デスを食らった男   作:もっち~!

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未知との遭遇

---ダン---

 

それは前触れ無しに聞こえた。

 

『助けてくれ…』

 

九内からのエマージェンシーな念話だった。アイツがヤバい事態って、ヤバそうである。咄嗟に、身近にあった物を掴んで、九内の元へ転移した。

 

転移した先で、九内は地面に倒れ藻掻いていた。高飛車そうな少女二人も、九内同様に地面に倒れ藻掻いている。そんな三人に、殺意を向ける黒ローブを羽織った集団。俺は手にしていた物を少女達の方と、黒ローブの方へ投げた。

 

「メイプルは、少女達を護れ!マイルは黒いヤツラを消せ!」

 

「はぁ~い!」

 

「らじゃぁ~!」

 

で、九内が藻掻いている原因を調べる。九内を取り囲むように、黒いスライムのような物が這いずっているのだが、これが原因か?これは一体?

 

『奈落と呼ばれる物体で、天使の加護を打ち消す能力があるようです』

 

俺の疑問にアリスが明快に答えを出してくれた。はぁ?九内に天使の加護があるのか?なんか、納得出来ない。メイプルは『身捧ぐ慈愛』で、少女達を護っているのだが、その天使の姿に少女達が憧れの目を向けている。問題は、その天使姿のメイプルを避けるようにしている奈落達である。メイプルの本質を見抜いているのか?見た目は天使だけど、アイツは…

 

「メイプル!黒いゴミを元から絶て!」

 

「あい!『捕食者』!」

 

奈落とマイルの散らした黒いヤツラの身体を、喰って無かったことにするメイプル。魔物を召喚する天使って、最凶で無いのか?

 

「まさか、奈落をこんな風に…」

 

大きい方の少女が驚いたのか、目を見開いて、捕食者達を見ていた。

 

「これで、いいか?」

 

「あぁ、助かったよ。しかし、アレは何だ?」

 

九内がメイプルを指差している。

 

「俺達のクランマスターだ」

 

「あれがか…」

 

魔王九内が絶句する理不尽な行為。ニコニコして殺戮をしている理不尽女神様。

 

「また、ナニカあれば、呼んでくれ」

 

メイプルとマイルを回収して、館へと転移した。

 

 

館では、少年と少女が正座をしていた。簡易ベッドで横たわっている少女もいる。九内に呼び出される前に、この3人組が村長宅に通じる転移陣から出てきて、俺達に殺気を振りまいたのだ。結果、一番大きな少女は俺のデコピンで失神をし、残りの二人はメイプルとマイルに制圧され、教育的指導を受けていたのだ。

 

「戻って来るまで正座とは、性根が少し良くなったようだな」

 

「「ごめんなさい」」

 

二人は泣いて謝っているが、初めて訪れた場所で、殺気をぶちまけるって、死にたいってことだよな?それを今教え込んでいるところである。朝早くで、みんな出勤前で、勢揃いしていることへのカチコミ。ミトが身体検査をすると、村長からの手紙を持っていた。手紙には歓迎パーティーをするので、みんなで来てね的な招待状。と、言うことは、コイツらは友好の使者ってことになるが…俺達を下に見ていた感がある。舐められる前に、ビシッと躾けようとしたのだろうか。

 

「なぁ、死んでも生き返る結界があるんだ。そこで手合わせをするか?君達は、俺達の実力が知りたいんだろ?」

 

メイプルとマイルは準備運動は出来ている。ミト、サトゥーもヤル気が満々だし、レイレイ、アズライトまで…

 

 

 

---街尾 火楽---

 

ダンの元へ歓迎会の招待状を届けた子供達が帰って来た。全員、血の気が失せた顔をして、覇気がまるで無い上、僕の前に正座をして座った。コイツら、なんかしでかして、性根を入れ替えられたのか?

 

リーダー格のウルザに訊いてみた。

 

「これまでの人生、やんちゃしすぎました。ごめんなさい…」

 

ウルザの心はポッキリと折られていた。普段のウルザを知る者達は、驚愕の表情で、ウルザを見つめている。

 

「アルフレート、何が遭ったのだ?」

 

「みんなを止められなくて、ごめんなさい…礼儀を重んじますので、許してください」

 

長男のアルフレートがナニカに責任を感じているようだ。何をやらかしたんだ。友好関係を築こうとしている相手に…何を訊いても、原因を話そうとしない子供達。既に、三人とも心が折れていた。血の気が失せた顔から涙が零れている。どんな相手にも、強気でいたコイツらがこんなにボロボロになるって…こんな状態になっても、原因を話さない。やっちゃいけないことをやらかしたんだろう。それは僕には決して言え無いようなポカを…

 

「私達で原因を訊いてきます」

 

アルフレートの母親のルーと、先ほどから一言も発していないティゼルの母親のティアの二人が、転移陣に向かい、僕の返事を待たずに、転移していった。大丈夫か?不安が脳裏を埋めていく。

 

 

 

---ダン---

 

殲滅天使のティア、吸血姫のルールーシー・ルーだっけ?二つ名を言えば、俺達がビビると思ったのか?余計に戦闘意欲をかき立てられたんだけど。俺達をどう思っているんだ?クラン<楓の木>だぞ!

 

うちのツートップが速攻で制圧して、捕らえた二人をツボに入れて煮込んでいるマイル。天使と吸血鬼って、ダシが取れるのか?

 

「マイルちゃん、黒トカゲの干物とか入れないの?」

 

「う~ん、そういうのは持っていないわ。ねぇ、レイさんは持っていませんか?」

 

「あの…俺、聖騎士なんですけど…」

 

「またまた、ジョークを。どう見ても呪術師ですよね。それもやり手の…」

 

怪しげな魔女プレイか?ツボの中の二人はのぼせまくっているが、大丈夫?

 

「そうだ!ダンジョンでフロアボスとして採用しましょうよ」

 

非戦闘員なのだが、物騒なことを言うカタリナ。フロアボスではなく、ラスボスでも良いレベルだぞ。メイプル、マイルといると、強さの感覚がおかしくなるのだろう?

 

「そういえば、カニは手に入ったかな?」

 

サトゥーに訊いた。

 

「タコとイカも手に入ってけど、どうする?」

 

異世界の人って、タコもイカも喰わないんだよな。調理して持っていくかな?

 

 

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