デスを食らった男   作:もっち~!

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VS勇者?

---ダン---

 

セーリュー市を治めるセーリュー伯爵から刺客が届けられた。サトゥー・ペンドラゴン士爵という勇者と、ゼナ・マリエンテールという魔法兵が率いている部隊である。セーリュー伯爵の子飼いの勇者チームなのであろう。ここで戦うと屋敷と仲間が危ないので、コイツらのホームグラウンド近くへ強制転移させて、俺とメイプルで迎え撃つ事にした。久しぶりに全開で戦うか。

 

「お前が魔王か?」

 

勇者が俺を魔王だと言う。どっちかと言うとメイプルがそうなんじゃ無いのか?

 

「いや、そこのちっこいのがそうだ」

 

「えっ!心外ですよ~。私、ダンさんにまだ一度も勝ててないですよ~」

 

それはそれだ…だけど、俺を二度殺しているのは、お前だけだ。

 

「幼女を魔王と偽るとは、とんだ魔王だな」

 

幼女と断定されたメイプルは、何かのスイッチが入ったのか、殺気が駄々漏れていた。

 

「ここで、お前らの息の根を止めてやる。『流星雨』!」

 

あっ!思い出した。どこかのゲームでこれを喰らって、死んだ覚えがあるんだが…流星が雨のように降ってくる。結構広範囲で降るんだよな。『強奪』して、俺にだけ降るようにするか。もし神様がいるなら、お願いします。アレが発動しますように…まぁ、発動しなくても回復再生能力があるから、HPが危なくなったら、俺だけ転移して逃げるか。と、最初の一発が俺の身体に触れた。

 

『フルカウンター10倍返し』

 

脳裏で響く声…あの勇者は、俺の10倍のレベルがあるのか。そうなると相手はレベル300辺りか?流星雨は10倍の威力となり、勇者に向かって放たれていく。

 

魔法兵の方は、メイプルの『暴虐』の餌食になっていた。心が折られたのか、地面で女性兵が4名、メイプルの玩具になっている。

 

一方、勇者はあの流星群を異空間収納へ入れているようだ。あれって、チートじゃないか?攻撃を無かったことにするなんて…じゃ、これはどうだ?『妄想』で「勇者様がミノタウロスの雄に後ろから…」の映像をギフトしてみた。一瞬表情が歪んだが立て直されている。精神ガード系を持っているのか。チート過ぎる。コイツも神様特典付き召喚者かっ!

 

「メイプル!ヒドラを頼む」

 

「はぁ~い、『ヒドラ』」

 

嬉しそうにヒドラを発動するメイプル。周辺が紫色の液体に染まっていく。あの女兵士達は、暴虐の口の中にいるらしい。まるで全裸の女性達を、旨そうに食べている魔物に見えなくも無い。口からは、女性達の太ももやら、二の腕やらがはみ出ている。飲み込むとか噛まなければ死なないらしいが…喰われている絵面の女性達は、気化した毒で蠢いているのかしれない。

 

「ゼナさん達に…なんてことを…許せない!」

 

って、勇者が空中浮遊をしている。まぁ、地表部分は猛毒状態だからなぁ~。うん?!剣を手にして、コチラに?いや魔物姿のメイプルに向かっていく勇者。

 

カキィーン!

 

メイプルに触れた瞬間、勇者の手にした剣が折れた。唖然としている勇者。公爵から情報を得ていないのか?オリハルコンを素肌で砕く少女だぞ!俺達のクランマスターはな!

 

「ウソだろ…なんて強度だ…」

 

ではこの隙に、機龍状態で、ぺちっと勇者を平手でたたき落とした。紫の水たまりに正面から沈んでいく勇者様。コイツ、チートだもの、これくらいでは死なないよな。勇者の背中に向けてメーサー砲を撃ち込んでおくか。そう考えた次の瞬間、勇者の背中が見える地点に高エネルギー砲が撃ち込まれた。猛毒の液体が一瞬で気化していく。メイプルを見ると、機械神で、はどう砲を撃ち込んでいた。これは流石に死んだかな。

 

幼女発言に珍しくキレていたメイプル。容赦ないなぁ…

 

 

女兵士4名を捕虜にして帰還した。毒を浄化させて、ヒールを掛け、手足を拘束して、床に転がしておく。全裸だと思っていたのだが、下着はセーフだったようだ。女性に免疫の無いレイがチラ見しながらのガン見をしている。まるでクロムのようだ。

 

「で、コイツらは?」

 

メイプルの躾け係のサリーがいて助かるなぁ。メイプルをサリーに任せ、俺はアリサと善後策を考える。

 

「人質だよ。詳しい話を訊く前に戦闘になったんだけど、セーリュー市の市兵ぽいなぁ。勇者の方は、死んでいないだろうな。まぁ、戦闘域はセーリュー市近郊だったから、今大変かもなっ」

 

はどう砲で気化した猛毒の液体は、上空で雨粒に混ざり、現在セーリュー市内に降っているだろう。後、はどう砲を地表に向けて撃ったから、大地震に見舞われているかもしれない。

 

「チェックしましたが、セーリュー市ダンジョンは無傷です」

 

アリスがダミーコア部屋で、ダンジョンの被害状況を確認してくれた。そうか、無傷ならいいや。

 

 

 

---オーユゴック公爵---

 

セーリュー伯爵が独断して、本来は国が行う勇者認定し、士爵の爵位を授けた冒険者と市兵のチームを彼の元へ送ったそうだ。その際、彼を魔王と断定したという。我々が会話で解決をしようとしていたのに、アシネン侯爵と言い、どうして彼から総てを奪うことが前提なのだ?

 

暫定勇者チームと彼とあの少女の戦いは、セーリュー市近郊で行われ、勇者は生き延びたものの、兵士達の生死は不明だと言う。戦闘の余波はセーリュー市を襲い、まず大地震が訪れ、石組の建物は総て崩落し、時間差で毒性を帯びた雨が降ったそうだ。現在、ダンジョンからの魔素の供給は絶たれており、回復魔法は使えず、薬頼みだそうだ。

 

「王よ、どうするのですか?王都、公都をセーリュー市の二の舞にしますか?」

 

ゾナによると、アシネン侯爵は、我々の交渉の後も、彼の元に税金の取り立てに何度も訪れているそうだ。取り立て内容は徐々に酷くなり、今は「総ての財産を差し出し、平民は平民らしく暮らせ」だそうだ。どこまで高飛車なのだ?

 

「宰相よ、お主はどう考える」

 

王は王の片腕である宰相の意見を訊いた。

 

「彼への税金は免除で良いかと。で、我々の支払う分は、交渉しだいですが、国全体の税収の3%程度が打倒かと思います。過去の分も請求されると思いますが、交渉次第だと思います。まぁ、アシネン侯爵家とセーリュー伯爵家の財産を総て献上辺りが、土産になれば良いですね」

 

「その場合、孫のセーラは戻って来るのか?」

 

「難しいと思います。魔王認定をした上で、勇者を任命して、討伐を依頼したとなると…人質の生死は彼らの気分しだいだと思われます」

 

孫の命は…諦めないとダメなのか…

 

 





商人キャラを考えていたら、『のうきん』の「赤き誓い」が浮かんで来て…アデルさんって、体型、性格ともにメイプル寄りですよね(^^;;;


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