04/27 修正を加えました
---ダン---
リーファを絶頂死においやったアスカ。鬼だな、アイツは…そんな俺は、レイレイとスキンシップ中である。
「どこか鍛錬出来る場所は無いかな?」
「充分強いでしょ?」
「いや、アスナのリハビリ場所だよ。GGOだと狙撃されちゃうし、SAOだと行きたがらないしね」
「そうかぁ。また新しい狩り場を開発すれば?」
あのチート技は危険だ。違うゲームに飛ばすからな。まず一人で様子を見てこないとダメだ。遺跡クエストの方は、アズライトの回復待ちだが、まだ掛かりそうである。どうするかな?
レイレイのアウトを見届けて、クランの本拠地へと戻った。リーファが喫茶ブースでウェイトレスをしていた。って、なんでクラン本拠地を喫茶店にしたんだ?メイプルは?
話を訊くと、尊敬するクランマスターが、カンゴクという国で喫茶店をしていたそうだ。それを模倣したそうだ。まぁ、俺達の留守中、ティアン達従業員を働かせる場になるのは良いか。給金を稼いで貰わないといけないし。
しかし、この喫茶<楓の木>は繁盛店らしい。料理スキル持ちが、アスナ、アスカ、サリー、イズ、ミィと結構多くいるからだ。材料は、新大陸で仕入れたり、この大陸で仕入れたりしているそうだ。
さてと、ヒマなので、『時空渡り 新たな戦域』として発動してみた。
◇
荒れ地に出た。ここはどこだ?周囲にはドラゴンがうじゃうじゃいる。
『デスマの世界です』
デスマの世界?VR-RPGの『デスマ狂想曲』かな?思考の海から浮上した瞬間、俺はデスペナを受けた。
リスポーンしたのはNWOのギルドハウス内である。基本的に、デンドロでのデスペナが明けるまで、この世界にいることになる。なんで?デスペナを受けたんだ?戦闘ログを見ると、
『魔法:流星雨を浴びてキルされました』
と、ある。スポーンした直後に喰らったのか。う~む、リベンジしないとなぁ。どこのどいつにやられたんだ?
「誰にやられたの?」
転移陣からサリーとアスナが現れた。
「わからない。スポーン直後にデスだよ」
「スポーン直後は無抵抗だからね。って、何のゲームにスポーンしたの?」
「『デスマ狂想曲』だって」
「あれって、VR-RPGだったような」
アスナが知っているようだ。
「基本ソロプレイのゲームですよ」
ソロプレイのゲームで開始直後にデスって?そういう仕様なのかな?
「いや、誰かのプレイ中に割り込んだんじゃ…」
サリーの意外な言葉。誰かのプレイ中に割り込んだ?誰のだ?アリス、どうなんだ?
『可能性は否定しません』
否定しないのか?
『VR-RPG…少し調べてみます』
アリスはVR-RPGを知らないみたいだ。
「ねぇ、デンドロには入れないけど、そこはイン出来るんじゃないの?」
「そこはダメです」
アリスが現れて、サリーに待ったを掛けた。
「システム的によくありません。先ほどはマスター一人の為にインできたみたいです」
なるほど、一人なら問題無いのか。今度、ヒマになったら行ってみるか。デンドロにイン出来無い俺に付き合い、久しぶりのNWOの世界を堪能する俺とサリー、リハビリをするアスナ。
◇
デスペナ明け、新生ALOの世界へ向かった。仲間にしたい人物を見つけたそうなのだが、勝てば仲間になってくれるそうだが、メイプルが返り討ちに遭ったらしい。
「16連撃なんですよ。10発までは悪食で行けるんですけど…」
残り6発で沈んだらしい。メイプルを倒せる人材は、欲しい人材である。その少女、ユウキを見つけ、サリーが挑戦してみた。連撃を使わないでも、そこそこ速い剣技である。が、楓の木が誇る回避盾は、その剣を楽々回避しまくっていた。
「やるねぇ~」
「でも、私はクランで強い方じゃ無いわよ」
サリーの言葉を受けて、剣を降ろしたユウキ。
「じゃ、一番強い人とやりたいなぁ」
サリーが俺の方に走ってきて、俺とタッチをした。俺がやるの?
「俺、剣使いじゃないぞ」
「何使いなんだい?」
「拳だよ」
ファイティングポースを取る俺。
「構わない。ボクの本気を受けてみろ」
剣VS拳の異種格闘技戦になった。ユウキの剣を受け流していく。最近はアスナのリハビリに付き合っているので、速い剣技にも対応出来ていた。
「やるねぇ~。じゃ、これは?!」
16連撃を放ってきた。俺はその剣に合わせるように32連打を放っていく。みるみるユウキの顔色が悪くなっていく。彼女の連撃速度よりも、俺の連打速度が上回り、俺の拳が、ユウキの身体に入り、12発目で当たりが出たようで、ユウキの姿がドット落ちしていった。
「凄い、ダンさん…」
駆け寄って来たメイプルに抱きつかれた。駆け寄って来たメイプルの身体により、シールドアタックを受けた如く、ダメージが入ったりする。戦闘中以外でダメージが入るのが難点である。
「相性の問題だよ。俺の32連打の強度は一定で無いが、彼女の16連撃は一定の速度、一定の強度だったからだ」
「なるほど…」
まぁ、AGIがゼロであるメイプルは相性が悪いんだと思う。
◇
翌日、ユウキを探していると、リーファの兄達に出会った。
「貴様!アスナだけでなく、リーファも横取りか?」
俺達は返事の代わりに瞬殺をした。沈黙も返事のうちだぜ。しばらく探しているとユウキを見つけた。
「ねぇ、君達の仲間になる前に、ボクのギルドに入ってボス戦をしてくれないかな?」
ボス戦?浮遊城にはフロアボスがいて、最初に撃破した者達の名前が広場の石版に名前が刻まれるそうだ。但し、個人名を刻むには8名以下で挑まないとダメらしく、ユウキのいるギルドは現在7名だと言う。
「いいよ。その代わり、俺達のギルドに全員で入って貰うよ」
「わかった。お願いします」
フロアボスの扉に行くと、その前には、大量の人が待っていた。待ち行列か?
「おい!フロアボス退治は俺達のギルドが担当なんだ。小規模ギルドは2番手以降を狙えよ」
次の瞬間、扉の前にはキルしたプレイヤー達が大量に転がっている。
「クラン<楓の木>にケンカを売るんですね。いつでも買います。ダンさん、行ってください。誰も通しませんから」
メイプルがPKモードに入ったようだが、PK専の仲間達より動作が遅い。後から来るゴミ達はPK専が屠っていくが、メイプルの出番が無いようだ。タンカ切るところは恰好良かったのにねぇ~。迷宮内でのパーティー戦ではメイプルの出番は無い。味方への被害がでかくなるからである。そんなシーンを尻目にして、俺はユウキ達と、ボスの間に進んだ。
「なぁ、俺一人で倒してもいいのか?」
「無理ですって…」
メイプルに比べれば、どんなボスモンスターもザコに近いんだが…『ウッドオクトパス』による8連撃貫通攻撃により、ドット落ちしていくボスモンスター。多分、不壊オブジェクトにも貫通出来るんじゃ無いかな?防御特性も無視だし。
「え?一撃…」
あれ?驚かれている。日頃キングギ●ラとスパーリングしている身としては、この位なんとも無いんですが…
「このまま、行けるところまで行くか?」
フロアボスまでのザコは、アリスとカエデに任せて、フロアボスだけはユウキ達と倒すを繰り返していく。
「ねぇ、もしかして、グランド・クエストをクリアしたのって?」
ユウキに訊かれた。聞いたことの無いクエストである。
「何?そのクエストは?どこにあるんだ?」
「あぁ、違うんならいいんだよ。もう無いクエストだから」
無いのか。じゃ、しょうが無いな。
「もう、この位でいいよ。予定よりも30階層も上に来られたから」
ただ走っただけで、疲れたようだ。ユウキは何かの病気なのか?本人の体力は関係なく、どちらかと言うと本人の精神力が、ゲーム内では体力になる感じである。
「なんだ?体力不足か?なら、俺達のクランで鍛えてやるよ」
ユウキなら、サリー、カスミ、アスナ辺りが相手に良いだろうな。撃ち込み練習なら、【死なない大盾】クロムもいるし。アイツ、確率50%で生き残るって言うけど、キルされたのを一度も未だ見たこと無いんだけど…実は100%生き残るのでは…アイツが影のラスボスだと思う。
◇
昨日、ユウキ達のギルド、、スリーピング・ナイツを吸収合併したクラン<楓の木>。そのおかげで、転移術で、ユウキ達を王国へ連れ帰ることが出来た。鍛錬場で、ユウキ達を鍛えて行く。
メイプルのエゲツ無い攻撃『ヒドラ』に、目を点にする、スリーピング・ナイツの面々。
「なんですか?あれ?」
「エゲツないだろ?あれが得意技だよ、アイツの…」
新生ALOのプレイヤーでは『ヒドラ』の攻撃は防げないし、躱せない。更にエゲツ無く『パラライズシャウト』をかますメイプル。それもあの笑顔でだ。
「笑顔の暴君ですか?」
「まぁ、そんなところだ?」
最後は、お決まりのメイプルの正しい倒し方を披露して、今日の鍛錬を終えた。
「う~む…」
メイプルが反省をしている。誰が見ても無駄な反省である。VIT振りを止めれば良いのに、昨日稼いだ経験値をメイプルにギフトした際、更にVIT振りしたメイプル。反省しているのか?本当に??
「新生ALOでイベントが行われるようです」
アリスが最新情報をキャッチしたのか、突然現れて、みんなに告げた。
「統一デュエル・トーナメントが開かれるようです。これは1VS1の決闘になります」
「みんなで出るよ!」
と、メイプル。組み合わせ次第だな。俺もメイプルも…アスカが有利か?
「で、機械神はアリかな?」
「あぁ、常識の範囲でお願いしますね、ボス」
無しだろうな。あれは反則だ。俺も機龍はアウトだろうな。
「形態変化、召喚系はNGです」
詳細情報をキャッチしたアリスの言葉。メイプルが一気に不利になっていく。ヒドラもアウトで、天使化、悪魔化、捕食者も無しだ。
「えっ、そんなぁぁぁぁぁ~!」
いや、普通に考えたら、あれはアウトだと思う。そうなると魔法はセーフの筈だから、ミィが有利か?
◇
順当にミィが勝ち進む。あの火力を前にして、新生ALO陣は消し炭になっていく。メイプルは、戦える手立てを殆ど失いながらも、シールドアタックのみで勝ち進んでいく。あの防御力は凶器に等しいのかもしれない。貫通攻撃が貫通しない堅さ…異常である。あと、アスカも残っていた。接近戦も出来るスナイパーって、脅威なんだろうな。
そしてベストエイト…ミィVS俺は爆炎をものともしない俺の勝ち。ユウキVSメイプルは、16連撃をものともしないシールドアタッカーのメイプルの勝利。アスカVS黒の剣士はレールガンをビームサーベルに使うアスカの勝ち。アスナVSサリーは回避しまくっての超加速からのダブルスラッシュでサリーの勝ちとなった。
準決勝は俺VSメイプルなのだが、いつものクセで機械神になったメイプルの反則負け、アスカVSサリーは健闘しまくった我らの回避盾が勝ち上がってきた。
「決勝はダンさんとかぁ…」
サリーが嫌そうな顔をしている。それは俺も思う。回避盾にどう当たればいいんだ?精神感応系以外で勝ったことが無いんだけど。対メイプル専用に近い『ウッドオクトパス』はサリーには効かない上、あれを発動している時の俺は動けない。困った…
悩んだ末に俺の取った行動は、トンズラからの不戦敗である。その日は、そのままログアウトした。
翌日の放課後、某大学の部室棟にいた。前もって貰っていた地図を頼りに、目当ての部室に向かう。ノックをして部屋に入ると、目当ての人物は男子に抱きついており、ビースリーの中の人である藤林梢は何やら書類を読んでいた。
「おい!月夜、話を付けに来た」
俺の顔を見て固まる月夜。その隙に、月夜から離れる男子。
「え…ここで、お話ですよね?」
俺を疑うような目つきで見上げてきた月夜。
「ここじゃ無理だろ?部外者が多い」
「え…っと…どこで話をします?」
月夜を小脇に抱えて、大学の敷地を出て、バイクの後ろに乗せて、個室へと連れて行った。2時間後…俺の腿の上に載っている月夜。
「じゃ、お話をしようか?」
「あの…このスタイルでですか?」
「あぁ、このスタイルでだ」
なにかを諦めた月夜。ゲーム内で強きのヤツって、リアルではなよなよ系が多いのかな?コイツ、リアルで手下達に俺と明日奈を拉致させようとしたので、手下共を返り討ちにし、月夜本人を逆に拉致してきて、俺と明日奈で教育済みである。
「で、どうだったんだ?」
月夜の情報収集ネットワークを使い、ユウキについて調べて貰った。
「本名は紺野木綿季、末期のHIVです」
「月夜の病院でどうにかならないのか?」
月夜の実家は病院らしい。終末医療の心の拠り所として、宗教を作ったのかもしれない。俺、宗教系はNGなので、詳しくは聞いていない。
「転院すら出来無いようです」
そこまで悪いのか…
「じゃ、Bプランでいく」
バイト先に頼んで、ある装置を用意して貰い、その装置を使いユウキの魂を電子データ化して、NPC、いわゆるティアンとしてネット世界で生かす計画である。装置の開発元から、プログラムを入手して、俺のエンブリオであるアリスと俺で、電子化のルーチンを練り上げていた。
「それ、終末医療で有効かな?」
「有効かもしれない。家族が面会するときには、ネットにダイブしないとダメだけど」
「わかったわ。住処になるサーバーは、月世の会で用意する」
「宗教絡みはダメだ」
「そうなると資金はどうするの?」
維持費が掛かるよな。開発費は俺の労働力でどうにかなったとしても…
「バイト先に相談してみる」
真面目な話も終わったので、更に2ラウンド…料金は歳上のお姉さん持ちでね。
書きため分を消化したので、投稿ペースが遅くなるかもしれません。