デスを食らった男   作:もっち~!

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税金対策

---ダン---

 

最近、朝目覚めるのが怖い。毎朝、あの笑顔の死神が、ニコニコしながら誰を連れて来ている事実。今日は誰だ?

 

「やっ!」

 

目が合うと素っ気ない挨拶をしてきた。今日の人柱はシノンだった。なんで?狙撃手の要る局面では無いだろうに。回復役のミザリーか、料理の出来るミィが嬉しいんだけどな。

 

「どうして…ここに?」

 

「ゲーム内で絡まれたPKクランのヤツラに、現実世界で銃撃されて…」

 

銃殺か…う~ん、メイプルの目に適ったヤツって、碌な死に方をしていないなぁ。はぁ~、アイツの選択基準って何だろうか?

 

キッチンに向かうと、アスナとルルとリザが、朝食の支度をしていた。レンは床に座って、野菜の皮むきを手伝っている。やはりレンには、調理台の高さが高いようだ。

 

俺は前夜に仕込んでおいたパン生地を型に入れてオーブンに投入した。この世界の発酵酵母は食パンにも向いているのはラッキーだった。焼きたての食パンは美味しいからな。キッチンの片隅では、ポチとタマが牛乳を遠心分離させてバターをつくっている。

 

この世界と俺達のいた世界で、食材はほぼ一緒であるようだ。たまに名称が違っていたり、産地が不明で手に入らない物もあるが。

 

元々、ここシガ王国は召喚された勇者の作った国だそうで、王位を2代目に譲った後の名前、ミト・ミツクニ公爵からわかる通り、俺達と同じ日本人であった可能性が大である。

 

その為か、所々で俺達のいた世界の食材、料理が残っていた。おはぎがグルリアンだったり、近江牛がオーミ牛だったり…コチラの世界でも近江牛は高級品であったのには驚いた。異世界人は牛肉を食うのかってね。異世界って魔物肉のイメージがあったからさぁ。

 

お子様用のパンケーキを焼いていく。ダンジョンで果物をゲット出来るので、ジャムを数種類作り置きしてある。蜂蜜は、キラービー系のモンスターなハチの巣から取るらしく、高級品であった。今度、セーリュー市ダンジョンで、大量スポーンさせないと、入手は困難かもしれない。

 

「ご主人様、書簡が届きました」

 

執事服を着込んだキースがやってきた。カタリナの傍で暮らせるならと、執事兼頭脳労働を担当してくれるそうだ。メアリはカタリナとお揃いの作業服を着て嬉しそうである。

 

「このジャム、おいしいです」

 

メアリに褒めて貰った。

 

「それはマンゴージャムだよ」

 

「これ、生臭いんですけど…」

 

メイプルはそう言いながら美味しそうに食べている。

 

「それはジャムじゃない。イカの塩辛だ」

 

賑やかな食卓、ノンビリと過ぎる時間…幸せであるが、書簡の内容は幸せとは限らない。

 

『税金未払い問題について話し合いの場を設ける ギルド長及びオーユゴック公爵』

 

とある。

 

「キース、オーユゴック公爵の情報はあるか?」

 

「はい。温厚で堅実な貴族のようです。次期当主は王女と結婚をしており、孫娘が二人いまして、長女は勇者付きの騎士、侍女は神託の巫女をしております」

 

温厚で堅実なら信用は出来るか?

 

「ギルド長は?」

 

「正式名称は探索者ギルド長で、ゾナという者です。迷宮資源大臣を兼任しており、名誉伯爵相当の身分を持ちます。二つ名は『紅蓮鬼』で御年は90近くです」

 

堅物な年寄りって、脳筋な予感だな。

 

「話し合いの場に行く。メイプルとアリスが付いてきてくれ」

 

 

話し合いの場は探索者ギルドのギルド長の部屋である。普通、この手のギルドって、国とは独立しているはずなんだが…貴族待遇の為だろうか?それとも、ギルドの独立性はラノベでのみ有効なのだろうか?

 

ドアをノックすると、中から

 

「入れ」

 

と声が聞こえ、ドアを開けて入ると、槍の切っ先がメイプルの額へ…

 

パリン!

 

槍に勝ったメイプルの額。勿論無傷である。槍の方は、勢いよく突いたのだろうか、刃先分が見事に総て砕けている。

 

「何…オリハルコンの槍が…」

 

それは、メイプルの額はオリハルコンよりも硬いってことか?頭突きに注意だな。

 

「クラン<楓の木>のクランマスターの額にオリハルコンの槍って、宣戦布告と取っても良いですか?」

 

俺の言葉に「わぁ~戦えるんだね」って、喜ぶメイプルは横に退かして、相手方の表情を読む。ギルド長は腰を抜かしている。オーユゴック公爵の顔からは血の毛が失せているように思える。まぁ、オリハルコンの槍を額で砕く人間は脅威だよね。その上、戦える口実が出来て喜んでいるし。

 

「待て!これは、あ、あ、挨拶代わりで…」

 

「クランマスターだから無傷でしたが、普通の人間なら死んでますよ。それは、挨拶代わりに死ねってことですか?」

 

いつでも殺せるように『ウッドオクトパス』の照準を合わせておく。発動しなければ、俺の行動に制限は掛からない。

 

「あっ!クラン<楓の木>のマスターでメイプルです。防御と毒攻撃が得意です。後ろにいるのは、ダンさんとアリスさんです」

 

思い出したように、俺達の自己紹介をしたメイプル。入って直ぐにした方が良いと言ってあったのだが、忘れていたらしい。しかしなんで、攻撃を食らって、そんなに嬉しそうなんだ?この戦闘狂は…

 

「で、税金の未納問題でしたね。その前に、当方所有の迷宮核の恩恵使用料をお支払いください」

 

こちらも事前に貰えそうな物を調べてある。ダンジョンコア、正式名称は迷宮核といい、ダンジョンの上にある土地に魔素を供給し、魔法、魔導具に利用されている。その為この世界では、ダンジョンの上に、街を作る場合が多いらしい。但し、ダンジョンコアの所有者が街の運営側にいる必要があるのだが…

 

俺の持っているダンジョンコアは、揺り篭は除いて、セーリュー市、迷宮都市、公都、王都の直下である。既にダンジョンコアの所有者は、アリスの手により俺に名義変更されている。その為、この4都市分の使用料を貰える権利が俺にあるのだ。ギルド長と公爵に使用料に関する書類を手渡す。

 

「計算の結果、俺達の支払い分は微々たる物で、そちらの支払い分は膨大なんですが、一括で払って貰えますか?チャラっていったら、魔素の供給を完全にストップしますけどね」

 

この建物の強度だと、メイプルが飛び跳ねただけで、倒壊しそうだけど…どうするかな。

 

「王都に持ち帰って、王と相談してみる」

 

公爵がかすれるような声で返答してきた。

 

「セーラ…入って来なさい」

 

公爵の呼び掛けにより、隣の部屋からシスター服を着た少女が入って来た。

 

「テニオン神殿で巫女をしている孫のセーラだ。交渉が終わるまで人質として、差し出す。好きにしてくれ」

 

それは、あんなことをしていいってことか?まぁ、しないけど。新しい女よりもアズライトを満足させるだけで手一杯だし、レンがキレ掛かっているし。

 

「わかった、丁重に預かろう。良い返事を期待しているよ」

 

4人でその場から転移して帰宅した。

 

 

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