デスを食らった男   作:もっち~!

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和風文化圏

---マイル---

 

朝目覚めると、ポチちゃんが「おはようございます、です」と言って、目覚めのモーニングモフモフをさせてくれる…こんな日常を夢見ていた。モフモフ天国の上、美味しいお菓子まであるなんて…ダンの館に住み着いた私達、赤き誓い。ダンは、商人として、商家の娘であるポーリンが欲しい人材だったらしい。そのポーリンは現在、大量な金貨を前にしてトリップ中である。

 

メーヴィスは回避盾のサリー相手に、躍起になって、毎日バテていた。回避盾、日本的ゲーマーの発想だよね。当たらなければ防御なんぞイランなんて。普通は「攻撃は最大な防御」と言って、攻撃振りするのに、サリー賢い上に勇気があるなぁ回避降りとは…

 

レーナは連日書庫で魔導書を読み漁っているみたいだ。この館には様々な魔導書が蔵書されていた。ナノちゃん達ですら、読み漁りたい貴重な魔導書があるらしい。

 

日課としては、昼間はクボォーク王国での開拓のお仕事、午後からは、迷宮での食材の狩りで、それ以外は、自習タイムという自由時間になる。ここは追っ手の来ない別大陸なので、安心して暮らせるのは良い。

 

 

 

---ダン---

 

漸く、醤油、味噌などの和風調味料が売っている場所を見つけた。売っているなら、作る必要も無い。しかも、ここは凄い。生前いた世界を切り取ったような文化圏である。ラーメン横丁があるし、おでん、刺身、天ぷら、えっ!カレーライスもあるのか。ここに住みたい。が、ここって、どこの国だ?

 

『ガルガルド魔王国の五ノ村と呼ばれる街です』

 

魔王国?魔王が治めている国なのか。それは強者がウヨウヨいそうだな。で、ここは村なのに街なのか。ここと交易がしたいが、誰と交渉すれば良いんだ?村長か?国王?いや魔王かな?

 

『転移門があるようです。そこから、大樹の村へ向かってください』

 

アリスが情報を調べ、どう行動すれば良いかを示してくれた。転移門をイメージして、大樹の村をイメージしてからの『転移』。街中にいた俺は、森の中にいた。次の瞬間、蜘蛛と狼の群れに囲まれていた。セキュリティーがしっかりしているなぁ。アリスとカエデを実体化させ、ハチも出しておく。ついでだ、アナも行って来い!

 

蜘蛛の群れに対して、アナから微細な氷の礫が撃ち込まれていく。蜘蛛の吐く糸は『ウッドオクトパス』を鞭の様に操り、斬り捲っていく。狼の群れにはハチ、カエデが対処をし、アリスが俺のガードをしてくれている。

 

「待て!これは何の騒ぎ?」

 

蜘蛛と狼を蹴散らした頃、

 

「お前は転生者か?それとも召喚転移者か?」

 

おっとり刀で現れた俺達と同じ匂いがする男性に訊いてみた。

 

「君も転生者なのか?」

 

戸惑っている男性。

 

「転生した召喚転移者になるかな。向こうの世界で俺は殺されて、ここの世界にアバター姿で呼び出されたからな」

 

「そうか…中でゆっくりと君と話したい」

 

男性の言葉を受けて、アナ、ハチ、カエデには帰還して貰った。ガードはアリスだけで、問題は無いと思うから。

 

 

ここまで日本の文化は再現されているのか…そう驚きながら、室内を見回している俺。襖あり障子あり、囲炉裏に畳かぁ~。仲間に生産職がいない為、再現出来ない和風アイテムが大量にある俺達。イズが来れば、改善するのか?

 

「懐かしいですか?」

 

「あぁ、とっても。俺達には生産系のスキルが無いから、再現が難しいんだ。囲炉裏もいいなぁ」

 

あぁ~、五平餅とか鮎の塩焼きが食いたい。屋根裏で燻りがっこを作るのもアリだな。

 

彼、街尾 火楽(まちお ひらく)、通称村長とお互いの転生の経緯を話し合った。

 

「へぇ~、転生者が集まって、国を一から作っているのか」

 

現在行っている新生クボォーク王国の開墾作業を話した。

 

「転生者だけじゃないけど、この世界で仲間になった者達でね」

 

「で、僕達と取引をしたいんですか?」

 

「醤油、味噌、みりんを作る為の材料が見つからない上、熟成蔵もまだ無いんだ。五ノ村だっけ?あそこには売っているでしょ?樽単位で買いたいんだけど、大陸間で交易が無いから、俺の持っている通貨が使えないんだ。どうすれば良い?」

 

責任者に交渉したかったのは、通貨が使えないからである。最悪、物々交換にしたいんだけど…

 

「そうですね、こちらに無い物と交換か、金や貴金属との交換ですね。一樽ずつなら、お分けしても良いですけど」

 

「なぁ、レシピを買ってくれないか?俺、前世で洋菓子店の喫茶ブースで働いていて、結構レシピを覚えているんだけど」

 

まず、ここに無いレシピを売る。それを提案してみた。

 

「無い物ですか?そうですね…ラムネとかコーラはどうですか?」

 

コーラは難しいが…ラムネとサイダーは研究していた。

 

「これ、どうだ?」

 

『強奪』で保管庫から取り寄せた冷やしてある試作品を村長に手渡した。

 

「これは?…うん、ラムネかぁ…美味しいです」

 

「これの香料の配合を教える。醤油とかの代金にならないか?」

 

「充分、なりますよ。これ…飲みたかったんです。容器は作れなかったんですか?」

 

一口飲んで感想を言い、残りを一気に飲み干した村長。飲み終えた表情は良い笑顔である。

 

「あぁ、再現能力は無い。仲間に生産職がいないからな」

 

「今後も、良い取引をしたいです。こちらからもお願いします」

 

こうして、新生クボォーク王国と大樹の村の間に、友好条約、通商条約が結ばれた。しかし、問題は有る。世界地図の無い世界、実際にはどの位の距離離れているのか、分からない。これは、アリスでも分からないらしい。同じ星にある異世界って感じだな。

 

「そうなると、転移でしか行き来が出来ないって、ことになりますね」

 

そうなる。まぁ、取り敢えず、俺の館と村長の家に転移陣を描けば、行き来は出来る。村長の厚意で五ノ村の代官邸にも転移陣を置いてくれるそうだ。買い物だったら、五ノ村だよな。

 

「また、いつでも来てください、ダン」

 

「次回来るときは、カニを用意してくるよ」

 

 

「えっ!醤油、味噌、みりんが見つかったのか?」

 

サトゥー、アリサ、カタリナ、マイルなどなど、ソウルフードに飢えていた転移者軍団の瞳が輝いた気がする。五ノ村で買って来たイチゴのショートケーキを皆に振る舞った。

 

「美味しいけど、お兄ちゃんの味には届かないかな」

 

アスカの感想。それならば、次回の土産にケーキもアリかな?

 

「後は、何が有ったの?」

 

アリサが思いっきり、喰い付いている。

 

「街にはラーメン、カレーライス、おでんなどの店があって、ラーメン横丁っぽい物も有ったぞ」

 

買って来た醤油、みりん、味噌の樽をみんなの前に出した。

 

「この香り…懐かしいなぁ~」

 

マイルが醤油の香りにヨダレを…分かるぞ、その食欲は…焦がし醤油の香りで、ご飯が食えるかもしれない。

 

「そうなると、ダンと一緒に一度行ってみるかな」

 

転移能力を持つサトゥー、ミトは一度行けば、次から単独で転移出来るようになる。他のみんなは、俺が館内にいれば移動式ギルドホームの転移陣から転移出来るはずだ。

 

「土産にカニを持っていきたい。明日の狩りはサトゥーも参加してくれ。お前の無尽蔵なアイテムボックスが必要だからな」

 

俺達が手に入れられるカニは巨大サイズである。爪だけでメイプル並の大きさがある。それを地上まで運び、村長の家まで持っていくとなると、攻撃魔法まで収納出来るサトゥーのチート級の亜空間収納庫、所謂アイテムボックスは必須である。

 

「そうなると、タコなんかもいいな。ワサビも持っていこう」

 

アスカも行く気になっている。マイルとアリサもだろうな。メイプルは食い気よりも狩りかな?

 

「ダンさん、美味しい食材をたくさん持ち帰ってください。ダンさんのパンケーキが食べたいです」

 

パンケーキ?そうなると玉子と小麦粉、後メイプルシロップか?あるかな?醤油、味噌、みりんしかチェックしていないし。

 

 




村長の一人称が『俺』でなくて『僕』の件ですが、ダンの一人称が『俺』の為、被って分かりにくい為、改変しています。
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