デスを食らった男   作:もっち~!

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召喚

 

---諸星正---

 

楓が突然死んだ。前方を良く見ていなかったドライバーの運転するトラックの前に子供。きっと、身体が自然に動いたのだろう。ゲーム内でも、考える前に行動していたし。しかし、その後がいけない。子供をトラックの前から逃がし、楓トラックに対し、カバンを向けて『悪食』と唱えたらしい。リアル世界で、スキルが使える訳が無いだろうに…理沙によると、学校でもスキルを発動しようとしたことが、度々有ったらしい。まぁ、アイツらしいと言えばそうだが…死んだら、もうゲームが出来無いだろうに…

 

本条 楓…ゲーム内の名前はメイプルである。その短い、いや身近すぎる人生を終えた少女である。遺影に使われた写真は、俺の作ったケーキを手にして、満面の笑みを浮かべている楓だ。楓だった物を焼いている間、俺の渾身の作品であるメイプルを模したウェディングケーキに対して、みんなで最後の共同作業をしてみた。ゲームで言うところのレイドである。メイプルのギルド仲間達、ゲーム仲間達が、次々とケーキへナイフを入れて行く。俺達なりの手向けの儀式である。

 

人柄だろうか。楓とのお別れに沢山の仲間が集まっている。もし、俺が消える時は、どうなるのだろうか?って、まだまだ死にたく無い。高校を卒業したフランスに留学に行き、妹と一緒にケーキ職人の世界大会に出るのだ。

 

焼かれた楓は、箸で摘まむには難しい状態であった。まぁ、ミンチ状態であったし、予想はされていた。小壺に灰となった楓が収められていく。

 

式が終わり、楓の家で形見の品を頂き、妹の明日奈、理沙と三人で帰路に着いた。楓との想い出を思い返していた俺。突然、腹に激痛を感じ、我に返った。腹に手を向かわすと、そこにはナイフが刺さっていた。相手は俺の腹の中で、ナイフを回している。絶対に助からない刺し方である。

 

「妹と彼女の仇だ。ゲーム内で無敵でも、リアルでは無敵で無いだろ?」

 

コイツ…確か…薄れ行く意識…一瞬、笑顔のメイプルが傍にいる気がした。お迎えかよ…

 

 

 

---諸星明日香---

 

理沙が救急車を呼んでくれている。兄さんを刺した男は逃走をした。私は、ハンカチで刺された箇所を押さえつけるが、出血量が多くて、出血を止められない。

 

「兄さん、しっかりして。ねぇ、一緒にケーキ職人の世界大会に出るんでしょ?」

 

兄さんに泣き縋る私。理沙は気丈にも泣かずにいるのに…

 

「…」

 

兄さんが何かを言っているのだが、言葉が聞き取れない。

 

「ねぇ、何?何って言ったの?兄さん…」

 

救急車が来るまでの時間が長く感じる。その間に、兄さんの体温が下がっていくのが分かる。何でこんなことになったんだ?楓が兄さんを呼んだのか?まさか…

 

救急車に載せられて、病院へ。だけど…兄さんは手術室へ向かわなかった。病院に着くと、死亡が確認されたのだった。

 

 

---ダン---

 

ふと、気が付くと、知らない港にいた。ここはどこだ?

 

「おめでとうございます。異世界転生をしたようですよ」

 

隣には嬉しそうなアリスがいた。うん?異世界転生?ラノベによくあるアレか?どうして俺が?

 

「あぁ、転生の神様に願いをした者がいたそうです。一人では寂しいので、ダンさんも一緒にって…」

 

俺も一緒に?そういえば、俺は楓の葬式帰りだった気がする。アイツ、道連れにしたのか…あの天然娘は…。怒り心頭な俺は、この原因であるメイプルの元へと転移しようとすると、

 

「お願いです。助けてください」

 

って、知らない女が俺に抱きついて来た。誰だ、コイツは…って、その女も含めて三人一緒に転移していた。

 

 

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