デスを食らった男   作:もっち~!

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箱庭

 

---ルシウス・ホームズ---

 

薄れ行く意識、床に倒れている。一服盛られたようだ。僕を見下ろしている女性…こんな事は初めてである。彼女の心が読めなかった。こんなにも僕達に殺意を向けているのに、彼女の本心が読めなかった。既に目の前に倒れている女性。たぶん彼女が、僕の本当の依頼者だろう。

 

依頼者に会う為に、日本を訪れ、空港で依頼者と待ち合わせをし、彼女の家で調査報告をするはずだった。部屋の表札には『一宮渚』と、依頼人の氏名が表示されていたのだが…コイツは何者だ?

 

「ふ~ん、よく調べてあるわねぇ」

 

僕のカバンから調査報告書を盗み、目の前で内容を確認している女。まさか、コイツがレイさん達を…

 

「手に掛けた理由は不明?あら、たいしたことが無い探偵さんね。理由は明白でしょ?デンドロでジャマだからよ。ゲーム内で倒せないならば、リアルで倒せば、ゲーム内に戻れないでしょ?」

 

この女の思考は狂っている。おかしいだろ?そのロジックは…ゲーム内で有利に立ち振る舞う為に、現実世界でジャマ者を消すって…

 

「むくどりさんを殺したのと同じ毒よ。これで連続殺人って思われるかしら?でも真犯人は、そこに転がっている女にしてあげるわ。ありがとうね。私の無実を証明するシチュエーションを用意してくれて、君には本当に感謝しているわ」

 

女は自分のいた痕跡を消して、僕のカバンごと報告書を手にして、部屋を出て行った。

 

 

 

---ダン---

 

朝、目覚めると、マリーとルークがいた。二人共唸っているし。なんか遭ったのか?

 

「僕としては迂闊でしたよ」

 

「すみません、私の姉が…」

 

ユーゴーが二人に謝っていた。またユーリの姉が、何かをやらかしたのか?メイプルは目をキラキラしてルークを見ている。いや。見つめている。手合わせをしたいようだ。マリーとは手合わせ済みで、メイプルの脅威にはならないことが分かっている。マリーの銃ではメイプルに怪我を負わすことは不可能だったのだ。

 

「来て早々、悪いんだけど、クランマスターがルークと手合わせしたいようなんだ。死んでも死なないバトルフィールドへ向かってくれないか?」

 

ルークとメイプル、何故かマリーの手を引くマイルと、バトルフィールドへと向かった。

 

 

ルークに勝ったメイプルと、マリーに勝ったマイルが戦っている。所謂、最強の盾と最強の矛の矛盾な戦いである。ミト、サトゥーが興味津々で観戦している。ここは移動式ギルドホームの機能の1つで、亜空間にあるバトルフィールドである。死んでも死なない仕様で、クラン内の鍛錬に使われている。

 

矛盾な戦い…不毛である。制限時間に達したので、二人を瞬殺して、矛盾な戦いに終止符を打った。

 

「ダンさんのあの攻撃はズルいです」

 

「うんうん、索敵の外からの介入しての狙撃はズルいです」

 

俺の能力は、きっとこういう理不尽なヤツラの戦いを止める為にあるんだろう。チートなデパートのサトゥーを瀕死に追い込んだメイプル、そのメイプルと五分の戦いを繰り広げるマイル。なんか、世紀末を感じるメンツである。俺達が苦戦する敵は現れるのだろうか?その時は九内と村長にエマージェンシーコールをしようかな。

 

「さぁ、お仕事だよ。お仕事!文句があるなら、マイルはウサ耳ふれあい禁止、メイプルは甘味禁止にするぞ」

 

「文句は無いですよ」

 

ブルブル震え始めたマイル。

 

「えぇ、要望ですから…」

 

顔から血の気が失せていくメイプル。そんな二人の弱みにつけ込む俺。今日も俺とマイルはラビ村だ。ラビ村の畑は随分改善してきた。ラビ村に汚水、汚物の処理プラントを配置し、再生水、培養土生産に回している。

 

「汚水の処理能力は上がらないのか?」

 

田原に訊かれた。昨晩は五ノ村に連れて行き、ねぎらったので、仕事によりやる気を出してくれているようだ。やはり日本人労働者には、赤提灯、飲んだ後のシメのラーメンが、翌日のやる気を養ってくれると田原が力説していた。俺は酒を飲まないけど…味見だけはする。ケーキの香り付けに使いたいから。そして、俺は酒を飲まないけど、ツマミ類は食す。そこには、料理のアイデアと職人技が練り込まれているからだ。

 

「石けん成分、界面活性剤を除去して、純粋な汚水にして…牡蠣とかが処理能力があるらしいんだけど、淡水に適さないから」

 

淡水だとシジミだな。この大陸にシジミが居るのか?この前見つけた湖で探しているが、見つかっていない。

 

「そうなると、浸透膜フィルターでも使うか?」

 

「桐野に頼まないと、そういう高度な化学物資は無理だな」

 

あの変態女は科学技術に精通しているので、アイツなら作れると思うが…頼みたくない。代わりに何を要求するのかがわからないし、怖い。

 

「悠には頼みたくないよな。どうするかな」

 

田原と意見が一致したが、どうするかな。再処理水を畑で使用出来れば、真水を生活用水に回せるのだが…沈殿槽でも作るか?川海老とかタニシが有機物は食ってくれるはずだし…

 

「下水処理場を作る場所はあるか?」

 

「畑の裏なら…」

 

じゃ、生産職を呼び出すかな?サトゥーを念話で呼び出した。

 

「下水処理場か?イメージしかないんだけど、どういう物か図面を起こしてくれる?」

 

そうなるよな。俺は生前の記憶を思い出し、図面に起こしていく。確かデカイゴミから取り除くんだよな。沈砂池だったか?で、細かいゴミを微生物などに喰わせて…俺の描いたイラストのような図面を形にしていくサトゥー。沈砂池で使う砂を海で工面する俺。海は、五ノ村付近の浜辺から『強奪』した。村長のところなら、環境的に問題無く、品質が良いだろうと言う理由である。

 

「じゃ、下水を流してみるか」

 

下水と言っても、汚物と汚水は分離して、汚物はミミズの飼育部屋へ転移していく。汚水の洗浄成分も分離して、こちらは、銭湯の下水管へ転移している。九内の作った箱物の下水は仕組みが分からないが、処理をした後にどこかへ排出しているらしい。

 

「そうなると後は、砂地に住める有機物を喰う生き物だな」

 

田原が呟いた。

 

「サトゥー、そういう生き物に当てってある?」

 

「エビとか魚か?」

 

湖にいる生物で実験をしてみるか?湖に転移し、イメージした物を『強奪』し、沈砂池へ強制転移させていく。亀が多いんだけど…亀は雑食だから問題は無いだろう。エビも多い…亀とは違う池に放すか。食い合いは避けないと。貝は巻き貝はいるけど…コイツらコケとか喰うタイプかな?ある程度大きくなったら、食用になるか為すか。

 

下水処理した水は人工の川に流して、畑に隣接するため池に辿り着くようにした。ため池から水を掬い、簡易浄水器で水を更にきれいにして、畑に撒くようにしてみた。これでどうだろうか?

 

ラビの村で箱庭遊びをしていると、九内から念話が入った。

 

『ヤバい…救援要請だ!』

 

はぁい?

 

 

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