デスを食らった男   作:もっち~!

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04/13 アドバイスを頂き、少し表現を変えました。
04/27 更に修正を加えました。



涙の告白

---ユーリ・ゴーティエ---

 

正さんに身の上話をしてしまった。まったく、聞き上手の上、聞き出し上手だな。澱ませる事無くプライベートをさらけ出してしまった。複雑な家庭の事情の私に、彼と彼の両親が手を差し伸ばしてくれた。

 

「じゃ、うちにおいでよ。将来、お店で働いてくれるなら、ここで住み込みをすれば良い」

 

って…彼ら兄妹も、彼の両親もフランス語が話せ、言葉の壁は感じ無い。

 

「以前、話しただろ?フランスのケーキに精通した人材は、欲しいんだよ」

 

と…サマーバケーション中に、渡航と留学転校の手続きを進め、そして、ジャポンのサマーバケーション中に渡航出来た。来週から、サリー、メイプルと同じ学校へ通えるそうだ。

 

「どう?言葉は順調かな?」

 

「はい。ちょっとずつ…」

 

正さんもアスカさんもフランス語が出来るので、この国の言葉を学び易い。

 

「9月はこれでいいとして、10月はどうするかな?」

 

厨房に戻ると、正さんが、10月のケーキで悩んで居た。

 

「兄さん、松茸はダメだって。高くなりすぎるからさぁ」

 

「じゃ、トリフは?」

 

「もっとダメだよ。良物の確保が難しい」

 

「う~ん…じゃ、カボチャで行こうか?」

 

「カボチャ?あぁ、有りかな。って、単なるパンプキンにはしないんだよね?」

 

「あ!ユーリ、フランスのカボチャ料理って、どんな感じ?」

 

突然、私に話し掛けて来た正さん。戸惑いながらも返答をする。

 

「え…えぇっと…グラタンかな?」

 

「そうか…品種が違う可能性があるんだな。これを食べて見て」

 

何かのクリームかな?一口食べると、ほんのり甘い。

 

「おいしいです」

 

「それ、カボチャ100%の餡だよ」

 

へぇ~。品種が違うのか?調理方法が違うのか?興味があるなぁ。

 

「一緒に開発しない?」

 

「喜んで…」

 

ケーキの開発かぁ…夢が広がるな。先の見えなかった世界から、助け出された気分である。

 

 

 

---アルティミア・A・アルター---

 

日常生活が出来るまでになった。妹が代わりに内政を見てくれているが、そろそろ復帰できそうだ。あれからダンは、連絡をまるでくれない。リリアーナに探して貰っているのだが、クランの本拠地には誰もいないそうだ。移住されてしまったかな。一番大事な事を伝えていなかったから。

 

私を死の淵へと追いやった人物は判明した。兄に付き添われて自首をしてきたのだ。その正体はレイ・スターリング、破壊王の弟だった。

 

「俺は少女を助けに行っただけです。そんな俺を攻撃したのは、あなただ!言っちゃえば自業自得だよ」

 

自業自得…確かに彼の供述だとそうなるのだが…

 

「紛らわしいい格好をするのが悪いるのでは。どう見たって、死霊系のモンスターだろうに、あの服装は!」

 

原因は私の誤認だったらしい。しかし元を返せば、何故コイツは聖騎士のくせに、見た目が禍々しい装備をしているんだ。カモフラージュ以前の問題である。どう考えてもコイツが悪いだろうに!!装備に関しては、クマも弟に苦言を呈していた。いや、彼のエンブリオもだな。あの姿に関しては、レイ本人以外、全員が私と認識を同じにしているのだった。

 

「弟には言って聞かせるクマ。これで手打ちにして欲しいクマ」

 

クマに暴れられると、我が国は崩壊するであろう。ダンがいれば別だと思うけど、今はもういない。

 

「一つ訊く。カルディナを崩壊させたのは、お前か?」

 

破壊王に訊いてみた。あんなことを出来るのは、コイツかダンくらいだろう。

 

「う~ん、あれは事故だクマ。やったのはメイプルだクマ」

 

事故って…どんな事故だ?大国を崩壊させるほどの事故って…その上、下手人はメイプルなのか…ダンのクランマスターか…責めれば、ダンは益々帰って来てくれないだろうな。

 

「アルティミア様、ダンさんがいらっしゃいました」

 

頭の痛い事態に、リリアーナが吉報を持って来てくれた。

 

「何?あの強●魔か?そうか…自首か?じゃ、俺が退治してきますよ。これで貸し借り無しにしてくださいね」

 

はぁ!意味不明な事をいうクマの弟。なんで、ダンを退治なの?なんでよ!そもそも、どうして強姦魔だと言い切るんだ?私の知っている限り、ダンはそんなことをするほど、女には困っていないぞ。ダンは女性に積極的に迫る性癖も無いし、至って性欲も真面だと思うのだが…

 

「待つんだ!レイ!」

 

クマの呼び掛けは届かず、扉の外で争う音がして…扉からダン、アスカ、アスナ、アリス、カエデが入って来た。クラン<楓の木>の室内戦最強戦力である。

 

「おい!クマ!お前の弟に襲われたんだが…」

 

「すまんクマ…」

 

「おい!俺がいつ強●をしたって言うんだ?」

 

「アイツの誤解クマ」

 

「お前の弟、ギデオンで英雄らしいなぁ。その英雄が俺を強●魔って言うから、俺はギデオンを出入り禁止にされたんだぞ!責任取れよな」

 

「謝罪ではダメクマ?」

 

「謝罪はいらない。お前の弟だから、PKリストに入れてなかったが、さっき入れたぞ」

 

見つけ次第にキルってヤツか。あの王室に寄生していた女狐の心を折ったというクラン<楓の木>が定める極刑である。

 

「仕方ないクマ。リアルで言い聞かせてくるクマ」

 

目の前からクマの姿が消えた。

 

「あんたが王女様か?!」

 

久しぶりに聞くダンの声だけど…その呼び方は止めてぇぇぇぇぇ!私の心に激痛が走る。

 

「そうよ」

 

でも、ここでは王女を演じないとダメだ。臣下達の目がある。

 

「王室からアズライトを解放しろ!」

 

えっ!何を言っているの?私がアズライトよ…

 

「アズライト…お前の力でアイツを一般人に出来無いか?」

 

それは私自ら王位を捨てろってことか…

 

「無理だわ」

 

ダンとの関係が終わったのか…涙がこぼれていく。臣下の前であるが…何かが決壊したのか、涙が止まらない。

 

「そうか…」

 

もう気軽に話し掛けられないのか?嫌だよぉぉぉぉぉ~。

 

「なら、アズライトに伝えろ。受けた依頼は終わらせる。だから…静養に励めと。以上だ」

 

言い終わると、扉へと向かい始めるダン達。

 

「リリアーナ、無茶しないように、見守れよ」

 

「はい…あの…これって、別れでは無いですよね?」

 

リリアーナが大切なことを訊いてくれた。王女として、ここにいる私には訊けないことである。

 

「別れ?何のだ?俺は王女付きのアズライトへの伝言を伝えに来ただけだ」

 

「お姉ちゃん、これでいいの?こんな終わり方で…」

 

小声で妹が、私の背中を押してくれた。そう、こんなのはイヤ。

 

「待って!ダン!」

 

私は玉座を立ち上がり、ヨロヨロとダンに近づいて行く。

 

「あなたに言って居なかったことがあります」

 

ダンは振り返らず、その場に立ち尽くしている。

 

「ごめんなさい。私がアズライトです。アルティミア・アズライト・アルター、これが私の本名です。言うのが遅くなって、ごめんなさい」

 

やっと、ダンの背中に抱きつけた。ダンの首に腕を回し、ダンの臭いを吸い込む。臣下達の目?そんなの関係無い。私の全力をぶつけるのは、今しか無い。ここを外すと、後が無いと思う。

 

「王女様、俺はこの国の英雄に言わせると強●魔です。ここでは、触れないでください」

 

ここでは?うん?

 

「リリアーナ、アズライトが元気になったら、連れて来いよ」

 

「はい!」

 

えっ!リリアーナが笑顔で、私をダンから離していく。なんでよ~!

 

「では?失礼します」

 

ダン達が、玉間から去って行った。

 

 

 

---ダン---

 

「あれで良かったの?」

 

アスカが不満げである。

 

「他に無いだろ?一応、現役の王女なんだからさぁ」

 

何かの映画のように、連れ去る訳にもいかない。王女付きの侍女だと思っていたのに、王女本人とは…詐欺だ。

 

「ダンらしいかな?」

 

アスナが抱きついて来た。カエデはメイプルがいないので、既に背中に背負っている。

 

「ティアンだしなぁ。無理をさせる訳にいかない」

 

ティアンは死んだら、そこまでである。生き返らせるのは難しいだろうな。

 

「そうですね。ティアンは死んだらお終いです。改ざん出来ますが、アンデッド化させて不死性をつけるのは、ダメですよね?」

 

アリスが抜け道を示してくれるが、

 

「王女がアンデッドではマズいだろ?以前のように、街で遊ぶ程度が良いんだよ、きっと」

 

王女と遊ぶって言うのは罪悪感があり、気が引けるが、前線に連れ出せば、あぁいう危険が伴うしなぁ。って、言うか、クマの弟はなんだよ、アレ?ジョブが聖騎士で、姿がリッチとネクロマンサーに、見える上、禍々しいスキル持ちらしい。この先も、あぁ言う事故が増えそうだ。なので、見つけ次第、退治しよう。

 

「でも、アズライトだよ。きっと、付いてくるな。無理を押して。リリアーナじゃ止められないよ」

 

まぁ、割と強引であるのは事実である。俺も何度押し倒されたことだろうか。

 

「遺跡調査って、王国の関係者を連れ行かないとダメみたいだよ」

 

アスカが今回のクエストのヘルプを読んで教えてくれた。

 

「第二王女は?」

 

「黄河帝国の王子とお見合い中です」

 

「第三王女は?」

 

「病弱のようです」

 

アリスが俺の訊きたい情報を提示してくれる。意思の疎通感が有り、便利である。

 

「そうなると第一王女しかいないのか?う~ん…」

 

悩みどころだな。

 

 

 

---リーファ---

 

一人、新大陸を目指して旅をしている。リアルでは向き合えない。だから、この世界で向き合おうと思ったのだ。あの鬼畜兄妹にだ。初めての船旅。VR空間の船旅も船酔いがあるようで、海に向けて嘔吐している者がいたりする。幸い、私は酔わなかったので、良かったわ。

 

新大陸までリアル時間で24時間掛かる。それぞれのゲームの時差を吸収する為らしい。

 

24時間後、新大陸に着いた。定期便の着いた港は、アルター王国にある。そして、この国の王都に目指す人物がいるのだった。港街の両替所で通貨をコンバートしていく。所持しているお金のほぼ全額である。この地に骨を埋める覚悟で来た。定期便の馬車で王都を目指す。

 

移動中にすることは無いので、この時間を利用して、デンドロのルールを読み、理解を深めていく。NPCはティアンといい、ティアン殺しは重罪であること。但し、先制攻撃をしてきたティアンに関しては、その限りでは無いこと。期待と不安が交差する。幸い、奴隷制度が無いのは救いである。あの鬼畜兄妹の奴隷はいやであるからだ。

 

王都に着き、クラン<楓の木>の本拠地を目指した。案内所でマップを貰い、歩いて移動する。何故か迎賓館と同じ敷地にあるらしい。そして目的地に着き、深呼吸をして、中に入った。

 

入ると中は喫茶店になっていた。鬼畜兄妹の意向か?クランの受付があり、そこで用件を伝える。

 

「鬼畜兄妹に会いに来ました」

 

と…彼らのアバター名を知らない。しばらく待つと、背後から抱きつかれた。手の平が胸と股間に伸びている。

 

「リーファじゃないか。どうしたよ。遊びに来たのか?」

 

奥へと連れ込まれてる。抵抗はせず、されるがままでいる。

 

「俺の部屋はここだ」

 

鬼畜兄の部屋に連れ込まれた。

 

「で、用件はなんだ?」

 

「もうリアルではカンベンしてください」

 

「それはこの世界ならいいのか?」

 

「好きにしてください」

 

「わかった。見ているだけにするわ。動くなよ!」

 

見ているだけ?

 

「ダンさんいる?」

 

知らない少女が入って来た。

 

「この女はどうしたの?」

 

この女呼ばわりである。

 

「好きにしていいって…だから、オブジェにする」

 

オブジェ扱い?無理…ずっと、動かないなんて無理だって…

 

「サリー、こいつをクランに登録する。アリス、手続きを頼む」

 

「了解です」

 

あの時の黄金鎧の少女が現れた。

 

「おい!、動くなよ!」

 

動かないって辛い。つい、よろけてしまった。

 

「動くなって言っただろう?」

 

動かないことに意識を集中して…段々と意識が遠くなっていき、朧気な意識が覚醒すると、知らない部屋で寝ていた。

 

「ここは?」

 

「やぁ~!」

 

鬼畜妹がいた。

 

「どうかな?」

 

笑っている鬼畜妹こと、諸星明日奈…苦しむ姿を見るのが好きなドS女である。

 

カチッ!

 

何かのスイッチが入り、全身に刺激が駆け巡る。勝手に身体が反応している。

 

「清純派の直葉も、ヴァーチャル世界では…ふふふ」

 

愉しんでいる。このドS女が…ダメ…あっ!デスペナを喰らった。

 

 

 

---桐ヶ谷直葉---

 

気づくと、自分の部屋にいた。快楽に飲み込まれると、デスペナになるのか。

 

大人も愉しめる仕様のデンドロ…恐るべし。今までのゲームとは違う怖さを感じ、呆然としてしまった。

 

 

 

 

 

 




次回は、統一デュエル・トーナメント…予定ですが…
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