イベント後、メイプルから呼び出しが無かったので、PK三昧をして、対人戦の戦略を練る。やはり、アナの急降下爆撃は脅威である。きっと、俺が喰らっても、慌てると思うレベルだ。いきなりの貫通弾だし。貫通弾は2種類選べ、指示を与えられる。無数の礫状態の物と、巨大氷柱の物である。あのイベントでアナと戦ったことがあるヤツラには、恐怖がぶり返すだろうな。
一方、ポチの方は、対人戦より、対魔物系に有効である。一咬みで、熊程度なら一撃殺傷である。元々フェンリルなのだから、神とか天使とか悪魔が得意なのかもな。
イベントから3日経過した日、メイプルから呼び出しがあった。噴水前の広場へと急ぐと…
「ダンさんも、私のギルドに入ってくれますよね?いや、入って下さい。お願いします」
って、俺に頭を下げるメイプル。俺の背中狙いか?了承すると、ギルドホームへと案内された。勿論、俺の背中にメイプルがいる。
メイプルのギルドホームは、巨木をくりぬいて作った感じである。屋上にはテラスがあるし…って、物干し台では無いよな?洗濯物は干していないようだ。
ホームの中には、メンバーが揃っており、あの赤い大盾男もいた。
「皆さん、ダンさんも入ってくれるそうです」
俺の背中から報告する嬉しそうな声のメイプル。
「クロムだ…」
やはり赤い大盾男のクロムが、俺を警戒している。PKされたのを思い出したのか?
「イズさんとカナデは始めてですよね?」
メイプルに生産職のイズと、魔法使いのカナデを紹介された。
「ダンさんがいれば、心強いです」
「第一回イベントの3,6,9,10位が居るんだな」
サリーが嬉しそうだ。
「ここには、死ぬことが無い模擬戦が出来る修練場があるの。早速、手合わせをしたいわ」
コイツ、バトルジャンキーか?
その修練場で、まず俺とメイプルが対戦した。結果は俺が圧勝した。
「さすが、メイプルキラーのレールガンだな」
クロムの褒め言葉は、褒めていないと思う。俺がいつ、レールガンを放ったと言うのだ?本物のレールガンが、抗議すると思う。
「ダンさん、貫通攻撃が出来るんですね」
負けたのに、嬉しそうなメイプル。
「あぁ、出来るようになったよ。難点は発動中に移動出来無いことだ」
仲間に情報を知らせておく。ギルド戦の時に、次の一手に影響すると思うから。第2戦は、俺とサリーである。殺す心配が無いので、全力で叩きにいく。が、やはり攻撃が当たらない。
では、これはどうだ?俺の表情から、次の一手を読んだのか、サリーが嫌そうな表情で
「ちょっと…ドレインと妄想はダメ…」
って言いながら、顔を真っ赤にして…今日はサリーとメイプルの百合プレイを妄想して、ギフトしたのだ。
「え?全力でだよね?」
「それって、反則だよ~。あぁぁ~」
恍惚な表情へなっていくサリー。5分間、悶絶してください。
◇
みんなが素材を集めている隙に、俺はフレデリカを見つけ、PKを仕掛けた。
「また?どうせ、勝て無いわよ」
多重詠唱の魔法…一度に複数の魔法が放てる。だが、今日の俺はいつもの俺では無い。早速、妄想をした。フレデリカと俺の大人の行為の妄想…計画通り、詠唱が中断され、懐に入り込み、32連打を叩き込み勝利した。次はペインを狙うかな?
人混みに紛れて、ペインを探す俺。
「おい!貴様…私のギルドに入らぬか?」
ミィに声を掛けられた。こいつ、ストーカーか?最近、頻繁に話し掛けて来ている。もう攻略法が分かったので、用は無い俺。
「お前だろ?散々私にPKを挑んできた懲りない男は!」
ミィの声で、周囲の者達が俺達を見た。おい!目立つだろ?!
「なんか、間違いじゃ無いですか?俺、初心者ですよ」
「ほぉ~、初心者と言い張るのか?たった今、フレデリカを瞬殺しただろ?」
見られていたのか。面倒だな。
「悪い。俺はもうギルドに入っているんだよ」
「おいおい、2位のギルドマスターが自らスカウトしているんだぞ。入れ!」
「2位?ギルド戦のイベントをしていないのに、2位と言い切るのか?」
「あぁ、言い切れる。この私がいるのだからな」
「たいした自信だな」
「貴様が入ったギルドはどこだ?」
「初心者の集まりですよ」
「なら、そのギルドごと、入れてやる」
「傲慢な女ですね。じゃ、俺にPKで勝ったら、考えてあげますよ」
「ふふふ、大きく出たな。貴様は、私に全敗しているくせにな」
あれ?最後に俺が勝ったはずだが…炎系の魔法が俺を襲う。全身が火だるまになっているが、俺はピンピンしている。
「おい!クソ女、効いていないぞ」
火だるま状態で、ミィに近づく俺。
「そんなはずは…なんで貴様…生きていられるんだ?」
「言える訳無いだろ?個人情報だ」
火だるまの状態でミィに抱きついた。当然、ミィも火だるまになり、デスしたようで、ミィがドット落ちしたように消えていく。ミィが完全に消えると、魔法の効果が消え、火だるま状態ではなくなった。さてと、ギルドホームへ帰るか。
◇
「今日の成果はどうでしたか?」
俺の背中にいるメイプルに訊かれた。
「やっとフレデリカに勝てたよ。あと、ミィを返り討ちにした」
「ミィって、炎帝のか?」
クロムが驚いている。
「あぁ、そうだよ。俺に炎帝に入れって。ウザいからPKしてきた」
「クロム、ダンさんはPK専だよ」
サリーが俺の補足をした。が…お前に言われたく無い。
「サリーも、どっちかと言うとPK専じゃないのか?」
「否定はしない」
ギルド対抗戦なるイベントがあれば、PK専が二人いる楓の木は有利である。対人戦に慣れているから。
「それでですね。ギルド対抗戦があるかもしれないので、メンバーを増やしたいと思います」
ギルドマスターであるメイプルが、俺の背中で演説をしている。
「お奨めな人を、スカウトしてきて欲しいです」
お奨めなぁ。
「PK専でもいいか?」
心辺りが一人いる。ソロだから、どこにも入っていないと思う。
「構いませんよ~」
耳元でメイプルの声がした。
◇
翌日、スカウトに出た。俺の妹である。DEX振りしたスナイパーだ。
「お兄ちゃん、こっちだよ~」
妹のアスカが噴水前にいた。
「俺のいるギルドに入らないか?」
「入る。入れて下さい。お兄ちゃんと一緒にゲーム出来るなんて…」
ソロ専なのに、ギルドに入りたかったのか?
妹の得物がレールガンである。射程距離無制限で、弾は自動補充カートリッジのおかげで無制限。某装備屋のガチャで大当たりを引いたそうだ。
レールガンは貫通タイプの弾丸を放つ。運営が仕込んだメイプルキラーで無いのか?因みに、レールガンの取得条件は、ガチャで大当たりを引き、DEX振りしている、だそうだ。
アスカを連れてて、ギルドホームに戻ると、メイプルもスカウトしたと言う2名の少女がいた。
「これ、本物のレールガン?」
アスカの得物にイズが食らいついた。
「そうです。ガチャで大当たりを引きました」
照れているアスカ。普段、ソロだしなぁ。こうして、ゲーム内で、俺以外を会話するのは、初めてではないか?
「紹介する。実の妹のアスカ。PK専のスナイパーだ」
「兄妹揃ってPK専なのか…あ、私はサリー、宜しくね」
「お兄ちゃんの妹のアスカです。Lv10のDEX振りです」
メイプルのスカウトしたのは、姉妹でともにSTR振りだと言う。なんか、大化けしそうなギルドである。
◇
イベントまでの日々、それぞれ、新たなスキル、新たな装備を得ようとあれこれと藻掻いている。STR振りの二人は、サリーとメイプルで鍛えているそうで、アスカはイズさんに装備をお願いしていた。
そして、俺は、ストーカーとなったミィに狙われていた。
「私のギルドに是非入って欲しい」
「何か、特典があるのか?」
「と、特典…それは…」
「じゃ、またな」
「貴様!つけあがるな!」
俺の背中に炎系の魔法が着弾した。コイツ、学習していないのか?俺が抱きつくと、自爆したミィ。道連れ戦法か?俺には効果無いがな。
「よぉ~、ダン」
クロムが話し掛けて来た。
「ミィの攻撃を無効化か?」
「それ、個人情報だ」
メイプル並に固いと思わせる作戦なのに、コイツの頭は弱いのか?
「悪かった。で、何か新しいスキルは手に入ったか?」
「レベルを上げたくないから、PK専門だよ」
レベルを上げると、フルカウンターが効かなくなるし。
「今は、効率的に相手を屠る研究だよ」
防御力に不安のある俺。短時間で仕留めないと危険である。それに対し、メイプルは斜め上行く進化をしていた。あの天使化ってチートだろうに。
だが、その天使化したメイプルは、ポチにもアナにも瞬殺されていた。強化していないのか?
---とある掲示板---
126名前:名無しの大盾使い
やあ
127名前:名無しの槍使い
おう
メイプルちゃんのギルドに入るとは…
憎い!羨ましい!
128名前:名無しの大剣使い
いいよなぁ
サリーちゃんに接近してもらうように頼んだがそれ以上とか
129名前:名無しの弓使い
情報をくれ
何かしらあるだろ
でも話しちゃ駄目なことまでは求めないぞ
130名前:名無しの槍使い
身内になったら情報出しにくいよなぁ
出せる範囲で頼む
131名前:名無しの魔法使い
頼んだ
132名前:名無しの大盾使い
分かった
まずサリーちゃんのことからな
サリーちゃんはPS人外勢だった
実際に見た感じスキルは使ってないと思ったぞ
モンスターと結構戦闘したがダメージを受けている所は見れなかった
後何かオーラが追加されてた
133名前:名無しの弓使い
やっぱイベントの最後日辺りに出現した青い装備の殺戮者
あれはサリーちゃんだろうな
134名前:名無しの大剣使い
しかも進化してるぞ
オーラって
135名前:名無しの大盾使い
サリーちゃん以上にヤバいのはダンだ
コイツはPK専で炎帝のミィ、聖剣のフレデリカを瞬殺できる
ギルドホームでメイプルちゃんと手合わせしているが
メイプルちゃんすら瞬殺していたぞ
136名前:名無しの弓使い
マジか?
137名前:名無しの大剣使い
あのメイプルちゃんを瞬殺かぁ
さすがレールガンだな
138名前:名無しの大盾使い
実際のレールガンはダンじゃない
ダンの妹がレールガン使いだったんだ
139名前:名無しの魔法使い
なんだって?
ダンは妹の影武者か?
140名前:名無しの大盾使い
違う
ダンは前衛だが、妹のアスカはスナイパーだよ
141名前:名無しの弓使い
狙撃手?
メイプルちゃんのギルドとは戦いたく無いなぁ
142名前:名無しの魔法使い
今さらだな
143名前:名無しの大剣使い
人外魔境ギルドに名前を変えてほしいぞ
144名前:名無しの槍使い
その気持ちわかる
145名前:名無しの大盾使い
PK専が3名いるからな
後、メイプルちゃんは天使の輪と翼を出現させて
金髪青目になるスキルを手に入れて帰ってきた
146名前:名無しの槍使い
えっ
147名前:名無しの魔法使い
目を離すとすぐそういうことになる
148名前:名無しの大剣使い
何で?どこにそんなスキルあった?
149名前:名無しの大盾使い
俺も知らん
スキル名は【身捧ぐ慈愛】
HPをコストとして支払って範囲内のパーティーメンバーを常に【カバー】するスキルらしい
メイプルちゃんがこれを使うとな
範囲内のパーティーメンバーはメイプルちゃんを倒さない限り
不死身状態になる
だけど、そのメイプルちゃんをダンは簡単に屠っていた
アイツ、鬼だな
150名前:名無しの大剣使い
ラスボスが2名いるのか
151名前:名無しの槍使い
地獄絵図すら生温い
ダン、ハンパねぇ~
152名前:名無しの大盾使い
驚愕的な事実なのだがメイプルちゃんは
装備を全て外してもVITが1000を超えていることが判明した
153名前:名無しの弓使い
もう意味わからん
そんなメープルちゃんを瞬殺って…
誰が止められるんだ?
154名前:名無しの槍使い
装備無しで1000は異常
体が鋼鉄で出来てるのかな?
オリハルコンかな?
それを瞬殺って…
155名前:名無しの大盾使い
ダンの妹も驚異だろうな
本物のレールガン使いだし
◇
運営が第二回イベントのベストバウトの映像を公開した。それは、メイプルのギルドの隠されたベールの一端を剥がしたのだが…その異様とも言える戦闘スタイルが明らかになった。最強の盾をカバーする男。その身で貫通攻撃を総て受けきり、最強の盾を護り切った。
サリーの回避盾なんかは更に異様に見えただろう。ドット撃ちをするようなミリ単位での体捌き。誰の目から見ても避けられない攻撃を難なく躱す。この二人の盾に護られ、最強の盾の高火力攻撃…銀翼と戦った者であれば、銀翼の絶望的な強さを知っているが、彼らは心を折る事無く、最後まで戦い抜き、勝利していた。
この映像を含め、メイプルのギルドの噂は、尾鰭が付いて、ますます恐怖の対象になっていく。