デスを食らった男   作:もっち~!

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新エリアと新メンバー

---サリー---

 

メイプルはあのビキニを手に取り、装着しようとした。だが…

 

「あれ?試着できない。なんで?えっ…これ、装着条件があるんだ。」

 

手に取らないと、装着条件が見えないらしい。私も手に取り、装着条件を見た。

 

『1.女性であること 2.アバターの胸のサイズが中以上の人』

 

胸のサイズ?アバターのだよね?たぶん、メイプルと私、マイユイコンビはダメなんだろう。

 

「えっ!えぇぇぇ~!私もダメなの…」

 

フレデリカが撃沈していた。私よりも大きく見えるのだが、パッド入りの服装だったのか?フレデリカの手から離れたビキニは、無表情のメイプルが手に取り、倉庫にポイした。

 

「きっと、呪われた装備なんですよ」

 

頷くフレデリカとマイユイコンビ。

 

「次のイベントはなんでしょうね?」

 

話題を切り替え、メイプルの顔に表情が戻った。ミィの視線は倉庫に向かっている。ダンさんに、

 

「ミィに着て欲しい」

 

って、言われたからだろう。が、彼女には無理だな。

 

『運営からのお知らせです。上級者向けのエリアが開放されます』

 

みんなのメニュー画面が一斉に開いて、運営からのお知らせが表示された。

 

「あのエリアかな?」

 

メイプルが私を見た。テストしたエリアの可能性は大きい。

 

「取り敢えず、みんなで見に行こうか」

 

開放は来週のようだ。

 

 

開放日になり、新しいエリアに向かう扉に、向かうプレイヤー達の波。どう見ても上級者に見えない装備の者が多数いる。大丈夫なのか?あの運営が自信を持って開放したエリアだぞ。

 

扉を潜ると、目の前に町が広がっていた。円形都市のようで、町の中心には高くそびえる塔があり、町の外周部には円周に沿って、高い壁が囲んでいた。

 

「ここは、アソコじゃないな」

 

と、ダンさん。

 

「どうしてですか?」

 

「塔には外通路が無い。あれは、別物の塔だ」

 

メイプルの問いに答えたダンさん。

 

「それに、パーティーの解除が出来無い」

 

パーティーの解除?あっ、本当だ。パーティーメンバーが、私、メイプル、ダンさんで、解除のボタンが無い。

 

「まだ、ベータテストは終わっていないってことだ」

 

あれ以上の試練が待っているのか?まぁ、楽しいけど…

 

「あっ、俺がパーティーリーダーで、残りの7名がパーティーメンバーになっているぞ」

 

クロムさんが声を上げた。イズさんもパーティーメンバーってことか。まずは町の探索だな。ギルドホームがあるかを探さないと。

 

「この町の家って、個人でも買えるみたいね。ギルドホームは、町の北にあるみたい」

 

イズさんが、掲示板を読んでいた。先駆者達が、情報を上げてくれたようだ。まずは、町を探索しながら、ギルドホームを目指した。

 

 

 

---ダン---

 

アスカが唸っている。狙撃が出来るエリアが無いのだ。塔には窓が無く、外周に出ることは出来ず、狙撃ポイントにはならないようだ。

 

「私の楽しみを…塔の中でPKすれば良いのかな?」

 

どうなんだろうか?パーティー戦だからな。

 

塔へ向かう俺とアスカ。だが、俺は入れなかった。やはり、ベータテストを優先なんだろうな。アスカは一人で大丈夫か?ギルドホームを見つけ、中に入ると、イズとカナデがいた。

 

「どんな感じ?」

 

「見慣れた風景ね」

 

遜色は無いようだ。壁に埋め込まれた大きなモニタに、ここでのルールが表示された。塔内でのデスペナは、ギルドホームにリスポーンで、ギルドにはいっていない者は、中央広場の噴水前だそうだ。塔内でのログアウトは10フロアごとの町か、階段エリアだけで、それ以外のフロア部分は休憩扱いになり、不定期でリスポーンするモンスターの攻撃対象になるようだ。

 

「確かに上級者向けね」

 

「ここのルールに合わないやつは、基本エリアに戻れば良いんだろう。だけど、ゲームとしての面白みは、こっちだな」

 

「えぇ、そうね」

 

ログイン時には、ギルドホーム若しくは噴水前なのは、デスペナ時と一緒で、ギルドホーム内にある転移陣を使うと、ログアウトした場所にリスポーンするらしい。これは待ち合わせて攻略するには良い方式である。

 

「ここで、みんなに会えるのはいいわね」

 

さてと、転移陣で、俺はどこに出るんだ?転移陣に載ると、見た事の無い町に出た。町には宿泊施設があり、アイテムショップがある。食材屋もあるなぁ。

 

メニュー画面を呼び出すと、ここでのルールが表示された。基本、ログアウトは町の宿泊施設で利用料を払うことで出来る。それ以外の場所でログアウトするには、キャンプセットを購入して使用するようだ。

 

通貨は、モンスターのドロップ品などを売ることで得られる。道ばたに落ちている物でも売れる物があるのかもしれない。尚、買い取り価格、販売価格は変動相場制のようだ。厄介な仕様だな。

 

「あっ!ダンさん」

 

サリーがやってきた。

 

「まずは、このエリアの通貨を稼ぐことですね」

 

「いや、両替屋もあるから、あっちのエリアの通貨を両替出来るようだぞ」

 

交換しすぎると、両替レートに響きそうだな。一応試しで、1000万ほど両替した。

 

「えっ。両替レートが変わった」

 

俺のレートの半分くらいの価値になったサリー。

 

「取り敢えず、俺の通貨で暮らそう」

 

「はい…」

 

今、両替をすると大損である。次にアイテム屋へ移動し、売っている物と買い取り価格をチェックする。キャンプセットは必須だろう。変わった物だと乳鉢がある。これがあると薬草類をを自分でポーションへと加工ができるようだ。

 

「リアルに近い設定ですね」

 

「だな」

 

「あっ!ズルい!」

 

メイプルが来たようだ。若奥様風に、ダンさんの腕を抱いていた私。この前は、お前が抱いていただろうに。

 

 

翌日、攻略に出ようとすると、このエリアでは試練を乗り越えるようだ。その試練とは…第一の試練、ダンジョン内で一人につき、スライムを1000匹討伐…スライムだけのダンジョンでは無いのに、スライム1000匹?

 

「メイプルが不利だな」

 

ここのスライムは麻痺しないみたいで、パラライズシャウトが効果無し。

 

「えっ、ぇぇぇぇぇぇ~、スライムさん、待ってぇぇぇぇぇ~」

 

スライムはメイプルを見かけると逃げていく始末。完全なメイプルへの試練であった。私とダンさんがクリアした後、ダンさんがメイプルに耳打ちをすると…

 

「なるほど…やってみます」

 

って、機械神になって、ダンジョンに向けて砲撃を開始した。

 

「ダンジョンを破壊すれば、スライム1000匹程度道連れに出来るだろ?」

 

ダンさんらしい発想により、メイプルは砲撃3日目にして、クリアした。いいのか、それで…

 

 

次の試練は洞窟タイプのダンジョンで、モンスターハウスを一人につき5個殲滅とある。今度のネックはメイプルのSTRである。モンスターハウスをまず堀当てるのだが、掘る道具であるツルハシが装備出来無い。悪魔化すればSTRはゼロでは無くなるが、悪魔ではツルハシは装備出来無い。装備条件が人間であること…明らかに、メイプル狙いだな。

 

「え?!それって、差別ですよねぇ?」

 

ダンさんに泣きながら抱きついている。そこで、ダンさんの取った手は、堀り当てたと同時にメイプルをモンスターハウスに投げ込むことだった。モンスターハウス内のモンスターと最初に交戦した者が、カウント対象であることに気づいたそうだ。

 

「まぁ、楽しめるからいいか」

 

ダンさんが楽しいならいいか。たまに、メイプルとカエデを間違えて放り込んでいるけど…

 

このエリアに来て1週間もすると、あちらではイベントの告知があったそうだ。

 

「対人戦イベントだよ。倒した人数勝負のようだよ。モンスターはレベルによって、獲得ポイントが代わるようだ」

 

クロムさんから説明を聞いた。フィールドはイベント専用フィールドのようだ。

 

 

そうそう、ベータテストのバイト料が振り込まれたのだが、中学生が手にして良いか悩む額であった。

 

「最低賃金に色を付けて貰ったよ。ゲームしたいのに、テストに参加しているんだからな」

 

ダンさんが運営とバイト料の交渉していたようだ。ちなみに、メイプルはお菓子の家の資金にするそうだ。私はどうするかな?将来に向けて貯金が妥当か?

 

「うん?サリー、メイプル、運営から報酬が来ているぞ」

 

と、ダンさん。何の報酬だ?メニュー画面を開いて見た。バイト料のゲーム内での報酬のようだ。ゲーム内で、個人宅が貰えるとある。早速、三人で貰えた家を見に行った。ギルドホーム街を抜けて、北門を出ると、段々畑状の棚地に家が建ち並んでいて、頂上近くの三軒長屋が私達の家のようだ。長屋と言うには多少語弊がある。一軒一軒がお屋敷であるのだった。隣あった壁にドアでも有るのかな?

 

「じゃ、ダンさんは真ん中ですね」

 

って、メイプルが右手の屋敷に走って行った。

 

「サリー、一緒に見に行くか?」

 

「はい」

 

ダンさんからのお誘い、断る訳が無い。一緒にお屋敷を見て回る。3階建てで、地下には鍛錬場がある。これって、ギルドホームのような造りである。

 

『新エリアを開放します。南門より出て、数々の試練を乗り越えた者は、真のダンジョンに到達でき、そこでお宝を目にするでしょう』

 

と、いきなり運営からのお知らせが届いた。

 

「ベータテストしたエリアだろう。テスト段階よりも、難敵になっているだろうな。一旦、ギルドホームへ戻ろう」

 

メイプルを呼びに行き、三人でギルドホームへ戻った。

 

 

イベント前のタイミングで、新エリアの開放のお知らせだったので、みんな戸惑っていた。

 

「イベントよりも新エリアに興味がある」

 

カスミはイベントを回避のようだ。

 

「問題は1パーティー8名の問題だな」

 

楓の木はベーターテスターが3名いるので、情報に長けている。もしかすると情報も報酬の内か?

 

「8名じゃつらいの?」

 

イズさんが質問してきた。

 

「メイプルとカエデを使って乗り切った場所がある」

 

「えっ…」

 

絶句するみんな。このゲーム内で一番固い2名を盾にして、乗り切った外通路。10フロアごとに町があるから、実質10フロアごとに外通路がある。

 

「サリーがいてもダメなのか?」

 

カスミに訊かれた。

 

「前後には動けるけど、左右には無理。空中に足場を作る能力があるけど、敵は縦横無尽に動いて特攻してくるわ。足場の配置が少しでもズレると、死ぬわね」

 

なので、守ってもらった。相手は今まで以上に賢いので、足場を狙って来るだろう。

 

「本当の意味での上級者向けだと思った方がいいな。試練の2つはメイプル殺しに近いし」

 

スライム1000匹とモンスターハウスだろう。その他にも、私を助ける為に、ダンさんが死んだエリアもあったし。

 

「パーティー2つで協力して進むのが良いだろう」

 

 

更に翌日、インをすると運営からのお知らせの追加があった。新エリアでの通貨について、物価について、私達が知っている情報と、私達の聞いていない情報…複数パーティーでの協力プレイもあり、エリア内の町以外でのPK解禁などなど。

 

「やっと、PK出来る」

 

アスカさんが喜んでいる。塔内ではPK不可だったらしい。

 

「で、このギルドに新メンバーをスカウトしてきたよ」

 

ギルドホームの倉庫のドアを開くダンさん。玄関のドアじゃないの?何故…って、あっ!そういうこと…あの呪われたビキニを恥ずかしそうに着ているミィとミザリーが出てきた。

 

「似合うぞ、ミィ」

 

「えっ…本当ですか?色々な部分がスゥスゥするんですけど…」

 

そこには炎帝のギルマスではなく、ただの恥ずかしそうな少女がいた。

 

「う~ん、何故、私も?」

 

何故か、呪われたビキニは2着あり、ミザリーも着ていた。

 

「ミザリーはなんか、はち切れそうだな。まぁ、切れることはないか」

 

クロムさんの視線は、ミザリーの見えそうで見えない股間をロックオンしている。あれが男のサガってやつかな。

 

「まぁ、これで、二人共魔力不足に悩まないでいいな」

 

ダンさんは、効率優先のようで、視線をロックオンさせずに、思考モードのようだ。

 

「ミザリーとミィ、あと、フレデリカとアスカは俺のパーティーに入れて、メイプル達のフォローに回る。一方、俺達が危ない時は、メイプル達がアシストに回ってくれ」

 

豪勢な布陣である。

 

「炎帝ノ国はミィとミザリーが抜けても大丈夫なの?」

 

イズさんが質問をしてきた。

 

「この二人がいても役立たない。そんな生やさしい仕様じゃない。人数の多いギルド向きでは無いんだよ」

 

ギルド戦であれば、数の暴力は有効である。が、新エリアのシステムを考えると、人数が多いと金欠になる。ログアウト時にゲーム内通貨が必要である。それも人数分。今までのシステムでは、お金の重要性をあまり意識しないでも良かったけど…

 

「新エリアの攻略に出れば、大人数ギルドは崩壊していく。後、みんなでワイワイしていたいプレイヤーも減るだろう。まぁ、元のエリアが、ソイツらの受け皿になると思うけど」

 

「確かに、あの塔の攻略は縦列進軍しか出来無い。多人数では先頭パーティーしか戦え無いなぁ」

 

カスミが頷きながら、感想を述べた。

 

「しかもワンパーティー8名のルールだ。後方集団には旨みも面白みもないと思う」

 

それがネックだよな。ギルド戦でなくて、パーティーアタックだと、大人数でいる意味は少ない。

 

「まぁ、この先の展開を説明した上で、ミィとミザリーを貰った。その代わりに、炎帝ノ国から相談されたら、人員は貸す、情報は流す、ゲーム内通貨はある程度融通する、って条件を出して、了承してもらったよ」

 

ある意味、ありの交換条件だ。

 

「ペイン達はもう向かっているだろうけど、南門へ向かおう。サリー、ギルド情報にパーティーを設定してくれ。メイプルと俺をだ」

 

ギルドメニューの画面を開いて、設定をしておく。ギルド所属のパーティーの設定は、パーティーリーダーを設定すれば良いみたいだ。

 

「さて、南門へ行こうぜ!」

 

ギルドマスターはメイプルなのに…って、ダンさんの背中で安眠中だった。いいのか、うちのギルマスよ…

 

 




演じなくても良くなったミィは強いのだろうか?
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