04/27 修正を加えました
---ダン---
忘れていたことを思い出した。メイプルが使えるスキルであれば、俺でも、カエデでも使えるってことにだ。ここ最近、メイプルの強化が激しく行われている。AGIの差で俺がまだ優位であるが、それもいつまで優位かが分からない。ここらで、俺も脱皮をした方が良いと思ったのだ。
『時空渡り 強い敵のいる場所』
禁断のスキルを発動すると、塔の前に出た。ここはどこだ?
『アルヴヘイム・オンラインの世界樹の前です。ここではグランド・クエストが行われています。世界樹の上にある空中都市にいる<<妖精王オベイロン>>に謁見することがクエスト内容です』
アリスが説明をしてくれ、俺の横に現れた。
「強敵なのか?」
「えぇ…内部は空洞であり、内部壁にある石像が総てモンスターであり、それらの殲滅が目的でもあります」
空中都市か…
「空中戦だな?」
「はい」
漸く、全力で戦える相手に巡り会えたようだ。世界樹の中に入り、カエデ、アナを召喚した。
「カエデ、機械神だ」
「了解!」
「アリスは飛べるのか?」
「使い魔にドラゴンが居ますから、ドラゴンナイトとして参戦いたします」
なるほど、俺は機龍になった。
「さぁ、行こうぜ!」
「「はい!」」
◇
夥しい数のガーゴイルが特攻してくるが、360度回転のメーサー砲で焼き払っていく。カエデのロケットランチャーは石像状態のヤツを粉々にし、俺達が撃ち漏らしたヤツラは、アナとアリスが処分していく。ステンドグラスから4枚の羽を持った騎士が生み出されていく。まずは発生源であるステンドグラスを破壊しながら、騎士も撃破していく。ウザいなぁ。『炎帝』で焼き払っていくか。
しばらくすると天井が見えて来た。機龍では入れない大きさのゲートがあるので、アナを戻した後で、蒼い装備にクイックチェンジして、ゲートを通過した。しかし、そこには空中都市なんか無かった。
「どういうこと?」
「何者かがマップデータを改ざんしたようです。解析をしてジャマ者を排除します」
アリスは一旦戻り、代わりにデミウルゴスを召喚してくれた。ポチも出しておくか。戦闘要員は多いほど安全である。ガードロボがあらゆる場所にいる。空中都市では無く、宇宙ステーションのようだけど…
「クリア賞品を見つけました。ジャマ者は排除しました。こちらです」
アリスが戻って来て、道案内をしてくれた。クリア賞品は、人工庭園にあるみたいだ。木々が生い茂るエリア。ここまでの人工物感は少ない。道が狭いのでポチを戻した。生い茂る木々や草などを押し分けて進むと、巨大な鳥かごを見つけた。かごの中には、妖精の女性が拘束され、吊り下げられていた。彼女の全身には蹂躙された痕跡があり、ここで誰かに遊ばれたようだ。
アリスが手を翳すと、鳥かごの中に入れ、その女性の拘束を解いてあげた。浄化魔法、修復魔法、回復魔法を使い、妖精の女性を治療していく。
「あなたは?」
意識が戻ったようだ。
「ダンだ。君は?」
「アスナ…」
「データ検索にヒットしました。アスナ…偽名は女王<ティターニア>、本名は結城明日奈、高校生です」
「なんで、私のことを…」
怖い物を見たって顔の女性。ティアンでは無く、プレイヤーのようだ。
「君を自由にして上げる」
「マスター、彼女は賞品です。堪能してくださいね」
アリスの言葉により、俺はアスナと共に別のフィールドに転移して、身体を重ね合い、彼女と愛しあっていた。そして、気づくとログアウト…あれ?デスペナか??クエスト失敗ってことかな?これがかの有名なピンクトラップかな?
---結城明日奈---
不思議な夢を見て目覚めた。漸く現実世界に帰還出来たのだ。デスゲームに捕らわれ、長い間、ゲームの世界にいた。そんな私を助けに来てくれたダン。
彼と愛し合うこと…それが彼へのお礼だったようだ。彼は愛情に飢えていたのだろうか?私を愛おしく扱い、私がリードして関係を持った。今考えると恥ずかしい。私の身体と心は貪欲なまでに彼を求めていたのだ。
イヤイヤでは無く、無理やりでも無く、お互いがお互いを求め合う愛の行為。そう、こういうことを求めていたのだ。ほぼ同時に達し、彼は目の前から消え、代わりに私は目を覚ました。
体力を付け日常生活に戻れると、彼を…ダンを探し始めた。気になるのだ。お礼を言っていないし。彼は何も求め無かった。何もは語弊があるな。私の求めに応じて、彼も私を求めてくれた。ただ、私の求めを尊重してくれる彼の行為は、私の琴線に響いたのかもしれない。
色々なゲームの掲示板を見て回る日々…彼のアバター名を求めて、ネット内を彷徨う。そして、それらしい人物を見つけた。<Infinite Dendrogram>のクラン<楓の木>に所属しているようだ。ネットゲームは恐いけど、彼に会いたくて…そのゲームを購入して、アクセスをした。
---ダン----
全力で戦えたが、得たものは見知らぬ女性との逢瀬だけか。まぁ、あれだ。比べてはいけないのだが、レイレイのテクニックには負け、アズライトの気持ち良さに負け…まぁ、一つの想い出だな。その際、デスペナを喰らったのは、俺が達したらしいので、今までで一番気持ち良かったのだろう。
「ダンさん、何と戦ってデスペナですか?」
サリーは勘が良すぎるだろう。なんで、デスペナを喰らったことを知っているんだ?誰にも言っていないぞ。まさか、ピンクトラップ紛いでデスペナしたとは言えない。
「なんのことかな?」
「じゃ、何と戦ったんですか?メイプルのレベルが今日1日で異常に上がったみたいですが」
あっ!そういえばこっそり経験値をメイプルに譲渡したな、さっき…
「後、クランポイントとダンさんのポイントが大幅に増えているんですけど…」
そういえばここのクランって、アリスの恩恵で個人データが見られたな。デス回数とか…
「さぁ、吐けぇぇぇぇ~!」
「嘔吐すればいい?」
「ポーション飲み過ぎですか?!」
心配そうにメイプルが寄って来た。話題をすり替えられるかな?
「ダン!お客さんが来たぞ。また、どこかで漁をしたのか?」
頭を抱えたカスミがやってきた。誰が陸釣り師だ?人聞きが悪いぞ!
「な訳があるか。俺は来月のケーキで頭がいっぱいだよ」
9月かぁ~、栗かな?モンブランでは意外性は無いよな。って、玄関口へ向かうとどこかで会った覚えのある女性がいた。
「ダンさんですよね?この前は、ありがとうございました。ALOで助けて貰ったアスナです」
「あぁ、あの時の…すまなかった。あの時俺、昇天してデスペナ喰らっていたよ」
「おい!デスの理由はそれですか?!」
背後からサリーの呆れた声が聞こえた。
◇
アスナも楓の木に入会した。
「へぇ~、明日奈さんって言うんだ。私と同じ名前だよ」
アスカが同名ということで、直ぐに馴染んだ。俺はよく知らないんだが、サリー達はアスナが巻き込まれたSAO事件について知っていた。
「で、そのSAO事件ってなんだ?」
「誰か一人でも完全クリアしないと、ログアウト出来無いオンラインゲームがあったんですよ」
俺がゲーマーに種族変換する前のことらしい。
「じゃ、アスナは剣術が得意なんだな」
ということで恒例の手合わせタイム。珍しくメイプルが名乗り出ず、代わりにカスミとサリーが名乗り出た。まず、カスミと対戦をしたのだが、戦闘スタイルがサリーと酷似していた。手数の多さ、正確さ、速さ、どれも文句無しのレベルである。
「クランの戦力の強化出来ました。これもダンさんのおかげです」
メイプルが喜んでいる。ならいいか?
「あぁ、そういえば、新しい大陸が見つかったそうですよ。名前はアルヴヘイム大陸で、観光名所として浮遊城アインクラッドがあるようです」
アリスがいち早く情報をキャッチしたみたいだ。
「えl?そうなんですか?アリスは相変わらず早耳ですね」
記者のマリーが驚いている。このマリーも楓の木に入会した。アリスの早耳情報狙いらしい。
「アインクラッドかぁ…SAOの舞台になった都市です」
アスナが辛そうな顔になった。
「まぁ、行かないでもいいだろう。狩りは近場で出来るし」
助け舟を出したのだが、メイプル、サリーが興味を持っているようだ。
「皆さんで行ってみませんか?」
「じゃ、俺はアスナとアスカと三人で留守番する」
速攻で意志表示をした。
「どうしてですか?」
「はぁ?レイレイとアズライトが、遠出は許さないと思うんだ」
「ああ、確かに…」
俺とスキンシップするだけのインをするレイレイ、この国に仕えるアズライト。長い期間の留守は両者ともやさぐれる原因にもなりうる。
「転移魔法があれば、便利だけどな」
そこまでチートな魔法を使える者は、在籍していない。
「移動式ギルドホームで行き来するのは?」
メイプルが食い下がって来た。待てよ、あれに転移魔法の魔方陣があったなぁ。アリスにこっそりとお願いをしてみたら、了承してくれた。完成を待とう。
---キリト---
新生ALOにアスナの姿は無かった。メールで訊くと、違うゲームを始めたらしい。
「お兄ちゃん、去った女のことは忘れた方がいいよ」
妹のリーファはそういうが、ゲーム内で結婚をして家を買い、同居していたんだよ。そして、ゲーム内とは言え大人の関係である。
「それよりも、新しい大陸が実装されたみたいだぜ。未だ見ぬ敵と戦うってどうだ?」
クラインが暢気な事を言う。
「敵の強さが分からないのは危険だ」
「それよりもエギル、ALOのグランド・クエストをクリアした人物は分からないのか?」
その人物がアスナといる可能性が大である。
「分からないんだ。普通は自慢しそうなものだが…偽者は横行しているけどな」
アスナに触れないヤツらは皆偽者だ。あの世界樹の上に、アスナは幽閉されていたんだから。
---諸星正---
世間ではお盆休みであるが、里帰りの土産として店の焼き菓子や生菓子を買いに来るお客さんが多数いる。なので、お盆休みも営業中である。厨房では理沙と明日奈が見学に来ていて、妹の明日奈の作業を観察している。まずはこれから作るケーキの材料の計量をする。試作の場合、お店で売る大きさでは作らず、小さめで作るのであった。
「1+1が2にならないから、どのくらいにするかは経験だよ」
あのがさつな妹が説明をする日が来るとは…
「ダンさん、私達も良いですか?」
マイとユイの姉妹も厨房見学会に参加するようだ。彼女達と付き添いの母親用の厨房着を手渡して、作業に戻った。現在、使う食材の下処理中である。まだ栗にするか柿にするかを決めていないのだが、干し柿を細かく刻み、すり鉢で擦っていき、裏ごしをした。
「何を作るんですか?」
いつの間にか参加している楓に訊かれた。コイツ、いつ来たんだ?厨房着には『かえで』と書かれている。俺の知らない内に、楓は専用の厨房着を貰ったようだ。俺の両親的には楓は、既に高校卒業後、いや中学卒業後に入店決定なのだろう。
「干し柿で、モンブランみたいなやつだ」
妹の焼いた生地を型抜きして、デコレートしていく。そして、試食…
「うっ!こう来たか…」
妹の予想とは違う感触だったようだ。寸前の閃きで、中層に柿と栗のクリームを挟んでみたのだった。
「兄さん、くどいかも。中層は生クリームがいいかな?」
「生だと地盤が柔らかすぎる。そうだな、クリームチーズを足すか?」
「また、高いのが出来そうだね」
「だな…」
俺と妹のコンビの新作は、材料費が高くなる傾向にあり、それは販売価格に転嫁されていき…テイクアウト専のイズ達の悲鳴へと変わる。
---ダン----
仕事が終わり宿題をこなして、ゲームにインをした。
「マスター、出来ましたよ」
アリスが隣に出てきて、お願いをしたスキルが完成したことを教えてくれた。『カバームーブ』を改造した転移術である。試しにウザ男のレイの元へ転移して、キルして戻って来た。成功である。これって、暗殺し放題かな?でも、知らない人物や知らない場所へはムーブ出来無いのが難点であるか。
「今度は何をやらかしたんですか?」
が、転移して戻って来たところをサリーに見られていた。
「何もしないよ。サリーは疑り深いなぁ…」
「ふ~ん…」
「ダン、お客さんよ~」
イズに呼ばれ玄関先へと向かうと、アズライトがいた。珍しいな、リリアーナを通さすに来るとは。
「どうしたんだ?」
「クエストを受けてくれない?」
「どんな?」
「また遺跡が見つかったの。その調査隊の護衛なんだけど…」
「わかった、メイプルが来たら打診してみるよ」
「お願いね。じゃ、行きましょうか?」
どこに?クエストじゃないよね?って…いつもよりも高めの宿に連れて行かれた…
「ねぇ、隣接するカルディナって国家が無くなったの、知っている?」
余韻を愉しみながら、アズライトに訊かれた。高めの宿にしたのは、盗聴防止らしい。
「いや、知らない」
その国は知らないが、たぶん原因は知っている。メイプルの『はどう砲』が原因だろう。
「国土の中心部分だけ削られた状態だったそうよ」
そうか、あの砂漠地帯には国家があったのか。移動式ギルドホームでアレの威力を見て来たのだが、東にあった国家までには到達はしていなかったが思いっきり砂漠の砂を吹きかけていた。射程距離はアスカの狙撃よりも長距離である。が、AGIが無い為、俺の脅威にはならない。撃たれる前にキルすれば良いのだ。ちょうど、エネルギー充填中は、メイプルは行動不可のようで大きな標的状態であった。
「そのおかげで、あの国の犯罪者の大多数が監獄行きになったそうよ」
結果的には良かったのか?ギルドホームに戻り、メイプルにクエストのことを話した。
「クエストですか。受けましょうよ」
メイプルは乗り気のようだ。反対意見は無い。不参加はレイレイくらいかな。リリアーナを通じて、日程の調整をしておくか。
次回は、新大陸ネタです(^^;;