---白峯理沙---
週末、正さんの家に向かうと、既にフレデリカ、ミィ、ミザリーが来ていた。コイツら、始発で来たのか?お店はイベント期間では無い為、今日は喫茶室に入れたよ。楓の席をキープしておくかな。
「で、どうですか、新しいダンジョンは?」
ミィの中の人はかわいい口調である。炎帝のミィは演じているのか?こういうギャップに男性は弱いとも聞くので、彼女の作戦なのか?
「苦戦しているよ。メイプルキラーのダンジョンだよ」
「そうなんだ…私も行きたいなぁ~」
無理でしょ?炎帝のギルドマスターだし。
「そういえば、明日奈さんは、使い魔は何になったんですか?」
明日奈さん本人は、私達の為に腕を奮っている最中なので、正さんに訊いてみた。
「アイツのはコウモリらしいぞ。超音波で敵の位置を探査出来るらしく、暗闇での狙撃率が上がっているって。あと、ギ●オスみたいに、口から怪光線が放て、小さめなモンスターは喰うらしい」
また、チートな使い魔だな。
「おまたせ」
厨房から明日奈さんがやってきて、パフェを一人一人の前へと置いていく。
「試作のパフェなんだ。感想をお願いね」
何、これ…美味しい…
「美味しいです」
「中にパンナコッタがはいっているんだよ。ちょっと価格設定は高めになっちゃうけど」
これは有りです。止まらない…
「おはようございます」
楓とイズさんの中の人が来た。来て早々、二人共正さんと明日奈さんに話し掛けている。楓は大胆にも正さんの腕に抱きついている。ゲームと現実の区別つけていないのか?
---サリー---
甘味三昧をして、家に戻り、勉強をして、いつもの時間にログインをした。
「よぉ!サリー」
リスポーンしたのはオアシスでは無く、違うダンジョンだった。メイプルとカエデがダンさんの両隣に立っている。出遅れたぁぁぁぁ~!
「ここは?」
「迷路ゾーンをぬけたら、タワータイプのダンジョンに出たよ。10フロアごとに町があり、セーブポイントは階段と町だよ」
「モンスターで厄介なのは?」
「5フロアごとにある外通路だな。足場が狭いのに、タワーの外から鳥さんが襲ってくる」
それは厄介である。
「たぶん、サリーキラーな場所だと思うぞ」
階段を昇ると、外通路に出た。確かにこれは戦いづらい。プレイヤーは前後にしか移動出来無いが、モンスターは縦横無尽に動き回り、様々な攻撃をして来る。
「メイプルの悪魔は使えない。俺の機龍は飛べるから使えて、便利」
ダンさんは機龍化して、鳥さん達を牽制し、その隙にメイプルと私は、タワーの次の部屋へと向かう。部屋に出るモンスターもクセ者揃いである。今までの階層ボス並である。
「問題は何階層まであるかだ。いま、65階層目だ」
100か1000だな。それは辛い。70階層目の町で物資を補給するそうで、回復薬を切らさないようにしているそうだ。
「まぁ、どうにかなるかな」
が、一緒に回っていて、あることに気づいた。ダンさんがレベルアップする度に、メイプルにレベルを譲渡していた。なんで?その事にメイプルは気が付いていないようだし。
「ダンさん、レベル譲渡のメリットは?」
直接、訊いてみた。
「レベル格差が大きいほど、ダメージが大きくなるんだよ」
うっ!メイプルに飴を与えていると思っていたのだが、傷口にワサビのようだった。メイプルキラーの由縁はそれか?
「メイプルキラーの極意って、それですか?」
「それは言え無い。俺の生命線だからな」
ダンさんの強さの秘訣が、メイプルキラーになる秘密のようだ。なんだろう?
◇
100フロアに着くと、今までよりも大きな町があった。これで終わりか?転移陣を探すが、どこにも無い。
「おいおい…降り階段があるぞ」
まだ先があるようだ。いつになったら、抜けられるんだ?後半のタワーはモンスターハウスの連続であった。これは、楽しいが、連続はつらいぞ。
「サリーのスタミナ切れ狙いか?」
確かに、回避盾である私が一番運動量が多い。メイプルは殆ど動いていない。ダンさんは遠距離攻撃だし。だけど、モンスターハウス故か、変わった素材、アイテム、装備、貴重な素材が拾えるようだ。
「魔法のビキニ…消費魔力を1/10に出来るって…ミィに着せようかな」
そのビキニは凶暴である。布面積が異常に少ない。フレデリカなら着そうだが、素のミィは恥ずかしがり屋ぽいので、どうだろうか?
「サリーが着るか?」
「いや、中学生には無理です…」
それを着こなすには胸が…くそっ!運営めぇぇぇぇ~!なんで、そんな物をドロップさせるんだぁぁぁぁ~!
モンスターハウスの連続は流石の私でも堪えた。10フロア降りただけで、集中力が激減している。ダンさんにオンブして貰っていたのに、気づかない程…もったいない。
「まさか、サリーを背負うとは…今日はここまでだな」
「ダンさん、ソロで行くんですか?」
「止めておくよ」
が、翌日…大きな扉の前にリスポーンしていた。
「メイプルが来たら、終わらせよう。たぶん、ボス部屋だ」
ソロでモンスターハウスを抜けたようだ。
「お待たせ…えっ!」
メイプルが来ると同時に大きな扉を開け、メイプルにレベルをギフトして、部屋に彼女を投げ込んだ。
「ちょっと!えっ!えぇぇぇぇぇ~!」
ラスボスは、私達だった。偽ダンさんは神装備で、偽メイプルは機械神だし…悪魔状態のメイプルの体力が削られていく。状況を読んだダンさんが偽メイプルと偽者の私を瞬殺した。問題は…
「さて、どうしようかな。神装備かよ…」
ダンさんの攻撃の手が止まった。それ程ヤバい装備なのか?
「左パンチだとメイプルは即死」
「えっ!」
メイプルに左手が掠めた瞬間、悪魔姿のメイプルがドット落ちしていく。悪魔モードが解除されずに、即死って…即死属性なのか?
「蹴りも即死だぞ」
へっ?私がドット落ちしていく。掠めたのか?
◇
リスポーンすると、みんなの居る階層の噴水前だった。ダンさんは、クリアしたんだな。どうやって?ギルドホームに戻るとメイプルと久しぶりに会うみんながいた。
「サリーとダンさんでクリアしたの?」
メイプルに訊かれ、首を横に振った。
「ダンさんがソロで抜けたみたい」
あの神装備は弱点があるんだな。ダンさんはそこを突いたって感じか。
翌日、インをすると、ギルドホームでは、フレデリカとミィ、それにミザリーが真っ赤な顔で立っていた。彼女達の視線の先には、あの凶悪なビキニがハンガーに吊してあった。
「欲しいけど…着れないなぁ、これ…」
「無理…こんなのを着て、演説できないよ~」
「着たら、ミィに焼き殺されそうだよね」
着たいけど、着られない三人のようだ。あと、似合うのは、イズさんか、カスミだが…
「私は魔法を使わないから」
「私もだ」
真っ赤な顔をしている二人。誰も着られないと思う。
「私、着ようかな?」
って、メイプル。
「似合わないよ」
と、声を掛けた。
「う~ん、そうだよね…」
って、目がワクワクしている。これは試着をするのか?