その後、ギルドホーム内をチェックして、街中の探索へと、出た。俺はフレデリカとアスカと一緒らしい。

 

「お兄ちゃんって、一人だとやらかすからね」

 

信用がまるで無い。今までの行いなのか?メイプルはサリーと巡るようだ。

 

「お兄ちゃん、あの高い塔が怪しいよ」

 

「あぁ、良い狙撃ポイントだよな」

 

「ぎくっ!」

 

ビンゴらしい。この階層での狙撃ポイントは、あの高い塔の上の方にするようだ。

 

「この鳥居を潜るようですよ」

 

フレデリカが道順を教えてくれた。やはり、常識人のフレデリカは貴重だな。二つ目の鳥居を見つけ、通過しようとすると、弾かれた。ノックバックというより、結界か何かか?

 

「アスカ、レールガンで貫通出来るか?」

 

「う~ん、出来無いみたいだよ」

 

 

数日後、ホームに集まり、情報を交換した。

 

「私は即死効果を手に入れて、着物買ったよ!」

 

嬉しそうなメイプル。何?即死効果だと…マズい…俺も何か強化しないと…

 

「私からは、この階層では通行証を手に入れないと、自由に探索出来無いみたいなの」

 

サリーは有用な情報を出してくれた。

 

「で、通行証にはランクがあって、面倒なクエストをこなさないと、ランクが上がらないんだって」

 

クエストかぁ。嫌な予感しかしない。クエストはステイタスによって、発生する者と発生しない者とに別れる。なので、ここからは単独行動になる。まぁ、単独ではあるがカエデとフレイヤがいるので、相談は出来るが…

 

探索をしていると、

 

「おい!お前、強そうだな。我を倒して見よ!」

 

鬼が現れた。32連打を叩き込みと、鬼はドット落ちしていく。

 

「お前にコレをやる。精進せよ、なお一層な…」

 

何かの通行証をくれた。なんだ、これは?当ても無く歩いていると、どこからか祭り囃子が聞こえて来た。その音に誘われる様に、歩いて行くと、お寺に出た。祭りをやっている様子は無い。ワナか?

 

「貴様、何者だ?ここには人間は入って来られぬのだぞ」

 

影のようなヤツが現れた。迷わず【ホーリークロウ】を叩き込んだ。

 

「何…貴様…」

 

あれ?倒しちゃダメなヤツだったのかな?何もドロップしないし。影のいた場所を探していると、落とし穴に嵌まった。また、このパターンか?

 

 

そこは地獄だった。針山地獄、血の池地獄などがあるし。

 

「お前は大罪人のようだな。ここで、かわいがってやるよ」

 

棍棒を持った鬼達がぞろぞろやってきた。面倒だなぁ。ドラゴンシリーズを装着し、【機龍】を発動すると、形勢は逆転した。逃げ惑う鬼達を尻尾で潰し、足で潰し、エラそうなヤツを見つけて、メーサー砲を叩き込んだ。

 

「バチ当たりものめ!貴様など、魔界送りだ!」

 

冥界送りでなくて?魔界か?蒼き装備に切り替え、【ホーリークロウ】で、悪魔や魔物達を蹂躙していく。終わりの見えない戦い。何故か、ログアウトボタンが出ない。デスゲームなのか?ここは…

 

蹂躙し続けると、目の前に新敵が現れた。どこかメイプルに似ているが、構わず32連打で殺しておく。

 

「貴様!メイプルを…【炎帝】」

 

ミィに似たやつが、俺に炎攻撃を繰り出してきた。こいつも32連打で殺しておく。され、次はどいつだ?

 

「お願いです。怒りをお鎮め下さい、魔神さま…」

 

見た事の無い少女が、俺に祈りを捧げてきた。身体の闇が昇華していく。昇華していった闇が人型になり、徐々に実態化していく。

 

『我が名はデミウルゴス…神であり悪魔であり魔王である。我の僕にならぬか?』

 

「悪いが俺は男の下僕にはならぬ。俺は女を下僕にする!」

 

天空からカミナリが落ち、俺に祈りを捧げていた少女を直撃した。全身火だるまになっていく少女。その少女が俺の前に現れ、先ほどの男と共に、俺に跪いた。

 

「我が名は、魔女として葬られた聖女ジャンヌと申します」

 

「我が名は、旧約の神であり、新約では魔王とされたデミウルゴスと申します」

 

「「我らを主様の末席にお加えください」」

 

そう口上を述べると、俺の指輪に吸い込まれて行った。で、ここはどこだ?

 

 

ひたすら歩くと、お城に出た。誰の城だ?

 

「貴様!我が城に何用じゃ?」

 

いきなり刀で斬りかかってきた男。クロスカウンターで男の顔を潰した。男は頭の無い龍に変化していく。そして、ドットと落ちをして消え去ると、アイテム『龍の逆鱗』を手に入れた。まだ、ログアウト出来無い…死ねばいいのか?先に進むと、楓の木のメンバーがいた。出迎え?

 

おぉ~、ログアウトのボタンが表示された。現世に戻れたようだ。

 

「ダンさん…今までどこにいたんですか?」

 

サリーが心配そうな顔をして、俺に抱きついて来た。

 

「いや、よく分からないんだ。で、サリー達は、どうしてここに?」

 

「龍退治にです」

 

「龍?倒したけど…」

 

「はぁい?」

 

ドロップアイテムの『龍の逆鱗』を手渡すと、ギルドメンバーの人数分に分かれた。

 

「一人で倒したんですか?」

 

メイプルが妙な事を言う。

 

「俺、ドラゴンの類いに無敵だから…」

 

「へ?」

 

「伝説のドラゴンセットがあるだろ?あの恩恵で、ドラゴンはワンパンだから…」

 

結果的にそうなっただけである。相手がドラゴンであるという認識が無かったし。

 

「これ、なんかのクエストだったのか?」

 

「じゃ、鬼退治を…」

 

「倒したよ。とっくにね」

 

何故か、みんなが呆れるように俺を見ていた。

 

 

12月になると、フィールドは雪化粧を纏った。衣変えに季節である。ふとゲットしたのに、装備したことの無いやつがあるのを思い出し、取り出した。

 

『神装備』

頭【雷神ヘルメット(フェースガード付き)】

体【フェニックスの鎧(不死属性)】

右手【籠手(ドラゴンスレイヤー)】

左手【籠手(ホーリーアロー)】

足【鬼神のレッグガード(即死属性)】

靴【龍神のブーツ(帯電)】

あらゆる属性に対応できる究極な一品。

取得条件:2層への守護神を、ソロで初バトルで撃破

 

なんか、ゲームバランスを大きく崩しそうである。そうだ、だからお蔵入りにしたんだ。思い出した。でもフェースガード付きは魅力である。正体がばれないってことだし。ふふふ…

 

ちょうど、第5回イベントとしてフィールド探索型イベントが開催されるようだし。PKし放題か?

 

 

 

---サリー---

 

最近、ダンさんを見かけていない。なんか、胸騒ぎがする。

 

「おい!PKしようぜ」

 

それは突然現れた。金色に輝くフルアーマーである。相手はフルアーマーの割に、素早い。相手の剣先を、ギリギリで躱せたのだが、背筋に嫌な汗をかいている。これって、躱してもヤバいヤツだ。全身が恐怖に浸食されていく。コイツ、プレイヤーか?それともAIモンスターか?

 

「がっ!」

 

相手の蹴りをギリギリで躱したのだが、全身が痺れていく。マズい…誰か、助けて…ダンさんさん…

 

「サリー、大丈夫?」

 

メイプルが来てくれた。

 

「2対1か。いいぜ。PKしてやるよ」

 

相手の蹴りがメイプルを掠めた。ただそれだけで、メイプルがドット落ちしていく。相手の蹴りって、即死属性なのか?マズい。掠めただけでデッドって、ハンパ無い。シャレにならん相手である。

 

【ホーリーアロー】

 

目の前から光輝く矢が飛んで来た。聖属性攻撃?即死持ちでか?おいおい…躱身の術で乗り切り、分身の術で逃げを打った。みんなに知らせないと、ヤバいだろう、あれって…

 

急いで街中に戻った。街中でのPKは禁止であるので、安全地帯である。

 

ギルドホームになだれ込むようにして入った。

 

「どうしたの、サリー?」

 

フレデリカがいた。メイプルがやられたことを知らせ、襲われた相手のことを説明した。

 

「あぁ~」

 

うん?フレデリカの態度で、相手の正体の予想が着いた。だからのフェースガードなのか?顔がわからなければ、何をしていいとでも思っているのか、あの男は…

 

「どうしたよ、サリー」

 

まるで気配を感じなかった。なのに、後ろから抱きつかれていた。

 

「こんなに息を切らせるとは、珍しい」

 

隠し持っていた短剣で、背後の人物を刺した。

 

「おいおい、街中はPK禁止だろ?」

 

腹部に短剣が刺さっていても、HPが減らないダンさん。今度は何をやらかしたんだ?って…でも、なんで、あのアーマーを着ていないんだ、コイツ…このダンさん、どこか違和感がある。

 

「フレデリカ、大丈夫か?」

 

ミィが聖女であるミザリーを連れてきた。ミザリーが浄化魔法でダンさんとフレデリカを浄化していく。うん?何かに取り憑かれたのか?

 

「殺さないとダメかも」

 

ミザリーがドット落ちしていく。なんで、浄化していたミザリーが…何をされたんだ?

 

「次は誰が相手だ?」

 

目の前のダンさんの声から感情を感じられない。コイツ、何者だ?

 

「俺が相手だ。俺のニセモノ野郎!」

 

さっきのフルフェースのフルアーマーがそこに立っていた。こっちが本物のダンさんだろうな。殺気がムンムンしているし。

 

「なんだと?お前こそニセモノじゃないのか?フルフェースで顔を隠しやがって」

 

「ドッペルゲンガーよ。お前は俺を怒らせた。殺してやる!」

 

【召喚;デミウルゴス】

 

【召喚:フレイヤ】

 

「「ご主人様を語る者に死を!」」

 

なんか、良くない者を使い魔にしている気がするが、今は事態の収拾が先だ。目の前にいたダンさんが煙の様に消え、本物のダンさんの使い魔は、指輪へと戻っていった。

 

「じゃ、サリー、PKの続きをしよう」

 

えっ?羽交い締めにされて街の外に連れ出された。コイツは本物か?こんなにPKが好きだったっけ?

 

「お前、本当のダンさんなのか?」

 

「あぁ、そうだよ。実はなぁ、今、街の中にはドッペルゲンガーが大量発生しているんだよ」

 

【クイックチェンジ】

 

蒼き装備に着替えたダンさん。

 

「さっきのPKは?」

 

「あれは、俺だよ。あの装備、ハンパないだろ?だから、サリーかメイプルで試そうと思って…」

 

あぁ…やらかしたのは、それか。

 

「原因は?」

 

「誰かがやらかしたんだろうね。幸い、ドッペルゲンガーは街の外には出られない。容疑者と思うのは、フレデリカだよ」

 

「証拠は?」

 

「これっ」

 

草むらからフレデリカを取り出した。

 

「ドッペルゲンガーが生じている者は、不死になりログアウト出来無い。その上、本体はプレイヤーを襲う。まるで、ゾンビのようにね。ミザリーが言っていただろ?殺さないとダメだって」

 

「言っていたわね」

 

「ログアウトさせないとダメってこと。たぶん、フレデリカの中の人に何か起きたんだよ。ログアウト出来無い何かがね。そのせいで、システムに影響が出たんだと思う。今、運営も大慌てだろうな」

 

「それって、ゲーム内じゃ、どうにもならないでしょ?」

 

「だから、アスカをログアウトさせた。確認させる為にね」

 

信用していいのか?

本物のダンさんなら、こんなワナは使わない。

 

「信用されていないのか?白峯 理沙さん」

 

私の本名を知っている。本物のダンさんだ。

 

 

 

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