---ダン---
あのクソ科学者は、ティアンの少女を攫い、モンスター製造工場に立てこもった。次々に出来上がるモンスター達が、排出されていく。
「マスターはティアンを殺せないんだよな?」
「いや、殺せるクマ。監獄行き覚悟ならクマ~」
はぁ?じゃ、人質の少女の命は危ないのか。
あの戦艦クマと、モンスター製造工場の前で、モンスターを次々に排除している俺。
「あの工場を壊すとダメなんだよな?」
工場を壊すと、人質のティアンの少女の命が危ない。う~ん…
「先に助けるクマ」
助けるて言ってもなぁ…あの科学者に効くかな?ダメ元で『子羊の行進』からの『添い寝』を掛けてみた。あの少女には効かないはずである。少女相手にフレイヤが不埒な真似をする訳がないし。
『正解です。マスター』
正解らしい。あの科学者が眠りこき始めた。『超加速』で少女の元へと行き、助け出してきた。
「本当にチートクマ」
戦艦クマには言われたくない。陸上で超武装戦艦なんてチートすぎる。助け出した少女をリリアーナに預け、仕上げに入る。クマは戦艦に、メイプルは機械神に、そして俺は機龍となり、モンスター製造工場を含め、総てのモンスターを消し去っていく。
一夜明け、モンスター達のいた場所には、クレーター多数で、ペンペン草さえも生えていない荒れ地が誕生した。
「本当にチートクマ」
「さぁ~、戦えぇぇぇ~!」
「弾薬を補充した後クマ」
はぁ?今じゃないのか?
「弾薬なければ只の船クマ」
約束を果たしたのに…凹む俺。
「約束…果たすクマ。しばらく待つクマ」
果たしてくれそうだ。
◇
王都に戻り、リリアーナとアズライトに会った。ギデオンで助けた少女はアズライトの妹だったらしい。
「妹を助けてくれたお礼…」
王都にある安宿にいる俺達。目の前で一糸纏わぬ姿になる二人…二人に挟まれての添い寝。幸せすぎる。死亡フラグか?デスしたらどうしよう。だけど、気持ちが良い。身も心も蕩けるようだ。リアルでの経験は無いが、これはこれで気持ちが良い…そして、翌朝になるまで、楽しんだ。
「どこ行っていたんですか?」
翌朝、街でサリー達と会った。
「安宿…」
「ギルドホームに戻って来ないのは、なんでですか?」
「まぁ、色々と…で、今回のクエストはポイントを稼げたのか?」
「はい、たっぷりと」
メイプルは嬉しそうな顔だが、サリーは怪訝な顔をしている。何を疑っているんだ?
「サリー、何を疑っているんだ?」
「まさか、娼館通いじゃないですよね?」
「娼館ではない」
「じゃ、ナンパですか?」
「違うよ」
「リリアーナですか?アズライトですか?」
「…」
これが世に言う女の勘ってヤツか?
「ふ~ん。興味が無いって言っていて、これですか?」
「サリー、どうした?」
「なんでも無いわよ!」
なんで、怒っているんだ?言い訳を言った方が良いか?
「サリー、違うんだよ。助けた少女はアズライトの妹で、お礼をしたいって、リリアーナを通じて言われたんだよ」
「ほぉ~、俗に言う3Pですか?」
「3Pってなんだ?」
たまに、サリーは意味不明ワードを口にする。これが厨二病ってヤツか?
「え…いや…それは…」
サリーの顔は茹だったようになっていた。
---サリー---
迂闊だった。ダンさんは3Pの意味を知らないとは…まぁ、ゲーム内のことと割り切るか。気分を切り替え、ギルドホームでランキングを確認している。
「おぉ、急上昇しているわね」
イズさんが見つけてくれた。そんな上にいるとは…メンバー別のポイントをチェックすると、ダンさんのポイントが大変なことになっていた。個人ランキングで3位って何?急上昇過ぎるでしょ?
「これって、あの皇王の暗殺のポイントが高かったみたいね」
あれって、クエストなの?戦艦クマに条件として出されていたって…
「王都ではレイ・スターリングってヤツが英雄視されていたけど」
カスミとフレデリカが情報収集から戻って来た。
「何者?」
「リリアーナの彼氏みたい」
二股なのか?あの女…清純そうな顔をしていて…負けられない。
「ギデオン攻防戦の立役者だって。本当はダンさんなのに…」
フレデリカがプンプンしている。まぁ、真実を知る者はそうなるが…
「いいんじゃないの?ダンさん、目立つのは嫌いだし」
---ダン----
フルアーマーの大男をPKした。防御力無視の上『32連打』で簡単に倒せた。次の獲物を探す俺。数の上ではアスカに負けている。やはり遠距離狙撃って有利なんじゃないか?
今、チャイナドレスの女性を締め落とし、全裸にしてガン見している。ティアンとの違いを見つけようと思ったのだが、質感、見た目、感触共に違いは無さそうであり、用済みになった女性の心臓を貫通させてデスペナを与えた。
さて、次はどんな獲物かな?
「おい!お前!レイレイさんに何をしたんだ?」
見るからに凶悪そうな装備をしている男が声を掛けてきた。隣に少女を侍らせている。マスターとエンブリオか?
「レイレイさんって?」
「お前がイタズラした挙げ句に殺した女性だよ」
イタズラ?何の話だ?こういう訳分からんヤツはスルーだな。
カッツン!
フルカウンターが発動した。攻撃されたようだ。俺よりもレベルが上なのか。
「ネメシス、大丈夫か?」
エンブリオに攻撃させたのか?少女が吹き飛んでいた。この男、クズだな。
「『ウッドオクトパス』」
貫通攻撃を一気に8発放つと、相手の男はモザイク状に欠けていった。デスペナ決定だ。
「お前、レイに何するのだ?」
「やらないと俺がやられる。そういう世界だろ?ここは」
男が消滅すると、エンブリオも消滅した。次の相手を探さないとなぁ。
---マリー・アドラー---
出版社DINの記者である。あのギデオンでのテロ事件以降、王都とギデオンとを繋ぐ街道でPKが盛んに起きているらしいので張り込みをしていると、【鎧巨人】バルバロイ・バッド・バーンが一撃でデスペナ送りにされていた。PKした男を張っていると、次に【酒池肉林】レイレイが締め落とされ、全裸に剥かれてから心臓を一突きにされているし。なんだコイツ…強い。更にギデオン攻防戦の立役者であるレイ・スターリングまでもが心臓を貫かれてデスペナ送りにされていた。コイツ、何者だ?
気配を消して追尾していくと、【破壊王】のクマニイサンに何かを確認している。
「まだまだクマ」
「いつになるんだ?」
「決闘は逃げないクマ。ポップコーンを買って行くクマ」
「なぁ、お金はどう稼ぐんだ?俺、無一文なんだけど…」
「商売するクマ。後は、モンスターのドロップ品を売るクマ」
「あんな大量に倒したのに、ドロップなんてあったか?」
「人造モンスターには無いクマ」
「なんだと…PKしても儲からないしなぁ」
「決闘場で公式戦をするクマ」
「あぁ、賞金が出るのか。ちょっと稼いでくるわ」
そこで意識が途絶え、ログアウトしていた。この私が街中でPKされたのか?得体の知れないPK集団がいるのだろうか?
デスペナ明けにログインをした。DINの支社で情報を探す。新たなPK集団の情報を。だが、無かった。PK集団ではないのか?街を練り歩き、アイツを探すが見つからない。そうだ、ギデオンに向かったのか。公式戦の賞金狙いで…
ギデオンに着いてすぐ、PKランキングに目を通した。思った通り変動があった。ランキング4位にダン、5位にメイプル、6位にサリー、7位にアスカと新顔が並んでいた。全員同じクランで『楓の木』と言うらしい。
「ダンさん、勝負!」
「メイプルじゃ無理だよ。サリーが厄介だな」
見つけた。アイツだ。次の瞬間、ログアウトしていた。誰に狙われているんだ?デスペナ明け、レイを訪ねた。
「あれ?マリーさん、久しぶりですね」
「ちょっとね、色々遭って。で、この前デスペナを喰らっていたよね?」
「あぁ、見ていたんですか?アイツ、レイレイさんへイタズラをした挙げ句に殺したんですよ」
レイレイがイタズラされるイメージが湧かない。寧ろ、レイレイがイタズラする側の気がするし。接近戦において無敵に近いレイレイはアイツに何をされたのだ?遠くから見ていたのでよく分からなかった。
「アイツ、見かけませんか?」
「ギデオンにいるのは見たけど」
「ギデオンですか。何か、悪さをするつもりか?まさか、皇国の工作員なのか?」
「この国のマスターだと思うよ。決闘ランキングの4位にいたから」
「4位?そんなに強いのか…」
「よぉ、レイ」
「あぁ、ビースリー先輩」
こいつ、バルバロイか?
「あら?マリー・アドラー…アンタも、やられた口でしょ?」
「相手に心辺りがあるの?」
「あなたの相手は、7位の【スナイパー】アスカよ。私とレイの相手は4位の【チーター】ダン」
スナイパーに狙われているのか。なんで?
「今、クマニイサンに相談しているの。インする度にデスペナはキツいからね」
クマニイサンの知り合いなのか?って、バルバロイもインする度にデスペナを喰らっているのか。
「みんな、いるクマ」
噂のクマニイサンがやってきた。
「アニキ…」
「話は着いたクマ。街中はカンベンしてもらったクマ」
道の上は狙われるのか…
「アイツら、何がしたいの?」
「武者修行クマ。強い相手の隙を突く練習クマ。で超級殺しには復讐らしいクマ」
復讐?なんかしたっけ?あっ!まさか、あの時の集団か?
「しかも、エンブリオはまだ覚醒していないクマ」
覚醒していない?それで、ランカー?覚醒したら、更に上に行く可能性は大ね。って、私も和解しないと…
「どんな風にチートなんだ?」
レイがクマニイサンに訊いた。
「ニューワールドオンラインからの来賓クマ」
NWO?そう言えば、強く成りすぎたギルドを追放してって…まさか、そのギルドがここに来たのか?
「ゲームシステムは同じなのか?」
「違うクマ。だから、徐々に修正しているクマ」
まだコンバートしきれていないのか?まだ全開で戦っていないのか?おいおい…
---ダン---
戦艦クマと和解をした。今度は決闘場で賞金を稼ぎながら戦うと取り決めをした。
「まぁ、リリアーナの知り合いならしょうがない」
「ありがとう、ダンさん」
戦艦クマとの和解の立ち会い人になってくれたリリアーナとアズライト。
「しかしなぁ~クマ」
「何か?問題でも?」
アズライトが戦艦クマを牽制している。どういう関係だ?
「じゃ、俺は行くよ」
「どこへ行くの?今夜も朝までお願いね」
「アルじゃなくて、アズライト様、ズルいですよ」
「あら?勿論三人でよ」
今夜も眠れないようだ。
翌日、アズライトが王都にある迷宮の通行証をくれた。
「ありがとう」
「もっと強くなってね」
「あぁ…」
これで、みんなで潜れる。
次回、リクエストのあったレイVSメイプル(1回目)です(^^;
普通、聖剣士VS大盾使いなら、聖剣士が有利ですけど…